Thursday, April 24, 2014

太平洋の貿易は行き詰る【A14面(社説)】

TPP交渉が行き詰っていることを、社説で報じている。何か譲歩しても、どうせ米国議会が反対するという懸念から、TPP賛成者が譲歩を示さず、結果として反対者の結束を招いている。まずは、米国議会の承認なしに交渉が進められる様にすべきという内容。各国で反対者が結束しており、交渉は非常に厳しい。

「オバマ大統領は、今週のアジア歴訪で、TPPを救うことが出来るか?米国のリーダーは、複数国間での通商協議を彼のアジア戦略の中心に据えてきた。しかし、反対者の連携が幅を利かす様になり、交渉は行き詰っている。」
「この条約は環太平洋の12ヶ国の経済を物品にかかる関税の無い地域として統合する。ルールを明確にし、サービス貿易や国境を跨る投資への制約を緩和し、知的財産への保護を強化する。その他の利点の中には、米国の輸出が2025年まで毎年1,250億ドルづつ増えることがあげられる。」
「TPPは戦略的に重要である。なぜなら、中国が益々独断的になる中で、米国の地域における経済的な関与を深めることになるからである。この条約は、かつて世界第二位の経済であったものを生き返らせるという安倍晋三首相の計画の中核をなすものと考えられている。日本経済が健全であることは重要である。日本は、アジアにおける米国の最も重要な民主主義の同盟国であり、戦略的に重要だから。」

ただし、日米にとって、戦略的に非常に重要であるにも係わらずTPPの議論が行き詰っているとして上で、その理由を米国のリーダーシップ不足としている。いくら譲歩してもどうせ米国の議会でひっくり返されるだろうとみており、これにより賛成が譲歩をしなくなり、結果として反対派を活気つけているとしている。

「ワシントンのリーダーシップ不足の中、保護主義者は改革を阻止するために結束している。日本は極めて高い農産物への関税を維持したい。安倍首相は農産物への高関税を『聖域』と呼んでいる。東京は今月のはじめ、オーストラリアを2ヶ国間通商協定を締結した。この協定では、牛肉への関税引き下げに合意したが、その引き下げ幅はワシントンがTPP交渉で求めているものより、相当に低い。そして今、日本は米国がより多くの柔軟さを示して、こうした高い関税を受け入れることを迫っている。」
日本以外にも、TPPの反対派が結束している例として、ベトナムとマレーシアの例をあげる。

アジアのリーダ-達がTPP交渉を駄目にする様な態度をとっているとその代償は大きいとした上で、何と言っても米国の強いリーダーシップがTPP成功のためには必要としている。

記事の最後は、オバマ大統領が、議会の承認なしに交渉を進められる様に、まず米国国内を固めることが重要としている。
「多分、オバマ大統領は、今週TPPを救おうとするだろう。しかし、話し合いを再び前進させる最も早い方法は、米国に帰って、議会の承認無しに通商交渉をまとめられることへの承認を得ることだろう。米国のパートナー達は、ワシントンが未だに交渉のテーブルについていることのサインを待っているのだ。」