Friday, January 13, 2017

日本の安倍首相がフィリピンとの関係を強化【A8面(国際面)】

安倍首相は112日にマニラでドゥテルテ大統領と会談したが、WSJは翌13日の国際面で写真入りで速報した。 



日本と中国が、フィリピンとの友好関係を強化するために、他方より良い条件の経済協力の提案を競いあっている様子を数値を交えながら詳細に伝えている。安倍首相が、マニラだけではなくドゥテルテ大統領の故郷であるダバオを訪れるなど、積極的にリーダーシップを発揮して中国に対抗していることを大いに評価している様に読める。また、同時期にケリー国務長官がベトナムを訪問していることを取り上げ、フィリピン、ベトナムという中国への警戒心をもつ2ヶ国との関係を強化して対中国網を築くことに、日米が歩調を合わせて取組んでいることを強調している。トランプ次期大統領も、中国への対抗心を燃やしており、対中国政策では日本への期待大ということか。

***** 以下本文 *****

フィリピン公式訪問中の安倍首相は、木曜日に、東南アジアでのパワーバランスが崩れる中で、最善を尽くそうとした。中国よりも良い友人になろうとしたのだ。
安倍首相は、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領とのこの3ヶ月で2回目となる会談で、87億ドルの日本の投資、フィリピンの海洋安全保障を向上を目的とした高速艇のための500万ドルの供与、インフラ整備や麻薬違反者のリハビリなどのための協力協定などを申し出た。
「あらゆる面で、この訪問は歴史的であり、建設的関係についての基準を作った。」とドゥテルテ氏は述べた。
一方、中国は、フィリピンに対し、10月にドゥテルテ氏が北京を訪問した後、インフラ整備などのプロジェクトを目的に90億円の低金利ローンの提供を申し出た。フィリピンの高官によれば、フィリピン、中国の両国は、それに加えて、推定135億ドルに相当する経済協定を締結した。善意の証として、中国はまた、スカボロ海礁へのフィリピン漁師の限定的なアクセスを認めた。同海礁は、非常に海産資源が豊富だが、2014年に中国がフィリピンから奪い取って以降、両国が領有権を争っている。
木曜日の遅くになって、安倍首相は、デゥテルテ氏の故郷であるダバオを訪れるために、首都のマニラを発った。アメリカ大統領が就任し、中露両国が東南アジアでの影響力を強めようというとしているが、こうした不確実な状況の中で、この訪問には日本の友人からとの関係を強固にしておこうという狙いがあると専門家は見ている。
「安倍首相は、ドナルド・トランプ氏の大統領就任を控え東南アジアが政治的に不安定な状況になる中で、同地域での影響力を高めるために、積極的なリーダーシップを示そうとしている。」とキャンベラのオーストラリア防衛アカデミーのカーライル・サイアー名誉教授は述べた。
現職のジョン・ケリー国務長官が中国に警戒しているもう一つの国であるベトナムを訪問しているが、この訪問が安倍首相のフィリピン訪問と同時に行われたということは、アメリカの東南アジア地域への関心は揺るがないことを同盟国に示す狙いがあるものとサイラー氏はみている
ケリー氏はベトナムの上級幹部たちに金曜日に会う予定だ。
彼らは多くのことを話合うだろう。国際海域における航行の自由はアメリカの伝統的な政策であるが、トランプ氏が次期国務長官に指名したレックス・ティラーソン氏は、水曜日に行われた上院での公聴会において、中国は南シナ海で領有権を争っている諸島を占領しようという試みはやめなければならないし、中国のこれらの諸島に対するアクセスは許されないという明確なシグナルを、アメリカは中国に示すことになると述べた。
日本は南シナ海では領有権問題を抱えていないが、東シナ海にある日本が統治している無人の諸島について中国との間で紛争を抱えている。