Tuesday, November 20, 2018

日産のゴーン氏が日本で逮捕される【A1面】

19日に「ゴーン氏逮捕」という衝撃のニュースが流れたが、WSJはこのニュースを翌20日の1面トップで大きく取り上げた。日本関係の記事が、1面トップで取り上げれるのは極めて異例だ。



 事実を詳しく報じる中で「何故ゴーン氏の不正行為について、何故日産の幹部や経理部が分からなかったのか?」という点について疑問を呈していること、西川社長の記者会見について極めて感情的だったとしていることなどから、ゴーン氏寄り(日産批判)の記事になっているように読めるがどうだろう。日産、ルノー、三菱という比較的小さな3社を強烈なリーダーシップで世界第2位の自動車連合に育て上げたゴーン氏の実力を認める一方で、自動車業界の競争のルールは変わったとして、シリコンヴァレーと戦うに際しては、ゴーン氏の力は役に立たないのでは無いかとの見方も提示している。

***** 以下本文 *****
日本の検察はゴーン氏を収監した。ゴーン氏は自動車業界の大物で、世界で最も知られたビジネスマンの一人だ。検察は彼が報酬の一部を開示していなかったとしている。ゴーン氏が作り上げたグローバル規模の自動車企業連合のリーダーシップへの危機の始まりだ。
ゴーン氏が会長を務める日産は、月曜日に、ゴーン氏が長年にわたって、有価証券報告書に彼の報酬を不正確に申告していたとする内部調査を検察に提出したと述べた。日産はまた、ゴーン氏を現在の地位から追い出すつもりだとも述べた。
ゴーン氏は20年近く前に、フランスのルノーと日本の日産のパートナーシップ構築という仕事を与えられた。当時、日産は財務的な問題を抱えており、このパートナーシップは思ったよりも深いものとなった。彼は、後に、日本の三菱自動車もパートナーに加えた。そして、この比較的小さな3社をフォルクスワーゲンに次ぐ生産台数を誇る、巨大企業連合へと育て上げた。最近の3社間の軋轢や、物凄いスピードで変化する自動車業界の中で、ゴーン氏はこの連合を維持するための接着剤として機能してきた。
この逮捕は、近年の自動車産業で最も有名なゴーン氏の評判をも傷つけることになる。64才のビジネスマンは、彼が指揮を執る自動車企業の運営において、時に大胆なコストカットや解雇を行うことによって、デトロイトから東京まで、多くの尊敬を勝ち得てきた。それは、時に、批判につながることもあったが、
彼はフランスでは「コストカッター(le cost killer)」の異名を得た。日本では彼の人生を描いた漫画が人気だ。しかし、近年は、後継者を作っていないことや、高い報酬を得ていることで、批判に晒されてきた。日本では、最近、彼の評判は、品質問題によっても傷つけらていた。
横浜に本社を置く日産は、その声明の中で、ゴーン氏による重大な財務上の不正行為が発覚したと述べた。
日産によれば、調査は内部告発から始まり、調査結果の詳細は検察に報告された。日産のCEOである西川廣人は月曜日の夜に行われた感情を露わにした記者会見で、ゴーン氏が有価証券報告書でその報酬を過少申告したことが発覚したと述べた。日産はまた、ゴーン氏が経費を不正申告し、会社の資産を個人目的で使用したとした。こうした不適切な行為は長年にわたって行われていたと西川氏は述べた。西川氏は、2017年にゴーン氏はCEOの地位から降りるまで、日産の共同CEOだった。
検察は、有価証券報告書に報酬を過少報告した疑いで、ゴーン氏を拘留していることを認めた。彼は正式に起訴されていない。ゴーン氏とこの件で逮捕された日産幹部のグレッグ・ケリー氏にコメントを求めようとしたが、コンタクト出来なかった。米国民であるケリー氏は、経験豊富な弁護士で、ゴーン氏の長年の腹心だった。ケリー氏の代理人や家族のコメントも取ろうとしたが、コンタクト出来なかった。
ゴーン氏はまた三菱自動車の会長でもあるが、同社もゴーン氏の会長の地位から追い払うつもりだ。
検察からのコメントによれば、20153月期までの5会計年度において、ゴーン氏は100億円(8,900万ドル)近い報酬を受け取っていた。しかし、日産は有価証券報告書でその半分の額しか報告していなかった。検察によれば、彼は、虚偽の申告を禁止している日本の法律に違反した疑いが持たれている。
日産と三菱の有価証券報告書によれば、ゴーン氏は、昨年この2社から、彼の業務への報酬として、現金と株式で、合計96,200万円を稼いだ。ルノーの証券報告書によれば、ルノーはゴーン氏に昨年キャッシュと株式で740万ユーロ(約840万ドル)を支払った。
報告されていないとされる報酬をゴーン氏がどの様に受け取ったかは、日産からの更なる情報の開示がないと分からない。もし、この疑いが真実だとすれば、次の様な疑問が生じる。なぜ、ゴーン氏が過少申告する必要があったのか、日産が株式市場に報告書を提出する前に、日産の幹部や経理関係者が、この差異を見つけることが出来なかったのか?
以前はゴーン氏の盟友であった西川氏は、月曜日の記者会見では、言葉を選びながらもショックを隠し切れなかった。「申し訳ないと思う以上に、どの様に表現して良いか分かりませんが、強い怒りや失望を覚えます。」と彼は言った。同時に、1977年入社の西川氏はそのコメントで、更に最近起きたゴーン氏のリーダーシップにおける不適切な対応についても強調した。彼は、ゴーン氏が指揮を執っている期間についての批判を口にしたし、1990 年代に倒産の危機にあった日産を救ったのはゴーン氏だという見方を否定した。
西川氏によれば、ゴーン氏の調査についての情報は秘密扱いされてきた。日産の他の幹部がこのことを知ったのは、日産がこの情報を外部発表する1時間前の、月曜日の午後だった。ルノーに知らせたのも月曜日だったという。
ルノーの取締役会は、声明の中で、ゴーン氏からの「正確な情報」を待っていて、すぐにでも彼に会う予定だとした。また、ルノー取締役会は3社連合のおけるルノーの権益を守ることにコミットしているとも語った。
フランス政府はルノーの株式の多くを保有している。フランス国籍を持つゴーン氏はルノーの会長とCEOを兼務している。フランスのマカロン大統領は、詳細については把握していないが、「3社連合の安定性については、非常に注目している。」と述べた。
月曜日に欧州市場においてルノーの株価は10%以上下落した。東京市場では、火曜日の午前中に、日産の株式が4.2%下落した。日産、ルノー、三菱連合は、合併の少し手前で止まっている。1社では、フォルクスワーゲンやトヨタの様な巨大な競合に敵わないが、3社は、技術や主要部品、研究開発などの分野で協力することにより、グローバルで戦える規模を生み出している。
アナリストたちによれば、ゴーンがいてもいなくても、3社連合の将来は、一人の幹部によってではなく、スピーディーに変化する業界のトレンドによって左右されるだろう。この連合が最初に作られた時には、自動車業界の主流の考え方は、自動車メーカーが競争に勝つには、グローバルな規模が必要ということだった。しかし、今や自動車業界は、シリコンヴァレーとの戦いを強いられている。それは、誰が人の移動の将来を支配するかという戦いであり、結果は誰に対しても開かれている。