Monday, April 4, 2016

日本の弁護士は嘆く。十分な訴訟が無い。【A6面(国際面)】

日本で弁護士が余っていて、貧困にあえぐ弁護士も出ているという記事が、44日の国際面に掲載された。


  
日本は法科大学院制度導入によって、弁護士を大幅に増やした。バブル崩壊時の教訓から、企業の不正行為等の社会問題の解決にもっと司法制度を利用してもらうためには、弁護士の数を増やす必要があるということだった。しかし、日本人が元来訴訟嫌いのため、思った通りに訴訟が増えない。さらに、社会問題の解決には長い年月と巨額の費用がかかるにも関わらず弁護士報酬が安いこと、ディスカバリーの無い裁判制度が企業と戦うには不利であること等、司法が社会問題の解決に活躍するための裁判制度が出来ていないことも、訴訟が増えない原因だとしている。

***** 以下本文 *****
「日本はちょっとあり得ない問題に苦労している。その問題とは、国民が十分に訴訟好きではないということだ。」
15年前、日本は弁護士の数を倍にする計画を開始した。役人たちは、西洋の司法制度をまねることにより、社会にダイナミズムを吹き込もうとした。西洋の司法制度では、裁判所は消費者の安全や企業の不正行為の解決に、日本より多く関与している。」
「しかし、日本の新しい弁護士は、何故彼らが必要とされているかという議論に勝つことに、成功していない。通常の民事裁判の数は、この10年全く変化が見られないのだ。犯罪がほぼ史上最低で、倒産も減少し、多くの弁護士は貧困にあえいでいる。」
「生活はどんどん苦しくなっています。それは間違いありません。」大阪でパートナーと共に弁護士事務所を営むサカノシンイチは言う。」
「弁護士協会のデータによれば、個人弁護士の平均収入は、2006年の1,750万円から、2104年には9百万円(約80,000ドル)へ減少した。」
「法科大学院への志願者はピークの7分の1に減少した。日本の新学期は月曜日に開始したが、法科大学院は、現在のシステムが2004年に開始して以来、最低の新入生を受け入れることになる。」
「『法律関係の仕事をする人は少なくなっている。特に優秀な人が少なくなっている。』と広島高等裁判所の元所長のフジタコウゾウは言う。『これは深刻な問題だ。』」
「日本の司法システムの再構築の動きは、1990年初期に株式市場や不動産のバブルが崩壊した時に遡る。バブルの崩壊の原因の一部は、曖昧な規制や、うさんくない企業活動にあるとされた。これを受けて日本は、市場に根差したアプローチ、ルールに基づいたアプローチを指向しようとした。」
2001年に政府の委員会は、米国スタイルのロースクールの確立を進言した。委員会は、司法関係の職業、つまり、弁護士、判事、裁判官の数を、当時の20,000人から、2018年までに50,000人に増やすことを要求した。」
「この計画は実行に移され、3年プログラムを提供する多くの法科大学院が誕生した。毎年新たに誕生する個人弁護士の数は、それまでの倍の2,000人となり、弁護士の数は2000年の17,000人から37,000人に増加した。」
「こうして新しい弁護士が誕生したものの、国民一人当たりの弁護士の数は、米国や欧州主要国に比べて少ない。」
「サカノ氏は、制度の変革は、法科大学院のモデルとなったアメリカとの文化の違いを無視して行われたと言う。」
「『米国の様な多民族国家で機能するシステムが日本に合っているとは限らない。』と彼は言う。『日本人は、もっと非公式なやり方での紛争の解決を好む。例えば、当事者間での個人的な交渉などだ。』」
「日本人が裁判所へ行きたいと考えたとしても、裁判制度が障害となる。日本では、勝訴したとしても、原告や弁護士に支払われる金額は米国に比べて少ない。日本には成功報酬とかクラスアクション(集団訴訟)の制度が無い。今年導入される予定ではあるが。」
「サカノ氏は、団子の中に認可されていない薬品を入れて日本全国で販売していた企業の幹部に対する訴訟で勝訴した。しかし、8年にもわたる訴訟に対して支払われた弁護士費用は$700,000に過ぎない。その報酬は10人もの弁護士でシェアしなければならない。」
「更に、勝訴するためには、更に高いハードルを越えねばならない。日本の法律はディスカバリーの概念(訴訟相手に文書や情報を開示させること。)を持っていない。従って訴訟した人にとっては、犯罪の証拠を見つけることがより難しい。」
「増加している訴訟は、離婚、子供の養育、相続などの家族に関する民事訴訟だ。増加ししている訴訟のもう一つの例は、痴呆に侵された高齢者の看護に関する訴訟だ。日本では、4人に1人が65才以上だ。」
「困難な状況は、特に新しい弁護士の間で顕著だとカワナカヒロシは言う。彼は、日本弁護士協会の副会長として2002年に弁護士を増やすキャンペーンを主導した。彼は、弁護士を増やすスピードが多分早すぎたと言う。」
「大阪の弁護士であるサカノ氏は、楽観視していないと言う。日本は高齢化社会に向かっているが、高齢者は訴訟が嫌いだからだ。」