Sunday, August 31, 2014

** 8月のまとめ **

8月までにウォールストリートジャーナルに掲載された日本に関する記事は、132件だった。月平均16.5件。8月は、16件だったので、ほぼ平均というところか。


テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が6件、社会関係が6件。様々な分野の記事が取り上げられた。

政治関係では、ベトナムへの中古船寄贈(領海での中国との対立)、北方領土、靖国神社、内閣改造と取り上げられるテーマは多岐にわたった。

経済関係では、消費増税が日本経済に与える影響を4回にわたり報道し、この問題へのWSJの感心の高さを伺わせた。その他には、日本と中国の貿易額が増加に転じたこと、女性の社会参加を促すために税制改革に扶養者控除の廃止が検討されていることが報道された。日中関係と女性の地位改善もWSJが継続的に取り上げているテーマだ。

社会関係では、広島土砂災害を2回取り上げた。こうした海外での大災害に対する同紙の迅速かつ真摯な報道姿勢には感心する。原発問題も2回とりあげた。検察審議会が東電元会長を起訴相当としたこと、強制非難させれられた女性に損害賠償を命じたことが取り上げられた。WSJは原発問題についても、継続的に丁寧に取り上げている。どちらかというと、原発推進派で、東電に対して同情的なトーンを感じる。その他では、理研の笹井氏の自殺、日本のカジノ解禁の可能性について報道している。

掲載箇所では、1面が1回、国際面が15回だった。
1面を飾ったのは、日本でのカジノ解禁を信じて10年前からカジノ学校を経営する男性のニュースが取り上げられた。同紙はこうした面白い記事を1面下部で連日取り上げている。

こうして、WSJが取り上げたニュースを並べて見ると、日本で起こったことの縮図になっており、バランスの取れた報道だと感じる。

Saturday, August 30, 2014

家計支出の下落により懸念が増大【A8面(国際面)】

7月の家計消費支出が5.9%下落したというニュースが国際面に掲載された。



「日本における家計消費は7月に5/9%下落した。安倍晋三首相の増税して約800億円の税金を
取るという決断は、予想よりも経済に悪い影響を与えるのではないかという懸念が出てきた。消費の落ち込みは経済のあらゆる分野に及んでおり、自動車メーカは販売出来ない車の増大と生産の低迷に取組まねばならなくなっている。」
「安倍首相は一年程前に消費税の5%から8%への増税を決断した。政府によれば、これにより、毎年約8兆円(約770億円)の増税になる。増税は4月1日に実施された。」

29日の発表を翌30日に速報しており、この問題に関するWSJの関心の高さを示している。

Thursday, August 28, 2014

原発のオペレータは自殺に47万ドル支払う【A7面(国際面)】

福島原発の近くの自宅からの強制非難は原因で自殺した女性の遺族に対し、福島地裁が4千7百万円支払う様に命じたというニュースが、国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「破壊された福島第一原発のオペレータは、原発の近くにある自宅を離れた後自殺した女性の遺族に対し、4千9百万円(約47万ドル)の支払いを命じられた。」
「福島地方裁判所は東京電力は、2011年に自宅に戻っ。た際に焼身自殺をした58歳の主婦、渡辺はま子さんの家族に求償せねばならないとの判決を下した。強制非難が自殺の原因だと結論づけた。」

暫く要約する。

遺族は9千百万円を請求していた。東京電力は、不利な判決に苦しんできた。7月30日には東電の元幹部は事故を回避する努力を行ったので起訴されるべきとする判断が、そして5月末には西日本の2つの原発の再起動を禁じる判断が下された。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「東京電力のスポークスマンは『判決を精査する。』と述べた。」
「東電は原発の代替となる高額の化石燃料と、事故による損害への支払いにより、過去3年間に大きな経済的損失を被った。」

WSJは、原発推進派であり、東電に同情的なトーンも感じられる。

Tuesday, August 26, 2014

"Betting on the Come." (将来に賭ける)は日本語でなんと言うのでしょう?【A1面】


日本でのカジノ解禁に賭けて、10年前にカジノ学校を開講した大岩根さんという方の物語が、一面に掲載された。WSJ日本語版に同様の記事が掲載されていたので、借用する。
大岩根さんという方、面白い方ですね。




大岩根成悦さん(45)は10年前、「カジノが日本にやってくる」ことに賭けた。
 それから10年、日本ではまだブラックジャックでダブルダウン(賭け金の倍増)することが違法とされている。ただ、大岩根さんは諦めていない。
 同氏は2004年に日本カジノスクールを開校。ミッションはカジノでゲームの進行役を務めるディーラーの手さばきやルーレットの回し方などを学生に伝授することだ。
 校長を務める大岩根さんは「2、3年のうちにカジノが合法化されると、なんの疑いも持っていなかった」と述べ、このため「まだ合法化されていなくても学校を開業することが悪いビジネスアイデアとは全く思わなかった」と話した。
 ついに大岩根さんに運が向いてきたようだ。安倍晋三首相は成長戦略の目玉としてカジノ解禁を目指しており、秋の臨時国会で関連法案の審議を継続することを約束した。
 春の通常国会では関係省庁の手続きの遅れで法案を採決まで持ち込めなかったが、政府関係者らは秋には成立機運が高まると話している。
 ラスベガス・サンズやウィン・リゾーツ、MGMリゾーツなど米国のカジノ大手はすでに、機会が訪れれば日本のカジノリゾートに大規模投資する準備を進めていると話した。また、カジノ業界の幹部は早くも候補地選びに乗り出しており、東京・築地の中央卸売市場の跡地や大阪此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」などに目を付けている。
 一方、大岩根さんと日本カジノスクールの学生は、まだ合法化されていないテーブルで準備を進めている。
 ある日の午後、新宿区にある大岩根さんのカジノスクールでは学生20人ほどがブラックジャックの練習をしていた。学生たちのプロ意識を鼓舞するかのように、壁にはクルーズ船や米国のテレビドラマ「ラスベガス」のポスターが貼られていた。また、「違法カジノには絶対に出入りしない」という非公式の校訓と思われる標語も貼ってあった。
 大岩根さんがカジノに取りつかれたのは学生時代で、カジノが疑似体験できる東京の遊技場で働いていたころだ。同氏はホテルでのイベントやクルーズ船でも働いたことがある。
 カードディーラーと結婚した大岩根さんは、「カジノディーラーは世界中で一番素晴らしい職業だと信じている」と述べ、「2歳になる息子にも、ぜひ将来はディーラーになってもらいたい」と話した。
 最も印象深い思い出はグアムの北に位置する太平洋の小島、テニアン島のカジノ場で大勝ちしたことだ。当時まだ学生だった大岩根さんは同じテーブルでバカラを72時間連続でプレーしたという。テニアン島には日本からもカジノ客が訪れる。
 ここで稼いだ700万円は学校の設立資金に使われた。
 日本カジノスクールの1年コースでは、カードの手さばきに加え、親しみやすくルールを教える方法といったカジノ場での客のもてなし方などが初心者に伝授される。003年の開校記者発表には100社以上の記者やカメラマン、テレビスタッフなどが集まり、大岩根さんはタキシード姿で会見に臨んだ。こうしたマーケティングを実施した背景には、3年以内に日本でカジノが合法化されるとの信念があった。
 当時、東京都知事だった石原慎太郎氏はカジノ構想に前向きだった。業界のアナリストらは、日本が近くマカオに次ぐ世界2位のカジノ市場になる可能性を指摘していた。マカオ政府の統計によると、同地域の昨年のカジノ収入は450億ドル(約4兆6700億円)だった。
 大岩根さんは友人や銀行などから借金をして学校を開き、すぐに想定した30人を大幅に上回る192人の生徒を集めた。
 「もうこれはいよいよだ。秒読み段階で待ったなしだ。勝ち側にいる」と大岩根さんは思ったという。
 日本でカジノが合法化されるとの思惑が、20代や30代を中心とした生徒を呼び集め続けている。学費は平均で60万円だ。
 法改正が期待される中、大岩根さんは今度こそカジノへの関心が急速に高まるとの手応えを感じている。
 同氏は学校に加え、「addict(アディクト)」など疑似的なカジノゲームが体験できる遊技施設を複数運営している。ただ、カジノ解禁が実現すれば現在の事業を見直すことになろう。
 ほの暗いaddict店内に並んだテーブルには黒いベストを着たディーラーが付いており、夜にはブラックジャックやテキサス・ホールデム、バカラ、ルーレットなどが楽しめる。日本には似たような娯楽施設が増えており、カジノを体験してみたいという人々の需要に応えている。模擬カジノではコインを現金や景品と交換することが禁じられている。このため、addictでは「中毒」という店の名前にもかかわらず、入場料は支払うものの全財産を失うことはない。
 大岩根さんは模擬カジノの人気が本物の需要に火を付けることを期待している。
 一方、ギャンブルに取りつかれた卒業生はそれほど楽観的でない。大岩根さんの学校ではこれまでに400人の卒業生を送り出してきたが、学校によるとカジノ関連の職に就けたのは70人程度にとどまる。
 2008年に在学した大谷雅俊さんは「校長の(予想した)3年以内にカジノができるというのは、全く信じていなかった」と話し、海外に活路を見いだそうとした。現在、大谷さんはシンガポールでディーラーをやっている。
 テニアン島やカンボジアのバベットなど、遠く離れたカジノ場でサイコロを振る卒業生もいる。バベットには隣国のベトナムからカジノ客が集まる。経験を得るためとは言え賃金は安く、業界関係者によると、現地ディーラーの給料は1日当たり数ドルにとどまるところもある。
 カジノ学校への入学者数は最近46人に増えたが、長く生徒不足に悩まされた時期もあった。最悪は2012年で、東日本大震災が発生した後には生徒が28人しか集まらなかった。大岩根さんはコストカットで苦境を乗り越えたという。
 20人いた学校スタッフを半分に減らし、残った従業員の給与も30%削減した。大岩根さんもゴルフやスポーツクラブを退会し、自身の給与も半分に減らした。また、ラスベガス訪問をやめてここ数年はカジノ断ちをしてきたという、厳しい制約も課してきた。
 こうした苦労を経て、大岩根さんは今、「ジャックポット(大当たり)」に近づいたと信じ、2020年に東京五輪が開催される頃までには日本でカジノ場が運営されていると期待している。だが、それほど早く事が進むと予想するロビー団体や国会議員は少ない。
 大岩根さんは予想が外れた場合のバックアップ計画も用意している。
 同氏は「今回の法案でダメだったら海外に小さいカジノでも買おうか」と考えているとし、「そして、そこにアンハッピー(不運)な卒業生を送り込む」と述べた。


Monday, August 25, 2014

広島の土砂崩れ後の救助活動の中、死者は増え続けている【A8面(国際面)】

広島の土砂災害のニュースの続報が国際面に掲載された。

「800名の自衛隊員を含む約3,500人の救助部隊が、日曜日に広島の土砂崩れの生存者の捜索を行った。豪雨によって近隣の斜面に水と土砂が押し寄せて、数日前からこうした作業が続いている。死者は50人にのぼり、依然数十名が行方不明のままだ。」

文章は短いが、写真は大きく掲載されている。



東京は主婦に厳しい選択を迫る【A8面(国際面)】

日本が税制改革、具体的には配偶者控除の廃止によって、女性の社会進出を促進しようとしているという記事が国際面に掲載された。


この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の税制は、長い間、理想的な妻の役割は家にいることだというメッセージを送ってきた。現在、政府が検討している税制改革は、より多くの女性に働いてもらうことを重視している。この改革は、働く女性と伝統的な税制の下で便益を得てきた主婦の間に楔を打ち込むことになるだろう。」
「安倍首相はアベノミクスとして知られる成長戦略を提示したが、この戦略は、全ての職業において、より大きな女性の役割を創出することについて、これまでなかった様な真剣な議論をまきおきすきっかけを作った。」

しばらく要約する。

国会は来月税制改革の議論を開始する。日本では、25才から44才の女性の70%が働いているが、管理職以上になると90%以上が男性によってしめられている。米国ではフォーチュン500企業の幹部のうち15%が女性だ。1960年以来日本の税制は暗に専業主婦のいる家庭を優遇してきた。主婦の収入が103万円を超えると、税金控除の権利を失うし、130万円以下であれば、主婦は年金基金に支払いをしなくても年金を受け取ることが出来る。こうした税制は、主婦がフルタイムの仕事につくことを阻害している。
安倍首相が検討している新税制は、この点の改革を目指している。詳細はこれから検討するが、103万円の壁と130万円の壁を撤廃し、年金基金に全くお金を納めていない主婦には約30ドルの支払いを求める。こうした改革は働く女性には好評だが、主婦には不評だ。自民党でも反対の意見がある。自民党は選挙公約で扶養控除の維持を掲げていたからだ。実に70%以上の日本のパートタイム労働者は、扶養控除を得るために所得を制限しているのだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「今日、日本は、高齢になって結婚したり、結婚しない女性が増えている。より多くの女性が高い教育を受けている。そして共働き夫婦が増えている。」
「女性たちの中には、税制改革そのものは、職場において女性が同等の役割を担うために、ドアをより大きく開くことにならないと考えている人もいる。多くの会社では、残業や夜に同僚と飲みにいくのが習慣になっており、こうした習慣が仕事と家庭のバランスをとるのを難しくしているからだ。」

女性の税制改革では効果が出ず、日本の労働慣行を変える必要があるとしている。日本では、飲み会の数が少し減ったようだが、相変わらず残業は慢性化している。ワーク・ライフバランスも著しく崩れてままで、こうした環境では女性の社会進出は難しい。何故、日本人は何年経ってもこの問題を解決出来ないのだろう?

Saturday, August 23, 2014

日本の安倍は内閣改造の意向を固めた【A7面(国際面)】

安倍首相が内閣改造の意向を固めたとする記事が、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しではじまる。
「日本の安倍晋三首相は、来週にも内閣改造を行う意思を固めた。経済についての懸念が増大する中で、権力基盤を強固にするのが狙いだ。」
「この内閣改造により、内閣の女性の数は現在2人だが、これも増える見通しだ。安倍首相は、政界、経済界の女性リーダーの数を、2020年までに30%まで引き上げることを目標としている。」

長い記事なので、暫く要約する。

安倍首相は主要閣僚を留任させる見通しなので、大きな政策の変化はないだろう。安倍内閣の18名は、2012年の安倍内閣発足以来変わっておらず、これは歴代最長だ。この内閣改造は、政策面より、大臣になれない議員からの不満を押さえるための政治的な目的の色が濃い。安倍首相は2015年9月の自民党総裁選に勝てば、2019年まで首相の椅子に座り続けることが可能だ。
安倍首相の在任期間は既に20ヶ月を越えており、最近の首相に比べると長期政権となっているが、集団的自衛権を許容したこともあって、支持率は最近50%を下回った。支持率回復の鍵を握るのが女性大臣の登用だ。但し、衆議院の女性比率は8%、参議院でも16%にずぎす、当選一回議員を除くとこの比率は更に下がる。安倍首相はこの小さな人材プールから大臣を選ばねばならず、リスクは大きい。
安倍首相は、また、防衛問題選任の大臣ポストを新設する。また、アベノミクス推進のためにもこの内閣改造が必要と考えている様だ。安倍内閣発足後、暫くは経済は好調だったが、消費税率引き上げ後、予想以上の低迷が続いている。安倍首相は、今後は地方の活性化が必要としている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「そうした政策は、日銀の緩和政策によって、経済に投入された、過去に例を見ない巨額のお金に比べれば、あまり目を引かないかもしれない。しかし、そうした政策は国家の長期にわたる経済成長にとっては重要だと野中氏は語る。」
「首相は今年末までに、2015年10月に消費税率を10%に引き上げるか否かの決断を下さねばならない。」

内閣改造のポイントは女性大臣の登用であり、それが安倍内閣のリスクになりうるという視点は面白い。


Thursday, August 21, 2014

日本の雨が土砂崩れを引き起こし、広島地域で数十名の死者を出した【A14面(国際面)】

広島での土砂災害のニュースが、国際面で報道された。

この記事は次のような書き出しで始まる。
「日本の広島県で、土砂崩れにより、少なくとも36人の命が奪われ、7人が行方不明になっている。」
「水曜日の未明に、豪雨により土砂崩れが発生して以降、広島市の安佐南区と安佐北区では捜索活動が続いている。土砂崩れにより、多くの家が壊され、多くの住民が取り残されたり、土砂に埋まったりしている。警察と救助隊が広島市で生存者の捜索に当っている。」

暫く要約する。

気象庁によれば、安佐北区では、3時間に217.5ミリ(8インチ以上)の雨は降った。これは、1976年に観測を始めて以来最高だ、NHKによれば、亡くなられた方の中には、3歳の男の子と77歳の女性が含まれており、また、広島消防庁の職員も救援活動中に亡くなった。広島市によれば、21地域の16万人に対して、避難命令が出ており、自衛隊の派遣も要請した。この地域は1999年にも同規模の土砂崩れに見舞われており、30名が死亡していた。

この記事は次の様なコメントで締めくくられたいる。
「安倍首相は夏休みを切り上げ、災害に対応した。」
「『更なる降雨の可能性があります。私は政府に対し、被災された方々の救出に全力をあげるように指示しました。』と首相は語った。」
「西日本はこの夏記録的な降雨を経験しており、土地が緩み、土砂崩れの危険性が高まっている。」
「今年は既に、8月7日までに497件の土砂崩れが発生しており、2人が死亡し、3人が負傷している。」

この大災害が発生したのは20日なのだが、WSJは、翌21日に気象庁、NHK, 広島市への取材をベースにこの記事をまとめ、カラー写真入りで掲載している。こうした海外での大災害に対する、同紙のすばやく真摯な報道姿勢には感心する。
安倍首相は、夏休みを切り上げてリーダシップを発揮する強い首相として、好意的に描かれている。


Wednesday, August 20, 2014

日本のデータは中国との貿易の改善を示している【A9面(国際面)】


日中間の貿易額が3年ぶりに増加に転じたが、尖閣問題前の水準には戻っていないというニュースが、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しではじまる。
「日本と中国の間の貿易が3年ぶりに増加する見通した。しかし2012年に勃発した領土問題以前の水準には戻りそうにない。」
「この注意深くはあるが楽観的な見方は、日本と中国への輸出が今年上期に3年ぶりに増加したというデータからきている。このデータは政府関係団体である国際貿易振興機構によるものだ。」

しばらく要約する。

日中間の貿易回復の兆しは、政治的な問題でいつでも後戻りするリスクを含んでいるものの、最近は両政府とも国内での経済問題を抱えており、お互いを刺激しない様に注意している。今年の上半期の日本の中国への輸出は、前年比で2.5%増加したが、2012年に比べると11.7%少ない。2012年の9月に尖閣問題が発生している。中国からの輸出は既に紛争前に水準に戻っており、この結果、日本の対中国貿易赤字は、120億ドルと過去最高を記録した。

この記事は次の様なコメントで締めくくられる。
「国際貿易振興機構によるデータは、日本の経済産業省と中国の税関管理局のデータを積み上げたものだ。」
「日本の中国への輸出は尖閣紛争とその後の中国における日本製品ボイコットがあった直後の2013年上期の水準に比べると13.8%落ち込んだままだ。」

WSJは、日中間の貿易が増加すると、安倍首相も靖国神社訪問の様な不必要な軋轢を生む行為を避けざるを得ないだろうそみていると考えられ、日中間の貿易増加には好意的な見方をしていると思われる。

Saturday, August 16, 2014

日本のリーダーは東京戦争神社への訪問を避ける【A9面(国際面)】

安倍首相が、終戦記念日に靖国神社を訪問しなかったニュースが、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しから始まる。
「日本の安倍晋三首相は、69回目の終戦記念日であった金曜日に東京の戦争神社を訪問するのを避けた。これは明らかに中国や韓国との関係をこれ以上悪化させないことを狙った動きだ。」
「安倍氏は、お金の入った封筒を捧げ物として持たせて、補佐官を神社へ送った。14人のA級戦犯と250万人の戦没者がまつられている靖国神社を訪問しないという安倍首相の決断は、習近平国家主席とのトップ会談を実現させるために、北京との関係を改善したいという願望の表れだ。北京とソウルは、靖国神社を日本の過去の軍国主義の象徴とみている。」

しばらく要約する。

安倍首相は、昨年12月に突然、靖国神社を訪問したが、これは中国や韓国との関係を悪化させたばかりでなく、米国の政府関係者もいらだたせた。政府は金曜日に公式慰霊祭を実施した。ここには、戦争で家族を失った遺族を中心に5千人が集まったが、この席で安倍首相は「今日の平和と反映は、戦没者の方々の神聖なる犠牲の上に成り立っている。」と述べた。安倍首相は、過去の何人かの首相と異なり、戦争で日本が果たした侵略者としての役割を認めていないし、反省も表明していない。
安倍首相は、靖国神社の代わりに千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪問した。この墓苑には、最近ケリー国務長官やヘーゲル国防長官が訪れているが、これはアメリカからの安倍首相への靖国神社を訪問しないで欲しいという無言のジェスチャーだ。
金曜日に、安倍内閣の閣僚のうち、3名が靖国神社を訪問し、中国政府は、これを非難した。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「『彼らの行為は、日本政府の歴史問題に関する誤った態度を再び露呈することになった。中国は、毅然としてこうした行為に反対する。』と北京の外務省の声明は語った。」
「声明は、安倍首相を名指しすることは避け、健全で安定した中日関係は、『日本がその過去の侵略に対して正直に向き合い、深く反省し、軍国主義から本当の意味で決別した時にのみ』実現すると述べた。」

WSJは、安倍首相の政策全般については好意的だが、靖国神社訪問だけには従来から否定的だ。この記事からもそうしたトーンがうかがわれる。





Friday, August 15, 2014

日本は太平洋での軍事演習についてモスクワに抗議する【A8面(国際面)】

北方領土問題について、国際面で取り上げられた。

この記事は、次の様な書き出しではじまる。
「ロシアは日本も領土権を主張している北太平洋の列島で大規模な軍事演習を実施したが、それについて東京はモスクワに対し抗議を行った。これは、北の隣国との関係を強化しようとする安倍首相の努力に更に水をさすことになる。」
「日本の外務省によれば、同省は水曜日にロシア大使館のトップを呼んで軍事演習について抗議をした。東京によれば、演習は北海道の北に位置する4つの島の周辺に行われた。これらの島々は、日本では北方領土、ロシアでは南クリルと呼ばれている。この列島についての紛争は、第二次世界大戦以来、この2国間の関係を緊迫させてきた。」

暫く要約する。

ロシアの防衛大臣によれば、この演習は千人規模の兵士を参加させた大規模なものであったが、あくまで通常の軍事演習にすぎない。安倍首相は、プーチン大統領とのトップ会談を数回実施して、二人の関係は改善されてきていた。この関係改善により、経済面での協力強化だけではなく、北方領土についても進展があるものと期待されてきた。しかし、ウクライナ問題で、日本が西側諸国と同調したことが、この関係に暗い影を投げかけた。「これは、わが国にとって、とても受け入れられることではない。」と安倍首相は述べた。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「中国が西太平洋でその領土の主張を確実にしようとしており、西太平洋地域での緊張は最近高まっている。」
「ロシアもまた、その地域での軍事行動を増やしている。日本の自衛隊によれば、4月~6月の3ヶ月で、ロシアの飛行機に対応して、戦闘機を235回も緊急発進させた。これは、昨年同時期の35回に比べて大きく増えている。3月までの一年間に、日本はロシアのターゲットに対して、359回も戦闘機の緊急発進を行った。その前年は、248回だった。」

WSJは、中国、ロシアに対して、日本が強硬姿勢を取ると、丁寧に報道する様に思われる。


Thursday, August 14, 2014

日本のアドバイザーはスランプは消費増税を遅らせると語る【A14面(国際面)】

消費税の更なる増税は延期されるかもしれないとの記事が国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍首相に近い経済アドバイザーによれば、日本経済がこの夏に第二四半期の急激な落ち込みから回復出来ない場合には、日本政府は来年の消費税の更なる増税の計画を見直すかもしれない。」
「水曜日に発表された暫定値によれば、GDPは、6月までの3ヶ月で、価格調整後の年率換算で6.8%縮まった。これは2011年初期以降では最悪の数値だ。」

暫く要約する。

エール大学の浜田宏一教授は、「(消費増税は)消費者への大きな打撃だ。」と語り、この見方は共に安倍首相のアドバイザーである本田悦郎氏と同じだとしている。第二四半期に消費者支出は18.7%落ち込んだが、これは2004年に統計を始めてから最悪だ。消費増税前の買い込み需要と実質賃金の落ち込みが、消費の冷え込みを招いている。エコノミストの間では、増税の影響を甘く見ていたという意見もきかれる。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「日本の法律は、政府は2015年に消費税を更に10%まで上げねばならないと規定している。しかし、経済が上昇傾向にある場合はという条件付でだ。」
「『もし第三四半期のGDPが余りにも弱い場合には、第二の増税は延期するか、段階的増税を実施することになるかもしれない。』と浜田氏は述べた。」

この記事は、アベノミクスを支えるブレインの一人である浜田宏一エール大学名誉教授への独自取材によるものだ。同紙は、消費増税関係の記事をこのところ、連日掲載しており、この問題への関心の高さをうかがわせる。

Wednesday, August 13, 2014

日本経済は四半期に縮小した【A9面(国際面)】

第二四半期の日本のGDPが6.8%縮小したというニュースが、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しではじまる。
「日本経済は、4月に実施された消費税増税が家計に打撃を与えた後の、第二四半期に、急激に縮小した。エコノミストは、この縮小は政府に追加の景気刺激策を迫ることになると言っている。」
「ある経済において生産された物とサービスの価値の合計である実質国民総生産は、6月までの3ヶ月に、年率ベースで昨年同期に比べて、6.8%縮小した。」

しばらく要約する。

ウォールストリートジャーナルが予測した7.1%よりは少なかったが、エコノミストは予想以上の縮小幅に懸念を抱いている。この縮小は、消費税率を5%から8%に上げたことによるものだが、安倍首相は、こうした縮小は一時的なものとみている。しかし、こうした政府の見方が楽観的であることが諸運勢された場合には、政府は、追加刺激策の実施と来年に予定されている消費税の10%への増加は再考せざるをえない。投資家は、不景気の長期化リスクを考慮せざるをえないだろう。次のチェックポイントは、7月~9月期にどの程度、経済の回復がみられるかだ。


この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「経済は第一四半期に6.1%拡大した。これは、消費増税前に、家計が洗濯機などの高額商品を買いだめしたからだ。」
「政府関係者は水曜日にデータについて楽観的だ。甘利明経済産業大臣は、経済は着実に改善しつつあるという政府の見方を変更するものではないと言っている。彼は、現状では、追加予算を実施する段階ではないといっている。」

WSJは、直前にGDP縮小率の予測記事も掲載しており、日本のGDPの動向についての関心が高い。


Monday, August 11, 2014

日本のGDPが落ち込むことが予測される【A14面(国際面)】

8月13日に発表予定の第二四半期のGDP見込みが、予想以上に落ち込むとの記事が、国際面に掲載された。

この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「日本の経済が消費増税後の第二四半期に激しく落ち込む見通しで、安倍首相と日銀は難しい決断を迫られる。」
「ウォールストリートジャーナルの調査によれば、エコノミストの予測を平均すると、4月から6月の3ヶ月の年率換算で、昨年に比べて7.1%落ち込む見通しだ。最近のデータによれば、4月1日に消費税が5%から8%へ上昇したあと、家計は支出を引き締め、企業投資は落ち込んだ。」

長い記事なので、少し要約する。

政府は水曜日にGDPの発表を行う予定。エコノミストは、消費増税による景気停滞が、一時的なものか、長期的なものかに注目している。第二四半期は予測よりに悪く、長期低停滞を意味しているのかもしれない。但し、政府や日銀の関係者、エコノミストは、こうした停滞は予測されていたことだとして楽観的だ。
消費増税に関する法案は、安倍が首相に就任する前に決まっており、2015年には10%へ増税されることになっている。但し、法律によれば、増税は景気の良い時にだけ行われることになっており、安倍首相は今年末までに実施するかどうか決断する見通し。彼は第三四半期の動向が鍵を握るとみている。
日銀は、7月から9月期に個人消費が上向くかが鍵を握るとみている。また、過去の景気回復の牽引役であった輸出が弱いことを認めている。インフレ率も1%で、黒田総裁の目標とする2%に達していない。

この記事は、下記の様なコメントで締めくくられている。
「多くの日本の企業は、労働力不足に悩んでいると言っている。日銀関係者は、それが賃金の上昇を導き、最終的に個人消費の上昇と導くと考えている。これは、全国レベルではまだ実現していない。6月には、可処分所得は前年比で8%も落ち込んだ。」
「景気停滞が長期化すれば、日銀は更なる金融緩和を要求される。」
「ワシントンのピアソン国際経済研究所のアダムポーゼン氏は、黒田総裁のやり方は正しいと言っている。『問題は、この一つの数値だけで、日本が深刻な短期的問題に直面していると言えるのか?です。私はノーと言いたい。』と彼は述べた。」

安倍首相、黒田総裁には是非とも頑張ってもらいたい。


Tuesday, August 5, 2014

幹細胞研究の共同執筆者が死亡【A9面(国際面)】

理研の笹井氏の自殺が取り上げられた。短い記事なので、全文掲載する。


「警察によれば、後になって取り消された幹細胞の研究に貢献した日本の研究者が、死亡しているのが発見された。自殺とみられる。」
「政府関係の研究機関である理研の再生科学総合研究センターの副センター長の笹井芳樹氏は、警備員によって発見されたと同研究所は発表した。同研究所によれば、近くの病院の医者の診断の結果、死亡が確認された。また、遺書と見られる文書が秘書の机の上に発見されたとも述べた。警察は、彼の死亡を確認した。」
「笹井博士は主執筆者である小保方晴子氏と非常に緊密に働いた。彼らは、1月にネイチャー誌に掲載された2件のステムセルに関する論文を執筆したが、発表当時これらの論文は世の中を揺るがすものとみなされた。ネイチャーは、データの不正確さとその他の欠陥を理由に、これらの論文を取り下げた。」
「笹井博士はエンブリオニック肝細胞の専門家で、頼まれてこのプロジェクトの初期から参画し、主に論文の編集は修正に責任を負ってきた。」

この事件は、多くの海外メディアが取り上げられた。笹井氏のご冥福をお祈りします。

Sunday, August 3, 2014

日本はベトナムに海洋上での支援を申し出る【A7面(国際面)】

日本がベトナムに6隻の中古船等を寄付することを表明したニュースが国際面に掲載されている。日本とベトナムが、中国との領土問題での対立に対抗して、協力関係を強化していることを強調している。

「日本は、ベトナムの海洋法執行能力を向上させるため、ベトナムを支援すると表明した。両国共に海洋において中国との紛争を抱えている。」
「日本はベトナムに6隻の中古船と関連機器を提供し、その価値は約5億円(490万ドル)に相当すると、岸田外務大臣はベトナム側の交渉相手であるファム・ビン・ミン氏との会談の後に述べた。『私はこの支援がベトナムの海洋法執行能力の向上に貢献することを望んでいる。』と岸田氏は述べた。」
「両国の外交担当は海洋上の平和と南シナ海、東シナ海の安定の重要性について強調し、両国の経済や教育面での協力を強化することで合意した。」
「5月2日に中国はベトナム沖に石油掘削装置を設置した。これにより、両国の船舶が遭遇して緊迫が高まり、ベトナムでは大きな騒乱へと発展した。5月中旬の騒乱では少なくとも3人の中国人が死亡し、数百の海外資本が所有する工場が破壊された。」
「ベトナムは、石油掘削装置は200海里排他的経済水域に設置されていると主張している。一方中国は、領海内で中国のエネルギー企業が通常の活動を行っているだけで、その領海内で掘削活動を行う権利があると主張している。」

WSJは、中国に対抗するアジア地域での動きについて、こまめに取り上げている。

Friday, August 1, 2014

審査会は東京電力の幹部は福島の危険性を認識していたと言う【A6面(国際面)】

検察審査会が、東電元会長らは「起訴相当」との議決を行ったというニュースが、国際面の小さな囲み記事に掲載された。

「住民による独立した審査会は、東京電力の元幹部3名について、2011年の福島原発事故の罪で、起訴すべきだと結論付けた。これは、世界最悪の原発事故のひとつである福島原発事故後の、刑事追求に関する最新の展開だ。」
「審査会は、投票の結果、事故当時の会長であった勝俣恒久氏と副社長であった武藤栄氏、武黒一郎氏を起訴すべきとした。」

原発問題は、引続きWSJの重大関心事だ。