大谷翔平のエンゼルスへの入団について、WSJは、12月11日の国際面で、大谷に対し詳細な育成プランが球団から本人に示されていたとする記事を掲載した。
大リーグでは、以前は二刀流は不可能なものとみなされてきたが、ここ数年、二刀流に挑戦した選手が数名いるとしている。ただ、彼らに対して球団は用意周到な計画を提示していなかったから、二刀流としてあまりうまくいかなかった。しかし、大谷の二刀流への挑戦に対して、エンゼルスは詳細な計画を作成しているとしている。大谷の成功に期待を滲ませている様に読めるがどうだろうか?
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二刀流で話題の日本の大谷翔平が野球界の話題を独占するよりもずっと前に、マイカ・オーウィングスはピッチャーマウンドの上とバッターボックスで同時に活躍することを夢見ていた。アリゾナ・ダイアモンドバックスは、彼をピッチャーとしてドラフトで獲得した。しかし、オーウィングスは、マイナーリーグ時代には、いざという時に備えて、スイングの切れを維持するために、時間のある時にはバッティングケージで過ごした。
この追加の努力は、結局うまくいかなかった。
「私は、バッティングケージに行く度に叱責されていました。」と最近のインタビューでオーウィングスは語った。チームは、クラブハウスで彼を叱責し、罰金さえ課そうとしたと付け加えた。「彼らは、本当に私に打撃をして欲しくなかったのです。」
オーウィングスが野球人生を送った2007年から2012年には、二刀流は全く可能なものとはみなされていなかった。彼は野球界のあらゆる人々から、二刀流は絶対にありえないし、そもそも絶対に出来ないと何度も言われた。彼は、代理人の候補者とのミーティングで、代理人候補者がすぐさま二刀流の考えを否定したことを覚えている。オーウィングスはもちろん他の代理人を見つけたが。
しかし、それから10年が足早に過ぎ、二刀流の考えはそれ程馬鹿げたことでもなくなった。タンパベイ・レイズの期待の星であるブレンダン・マケイは、昨シーズンシングルAで、6試合ピッチャーとして出場し、21試合を1塁手として出場した。ロサンゼルス・ドジャーズは、ブレッド・エビナー外野手の多彩な才能と価値をさらに向上させるために、リリーフとしての仕事を与えようと考えた。そして、ついに、大谷が、3桁の速球と強靭はホームランパワーをロサンゼルス・エンジェルスに持ち込むのだ。
「我々は、もちろん、彼が二刀流になることを計画しています。」と土曜日に行われた大谷を紹介する記者会見で、エンゼルスのマイク・スシオスシア・マネージャーは語った。
「それは間違いありません。」
野球界は今週年次冬季ミーティングのためにアナハイムに集まっており、二刀流の計画が具体的にどういうものになるかは、現時点では不明だ。大谷の歓迎会も兼ねて行われた土曜日のメディア向けイベントでは、エンゼルスタジアムの外に何百人ものファンが押し寄せたが、ここでも関係者からは詳細が明らかにされなかった。
ビリー・エプラー・ゼネラル・マネジャーはエンゼルスは大谷を外野手として使うことは考えていないと語った。これは、大谷の打撃者としての貢献は、指名打者に限定されることを意味する。それ以外の点については、関係者は計画の詳細について曖昧にしたままだ。
しかし、春季トレーニングの前に、エンゼルスは過去になかった様なパズルを解かねばならない。大谷がローテーション要員とレギュラー打者として同時に活躍するためには、どのようにスケジュールを調整すべきかというパズルだ。ベーブルース以来、殆ど誰も挑戦したことがなかったし、ましてや誰も達成したことがないパズルだ。
「大谷の様な人物が持たねばならないマインドセットは『これはパイオニアとしての地位だ。』という心構えだ。」とオーウィングスは言う。彼は、138回登板して防御率4.86、205打席で打率2割8分3厘という成績を残して引退した。彼は、野球人生の後半で、二刀流としての評価を得ようと努力したが、それはうまく広がりを見せなかった。オーウィングスはその頃を振り返って、「それはきちんと座って話し合われなかったし、あるべき計画もきちんとなされなかった。」との考えを述べた。
ミルウォーキー・ブリューワーズで2003年と2004年にプレーし、二刀流として実際にある程度の成功をおさめたブルックス・キーシュニック選手も、計画という意味ではある程度似たり寄ったりだった。彼は、74試合に登板し、主にピンチヒッターとして144回打席に立った。
キーシュニックは、野球史の中で、最も本物の二刀流に近い選手としての評価を得てはいるが、彼はブリューワーズが計画をあまり丁寧に立てなかったことを認めている。
「我々は、どの様にアプローチすれば良いのか分かっていませんでした。」とキーシュニックは述べた。
エンゼルスは大谷に対し、より洗練されたアプローチを導入した。十分な時間とリソースを使って、彼のユニークな才能を最大限に引き出そうとしたのだ。エプラーは大谷との最初のミーティングで彼がシーズン中に毎日することになる行動の概要を示したカレンダーを提示したと明かした。
「私は、この計画が破棄されるとは言いたくない。」とエプラーは述べた。「しかし、この計画の多くが修正されることになるだろう。なぜなら、最初の計画は一方だけの観点で作ったものだが、いまや計画は双方の観点で作られるのだから。」
エプラーは、エンゼルスが6名の先発ローテーションを構築することを示唆した。このアイデアは、大谷のこれまでのワークロードにより近い。日本では、ピッチャーは週に1回の登板だが、米国では5日に1回だ。
大谷は彼が心地よいと感じる自分のルーティンを作らなけらばならないが、オーウィングスは自分自身の経験に基づいて、うまく機能すると彼が信じる論理的なスケジュールを作成した。
先発の後は、軽い投球やカーディオ以外は一日ゆっくりと休むことが必要だとオーウィングスは薦める、6人でのローテーションなら、次の3日は指名打者でプレイできるとオーウィングは言う。ゲームの前には、通常のバッティング練習をすることが出来る。この3日間に、彼はブルペンで投げることも出来るだろう。どこかの時点で、ピッチャーの様に上半身と下半身をバラバラに鍛えるのではなく、全身を鍛えるために、彼はウェイトルームに行くようにすべきだ。先発の前の日には、休養をとるべきだ。
「両方の側からの信頼が必要になる。」とオーウィングスは言う。「彼が球場に出れば、彼の才能がものをいうだろう。」