Thursday, January 29, 2015

ヨルダンは捕虜と引き換えにテロリストの解放を提案した【A8面(国際面)】

イスラム国による日本人人質事件に関する続報が、国際面に掲載された。


この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ヨルダンは収監者をイスラム国との間で交換するといることを公に提案した。捕虜を取り返せるかもしれないが、こうしたやり方は、アメリカ及びその他の同盟国から拒否されてきた。」
「こうした動きに呼応して、イスラム国はツイッターを通して、日本人の人質である後藤健二氏の声とみられるビデオを流した。そこでは、ヨルダン政府は現地時間の木曜日の日没までにトルコ国境に収監者を連れてこなければならないと述べられている。」

暫く要約する。

ビデオは、期限までにサジダル・リシャウル死刑囚を連れてこなければ、イスラム国は、ヨルダン人パイットを殺害すると言っている。イスラム国が、ジャーナリストである後藤さんと、パイロットであるアルカサスベさんの両方を解放する準備があるのかは明確ではない。

木曜日に国会で安倍首相は「新しいメッセージについて認識しているが、現在確認中だ。日本人の人質を速やかに救出すべく努力を継続する。」と述べた。ヨルダン政府はパイロットの解放を含む取引以外のいかなる取引にも応じないだろう。ヨルダンのモマ二首相は「ヨルダンの息子の生命を守ることが最初から我々の立場だ。」と述べた。

複数の政府とテロリストグループについての専門家は、ヨルダン政府とイスラム国が交渉することは、イスラム国を国として認めることになってしまう危険があると懸念している。また身代金や政治的要求を満たすことを目的とした誘拐を誘発する危険もある。

日本政府は、テロには屈しないと繰り返し述べているが、身代金の支払いや収監者の交換の可能性を明確には否定していない。他の国々もヨルダンと水面下での交渉をしてきたが、公に交渉するのはヨルダンが初めてだ。アメリカやイギリスは、同盟国に対し、イスラム国に身代金を払わない様に強く要求している。しかし、スペインやフランスは自国民を救出するために数百億ドルを支払ったとされる。専門家は、人質に関する交渉に応じることにより、イスラム国は益々自信を深め、更に多くの人質が取られることになると懸念している。

米国財務省の推計によれば、2004年から2012年の間に、約1億2千万ドルの身代金がテロリストグループに支払われた。イスラム国は、2014年一年間だけでも、数千万ドルの資金を身代金から稼いだ。

後藤さん、アルカサスベさんとリシャウル死刑囚の交換はイスラム国による最初の捕虜交換の提案ではない。昨年、イスラム国はシディキ収監者とアメリカ人ジャーナリストのフォレイ氏の交換を提案した。この取引は成立せず、フォレイ氏は首を切られ殺害された。

「オバマ政府は、同盟国がイスラム国と交渉したり身代金を支払ったりすることしないで欲しいと明確に述べている。しかし、政府関係者は同盟国に対しアドバイスをすることはしない。その代りアメリカの原則を述べるだけだ。『我々は身代金は支払わない。我々はテロ組織に対していかなる譲歩もしない。』とホワイトハウスのシュルツ報道官は述べた。政府関係者は、政府間の非公式での外交的な会話については一切公開していない。火曜日にケリー国務長官は、日本の電話会談を行ったがその会話も公開されていない。」
「米国のスタンスはこの問題についての政府の立場の複雑さを物語っている。米国は反イスラム国の有志連合を組織し、同盟国からお金や軍事力による貢献を求めてきた。そして、日本もヨルダンもその一員なのだ。」

*******************************************
ヨルダン政府は、イスラム国と捕虜交換の交渉をしていることを公にした最初の国だ。英米は表向きは、イスラム国と交渉しないとしているが、同盟国であるスペインやフランスは水面下でイスラム国と交渉をして、数百億ドルの身代金と引き換えに自国民を救った。この記事は、2014年だけでもイスラム国は数千万ドルの身代金を稼いだと述べておりており、もっと多くの交渉が水面下で行われていることを示唆している。また、米国も表向きはイスラム国との交渉をしない様に同盟国に呼びかけているが、実際には日米間でもイスラム国との交渉が一つの選択肢として話合われている可能性も示唆している。