4月11日午後にケリー国務長官が広島での慰霊式典に出席したことを、翌12日の国際面で速報した。
ケリー氏は広島での慰霊式典に出席した米国で最初の国務長官であるとし、彼が、G7の外相と共に、そろって平和記念公園内の原爆資料館を視察し、慰霊碑に献花したことを伝えている。「原爆投下についての米国による謝罪の是非」や「オバマ大統領の任期中の広島訪問の可能性」についても触れている。
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「ジョンケリーは1945年にアメリカが投下した原爆による犠牲者を慰霊するこの場所を訪れた米国の最初の国務長官として名を連ねた。彼は、核兵器を削減し、戦争を避けることの必要性を改めて思い起こさせる完全で、残酷で、説得力のある場所だと述べた。」
「広島生まれである日本の岸田外務大臣は、ケリー氏をはじめとする先進7ヶ国の外務大臣を、第二次世界大戦中にアメリカが広島に投下した原爆の結果としてもたらされた恐ろしい展示へ案内した。」
「ケリー氏はツアーの最後に、原爆のグラウンドゼロのすぐ近くで、ゲストブックにサインをし、世界中の人々がこの慰霊施設を訪問し、実際に見て感じるべきだと述べた。」
「『戦争は最後の手段であって、決して最初の選択であってはならない。』とケリー氏は博物館のサインブックに書き込んだ。」
「オバマ政権は核兵器排除に優先的に取り組んできた。昨年、米国と5つの大国は制裁解除と交換にイランの核プログラムの縮小に合意した。今年になって、米国は国連で、中国や他の大国と協調して、北朝鮮が核テストとミサイル発射に踏み切った後、同国への制裁を強化している。」
「ケリー氏は、彼の訪問はオバマ政権の取組みの重要性を示すものであるが、その道のりは時間がかかるし容易ではないと述べた。『とても複雑な問題だ。』と彼は言う。『紛争を解決する方法を見つけねばならない。態度を変えねばならない。障害を一夜で取り除くことは不可能だ。』」
「米国では次期大統領候補のトランプ氏が、日本と韓国は、米国とその核の傘に頼るのではなく、核兵器をもつべきだとする発言を行っているが、ケリー氏の訪問は、その議論の行方に注目が集まる中で行われた。」
「岸田氏はG7ミーティングの後、記者団に対し、トランプ氏の発言は、役に立たないし、日本の価値観に反すると述べた。」
「『我々は核兵器を持つことは全く考えていない。』と彼は述べた。」
「前日に資料館を訪れた際に、多くの外国人訪問者は、記述、写真、広島の犠牲者の個人的持ち物などを見た際に、涙を拭いた。」
「1945年8月6日の攻撃は、戦争において始めて核兵器が使用されたものだ。2回目で最後の核兵器使用は、その3日後の長崎への投下だ。数日後に日本は降伏した。米国の軍事計画者らは、原爆投下は戦争の早期終結を意図したものであって、より多くの人命が失われたであろう地上戦を避けるために必要であったとしている。」
「日曜日の朝に資料館を訪問した後、ケリー氏とその他の外相達は献花式に参加した。好天の下、彼らは各国の国旗を持った800名の小学生が囲む献花台への満ちをゆっくりと進んだ。」
「各国の外相は整列し、献花を行った。小学生が、各国の外相に折り紙で作った鶴のネックレスを贈った。」
「日本と米国は、何万人もの日本人を殺戮した原爆投下について米国が謝罪すべきか否かという問題について、注意深くバランスと取ることに腐心した。日本人の中には、米国に謝罪を要求するのは当然のことだと考える人もいる。一方、多くのアメリカ人は、謝罪することは、米国の戦争について不適切な批判を招くだけだと感じている。」
「オバマ大統領が、5月に日本で開催されるG7サミットの後に、広島を訪問するのではないかという憶測が、日米両国で飛び交っている。この点について尋ねられてケリー氏は、オバマ氏は任期中に訪問するかどうかは不明だと答えた。」
「『全ての人々が広島を訪問すべきだ。全ての人々とは全ての人々のことだ。私は、いつの日か、アメリカ大統領もここに来ることの出来る全ての人の一人になることを期待している。』とケリー氏は述べた。」