Wednesday, April 30, 2014

** 4月のまとめ **

4月は、ウォールストリートジャーナルに日本に関する記事が23回掲載された。1月が12回、2月、3月がそれぞれ20回だったので、回数としては今年に入って最大だった。オバマ大統領の訪日関係が7回とほぼ1/3をしめ、それが全体の回数を押し上げた。

東アジア関係の記事が10件、アベノミクス関係の記事が6件と、この2つの案件で、全体の2/3を占める。東アジア関係では、官僚の靖国訪問、慰安婦問題、集団的自衛権等、日本側の問題に加え、今月は、オバマ大統領の尖閣への安保適用明言等、米国からの視点での記事も目立った。アベノミクスについては、貿易赤字、民間投資停滞、消費増税による心理の冷え込み等、同政策に翳りが出ていることを強調し、安倍首相が思い切った政策を実施することへの期待を表明する記事が増えてきた。

その他の記事では、「TPP」「捕鯨問題」「商船三井の船舶の中国当局の差し押さえ」がそれぞれ2件、「日豪EPA」が1件となっている。米国では、「捕鯨問題」への関心が高い。

掲載箇所では、国際面が20回、社説が3回。今月は、1面を飾る様なセンセーショナルな記事が無かった。社説では、(1) 東アジア政策(オバマ大統領の尖閣への安保適用明言)、(2) TPP交渉の行き詰まり、(3) 消費増税のアベノミクスへの影響が取り上げられた。(1)ではオバマ大統領の対中強硬姿勢を絶賛、(2)ではオバマ大統領の対議会弱腰姿勢を批判、(3)では安倍首相に本格的経済政策の実施を迫った。

テーマ別では、政治関係が12回、経済関係が9回、社会関係が2回と、政治関係の比重が高たった。


Friday, April 25, 2014

オバマは安倍と共に立つ【A12面(社説)】

オバマ大統領が尖閣に安保が適用されることを明言したことが、社説にとりあげられている。たまたま、ウォールストリートジャーナル日本語版に同じ記事が掲載されていたので、そのまま掲載させて頂く。
今回のオバマ大統領の中国に対する強気の姿勢を絶賛し、中国のことを「20世紀最悪の大量殺人が行われた天安門に毛沢東の肖像画を掲げ続けている国」「近隣諸国が中国の皇帝を称えた様な時代に戻ることを望んでいる国」として、敵意を顕にしていると感じた。

「尖閣諸島が中国に攻撃された場合、米国による防衛が日米安保条約で義務付けられているかどうか曖昧だった。しかし、オバマ大統領が曖昧さを完全に払しょくしたことは満点が上げられよう。『我々の日本の安全保障に対する関与は絶対的なものであり、日米安保条約第5条は、尖閣諸島を含む日本の施政下にあるすべての領土に適用される。』大統領は24日、安倍晋三首相との共同記者会見で明言した。」
「これは、中国が昨年11月に尖閣諸島上空に防空識別圏を設定したことに対し、米国が弱く一貫性のない対応をしたことに伴うダメージを回復するのに役立つ。尖閣諸島をめぐる中国の好戦的なレトリックや瀬戸際外交は、中国が米国との戦争の可能性を深刻に受け止めていないことを示している。おそらく今後それはなくなるだろう。」
「今月初めには米軍も、武力を行使するのは可能であることを明らかにした。 在日米海兵隊司令官のジョン・ウィスラー中将は、中国軍が尖閣諸島を占領したとしても、在日米海兵隊は直ちに奪還できるとの自信を示した。同中将の発言は個人的なものでなかったのは明らかだ。チャック・ヘーゲル国防長官は同じ週に北京で、多少ニュアンスに違いはあったが同じく強い調子で警告を発した。中国外務省や同省スポークスマンは怒り心頭となった。」
「これまでのところそれほど注目されていいのは、オバマ氏が今週、読売新聞に示した以下のコメントである。『私は、集団的自衛権の行使に関する現在の制約を見直すことなどで、安倍晋三首相が日本の自衛隊の強化と米軍との連携を深める努力を払っていることを称賛する。』これは、安倍氏が憲法の解釈を変更し、自衛隊が同盟国を防衛するのを認めようとしていることを、米国が支持すると言質を与えたものだ。憲法解釈の変更は、安倍政権の連立パートナーを含め国内の平和主義者から反対論を呼び起こしている。」

「オバマ氏のコメントは、米国は日本の軍国主義の復活の兆候を不安ししているとの兆候を不安視しているとの中国のメディアの希望的観測を退けるものとなった。北京の見方では、安倍氏は第二次世界大戦に旧日本軍に苦しめられたアジアの近隣諸国に警戒感を与えている。」


「中国の指導者らは、同国共産党がまくしたてている反日の宣伝が同党の支配を正当化すると信じているのかもしれない。だが、オバマ氏が安倍氏と肩を組んで対峙するというイメージにより、彼らは海外では反日宣伝は受けないことを納得させられるだろう。米国などは、戦後日本がアジアの平和と繁栄に貢献してきたことを認識している。日本は、民主主義国同士が新たな独裁体制の台頭を阻止するための同盟を構築できる普通の国になることで、さらなる貢献を果たすことができる。」
「安倍氏や他の日本の政治家が、戦犯が他の戦死者とともに祭られている靖国神社を参拝することで友好国になりたいと思っている国を遠ざけてしまっているのは確かだ。米政府当局者は、代わりに千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝することで、靖国参拝の慣行を戒めている。だが、20世紀最悪の大量殺りくが行われた天安門に毛沢東の肖像画を掲げ続けている人々は、もっと慎重になってもよさそうなものだ。」

「中国政府のスポークスマンは今週、日米同盟を冷戦の遺物と表現した。数年前であれば、沖縄の米軍基地の移転が困難を示したようにその指摘は的を射ていたかもしれない、しかし、近隣諸国が中国の皇帝を称えたような時代に戻るよう同国が望んでいることで再び日米同盟が前面に出てきた。大統領の訪日はだいたいが象徴的になるが、オバマ氏の今回の訪日は、民主国家の同盟国の連帯という必要なメッセージを送るものとなった。」

中国は紛争の最中にある三井の船を解放する【A7面(国際面)】

商船三井は差し押さえられた船の差押え解除のために約40億円支払ったとするニュースが国際面で取り上げられている。

「商船三井は、中国当局に差し押さえられた船の差し押さえを解除するために、4千億ドル近い金額を支払った。戦時中の出来事に対する被害弁償を請求する民事訴訟によって、中国で日本企業の資産が差し押さえられた最初の法的紛争は、これにより終了した。」
「上海海事法院は、中国版ツイッターとされる短文投稿サイトの微博(ウェイボー)で、木曜日に声明を発表し、商船三井が水曜日に400億円(3千9百万ドル)の支払いを行ったと発表した。
さらに、商船三井は同裁判所の判断を尊重し、問題の早期解決を期待していると表明した。」
「商船三井の広報担当者は、船の差し押さえ解除に向け取り組んでいると述べた。」

その後、この事件の経緯について詳しく説明すると共に、「日中関係が悪化する中、今後他の日本企業が同様の事態に遭遇しないかという疑問があがっている。」と報じている。

記事の最後の部分は次の通り。
「中国と日本の役人は、鉄鉱石運搬船バオスティール・エモーション号の東Zhejiang県での差し押さえを、独立した商業紛争だとみなした。」
「中国の外務省の報道官は、戦争賠償請求とは関係のない、一度だけのケースと呼んだ。」

日中共に、この件が戦争賠償請求とは関係ないとしているようだ。

米国は安全保障での連携を日本に保証した【A7面(国際面)】

オバマ大統領と安倍首相の首脳会談について、A7面(国際面)で詳細に報じている。

前半は、「尖閣諸島に安保が適用される。」とオバマ大統領が表明したことが、報じられている。この部分は全文紹介する。日本での報道に比べて、随分と中国に気を使った報じ方をしている。

「オバマ大統領は、日本の安倍首相に対し、もし日本の中国と領有権を争っている島が攻撃されたら、米国は日本を助けに行くという、明確な確証を与えた。」
「オバマ氏は慎重な態度を取り、東シナ海の島々の主権をどちらの国が持っているかという点については、日本の主張を取り入れることはしなかった。これらの島々は、中国、日本双方が領有権を主張し、東京によって管理されている。そして、米国はこれまでの態度を変えていないことを強調した。彼は、彼の交渉相手に、日本の市場を開放する様に要求した。二人のリーダーは木曜日の会談で広範囲は通商交渉において何の進展も示すことが出来なかった。」
「しかしながら、彼の『米国と日本の安全保障条約は日本が施政権をもつ全ての領土をカバーする。そこには尖閣も含まれる。(中国ではDiaoyuとして知られる島々の日本語名を使用した。)』という発言は、オバマ氏に全幅の信頼を置いているとする安倍首相を安心させた。」
「北京は、オバマ氏の発言に対し『強い反感』を表明した。外務省の報道官であるQin Gangは、定例の記者会見で米日条約は第3国を対象にすべきではないし、中国の主権を傷つけるものであってはならないと述べた。」
「オバマ氏は、人が住んでいない領土に関する紛争が平和裏に解決されることを強く希望する一方で、米国は中国と良好な関係を維持したいことも強調した。彼は、米国はこれらの島々について、どの国が主権を保持しているかについては、判断しないと述べた。『歴史的に見て、これらの島々は日本によって管理されてきた。そして我々は一方的に変更されるべきではないと信じている。』と語った。『米国は中国が平和裏に台頭することを引続き促していきたい。』とも付け加えた。」

その後、この記事はTPPについては、合意に至らなかったことを詳細に報じているが、この部分は割愛する。

最後は、日米関係が急速に改善してきていることを示す、次の様なコメントで締めくくっている。
「日本のリーダーにとって権力の座を維持するには、米国の大統領と緊密な関係を持っている様に見られることが、非常に大切だ。安倍首相は、オバマ氏のことを、何回も『バラク』と呼び、前夜に銀座の寿司カウンターで魚を楽しんだことを話題にした。」
「12月に米国は、東京の靖国神社(中国と韓国から日本の軍国主義の象徴と見られている。)を訪問するという安倍首相の決断に『失望』を表明したが、その時点から両国関係は随分と変化した。」
「木曜日に、オバマ氏は、日本の平和憲法の解釈を変更し、日本が『集団的自衛権』を行使し、日本の近くで敵に攻撃されている同盟国を救助することを可能にするという、安倍首相の計画を賞賛した。」

ウォールストリートジャーナルは、オバマ大統領の訪日を、丁寧に取り上げているが、テレビはそうでもない。ABCの朝の看板番組、グッドモーニングアメリカでは、オバマ大統領が日本の首相(安倍という名前は割愛!)とウクライナ情勢について話し合ったと報道した。(尖閣問題やTPPについては触れられず!)さらに、オバマ大統領が天皇皇后両陛下と会った画像が出た際にも、その向こうに写っているケネディー大使のことを話題にした。(天皇皇后両陛下にすら言及せず!)一般の米国人には、安倍、尖閣、TPP、天皇といったワードは関心を引かないのだろう。

Thursday, April 24, 2014

オバマは、稀であるが国賓として日本を訪問し、天皇皇后両陛下と会った【A8面(国際面)】

A8面(国際面)で、オバマ大統領の日本訪問について、報道している。比較的短い記事なので全文紹介する。

「オバマ大統領は、水曜日、米国のリーダーとしては20年ぶりに国賓として、日本に到着した。米国がアジアにおける存在感を示すチャンスとなるアジア歴訪の最初の訪問地となる。」
「オバマ氏は、木曜日の午前中に、明仁天皇陛下と美智子皇后と会い、『4年前にお目にかかったのは大変に良い思い出です。』と語った。そして、彼は、『その時には白髪がありませんでした。』と付け加えた。天皇陛下は、『ご苦労されたのですね。』と返答された。」
「2泊の滞在期間中にオバマ氏は安倍首相と会うが、これは韓国、マレーシア、フィリピンと続くアジア歴訪のトーンを設定することになるだろう。二人は12ヶ国の間での貿易協定を含む、経済、安全保障の問題について、話し合う。」
「木曜日の会談の冒頭に、2人は日米同盟が地域の安全保障にとって非常に重要であると述べた。オバマ氏は、北朝鮮の脅威と、同国がすすめる核武装について、懸念を示した。」

記事そのものは短いが、天皇陛下と握手するオバマ大統領の写真を大きく掲載しており、多くの紙面を割いている。

太平洋の貿易は行き詰る【A14面(社説)】

TPP交渉が行き詰っていることを、社説で報じている。何か譲歩しても、どうせ米国議会が反対するという懸念から、TPP賛成者が譲歩を示さず、結果として反対者の結束を招いている。まずは、米国議会の承認なしに交渉が進められる様にすべきという内容。各国で反対者が結束しており、交渉は非常に厳しい。

「オバマ大統領は、今週のアジア歴訪で、TPPを救うことが出来るか?米国のリーダーは、複数国間での通商協議を彼のアジア戦略の中心に据えてきた。しかし、反対者の連携が幅を利かす様になり、交渉は行き詰っている。」
「この条約は環太平洋の12ヶ国の経済を物品にかかる関税の無い地域として統合する。ルールを明確にし、サービス貿易や国境を跨る投資への制約を緩和し、知的財産への保護を強化する。その他の利点の中には、米国の輸出が2025年まで毎年1,250億ドルづつ増えることがあげられる。」
「TPPは戦略的に重要である。なぜなら、中国が益々独断的になる中で、米国の地域における経済的な関与を深めることになるからである。この条約は、かつて世界第二位の経済であったものを生き返らせるという安倍晋三首相の計画の中核をなすものと考えられている。日本経済が健全であることは重要である。日本は、アジアにおける米国の最も重要な民主主義の同盟国であり、戦略的に重要だから。」

ただし、日米にとって、戦略的に非常に重要であるにも係わらずTPPの議論が行き詰っているとして上で、その理由を米国のリーダーシップ不足としている。いくら譲歩してもどうせ米国の議会でひっくり返されるだろうとみており、これにより賛成が譲歩をしなくなり、結果として反対派を活気つけているとしている。

「ワシントンのリーダーシップ不足の中、保護主義者は改革を阻止するために結束している。日本は極めて高い農産物への関税を維持したい。安倍首相は農産物への高関税を『聖域』と呼んでいる。東京は今月のはじめ、オーストラリアを2ヶ国間通商協定を締結した。この協定では、牛肉への関税引き下げに合意したが、その引き下げ幅はワシントンがTPP交渉で求めているものより、相当に低い。そして今、日本は米国がより多くの柔軟さを示して、こうした高い関税を受け入れることを迫っている。」
日本以外にも、TPPの反対派が結束している例として、ベトナムとマレーシアの例をあげる。

アジアのリーダ-達がTPP交渉を駄目にする様な態度をとっているとその代償は大きいとした上で、何と言っても米国の強いリーダーシップがTPP成功のためには必要としている。

記事の最後は、オバマ大統領が、議会の承認なしに交渉を進められる様に、まず米国国内を固めることが重要としている。
「多分、オバマ大統領は、今週TPPを救おうとするだろう。しかし、話し合いを再び前進させる最も早い方法は、米国に帰って、議会の承認無しに通商交渉をまとめられることへの承認を得ることだろう。米国のパートナー達は、ワシントンが未だに交渉のテーブルについていることのサインを待っているのだ。」


Wednesday, April 23, 2014

日本は軍隊の解放を推進する【A7面(国際面)】


安倍首相の防衛力強化政策についての記事が国際面に掲載された。比較的短い記事なので全文掲載する。
「安倍首相の軍隊増強政策は、対中政策という観点で米国にとっても非常に重要。しかし、中国、韓国はそうした政策に反対。従って、オバマ大統領が訪日中にその政策を支持することが重要。」との主張だと思うが、どうだろうか?。

「安倍首相は日本の軍隊を強くするための彼の広範囲な計画がオバマ大統領の支持を受けられることを望んでいる。オバマ大統領は水曜日から3日間の日程で東京を訪問する。」
「安倍氏は日本の憲法の政府解釈の変更により、集団自衛権が容認されることを希望している。集団的自衛権により、日本自身が攻撃されていなくても、米国のような同盟国を防衛することが出来るようになる。」
「理屈からするとこの変更により、日本は、米国に向かう北朝鮮の弾道ミサイルを打ち落とせるようになる。また、中国により領有権を主張されている日本が占有している諸島で紛争があった場合に、より多くの柔軟な対応が可能になる。」
「2月に議会で演説をした際、安倍氏は仮説として、日本が自衛権の制約により米国の船をめがけて発射されたミサイルを打ち落とせないケースにシナリオについて言及した。『こうした事態が二日米関係にもたらす悪影響は計り知れない。』」
「ペンタゴンは、米国の軍事予算カットに直面しており、『東京は中国の軍事費への投資とバランスを保てる程度の軍事費支出を行うべき。』と主張している。東南アジアの幾つかの国は中国との間で領土紛争を抱えており、日本と米国がより強力な防衛同盟を構築することを強く望んでいる。」
「しなしながら、軍隊を増強しようとするいかなる取組みも中国や韓国からの強い疑念に直面する。かれらは日本は第二次世界大戦中の侵略について全く償いをしていないと感じている。」
「オバマ氏が、その日本訪問中に、日本の軍隊の再構築が価値のあるものであることについて言及することが、安倍首相の努力にとって極めて重要であると専門家は述べている。」

Tuesday, April 22, 2014

オバマはアジア重視に再度方向転換するための努力に回帰している【A8面(国際面)】

オバマ大統領のアジア歴訪について、国際面で報道している。

まず、冒頭で、オバマ大統領の今回の歴訪が、アジア重視の姿勢を示すことにあるして、次の様に述べる。
「オバマ大統領は、今週の複数国訪問により、アジアへのフォーカスを取り戻そうとしているが、ウクライナでも紛争が彼の計画の邪魔をしようとしている。」
「大統領は、火曜日、東京へ向けて出発する。バイデン副大統領がキエフでの2日間の打合せを終え、ホワイトハウスがロシアへより重い制裁を課そうとしているその時にだ。」
「オバマ氏は、日本、韓国、マレーシアそしてフィリピンへ、沢山の宿題を抱えて訪問する。政府の部分的な閉鎖の真っ只中で、昨秋のアジア訪問をキャンセルするという決断の後、安全保障、貿易問題は全てより緊急の問題となっている。」

しかし、アメリカのアジア重視のメッセージが十分伝わらない懸念を、次の様な事例をあげて丁寧に説明する。
・ウクライナ情勢が緊迫していて、アメリカのアジアに対するメッセージが霞んでしまう可能性が否定出来ない。
・東アジア各国は、このところ米国が、シリア、イラン、中東和平会談、そして最近ではウクライナ問題に集中してきたため、東アジア重視という米国の主張に懐疑的である。
・東アジア各国は、現在の米国のアジアへの興味は、軍事問題が中心で、民間問題については、あまり時間を割いていないとも指摘している。

こうした中、米国は軍事問題だけでなく、経済問題にも取組む意欲があることを示す、次の様なコメントで記事を締めくくっている。
「米国の役人は、経済問題の要であるTPPへの期待を固めたい。」
「幹部は、『日本との協議はここ数日進展している。』と述べた。また、『安倍首相との会談では、ブレークスルーをもたらすというより、議論にはずみをつけることを目的としている。』とも述べた。」

オバマ大統領が、東アジア重視なのは事実だろう。この記事は、オバマ大統領のそうした意欲にも係わらず、東アジア地域以外の地域での紛争が絶えないために東アジア問題に時間が割けないこと、東アジア地域でも安全保障問題が不安定でそれ以外の問題に時間が割けないことから、オバマ大統領が、本来取り組みたい東アジアでの経済問題にまで手が回らないもどかしさを、報じている様に感じた。



日本の船舶が1930年代の法的係争で差し押さえられる【A9面(国際面)】

商船三井の船舶が、中国当局によって差し押さえられたニュースが国際面に掲載されている。短い記事なので、全文掲載する。

「中国当局は、日本の商船三井が所有する船を押収した。第二次世界大戦前の法的係争によって。」
「『上海海事法院は、土曜日に、鉄鉱石運搬船バオスティール・イモーション号をZhejiang県で押収する様に命じた。』と、法廷と三井は語った。」
「三井は、『没収は、1936年に中国の船保有者であるチャンウェイ蒸気船会社から、日本の大同海運がチャーターした2隻の運搬船に関係している。大同海運は、後にナビックスラインとなり、1999年に三井と合併した。』と、三井は述べた。」
「日本の外務省は月曜日に、『これは、中国が日本の会社の資産を、戦後賠償関する民事訴訟を理由に、差し押さえした最初の例だ。』と述べた。」
「中国の外務省の報道官は、『差し押さえは一般的な商業上の契約係争だ。』と述べた。」

80年も前の係争で、直接関係の無い民間企業である商船三井の資産が差し押さえられるというのは、少し無理がある様にも思えるが、どうだろうか。

消費増税前に貿易赤字は増加した。【A9面(国際面)】

貿易収支は3月も赤字であったことを、国際面で簡単に報道している。短い記事なので全文掲載する。

「貿易赤字は3月に急速に増加した。貿易収支の回復は期待していたよりもずっと先に遠のいたことを示唆している。」
「貿易赤字増加は、ある程度は、4月1日に実施された消費増税という、一時的な要因に起因している。しかしながら、輸出、特にアジア向けの輸出が弱かった。これは、安倍首相の経済回復に向けての努力への新たなチャレンジだ。」
「金融大臣は、月曜日に、輸出は1年前に比べて1.8%しか増えていないと言った。円が9%も下落しているにもかかわらず。輸出は、タイ向けがは12.5%、インドネシア向けが6.2%、韓国向けが6.2%下落した。輸出額は、米国を除く全ての地域向けで下落した。」

それにしても、この事態は深刻だ。日本製品の競争力が急速に失われているということだろう。

Saturday, April 19, 2014

裁定にもかかわらず、東京は南極海での捕鯨を計画している【A7面(国際面)】

「国際司法裁判所が3月に国際捕鯨取締条約違反と判断し、14年度は実施を断念した南極海の調査捕鯨について、農水省が、今年秋までに新たな計画を策定、15年度の再開を目指す方針も決めた。」というニュース。短い記事なので全文掲載する。

「南極大陸沖の南極海での捕鯨プログラムは国際条約に違反しているという国連法廷の裁定にもかかわらず、東京はそこで新しい捕鯨プログラムを開始すると言っている。」
「この国の漁師の代表(農水省)は、国際捕鯨委員会に、『科学的捕鯨と彼らが呼んでいるものを2015年3月にはじまる会計年度に南極地域で再開する。』という意思を表明した計画を提出した。東京は、2014会計年度には、南極地域では鯨を全く捕獲にないことに合意している。」
「農水省はまた、来年、太平洋でも捕鯨を続けるという計画にも言及した。昨年よりも目標頭数を少なくするが。」

日本の対応がおかしいという気持ちが滲み出ていると感じた。

Wednesday, April 16, 2014

安倍首相が日銀総裁と会う【A8面(国際面)】

A8面(国際面)の小さな囲み記事で、黒田日銀総裁が、安倍首相と会談し、「インフレ目標達成のために必要であれば、日銀は追加緩和を実施する。」と述べたことが報じられている。短い記事なので、全文掲載する。

「安倍首相は12月以降はじめて、黒田日銀総裁と会った。黒田総裁は、安倍首相に対し、もし経済の停滞が日銀のインフレ目標の達成を困難にする場合、日銀は追加緩和策を実施することを確約した。」

Tuesday, April 15, 2014

ソウルと日本は性の奴隷問題について話し合う【A11面(国際面)】

日本と韓国が慰安婦問題について話し合うことになったという記事。短い記事なので、全文掲載する。

「日本と韓国は水曜日、ソウルにて、米国の同盟国である2国間の棘を抜くことを目的にした、極めて稀な会議をもつことになった。第二次世界大戦中に、東京が慰安婦(Sex Slaves)を使い、その殆どが韓国人女性であったという問題を話し合うための会議だ。」
「この会議は、オバマ大統領が来週、両国を訪問するのに先立つもので、両国の関係改善への小さな一歩になる。米国は、高圧的な中国と予測不可能は北朝鮮を前にして、東アジアにおける強い同盟が必要だ。」
「伊原純一アジアオセアニア局長が日本を代表し、李相徳東北アジア局長が韓国を代表する。」

Monday, April 14, 2014

閣僚が論争の対象になっている神社を訪問【A12面(国際面)】

A12面(国際面)で新藤総務大臣の靖国訪問について報じている。短い記事なので全文掲載する。

「閣僚が日本の軍国主義の過去にリンクした神社を訪問した。これにより、オバマ大統領の訪問前に地域に緊張があることを思い出させる結果となった。」
「新藤義孝総務大臣は、日本のテレビにて、土曜日の自らの訪問を私的な行為と説明した。彼は、昨年も何回か同神社を訪問している。」
「靖国神社は、中国と韓国によって日本の軍国主義の象徴とみなされている。有罪判決を受けた第二次世界大戦の戦犯を祀っていることがその理由のひとつだ。韓国は新藤氏の訪問を時代錯誤とし、日本の政治家達に『信頼に基づいた関係』に向けた努力を要請した。」

Friday, April 11, 2014

米国と東京はサミット前の貿易協定合意に失敗【A9面(国際面)】

A9面(国際面)でTPPに関する日米閣僚協議が不調に終わったことを伝えている。

まず、この記事は次の様なコメントではじまる。
「環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり9、10両日に行われた日米閣僚協議は、両国の意見の相違を埋めることができずに終わった。このため、24日に東京で行われる日米首脳会談前に合意できるかどうか見通しが怪しくなってきた。」

この後を要約すると次の通り。

交渉後、フロマン米通商代表部代表、甘利TPP担当相、共に「進展があったものの、未だに大きな隔たりがある。」とコメント。オバマ大統領来日までの合意については、両国とも歯切れが悪くなった。

日米間の最大の懸案事項は、日本の農業市場、米国の自動車市場の2点である。今回、これらの問題について、相当な努力をしたにもかかわらず、進展がなかったことから、これらの2点について合意するは、相当に難しい。
相当な努力とは、下記の様な点である。
(1) フロマン氏の来日前から事務レベルで折衝を続けており、今回こそ進展が見込めると判断したため、フロマン氏が急遽来日した。
(2) フロマン氏とは、2日間、延べ17時間もの膨大な時間を使って、全ての懸案事項をひとつひとつ議論した。

さらに、仮に、日米がこれらの2点について合意出来たとしても、その先にも気の遠くなる様な、交渉が待ち受けていることを述べて、この記事を締めくくっている。 
「日米が最ももめている事項について合意に達したとしても、まだ数千項目におよぶ関税の問題が残っているうえ、他の国々とも交渉せねばならない。知的所有権、国有企業の改革、政府調達の開放などについても決着させる必要がある。」
「加えて、オバマ氏が議会から『ファストトラック(早期一括審議)権限』を付与されるかどうかについても不透明なままだ。ファストトラック権限が与えられれば、議会は法案について修正を加えることができなくなり、政府は通商交渉がやりやすくなる。元通商代表部代表のボブ・ポートマン上院議員(オハイオ州選出、共和党)は、ワシントンで日本の役人達が、どうせ議会で修正を求められるのだから最初から大きな譲歩は出来ないと言っているのを聞いた、と言っている。」

両国とも、一時期、最大の懸案事項である農業、自動車の2大懸案事項について、オバマ大統領の来日までには合意させようということで、必死に交渉を進めてきたが、ここに来て、大幅トーンダウン。仮に、これらについて合意出来たとしても、気の遠くなる様な交渉が必要。何とも、重苦しい気分にさせられる記事だ。

日本の民間投資は停滞【A9面(国際面)】

A9面(国際面)で日本の機械受注統計に関する記事が掲載された。

機械受注統計をはじめとする多くの統計が「消費増税後の心理的な冷え込みにより、民間企業が投資を抑制しようとしている。」ことを示唆している。金融緩和による景気刺激策だけでは限界があり、民間主導による本格的な成長が必要であることを強調している。

この記事は、下記の様な書き出しではじまる。
「日本政府は木曜日、日本の民間投資は停滞していると述べた。データによれば、民間企業は、消費増税後の今年の経済成長は弱含みとみている。」
「内閣府の月例分析は、16ヶ月ぶりの下方修正となり、安倍首相が直面している課題の大きさを示している。その課題とは、経済、金融刺激策の継続的な投入に頼るのではなく、民間主導による、本物の自立的な成長をどうやてもたらすのかということだ。」

その後、この記事は、機械受注統計以外も含む、多くの統計数値を示して、民間投資が弱含みであることを丁寧に説明している。
(1) 主要機械受注が1月から2月にかけて8.8%減少した。
(2) IMFは、日本の今年の経済成長は、昨年の1.5%から1.4%に減少すると予測している。
(3) 2014年度の民間投資について、先月の財務省予測では前年比5.1%減、先週の日銀予測では前年比4.1%減と、多くの統計が減少を予測している。
(4) 民間投資は季節要因があり、通常、年末(12月)にかけて第一のピーク、そして年度末(3月)にかけて第二のピークがくるが、今年の2月の数値を見る限り第二のピークが見られない。

日本企業は、政府にばかり頼るのではなく、自らリスクをとって付加価値の高い商品を生み出すために果敢に投資、一方、日本政府はそうしたチャレンジをする企業を後押しする様な政策を実施する。民間と政府の間での、そうしたプラスのスパイラルが起きない限り、日本経済に再生のチャンスはないのか?

Wednesday, April 9, 2014

日銀は政策を堅持し、楽観的な見方を維持【A8面(国際面)】

A8面(国際面)の小さな囲み記事で、「消費増税による影響を小さくするために、日銀の金融緩和策強化の期待が高まる中、日銀の現状政策維持の決定を下した。」ことを報じている。短い記事なので全文掲載する。

「日本銀行は火曜日、今月はじめの消費増税の影響が不透明な中、経済に関する楽観的な予測は維持し、金融政策も現状のまま維持するとした。」
「多くの人々が、ほぼ20年ぶりの消費増税は、今後数ヶ月にわたって経済成長幅の縮小をもたらすと予測している。多くの経済学者が、日銀は既にアグレッシブな金融刺激策を更に拡大すべきと言っている。」
「増税から1週間もたっておらず、日銀は、増税が消費へどの程度の悪影響をもたらすか評価している。」

Tuesday, April 8, 2014

東京とキャンベラは自由貿易協定に大筋合意【A11面(国際面)】

A11面の小さな囲み記事で、安倍首相と来日中のオーストラリアのアボット首相が、経済連携協定(EPA)交渉で大筋合意したことを報じている。短い記事なので全文掲載する。

「日本とオーストラリアは月曜日、自由貿易協定について大筋で合意した。この協定は、日本の自動車と豪州の農産物が、お互いの国でより安く販売されることを可能にする。」
「この協定は、7年にわたる両国間での交渉の後に、安倍首相と来日中のアボット首相との間で交わされた。日本にとって、主要農産物輸出国との間でのはじめての自由貿易協定となる。」

Saturday, April 5, 2014

ソウルは小さな島々についての東京の新たなクレームについて激しく非難【A11面(国際面)】

竹島問題についてA11面(国際面)で報じている。短い記事なので全文掲載する。

「韓国は、アジアにおける主要な同盟国の関係修復に向けた米国の努力に逆行するものとして、係争中の島についての日本の新たなクレームについて非難した。」
「ソウルと東京は、両国の間に位置し、国際的にはリアンクール岩礁と呼ばれる小さな島々の領有権について、長い間争っている。これらの島々は、韓国では独島、日本では竹島と呼ばれている。」
「金曜日に東京が年次外交報告書の中で、韓国がコントロールしているこれらの島々は日本に属しており、国際法に基づく解決を求めると再確認したため、この問題が再び加熱している。東京は、また同時に、これらの島々の日本の統治を支持する新しい小学校の教科書を承認した。」
「ソウルの外務大臣と教育大臣は、即座に、東京がこれらの島々について『法外なクレーム』を行い、両国関係を繰り返し悪化させていることについて、批判する声明を別々に発表した。」

オバマの今月の訪問は国賓となるだろう【A11面(国際面)】

オバマ大統領が国賓として来日することが決まったという記事が、A11面(国際面)に掲載された。短い記事なので全文掲載する。

「日本政府は金曜日、日本はオバマ大統領を国賓として迎え、多くの行事を行うと発表した。暫くの間外交上の緊張関係が続いていただけに、安倍内閣にとって大きな勝利だ。」
「オバマ大統領は、少なくとも4月24日、25日の2日間日本に滞在し、天皇皇后両陛下を2回訪問する予定だ。また、安倍首相主催のトップ会談と夕食会にも出席する。」
「両首脳は、防衛協力と東アジアにおける安全保障について話し合う一方、最も喫緊の課題として地域貿易協定(TPP)があげられると日本の役人は言っている。」

Friday, April 4, 2014

日本の付加価値税の上昇【A12面社説】

日本の消費増税が、社説に取り上げられた。
「税制改革を伴わない消費増税は、低成長を長期化させ、結局、また消費税を上げざるをえないという負の連鎖に陥る。」として、「安倍政権が今回の消費増税による追加税収を利用して税制改革、経済改革に真剣に取り組むべきだ。」という内容。日本の消費増税の歴史とそれがもたらした効果を詳細に述べることにより、分かりやすい内容になっている。

まず、この記事は、次のような書き出しから始まる。
「日本は1日、消費税の税率を5%から8%に引き上げた。法律では来年10%に引き上げることが予定されているが、それが最後だとは一瞬たりとも思わないほうがいい。消費税の階段は一方通行だ。一度足を踏み入れたら、上に行くしかない。」

そして、日本の消費税の歴史(1989年 3%, 1997年 5%, 2014年 8%) を詳細に振り返る。この部分は長いので要約する。
(1) 1989年に財政赤字が30%近くに拡大したことに伴い、3%の消費税が導入された。この時は、消費税は税制改革の一環とされたが、その他の税制改革は殆ど実施されなかった。
(2) そのため、財政赤字は対GDP比50%にまで上昇し、1997年に消費税は5%にまで引き上げられた。このときも、消費税は税正改革の一環とされたが、またもや税制改革は幻に終わる。
(3) 結果として、財政赤字は対GDP比200%を越え、今回、消費税は8%にまで引き上げられる。しかも今回は、財務省や多くの政治化は、税制改革はなどしている余裕はないとしている。

過去2回の消費増税の場合には、税制改革の一環だとしてしていたが、今回はそういった姿勢すら見られないと手厳しい。結局、増税だけでは、民間からお金が吸い上げれるだけ。結果として低成長の長期化を招き、また増税という悪循環を招く。 
「日本とその財政が本当に受け入れられないのは、低成長の長期化だ。だが、消費税はこの国の成長加速に必要な内需に水を差し、長患いの一因となってきた。」
「日本の経験は、さまざまな国で導入されてきた消費税に伴う、広範な政治的問題を浮き彫りにする。エコノミストらは消費税について、働いたり投資したりすることへの意欲をそぐことなく歳入を生むとみている。だが、実際には、現在の税金に追加される税金だ。つまり、政治家が民間経済にカネを請求する手段が1つ増えるだけだ。」

最後に、この記事は、安倍政権が、今回の消費増税による税収を使って、税制改革、経済改革に取り組んで欲しいという強い希望を述べた後、次のような日本に対する辛辣なメッセージで記事を締めくくっている。
「他の場所、とりわけ米国の税制改革者は、付加価値税には用心せねばならない。一度、導入されうると、それがただ上昇し続けるだけだからだ。」 

Tuesday, April 1, 2014

国連は捕鯨が許容量を越えていると言う【A14面(国際面)】

国際面の小さな囲み記事で、調査捕鯨について日本が敗訴したニュースを取り上げている。

20年前にカナダに住んでいたが、日本のニュースはあまり報道されない中で、日本の捕鯨のニュースだけは、いつも大きく取り上げられていた。米国でも、日本の捕鯨に対する関心は高い。小さな記事なので全文掲載する。

「国際司法裁判所は31日、南極海での日本の調査捕鯨が国際条約に違反すると結論付けた。日本の調査捕鯨に対する初の国際的な判決。日本は今後、捕鯨活動を大幅に縮小せざるを得なくなる見通しだ。」

「今回の判決では、日本の捕獲量が調査目的としては多すぎると指摘した。国際捕鯨委員会は調査捕鯨を認めている。」

調査のために捕獲した鯨が、調査後、市場に販売されるという現在のやり方は、捕鯨を維持するという観点からは仕方がないのかもしれないが、個人的には違和感を感じる。

東京は武器輸出原則を緩和【A9面(国際面)】

政府が、武器輸出三原則に代わる、「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、武器輸出に関する方針を大きく転換したことを、国際面で報じている。

まず、次の様な書き出しから始まる。
「日本は、過去40年間、武器の輸出を厳格に規制してきたが、防衛装備品の販売に関する原則を大幅に緩和した。防衛産業がより重要な役割を果たすべきという安倍首相の政策に一致するものだ。」

その後、今回のガイドライン変更の理由を述べた上で、「1967年に武器輸出3原則が制定され共産圏、国連の禁輸国、紛争当事国への武器輸出が禁止されたが、1976年以降は武器や関連技術の海外移転を原則禁じてきた。」という、日本の武器輸出原則の変遷を紹介する。1967年、1976年いずれも閣議決定によるものだが、特に1976年の決定は「原則」という言葉も入っていて、わかり難い。

そして、更に、1983年以降は、閣議決定で21もの例外を認めてきた。この記事の最後はこの点を指摘している。
「こうした原則は、法制化されたことがなかったので、過去何年にもわたり、防衛上の状況の変化に対応して、政府は20以上もの例外を設けてきた。例えば、米国との防衛ミサイルの共同開発、インドネシアへの海賊用巡視艇の提供、F35多目的戦闘機開発プロジェクトへの日本企業の参加などが例外的に許可されてきた。」

最後の文章から判断して、この記事は、こんな重要な原則が、法制化されずに、閣議決定にとどまっていることに疑問を呈している様に思う。閣議決定なので、例外を作ることが比較的容易だ。

日本企業の景気判断は弱まる【A9面(国際面)】

1日発表の日銀短観についての記事が国際面に掲載された。消費増税により企業は景気の先行きに不安を抱いており、安倍政権は難しい政権運営を迫られるという悲観的な記事。全く同じことを扱った日本経済新聞の記事の見出しは「全産業の景況感22年ぶり高水準」となっており、内容も楽観的だ。同じデータからこれ程までに異なった結論が導き出されるというのも面白い。

この記事は次の様なコメントから始まる。
「日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、日本の大手製造業企業の先行きに対する楽観的な展望は、今後の3ヶ月については、急速に萎んでいる。企業は消費税引き上げの影響に対して警戒を強めると同時に安倍晋三首相が掲げるアベノミクスへの疑念を深めている。」

そして、今回の短観は、消費税引き上げと同日の発表で、いつも以上に注目されたとした上で、大企業製造業の業況判断指数について、2つの指数が提示されたことを伝える。
(1) 先行き予測はプラス8と、エコノミスト予想のプラス13を大きく下回った。
(2) 3月までの指数はプラス17に上昇し、2007年12月以来の高水準となった。
また、消費税引き上げは、安倍政権にとって大きな試金石で、成長が停滞すれば、消費税の10%への引き上げは難しくなることを解説する。

最後は、今後の景気について、かなり悲観的なコメントで締めくくっている。
「この調査は、多くの企業が先行きの景況感を悪くみていることを示している。あらゆるサイズの企業が、増税前の駆け込む需要が突然止まることによって景気が急速に落ち込むと見ているのだ。」
「流通業者もまた、景気が消費増税によって大きな影響を受けると見ている。4月~6月の指標はプラス24からマイナス5に下がった。」 

日本経済新聞は、3月までの指標が高水準であることを中心に述べ、楽観的、ウォールストリートジャーナルは、4月以降の先行き予測が悪化することを中心に述べ、悲観的。皆さんはどちらの見方を支持するだろうか?