Monday, October 23, 2017

安倍首相は選挙で大勝し、軍備増強へ向かう【A6面(国際面)】

1022日の衆議院議員選挙の結果を受け、WSJは翌23日の国際面に、安倍首相が軍備増強を目指しての憲法改正に突き進むとの記事を掲載した。


安倍首相は、この選挙戦で彼の北朝鮮政策を論点のひとつに据えたが、選挙大勝により、その政策に対して国民の信任が得られたこと、また、希望の党の出現により、国会内に憲法改正に賛成する勢力が増えたことなど、トランプ政権がオバマ政権に続いてこうした安倍氏の政策を支持していることなどにより、憲法改正への環境は一機に整ったとしている。但し、第9条の改正には、近隣諸国からの批判が強いこと、国民の反対も根強いことなどを考慮すると、自衛隊の存在を認める規定を単純に加えるといのが現実的な落としどころだろうとしている。

***** 以下本文 *****
日本の安倍首相は、総選挙で、選挙民から強い新任を得た。日本憲法は1947年に施行されて以来改正されていないが、この勝利により、安倍首相はその改正を一気に推し進めるだろう。
テレビ放送が伝えるところによれば、日曜日に選挙結果がほぼ判明した時点で、安倍氏が率いる自民党と連立相手である公明党は、衆議院の2/3の議席を維持する見通しだ。正式な最終投票結果は月曜日に明らかになる。
安倍氏が友人に便宜を図ったという追求により、安倍氏の支持率は急速に下落した。しかし、その後の野党の混乱と支持率の回復に乗じて、安倍首相は、任期1年以上前に、解散総選挙に打って出た。
12日間の選挙戦で、安倍氏は、この総選挙は、安倍氏の経済政策と北朝鮮政策への信任投票だと訴えた。日本経済は、過去1年半にわたって成長を続けている。これは、ここ10数年で最長だ。また、安倍氏は北朝鮮に対して、トランプ大統領同様に、強い姿勢で臨んでいる。
63才の安倍首相は、この勝利により、首相としての在任期間が最も長くなる可能性が出てきた。201911月まで首相を続ければ、最長となる。
この選挙結果を受けて、日経平均は1.1%上昇し、円相場は円安へと向かった。
安倍氏は、この勝利を受けて、憲法改正の議論を前進させたいとの思いを示唆した。彼は2006年に最初に首相の地位につき、2012年に再びその地位に返り咲いたが、その当時から憲法改正を目指したきた。
「我々は、国民の理解を得る必要がある。」と安倍氏は、テレビのインタビューで語った。
米軍によって押し付けられたこの憲法は、この5月で施行後70を迎えたが、その際に安倍首相は、国会で憲法改正を議論する必要があるとして、安全保障上の危機の増大、高齢化社会、経済再生の必要性などをその理由としてあげた。彼は、改正時期の目標として、2020年を掲げた。
憲法改正のためには、まず、2/3の国会議員が賛成する必要がある。そして、国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。2012年に自民党は憲法改正案を提示したが、すぐに野党の批判にさらされた。
東京都知事が率いる中道右派の新党は、憲法改正を支持している。この新党の出現により、国会での承認は得やすくなった。
憲法改正に向けたしっかりとした議論が出来る方向へと向かっている。」と選挙後のテレビインタビューで小池氏は語った。
安倍氏の個人的なフォーカスであり、最も議論のある提案は、戦争の放棄をうたった第9条の改正だ。この条項は、日本は2度と戦争を起こさない様に、軍備を保有したいと規定している。
現実には、1950年には、日本の軍隊は再編成されている。しかし、防衛の任務や災害救助だけを行うこととされ、自衛隊と名付けられている。世論調査によれば、国民は、世界で最も近代的な軍隊のひとつである自衛隊を支持している。
現状の憲法の条文では自衛隊は違憲とみなされるが、安倍氏と自民党は、この条文を維持したままでは、有事に混乱を招くおそれがあると主張する。野党は、これまでの全ての内閣は、現行の憲法は自衛隊を容認しているという解釈を受け入れており、安倍氏は、他の国の戦争に日本を巻き込む方向へ進んでいると主張している。
日本の近隣諸国からも批判がある。特に、20世紀初頭に日本に部分的に占領された経験をもつ中国は、日本は軍国主義に戻っていると主張している。安倍氏の再選について、今の所、中国は声明を発表していない。
安倍氏は、軍隊を国連の平和維持活動に参加させたり、日本の同盟国を支援させたりすることも含め、日本は国際的にもっと大きな役割を担うべきだと主張する。
2014年に安倍内閣は憲法の解釈を変更し、自衛隊が、攻撃を受けている同盟国を支援することを可能にした。今年に入って、小野寺防衛大臣は、この解釈変更によって、日本は、北朝鮮がグアムに向けて発射したミサイルを撃ち落とすことが出来る様になったと主張している。北朝鮮の核開発計画についての危機は継続しており、そうした中で北朝鮮はグアムへのミサイル発射を示唆している。
米国のオバマ政権とトランプ政権は共に、日米同盟の中で、日本がより多くの負担を担うことを約束する動きを支持してきた。

安倍首相は、憲法改正に対する反対が大きいことを認識しており、日本が軍隊を持つことを認める条項を加えるという単純な変更に期待をかけている。