8月にWSJが取り上げた日本関係の記事は18件だった。7月の5件から大幅に増えた。
8月は世界が注目するイベントが立て続けにあった。11日の原発再稼働、14日の戦後70年談話、17日の第二四半期GDP発表だ。WSJはこの3つのイベントだけで、12件もの記事を掲載した。
「原発再稼働」については、再稼働当日の速報記事に加え、その後の国民の反対運動を続報として報道、「GDP発表」についても、発表前に予測記事を掲載し、当日には速報記事を掲載する等、丁寧に報道した。
しかし、何と言っても破格の扱いだったのは、「戦後70年談話」とその前後の終戦に関連する報道だろう。昨年は、終戦関係の記事は靖国関係が1件掲載されただけだったが、今年は原爆関係が4件、70年談話関係が3件、靖国関係が1件と実に8件もの記事が掲載された。
特に、昨年は全く無視された原爆関係が、広島、長崎での記念式典の速報記事に加えて、関連記事を2件掲載。戦後70年経過し、アメリカ側でも原爆の是非を見直そうという動きが出てきているということだろか。
8月の傾向でもう一つ注目すべきは、安倍首相が進める、「教育改革」「女性の登用」「移民受入れ」について、それぞれ特集記事を掲載したことだろう。WSJは、日本が長年解決出来ずにきた大きな課題に挑戦する安倍首相の姿勢に好意的だ。
8月は、アメリカにとって都合の悪いニュースもあった。一つは、相模原の米軍施設での爆発火災事故、もう一つはNSAによる日本政府・企業盗聴事件だ。WSJはどちらの事件も短く報道した。
最後に、孫社長が率いるスプリントの業績について、1面トップで取り上げた。苦境でもあきらめない孫氏の姿勢を好意的に報道している。
8月の記事をテーマ別にみると、政治関係が10件、経済関係が3件、社会関係が5件だった。
掲載箇所別では、1面が1件、社説が1件、国際面が12件だった。