10月22日の衆議院議員選挙について、WSJは、23日の社説 で取り上げた。
安倍首相の勝利は、彼の人気によるものではなく。 偶然の産物だとしている。 たまたま北朝鮮がミサイルを発射したために彼の右翼的思想が正当 化され、たまたま経済の状態が良く、 たまたま野党が勝手に分裂したから勝利したのだ。現実には、 彼はスキャンダルにまみれ、 選挙直前でも半分以上の国民が彼の首相継続を望んでおらず、 多くの国民が憲法改正を望んでいない。こうした状況で、 どうしても憲法改正を実現したいなら、 まずは小池百合子氏の政策を謙虚に聞き、規制緩和、民営化、 身を切る改革を実行、経済を立て直して、 国民の人気を回復すべきだと主張している。
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日曜日に安倍首相は、3回連続の地滑り的な勝利を収めた。 しかし、この勝利は、 日本で最も在任期間の長い首相になるであろうこの人に、 国民が魅了されたことを意味する訳ではない。 日本のコメンテーターたちは、彼の勝利はTITAによるものだと している。TITAとは、「他に選択が無い。(there is no alternative.)」の略だか、 確かに彼らの言う通りだ。
安倍首相は、野党側の混乱に乗じて、解散総選挙に打ってでたが、 その思惑は当たった。これまで、最大の野党だった民進党が2つに 割れたのだ。中道よりも少し右寄りの「希望の党」 とも中道よりも少し左よりの「立憲民主党」有権者は、 どちらの党にも、経済をきちんと運営し、 北朝鮮の脅威に立ち向かうだけの能力は無いと判断した。
安倍首相は、軍備を拡大し、 米国との連携を強化すべきだと主張してきた。 国民はこうした主張にどちらかというと疑惑の目を向けてきたが、 8月と9月に日本上空に向けて打上げられた北朝鮮のミサイルによ って、彼の主張は正しいという見方が広がった。 経済もまた好調だ。第2四半期の経済成長は2.5%という堅調な 数値を示し、6四半期連続での成長となった。
有権者は、安倍氏に任せた方が安全だと判断したが、 彼のリーダーシップに対する信頼が回復した訳ではない。 彼が推し進める平和憲法の改正は不人気だ。 彼が経済成長の起爆剤として約束した構造改革は実行されないまま だ。今年も、労働法を改定しただけだ。
日本の経済の復活は弱々しく、 安倍首相への信頼を失わせる結果となっている。7月には、 幾つものスキャンダルによって、彼の支持率は30%近辺にまで下 落した。日曜日の選挙の直前に行われたある世論調査では、国民の 51%が、安倍首相に首相を続けて欲しくないと考えている。
安倍首相は、小池百合子東京都知事と希望の党から、 知恵を借りるべきだ。規制緩和、民営化、 議員の支出削減が実行されれば、いよいよ企業も重い腰を上げて、 投資や採用にお金を回す意欲を持つだろう。 憲法改革を実行したり、党内からの突き上げを避けるためには、 政治的資産を蓄積する必要があるが、 そのために安倍首相が必要なのは、強い経済なのだから。