10月10日、 日本は準天頂衛星みちびき4号の打上げに成功したが、WSJは同 日の国際面でこのニュースを速報した。
日本はこの衛星による、高精度な位置情報を提供する「 日本版GPS」の構築をめざしている。日本政府は表向きは「 商用利用」だと言っているが、実際には「軍事利用」 を視野に入れているとしている。具体的な利用事例として、 北朝鮮のミサイル基地を攻撃するためのミサイルへの利用をあげて いる。
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最近の人工衛星の打上げによって、日本は、 新しいテクノロジーの実現へ向けて前進した。例えば、 自動運転の車をレーン内に維持したり、 出前のドローンを日本のマッチ箱サイズの届け先に着地させたり、 将来的には北朝鮮のミサイル基地を破壊するのを手伝ったりするた めのテクノロジーだ。
火曜日の打上げは、日本で4回目の衛星測位衛星の打上げとなる。 この打上げにより、日本は来年の4月には、 米国がコントロールしているGPSの日本版の運用開始が可能にな る。この測位ネットワークは、 日本とその周辺地域をカバーすることになる。
新システムは、当面は米国のGPSシステムと併用する必要がある が、数年後に独立して機能することが可能になる。 現状の測位システムが数メーターまでの正確性を達成しているのに 対し、 このシステムによりその精度は数センチレベルにまでにアップする 。
日本は、このサービスは、 商用ユーザのために正確な位置情報を提供するものだとしている。 新しいシステムでは、衛星測位衛星は日本のすぐ上を飛行する。 日本の都市部では建物が密集しているために、 現状の測位システムでは、 高い建物にシグナルがブロックされてしまうことがあるが、 こうした問題が解決される。
衛星測位システムは、配送用トラックの追跡に使われるなど、 様々な国々の多くの経済にとってなくてはならないものとなってい る。多くの国や地域が、自分たちの測位システムを開発してきた。
新しい欧州のシステムは、昨年末にサービス開始した。 インドでは、昨年衛星を打ち上げたが、測位システムは2018年 に開始となる予定だ。中国では、自国のシステムが2020年に開 始すると予測される。日本の衛星は準天頂衛星と呼ばれるもので、 全世界のシステムの中で、最も正確なデータを提供可能だ。
日本のシステムは、当初は米国のGPSネットワークと連携して運 用されるが、2023年頃に衛星の数が7つになった時に、 独立して稼働出来る潜在力を持っている。
最も重要なメリットの1つは、自動運転車の開発にあるだろう、
幾つかの企業がその技術の開発のために努力している。その1つが 、トヨタ向けの部品供給ナンバー1企業であるデンソーだ。 デンソーは、6月に、日本政府と共同出資で、 センチメートルレベルの正確性を持つ衛星測位システムの商用化に 向けた新しいベンチャーを立ち上げると発表した。 この技術により、 農地や工事現場での無人自動車の運用が可能になる。
日本は、増大する北朝鮮からの脅威に直面して、 軍備への制限を緩和しつつあるが、そうした中、 日本政府はこの技術の軍事使用も検討している。
政府の国家宇宙政策委員会の安全保障分科会のメンバーである鈴木 一人氏は、米国のシステムが破壊され使用出来なくなった場合に、 日本のシステムはバックアップになるだろうと言う。
しかし、防衛専門家の何人かは、準天頂衛星により、 日本は最終的に、 自国の武器システムをより効果的にコントロール出来る様になると みている。
「 日本は他国に依存せずに軍備を持つ能力を保有することになるだろ う。」と東京にある防衛コンサルタント会社であるネクシアル・ リサーチのランス・ガトリング氏は指摘する。
既存の衛星測位システムがよく使われている軍事システムとして、 ミサイル誘導システムがあげられる。日本は、 北朝鮮を攻撃するためのミサイルを保有していない。しかし、 北朝鮮から攻撃を受けた場合、 北朝鮮のミサイル基地に対して反撃する必要があるという、 政治的な議論が高まってきており、 日本政府は巡航ミサイルの購入を検討している。
7月北朝鮮は、日本上空に2発のミサイルを打ち上げたが、 これにより脅威が高まっている。
攻撃するための軍事能力をもつことには、 日本国内では賛否両論がある。日本は、 第二次世界大戦後に戦争を放棄し、 自国の防衛については日米の安全保障条約に頼ってきた。 トランプ大統領になって、米国は、 安倍首相が軍備への規制を緩和していることに、 歓迎の意を表している。安倍首相になって、日本は、 日本の同盟国が攻撃を受けた場合に、 防衛国を援護するために参戦することが出来る様になった。
小野寺防衛大臣は、 日本が北朝鮮のミサイル基地を攻撃する能力を持つべきだと強く主 張している。
宇宙政策担当の日本の防衛相の高官は、 防衛相は新衛星測位システムに関する情報を興味を持って収集して いるが、 それを使用するかどうかについては決定していないと述べた。