Friday, April 15, 2016

円は危険を光らせている【A10面(社説)】

WSJは、アベノミクスは失敗だったとする社説を4月15日に掲げた。



規制緩和や減税をせずに金融緩和・財政支出に頼る安倍首相の政策や、市場のサプライズに頼る黒田総裁の政策は、消費者の困惑をもたらし、結果として家庭に眠るお金の額を増やし、安倍首長が黒田総裁が狙った家計支出に結びついていないとしている。

***** 以下本文 *****
「強い円は投資家同様に政治家も困惑させている。円の価値は12月1日以降12.8%上昇し、17か月ぶりの高値となっており、株式市場は下落している。1月29日に日銀がマイナス金利を発表したにもかかわらずだ。」
「データはこの傾向は一時的なものでないことを示している。最近の調査によれば、日本の企業と消費者は経済への自信を失い、インフレは起きないだろうとみている。」
「デフレへ予測は自己実現的になりうる。なぜなら円建て資産のからの名目的なリターンが少ないとしても、実質的なリーターンへが増えることが期待されるので、貯蓄は増え、結果として悪い循環が起きてしまうからだ。言い換えれば、日本は未だにデフレの罠にとらわれており、安倍首相の金融政策に依存したデフレ脱却策は機能しなかった。」
「日銀のマイナス金利の実験も、期待を操作することは逆効果になりうることを示している。原則に従うなら、預金に対する低金利は、企業の投資や消費者の支出、投資家の海外投資を誘発するはずだ。数日後には、そういう期待から、株式市場は回復し、為替は円安に振れた。しかしその後、逆噴射が起こった。」
「銀行株がすぐに影響を受けた。なぜなら、マイナス金利が利益に悪影響をもたらすことが明白だからだ。企業や家計はただ単に借入をしたくないのだ。そうなると銀行は準備金を更に積み上げて、ペナルティーを払うしかないのだ。銀行は既に貸付に対する利益が最少となってやけっぱちになっている。もしリスクの高い投資に走れば、損失に至るおそれがある。」
「投資家たちは、日銀が金利を更にマイナスの領域に持ち込むと言ってはいるが、金融市場を不安定化させることなくそうしたことが出来る可能性は低いことに、すぐに気が付いた。政策策定委員のシライサユリは日銀が購入する国債は2018年中ごろには無くなり、更なる金融緩和は不可能になると述べた。日銀の黒田総裁は最後のバズーガを放ったのだ。」
「日本の家計もマイナス金利で不安定になった。発表の8日前に、黒田総裁は国会で、普通でない政策は考えていないと証言した。彼は市場への効果を最大化するためにサプライズ効果を使いたかったのだろう。しかし、一般的な日本人の間では、突然の方針変更はパニックを生み出したのだ。」
「黒田総裁の政策により、日本人は、マイナス金利や銀行の失敗から身を守るために、より多くのお金を家に貯めた。金庫の売上はうなぎのぼりに増え、財務大臣によれば最高額紙幣の印刷量が今年は17%増えた。あるエコノミストによれば、家に貯めてあるお金はこの1年で460億ドル増えて、3,670億ドルにのぼった。」
「安倍首相がデフレを征服すると約束してから3年が経過したが、日本はそれを開始した地点に戻ってしまった。しかし、負債は増えている。前のIMFのチーフエコノミストのオリバーブランチャード氏は、高齢化に伴い、どこかのタイミングで、日本政府は海外の国債バイヤーを惹きつけるために国債の利率を上げる必要が出て来ると警告する。」
「日本の実験は、リーダーが金融政策や財政支出によって、必要以上の規制や課税に守られた社会をびっくりさせることに依存することが、どの様な結末をもたらすかを如実に表している。安倍首相は成長を助ける改革を行うと約束したが、実際の実施した政策は少なすぎる。規制緩和によって新たな投資の機会を生み出さない限り、日本はデフレからは脱却出来ないだろう。」