Saturday, October 21, 2017

安倍首相は北朝鮮の脅威を利用して議席増を狙う【A6面(国際面)】

衆議院選挙での安倍首相の圧勝の背景には、安倍首相が北朝鮮の脅威をうまく利用している側面もあるとする記事が、選挙日前日の21日の国際面に掲載された。



安倍首相にとって拉致被害者問題はライフワークであり、かつてその解決のために北朝鮮と粘り強く交渉し、未帰還拉致被害者の捜索開始について合意に至ったこともある。しかし、その後、その合意を北朝鮮がいとも簡単に、一方的に反故にしてしまった経験から、北朝鮮に対して強い不信感を持っているとしている。そのため、北朝鮮に対しては、強硬姿勢を貫くべきだと信じていて、国民の間に北朝鮮の脅威を煽り、彼への支持を取り付けようとしている。
一方、もともと北朝鮮に対して強硬姿勢を取るトランプ大統領は、この点で安倍首相と息が合っており11月の来日時には拉致被害者の家族と会う予定だとも報じている。
今回の選挙で安倍首相の圧勝が予測されている背景には、北朝鮮脅威をうまく利用した安倍首相の政治ショーが功を奏している側面があると言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
日本の安倍首相は、日曜日に実施される総選挙で大勝する見通しだ。好調な経済、与党の混乱、そして北朝鮮の核計画の脅威などが、その要因としてあげられる。
トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩主席の孤立を目論んでいるが、安倍氏の勝利は、トランプ大統領にとって、対北朝鮮戦略を達成するための信頼出来るなパートナーを維持する結果となる。金正恩の敵対的な態度が、安倍氏の安全保障戦略が信頼性を高めている。
日本の新聞3社が実施した最新の世論調査によれば、安倍首相率いる自民党主体の連立政権が、衆議院で2/3という「超過半数」を維持する見通しだ。2/3に達すれば、安倍首相は、憲法改正に向けた国民投票実施に向けた発議が可能となる。彼の憲法改正案の中には、第二次世界大戦での敗戦以降認められていなかった軍隊を持つ権利を保有するという案が含まれている。
北朝鮮問題は安倍氏の選挙演説の中で主要なテーマとなっている。安倍首相は、北朝鮮に対する強硬姿勢を貫くトランプ氏との密接な連携を前面に押し出しているが、そうした彼の政策が、幅広い指示を得ていることが反映されている。今週、ピューリサーチセンターが公表した世論調査結果によれば、106人の日本人が、北朝鮮の核による脅しに対して制裁を加えることに賛成している。
北朝鮮は、ここ数週間で何回か、日本上空を通過するミサイルを発射した。それ以外にもミサイル実験を繰り返し、更には核弾頭試験もおこなっており、こうした北朝鮮の動きは大きな脅威となっている。
「この選挙は、北朝鮮の脅威から日本を守り、幸せな暮らしを維持出来るかどうか、その選択の選挙なのです。」と安倍氏は今週の演説の中で指摘した。
1970年代、80年代に日本国民が北朝鮮に拉致されたが、安倍氏は前の首相の下で、拉致された国民の帰国について北朝鮮と交渉する役を任された。2002年に5人が帰国したが、日本は少なくとも10人の日本人が北朝鮮に拉致されたままだと主張している。
安倍氏は、2006年に初めて首相になった際に、拉致問題は優先順位の高い課題だと述べた。何回かの話し合いの後、日本と北朝鮮は、2014年に合意に至った。そのなかで、北朝鮮は残った行方不明者について捜索することを約束した。
北朝鮮は、この約束の実施をさんざん引き延ばした挙句に、北朝鮮の核実験に対する国際的な制裁を日本が支持していることを理由に、約束を反故にした。日本の政府関係者は、この問題が解決される可能性は極めて低いとしている。
北朝鮮と対峙することを心配している人々がいることは理解しています。しかし、彼らは20年以上続けてきた話し合いを反故にしてしまったのです。」と安倍首相は今週行われた演説の中で指摘した。
今年になって、核兵器の脅威が高まるにつれ、63才のリーダーはトランプ大統領との緊密な関係を構築した。トランプ大統領は、ハト派の文在寅よりも前に、まず安倍首相に助言を求めている。
トランプ大統領は、11月に日本を訪問する際に、拉致被害者の家族と面会する予定だ。
安倍首相の人気のもう1つの理由は経済だ。日本の経済は6四半期継続して成長しており、アベノミクスがうまく行っていることを示している。彼を批判する人々は、成長は弱く、消費者まで行き届いていないと指摘する。
安倍首相に反対する人達の中には、安倍首相が北朝鮮問題を不当に利用して、国民の間に脅威を煽り、任期完了前に総選挙に打って出たと批判する人もいる。
水曜日に安倍首相が東京駅前で演説を行った際には、安倍首相の辞任を求めるサインを掲げた国民の姿があった。
「安倍首相は、北朝鮮の脅威を誇張して伝え、権力に居座ろうとしている。」と69才のオコチムツミさんは言う。「北朝鮮の標的は米国だ。彼らは日本を攻撃しようとは考えていない。」