Friday, January 13, 2017

銀行に何が必要か知ってる?スロットマシンとチョコレートだ【A1面】

大垣共立銀行のユニークな多角化の取組を紹介する記事が1面に掲載された。



同銀行は富士通の手のひら認証システムを使用した「手のひら認証ATM」で有名だが、頭取の土屋氏は、銀行の経営環境が厳しい中、生き残りをかけて、OKBのブランド名で銀行以外のユニークな取組をしている。例として、OKB農場、OKBチョコレート、OKBアートギャラリー、更にはOKB45(45名の大垣共立銀行の社員がミニスカートを穿いて歌うグループ)などが紹介されている。また、大垣共立銀行のユニークな商品として、スロットマシンで賞品が当たるATMや、離婚手続きや整形手術に必要な資金を女性に貸し出すローンなどを紹介している。
また土屋氏が作詞した手のひら認証ATMの応援歌「世界でひとつだけの手のひらへ」は、全国のカラオケで歌うことが出来るし、YOUTUBEでもみられる。
日本では、銀行以外にも多角化を進める産業があるとして、富士通のレタス栽培を例として取り上げている。

***** 以下本文 *****

起業家の土屋峻氏は、OKBブランドで立ち上げた新しいベンチャーについて熱心に語る。OKBブルーベリージャム、OKBチョコレート、OKBアートギャラリーなどだ。
彼はローンも販売している。
それは、OKBローンだ。OKBとは、彼が頭取をつとめる大垣共立銀行の略称だ。銀行以外の事業も銀行と同様に面白いと70歳の土屋氏は言う。日本の超低金利政策により、ローン事業のマージンも非常に少ないものとなっていて、彼のふだんの仕事は非常に厳しい状況にある。
「この低金利では、100万円(8,600ドル)の貯蓄を管理するよりも、10個のOKBチョコレートを販売した方がお金になる。」と彼は言う。
日本では、小さな銀行の経営者は大変だ。顧客の高齢化が急速に進んでいる。企業はキャッシュをため込むばかりで借入をしない。日本の大手銀行は、アメリカなど海外に成長を求めている。しかし、土屋氏の銀行の様な中小銀行にはそうした手段を使うのは無理だ。
他の中小銀行も多角化を進めている。例えば、運転免許証を最近返納したことを証明できる高齢者には優遇金利を提供する銀行がある。この銀行は、トマト銀行と名乗る。
数十の地方銀行が毎年東京で食品関係の展示会を主催し、レモン味のイカチップスの様な地方の珍味を紹介している。安倍首相の奥様で率直な物言いで有名な昭恵夫人も、11月に開催された最新のイベントに参加した。「銀行はお金を貸すだけではありません。我々は、銀行の役割も少し変化した時代に生きているのです。」と彼女は語った。
日本では他の産業でも多角化が進む時代だ。例えば、エレクトロニクス企業が野菜を作ったりしている。富士通は以前半導体工場だった場所でレタスを育てている。
土屋氏は本業の貸出に加えて、名古屋に近い人口16万人の大垣市でOKBブランドの商品を売り出している。OKB米、OKB農場、そして新年に間に合う様に、10個入りで1箱25ドルのチョコレートも売り出した。
彼は、銀行は他のビジネスを行ってはいけないという法律を順守せねばならない。12月に開業したチョコレートを販売する店舗は、彼の銀行のパートナー企業によって運営されている。
米を生産するOKB農場は大垣共立銀行が命名権を取得、入口には「OKB農場」という大きな看板が立っている。チーフファーマーのカサイヒロマサ氏はこの農園運営会社で働くと同時に銀行のシンクタンクでも働いていて、土屋氏に新しい事業について助言している。
「金融庁は銀行に新しいビジネスモデルの創設を求めている。だから我々はこのブランド戦略を実施している。我々は他の銀行と同じようにはなりたくないのだ。」と土屋氏は述べる。
この件ついて、規制当局である金融庁からはコメントを得られなかった。
土屋氏は、秘書を呼びためのリモートコントロール装置をみせびらかしてクスクス笑うが、彼の直観を銀行業務に取り入れている。彼は、日本中のカラオケで歌うことの出来る曲の作詞をした仁保で唯一の銀行経営者だという。
バラード曲「世界にひとつしかない手のひらへ」はYOUTUBEで見ることが出来るが、これは大垣共立銀行の看板商品のひとつである手のひら認証ATMに捧げられたものだ。同銀行の顧客は、誕生日と暗証番号と手のひら認証でお金を預け入れたりおろしたりすることが出来る。
ATMをもっと楽しいものにするために、同銀行では、顧客がATMでお金を預けたり引き出したりする時に、スロット、ルーレット、サイコロ、ピンボールなどのゲームでキャッシュを稼ぐことが出来る様にしている。「我々は銀行ではない。我々はサービス企業だ。銀行に行ったら、楽しくなくてはならない。」と土屋氏は言う。
同銀行が作った革新的な商品の中には、女性が離婚の手続をしたり、不妊治療を受けたり、外科手術をしたりするために必要な資金を貸し出す商品などもある。
土屋氏のブランド戦略は、大垣市で最も高級なレストランのメニューにも及ぶ。4羽の鳥を意味する四鳥は、170ドルする懐石料理とトイレ付の個室で有名だ。個室にトイレがあれば、重要なお客様同士がトイレで鉢合わせになる心配がない。このレストランでは、OKBブランドの米とブルーベリーを使用している。
「もし、銀行が米を作れるのなら、我々レストランも何か違ったことをしても良いと思います。こうした取り組みは地元経済にとって起爆剤になります。」と料理長であるツタニシュウジロウ氏は言う。
OKBチョコレートを販売する店は、同商品は品切れ寸前で、2,300個の在庫補充中だと言う。同店の隣は、OKBスタジオで地元のラジオ局が番組を放送している。OKB通りを少し歩くとアートギャラリーがある。そこでは、既に亡くなられている土屋氏のお父様の絵画が最近展示されていた。土屋氏の父親も、大垣共立銀行の前頭取で、その熱意は金融サービス以外にも及んだ。
日本人あれば、OKBからAKB48を想像してしまう。100人を超える主に10代の女性のグループで甘いポップソングを歌う。
土屋氏は、OKBブランドをまず思いついたと言うが、OKB45というグループを作ってポップソングを歌わせた。45人の銀行の従業員がミニスカートを穿いて、地元のイベントで銀行の宣伝をした。
銀行は過去10年間市場シェアを伸ばしており、過去2年間純利益も伸びている。土屋氏はOKBの名前を銀行と非金融の新事業の両方に使用することにより、地元経済に貢献し、雇用を生むことが出来ると言う。
「いつの日か、『OKBって、もともとは銀行だったの?』と人々が言う日が来るのが、私の夢です。」と彼は言う。