Monday, January 30, 2017

日銀は予測不可能なトランプ政権に慎重になっている【A7面(国際面)】

1月30~31日の日銀政策決定会議を前に、同会議でどの様な決定がなされるかを予想した記事が1月30日のWSJに掲載された。



トランプ大統領の政策が予測不可能な中、金利を上げるというリスクは冒さないだろうと予測。一報で物価の予測の上方修正の可能性はあるとしている。(実際には、金利上昇も、物価予測の上方修正も無かった。) トランプ氏の保護主義的な政策に対して、日銀内の楽観論は影を潜め警戒感が強まっているとしている。併せて、安倍首相がトランプ追髄政策を取っていることも報じている。

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日本銀行では、米国のトランプ大統領への注意深い楽観主義は影をひそめ、明確な警戒がそれにかわりつつある。
トランプ大統領が当選した後しばらくは、景気刺激策の公約がドルの急激な切上げを促し、アメリカと世界のより速い成長への期待から株式市場が回復したため、日本の政治家はより良い経済状況を期待した。
しかし、月曜日に始まる2日間にわたる日銀政策会議を前にして、ドル高や日本の対米国車非関税障壁や日本の対米貿易黒字などについてトランプ氏が疑問を示す発言をしたが、これらの発言は、1980年代、1990年代のアメリカとの激しい貿易戦争を思い出させることになった。
日銀の高官は、トランプ氏の保護主義的政策が,、アメリカ経済を刺激させるという彼の政策のメリットにまさるかどうかは、益々分からなくなってきていると、日銀に近い人々は言う。「我々はようやく彼について殆ど知らないことについて理解した。」とその内の一人は語った。
日銀筋によれば、日銀高官は、会議では、金利は変更されないだろが、その代りに、2018年3月に終わる年度の物価予測を変更するどうかが焦点になるだろうと述べた。投資家は日銀が今年金利を上げると兆候を示すかどうかという意味でこの会議を注視している。金利上昇は日本の弱々しい回復を止めてしまうリスクがあるからだ。
日銀筋によれば、会議で日銀の高官たちは、トランプ氏のしばしば矛盾する政策発表やツイッターでの発言について議論するだろう。彼の行動が予測できないことに神経質になり、多くの高官インフレ予測を上昇させるのには慎重だ。日銀は2018年3月までの1年間のインフレ予測を1.5%としており、これは民間のエコノミストの予測の倍だ。日銀の目標は2%のインフレだ。黒田氏が2013年春に日銀総裁に就任して以来、インフレ率は常に日銀の予測に届かなかった。
「もし、日銀が今回予測を上げると、市場では、不確実で予測が出来ない状況にもかかわらず、日本は金利を上昇させるのではないかという議論が再燃しかなねい。」と日銀筋の1人は言う。
彼によれば、そうした憶測は円を上昇させ、日銀は自分で自分の首を絞めかねない。不透明さが強い時には、多くの投資家が円に避難するという傾向が、日銀高官の不安をさらに強いものにしている。
金曜日に発表されたデータによれば、消費者物価は12月に0.2%下落した。その前月に比べると落ち幅は減少した。何人かのエコノミスト達は、1月には消費者物価は上昇に転ずると期待している。もしそうなれば、2015年12月以来初めての上昇となる。
物価が上昇するか心配しているということは、トランプ氏の言動や行動が日本の政策論議に影響を与えていることを占めるものだ。
トランプ氏が日本の貿易の透明性や軍隊の米国依存などを攻撃しているが、そうした中、安倍首相は水曜日に、日本が軍事力を増強し、日本の対米投資を増大させることを約束した。
安倍氏はまた、トランプ大統領の日本を含めた環太平洋12ヶ国間でのTPP交渉からの離脱宣言を受けて、日本が2ヶ国間交渉を考えることに前向きだと述べた。
世界経済がトランプ政権によってどの様な影響を受けるかは不透明だが、日銀筋によれば、日銀の9人の理事の何人かは、物価予測の上方修正は正当化されると考えている。前回の予測が発表された11月1日以降、円安が進み、日本経済が回復してきているからだ。