Monday, January 30, 2017

慰安婦とアジアの安全保障【A13面(読者投稿覧)】

WSJは、1月30日の読者寄稿面に、外務大臣政務官の小田原潔衆議院議員の寄稿を掲載した。



2015年12月28日の慰安婦に関する日韓合意を歴史的な合意とし、日本はその合意を着実に実行しているにもかかわらず、韓国は釜山領事館前の慰安婦像設置によって、この合意を台無しにしているとしている。韓国は日本にとって重要な隣国であり、北朝鮮の脅威が高まっている今こそ、この合意を着実に実行し、世界の平和と安定のために共に協力しようと呼びかけている。

***** 以下本文 *****

小田原潔氏による寄稿
2015年12月28日、日本は韓国と慰安婦問題について歴史的な合意に達しました。この問題では多くの女性の名誉や尊厳が危険に晒されていました。この合意では、この問題は「最終的にそして不可逆的に」解決されました。これにより、日韓間の関係改善への障害は取り除かれたのです。この画期的な出来事は、アメリカを含む多くの国から賞賛されました。
日本は、この合意に基づいて、その責任を文字通り果たしてきました。2016年8月に日本政府は10億円(約880万ドル)を、元慰安婦の支援を目的として基金に寄贈しました。
このお金を使って、基金は活動を開始しました。合意の際に、46人の元慰安婦が存命でしたが、その内、34名がこのプロジェクトに合意し、29名が既に治療や看護ケアなどのサポートを受けています。
我々は、韓国政府も、合意に従って、ソウルに日本大使館前の慰安婦像問題の解決に向け努力されることを期待していました。そうすることによって、我々は2016年12月26日に韓国と共に、合意の1周年記念を祝えると思っていたからです。
ところが、12月30日に合意の根本を揺るがすような脅威的な状況が発生してしまったのです。韓国の活動家が釜山市の合意を得て、釜山日本総領事館前に新たな慰安婦像を設置したのです。
慰安婦問題が最終的にそして不可逆的に解決されたとする合意にもかかわらず、こうした事態が起きたことは極めて遺憾です。この設置は、外交関係に関するウィーン協定からみても問題です。
この合意は、1965年以来、この問題についての2度目の合意です。1965年に日韓両国は領土と請求に関する問題について完全にそして最終的に解決しました。両国が地域の平和と繁栄について心配している時に、これまで築いてきた友好関係への信頼と期待を台無しにするような活動家の行動は、到底受け入れることは出来ません。
1月6日に、日本政府はやむなく、韓国大使と釜山の領事の召還を含む措置を取りました。両国が合意の1周年をお祝いしていたであろうこの時期に、我々がこうして抗議せねばならなかったのは、大きな失望です。
韓国は、戦略的な権益を共有する日本にとって最も重要な隣国です。北朝鮮が核実験と弾道ミサイル打ち上げを継続する今こそ、こうした扇動行為を阻止するために共に働くべきです。こうした事態は新しいレベルの脅威とみなされるべきです。アメリカ本国にまで到達する脅威なのです。こうした事態に対抗するためには、日本、韓国、アメリカの協力が何としても必要です。
日本と韓国が協力出来る分野は他にも沢山あります。両国は共にエネルギー輸入国であり、出生率の急激な低下や高齢化社会といった共通の問題に直面しています。日本と韓国は、こうした共通の課題について、これまで、2国間でもしくはグローバルレベルで緊密に協力してきました。
この合意の実行が、2国間の信頼と協力の基礎となります。ですから、そうすることは、両国政府の義務です。日本は、韓国との協力を通して、国際社会において、平和と安定に継続して貢献していく覚悟です。
(小田原氏は、日本の外務大臣政務官)