Sunday, September 30, 2018

*** 9月のまとめ ***

9月にWSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された日本関係の記事は10件だった。1月から8月までの月あたり掲載数が、6.1件だったので、掲載数としては多かった。4月の13件に次いで、今年2番目に多い掲載数だった。

テーマ別では、政治関係が4件、社会関係が6件。

経済紙であるWSJに経済関係の記事が取り上げられないのは、極めて異例。また、大阪なおみ関係のニュースが3件、自然災害のニュース(台風21号、北海道胆振東部地震)が3件と、社会関係のニュースが多かったのも特徴的だ。

政治関係では、1日に2019年度の国防予算概算要求を、12日にウラジオストックでの日中首脳会談を、17日に海上自衛隊の南シナ海訓練を、21日には自民党党首選での安倍首相の勝利を伝えた。

これまで、WSJは日本の防衛費増額には好意的だったが、ここにきて、日本の軍備は実質的に世界第4位(米中露に次ぐ)として、安倍首相の行きすぎた軍備増強姿勢を批判する方向にトーンを切り替えた様にも読める。8月に安倍首相よりも石破氏の方が日本国民に支持されているとして、安倍首相に批判的な記事を掲載したのに続くものだ。

また、日中会談に続いて、自衛隊の南シナ海訓練を中国が表立って批判しなかったことも取り上げ、トランプ大統領の関税政策によって、日中両国が接近することによって、東アジアのパワーバランスが崩れることに、繰り返し懸念を表明している。

社会関係では、何と言っても、「大阪なおみ」だろう。決勝戦当日の朝、決勝戦の翌日、そして決勝戦の4日後に続報を伝えるなどの力の入れよう。日本人スポーツ選手がこれだけ大きく取り上げられたのは、前例がないのではないか。

決勝戦当日の朝の記事では、大坂なおみが憧れのセレーナと戦うことに興奮している姿が伝えられ、まさか勝つことは思っていない。決勝戦の翌日の記事では、決勝戦の報道はセレーナと審判の対決ばかりになっているが、勝ったのは大坂なおみなのだから、彼女のことを報道しようと呼びかけた。そして、4日後には、大坂なおみが、米国代表ではなく、日本代表として戦っているのかを詳細に報道した。

そして、9月は自然災害が多かった。WSJも台風21号について、関西空港を襲った翌日と翌々日に空港閉鎖を中心に報道。また、北海道胆振東部地震についても発生当日に速報した。

掲載箇所では、スポーツ面が3回、国際面が7回だった。日本のニュースがスポーツ面で取り上げられるのは、極めて珍しい。





Friday, September 21, 2018

安倍首相の任期がもう一期延長【A8面(国際面)】

20日に行われた自民党の党首選で、安倍首相が勝利したが、WSJはこのニュースを翌21日の国際面で速報した。



安倍政権は21年まで続き、日本で最長の政権となること、石破氏は党員票の45%を獲得して健闘したことなどをコンパクトに伝えたいる。


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安倍首相は、与党の首相として再選された。これで、3期目となり、2021年まで首相に地位を維持することになる。日本で最長の政権となる。
安倍首相は、木曜日に、石破元防衛大臣を破り、自民党党首の地位を維持することになった。これは、自民党が議会を支配しているので、安倍氏が首相の地位を維持することを意味する。
石破氏は、堅実な成長による利益は、労働者や大都市以外の地域には行き届いていないと主張して、党員の支持を得た。彼は、党員や支持者の45%の票を獲得したが、議員の18%の票しか獲得できなかった。
安倍氏は、これは、彼にとって最後の党首選だと語った。



Tuesday, September 18, 2018

日本、南シナ海の海洋訓練に参加【A10面(国際面)】

防衛省は17日、海上自衛隊の潜水艦が南シナ海で護衛艦部隊と訓練したと発表したが、WSJは翌18日の国際面でこのニュースを速報した。



南シナ海での潜水艦訓練が公表されたのは初めてで極めて異例とし同海域で一方的な軍事拠点化を強行する中国を牽制する狙いがあるとしている。一方で、トランプ大統領の関税政策に共に反対する日中両国は、最近その関係が急速に改善していることにも触れ、今回の日本の軍事訓練を中国が直接非難しなかったと伝えている。英仏艦隊の南シナ海航行や米国の航行の自由作戦にも触れ、日本の今回の行動はこれらの作戦に続くものだとして、西側諸国が連携して中国に対抗する作戦の一環として評価している様に読める。


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日本は潜水艦を南シナ海に派遣し、3隻の護衛艦と共に、対潜水艦を想定した訓練を実施した。これは中国の軍備拡大に米国とその同盟国が対応出来ることを狙ったものだ。
潜水艦「くろしお」は、木曜日に、3隻の護衛艦と合流した後、ベトナムのカムラン湾に寄港した。日本の防衛省によれば、日本の潜水艦が入港するのは初めてだ。
また、南シナ海での潜水艦訓練を防衛相が公表するのは初めてだ。
「これは、中国やこの地域のその他の国への戦略的メッセージの1つだ。」と東京の政策研究大学院大学の安全保障・国際専門の道下徳成教授は言う。「力の均衡を保ちたいという日本の意思を示すものだ。」
道下氏は、日本が対潜水艦を想定した訓練をすることは「極めて重要」だと述べた。何故なら、中国は弾道ミサイルを発射することが出来る原子力潜水艦を運用しているからだ。
この演習は、南シナ海の渡航の自由を確保するために、英仏が共同で行った演習や、米海軍による航行に続くものだ。
日本の潜水艦がベトナムに寄港したということは、米国とその同盟国がベトナムと築き上げている協力関係を示すものだ。それは、中国が南シナ海の一部に中国の領土権を主張していることへの対抗することになる。
中国外務省スポークスマンの耿爽氏は、記者会見で日本の潜水艦訓練について問われ、日本を直接的には非難しなかった。しかし、南シナ海域外の国々は、「注意深く行動すべきだし、地域の平和や安定を乱すべきではない。」と述べた。
耿氏は、中国は紛争を解決するために、東南アジアの国々に働きかけていくことにコミットしていると述べた。
日本の訓練は、最近の日中関係の改善に複雑な影響を及ぼす可能性がある。両国共に、トランプ政権が輸出品に課税する関税問題に直面しており、そのことが両国関係を改善させてきた。
安倍首相は、今月、ロシアでの会議で習近平主席と会談し、10に北京を訪問すると述べた。
中国はここ数年、南シナ海での軍事的影響力を高めている。5月には、中国海軍は、権益争いがある島に、爆撃機を着陸させたと発言し、同地域での支配力を強めた。
世界貿易のうち1/3を占める物資が、135平方マイルのこの地域を通過している。また、この地域は天然資源が豊富だとも言われている。中国は、そのほぼ全域について、歴史的にみて領有権があると主張している。
中国は、繰り返し船や航空機を使って、日本が尖閣諸島と呼び、中国が釣魚島とよぶ東シナ海の島々に対する日本の主権を脅かしている。
南シナ海における日本の潜水艦の存在は、中国にとっては、不愉快なことだろうと、海上自衛隊の元自衛艦隊司令官香田洋二氏は言う。「潜水艦は洋上軍艦よりも見つけるのが難しい。そのため、海では洋上軍艦よりも歓迎されないのです。」と彼は言う。

Thursday, September 13, 2018

関税の脅威が高まる中、安倍首相と習主席は連携を再確認【A10(国際面)】

安倍首相は12日、ウラジオストックで習近平主席と会談したが、WSJはこのニュースを翌日の国際面で速報した。


安倍首相の10月訪中が確認されたことなどをあげ、トランプ大統領の中国に対する関税措置を避けたいという共通の目的を持つ日中両国が急接近しているとしている。

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中国と日本のリーダーが昨年以来初めて会談した。日本の政府関係者によれば、両国間のこの進展は、両国が感じているトランプ大統領からの圧力によるものが大きい。
「日中関係は大きな改善の方向へと動いて来た。」と日本の安倍首相は、水曜日に中国の習近平主席とロシアのウラジオストックでの会談後に語った。両首脳は、経済会議に出席するためにウラジオストックに来ていた。
安倍首相は、10日に中国を訪問すると述べ、習近平首相の日本訪問を重ねて要請した。実現すれば、習近平氏は主席になってから初めての訪日となる。
中国と日本は、トランプ政権に関税を回避する様に説得することを求めているという点で、共通の利益を共有している。米国政府は、現在、500億ドルの輸出に25%の関税をかけているが、さらに2,000億ドルの中国製品に対する関税措置によって、中国を攻撃しようとしている。トランプ大統領は、先週、私が望めば、さらに2,670億ドル相当の追加関税を急遽発動する用意があると述べた。


見過ごされたテニス界のスター【A16面(スポーツ面)】

「米国国籍を持つ大坂なおみ選手が、なぜ日本代表としてプレーしているのか?」と言う疑問に答える記事が、13日のWSJに掲載された。


米国テニス協会が彼女の才能を見抜けず、日本テニス協会に先を越されたことが理由だとしている。

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大坂なおみが、先週開催されたUSオープンで彗星のごとく出現したが、このことは一つの疑問を投げかける。何故、彼女は日本国旗のもとでプレーをして、優勝を勝ち取ったのか?彼女は、3歳から米国に住んでいる米国市民なのに。
米国のテニス関係者によれば、答えは、機会を失ったことと、才能を見抜けなかったことにある。米国テニス協会は彼女をリクルートしようとした。しかし、それは彼女が16歳になってからだった。その頃には、大坂選手は既に日本テニス協会にコミットしていた。日本テニス協会は、大坂選手にお金を貸したり、コーチングをしたり、設備を使わせたりといった一切の便宜をはかっていなかったにもかかわらずだ。
USオープンに優勝して、大坂はスターとして華々しく開花した。彼女のUSオープンでの賞金は380万ドルで、既に彼女の累計賞金額は700万円に達している。彼女は現在世界ランキング7位で、ラケット企業であるヨネックス、日清食品、シチズン時計、WOWWOWなどがスポンサーとなっている。アディダスも彼女のスポンサーだし、木曜日にはある自動車会社がスポンサーとして名乗りをあげる予定だ。
しかし、彼女がトッププレーヤーに登り詰めるまでの道のりは、殆ど注目されてこなかった。彼女の才能を見抜くのは難しかった。大坂選手は日本の大阪に生まれた20歳だ。彼女とその家族は、彼女が3歳の時に、米国へ移り住んだ。2006年まではロングアイランドに住み、その後フロリダへと引っ越した。彼女は日本語が分かるが、普段は日本語の質問に対して、英語で答える。彼女の母親である大坂環さんは、日本国籍だ。父親のレオナルド・フランソアさんは、ハイチの出身だ。
「我々は、彼女が小さい時に、彼女は日本代表としてプレーすると決めました。」と両親はemailで答えた。「彼女は大阪に生まれ、日本とハイチの文化の中で育てられました。ですから、なおみとその姉のまりは、常に日本を感じていて、日本代表としてプレーすることが当然のことでした。金銭的な理由に動かされたわけではないし、特定の国の組織に影響されたわけでもありません。
大坂選手は、10歳の時に、日本を代表し始めた。彼女は、ジュニア選手権にはあまり参加せず、国際テニス協会の小さな大会に出場していた。国際テニス協会の試合は滅多にテレビ中継されないし、選手が公の場に注目されることもなかった。大坂選手は、ジュニアのグランドスラムトーナメントに出場できる実力を備えた後でさえ、国際テニス協会の試合に出場し続けた。
米国テニス協会が、彼女にオファーを出したのは、彼女が16歳になってからだった。
「我々は彼女に直接話をして、とても良い内容のオファーを出した。」と米国テニス協会の女子テニス部門長のオラ・マルムクヴィスト氏は言う。
この件に詳しい人々によれば、大坂がもっと若い頃には、米国テニス協会にはより大きなチャンスがあったが、彼女の力が見抜けなかった。それは、テニスではよくあることだ。子供が強いプロになるための肉体的なスキルや才能を持っているかを見抜くことはほぼ不可能だ。
大坂選手が18歳の時に、彼女とその父親は、エヴァートテニスアカデミーで練習を開始した。期待されている選手やプロ選手が午前中に練習を終えた後、大坂とその父はコートに現れる。そして、コートが空いている正午から午後2時まで練習していた。その頃、スローン・ステファンズやマディソン・キーズなどの有望選手も同じコートで練習していた。エヴァートは、大坂は目立つ選手ではなかったという。
「彼女には潜在的能力があったし、沢山のボールを打っていた。しかし、あまり動かなかったし、沢山のミスをしていた。」とエヴァートは言う。
テニスは個人競技だが、選手が代表する国にとっても大きな誇りとなる。特に、フェデレーションカップやオリンピックなどの場合は。
「彼女は我々を選んでくれた。」と日本テニス協会の坂本真理氏は言う。「我々は、なおみを日本人選手としてとても誇りに思います。」

Monday, September 10, 2018

さあ、もう大阪なおみの話をしよう【A14面(スポーツ面)】

米国時間8日のUSオープンで大阪なおみが見事優勝を飾ったが、WSJ10日のスポーツ面で、このニュースを大きく取り上げた。



この試合、何かと対戦相手のセレーナ・ウィリアムズ選手のことが話題となっているが、勝ったのは大阪なおみ選手なのだから、彼女の話をしようと読者に呼びかけている。面白い記事だ。

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この週末、ニューヨークで行われたメジャーなテニストーナメントで優勝した大坂なおみ選手についての話をしよう。
土曜日に行われたUSオープン決勝で大坂なおみ選手が勝利して以来、ほとんど全ての話題は、彼女が打ち負かした選手のことに集まった。セレーナ・ウィリアムズ選手だ。メジャー大会で23回の優勝を誇る伝説のプレーヤーである彼女は、主審と口論になり、その振る舞いについてペナルティーを課され、それが敗退へとつながった。
多くの人々が沢山の推測をしている。ウィリアムズ選手が行き過ぎだったのか?それともカルロス・ラモス審判が一線を越えたのか?ゲーム関係者の中にも、好意的な見方をする人もいればそうでない人もいる。それはどんなスポーツでもそうだ。ラモス審判は、一瞬、一瞬にもっと注意を払い、もっとウィリアムズ選手に警告をすべきだったのか?ウィリアムズは、審判と対決した最初の選手ではない。これは、USオープンの決勝だ。
この出来事に関連して、スポーツマンシップ、感情コントロール、性差別、ダブルスタンダードなど、色々なトピックについての会話が盛り上がった。ウィリアムズ選手は、男性プレーヤーだったら同じ行動をしても罰則を受けないだろうに、彼女が女性だから罰則を受けたと感じている。2004年、2009年、2011年の試合において役員と口論になったことなど、ウィリアムズ選手にはオープンでは苦い歴史がある。
そんな中で、私は、大坂なおみが2018年のUSオープン女子シングルのチャンピョンであるということを指摘したい。
私は、あの現実離れした重大な出来事を軽視しているわけではない。この出来事は、テニスファンの間で何年も語り継がれるだろう。
私は、ただ、メジャー大会で最初の優勝を飾った大坂なおみ選手を正当に評価したいだけだ。
でも、この試合がどの様に異常な試合であったかには触れておきたい。第一セットを落とした後、ウィリアムズ選手は何とか自分を取り戻そうとしたが、うまくいかなかった。
まず、ウィリアムズは、試合中にコーチからアドバイスをもらったとして警告を受けた。(オープンの様な試合では絶対にやってはならないことだが、あまりとられない違反でもある。)彼女が違反行為をしているという指摘に、彼女は信じられないという気持ちで試合を再開したが、その後、ラケットを壊してしまった。このため、彼女はコード違反を取られ、ポイントを減点された。いらいらした彼女は、ラモス審判から気持ちが離れられなくなり、彼を「泥棒」と呼んでしまった。これにより、彼女は更に減点を受けた。彼女は、ラモス審判に誤る様に執拗に迫った。ラモス審判は、もう十分だと判断し、ウィリアムズ選手から1ゲームを奪った。(ウィリアムズ選手は、このつの違反によって、17,000ドルの罰金を課された。)
これは大きかった。これにより、大坂選手の第2セットのポイントは4-3から5-3へと有利になったのだ。
これは、また、セレーナ・ウィリアムズはセレーナ・ウィリアムズだという意味で、大きな出来事だった。偉大なチャンピョンであるウィリアムズ選手は、歴史上タイ記録となるメジャートーナメントシングルでの24回目の優勝をかけてこの決勝戦に臨んだ。最初の子供を産み、生命を脅かすような事態の併発により何回か手術を繰り返したために、ほぼ1年間この機会を待たねばならなかった。
36才のウィリアムズ選手は、多くの人々にとって、大きな存在なのだ。
その多くの人々の1人が、大坂なおみ選手だ。
この試合は、20才の大坂選手にとって、長い間憧れてきた夢の試合だ。彼女の憧れの人と、アメリカ最大のステージで戦うなんて。大坂選手は、日本人の母とハイチ人の父の間に日本で生まれたが、米国で育った。そんな彼女は、彼女はウィリアムズ選手以上偉大な選手はいないと思っているが、1年前には、その自分にとっての大ヒーローをスタジアムで見ていた。ウィリアムズ選手も大坂選手も、何事も可能だと信じる父にテニスを教わった。
大坂選手はウィリアムズ選手の試合のやり方を真似た。それは今日のゲームからも見てとることが出来た。大坂選手は息を飲むようなストロークや110マイルを超えるサーブで主導権を奪った。彼女は、ウィリアムズ選手の打撃練習相手であるサーシャ・ベイジンをコーチとして雇った。ウィリアムズ選手のオビウェンスタイルを習得しようとしたことは明らかだ。大阪は重要なポイントを取ると、ウィリアムズ選手の有名なおたげび「カモン」を真似た。声の小さい版だったが。
ウィリアムズ選手同様、大坂選手もテニスだけで有名なのではない。彼女は、今や、メージャートーナメントを制した最初の日本人プレーヤーだ。そして、ハイチのコミュニティーも彼女の快挙を喜んでいる。
大坂選手の勝利は、新しいスターを待望しているスポーツ界にとってビッグニュースだ。彼女は、若い選手にありがちな、ヒーローに見とれるために来たのではない。勝ちに来たのだ。彼女は、試合開始直後からウィリアムズ選手を追い詰めた。そして、第1セットを6-2で取った。ウィリアムズ選手は、第2セットは盛り返し、3-1とリードした。しかし、ウィリアムズ選手とラモン審判がやりあっている間も、大坂選手は乱れることがなかった。そして、アーサー・アッシュスタジアムのウィリアムズ寄りの聴衆が、まるでボクシングの試合かの様に、ラモス審判に対してブーイングを始めた。
そのブーイングはどんどん大きくなった。年下の新人は、このドラマの中で、穴に入りたいくらいだったろう。怒った米国の聴衆は、怒った米国のスーパースターのために、米国最大のスタジアムで、必死でブーイングしたのだから。
たまたまそこに居合わせることになってしまった大坂は冷静だった。「正直、私は彼女から多くのことを学びました。」と試合後ウィリアム選手は話した。
大坂は試合後、少しは緊張の糸がほぐれた様だ。トロフィーの授与式で、ライトを浴びた時、もう1度ブーイングが巻き起こり、大坂選手は泣き始めた。そこで、ウィリアムズ選手が間に入って、聴衆にもうブーイングは止めて、大坂選手の業績を讃えましょうと呼びかけた。大坂選手は、話す機会を与えられると、勝利したことを聴衆に謝った。
これには心を動かされた。大坂選手は何も謝ることなどないのだ。それでも、彼女はその気持ちを次の様に語った。「私はコートに入った瞬間に、違う人間になった気持ちがしました。もう、セレーナのファンではなかったのです。私は、テニスプレーヤーと戦う1人のテニスプレーヤーになっていたのです。」
「でも、私がネット越しに彼女とハグをした時」と彼女は込み上げるものを抑えながら言った。「私は小さな子供に戻っていたのです。」
テニス界にとって、とても大変な夜だった。そんな夜に、大坂選手は憧れの人の尊敬を勝ち得た。彼女は、トロフィーも獲得した。そして、3.8百万ドルの小切手も得た。大坂選手は、2018年のUSオープンの勝者なのだ。
これこそ、この記事を締め括るに相応しい言葉だ。

Sunday, September 9, 2018

空港の閉鎖は観光を脅威に晒す【A9面(国際面)】

台風21号の影響で、関西国際空港が4日午後3時に閉鎖されたが、WSJは5日に続き、6日の国際面でもこのニュースの続報を掲載した。


この閉鎖により、関西空港はイメージダウンし、今後大阪の観光は悪影響を受けるだろうとしている。

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アジアからの旅行客に最も利用されている空港が、ここ25年間で最大勢力の台風によって閉鎖された。これにより、日本の旅行ブームは危機に晒されている。
大阪の関西国際空港は、長い間、嵐による増水に弱いと見られてきたが、木曜日も閉鎖されたままだ。同空港は、当初、3,000人が空港に取り残されたと見ていた。しかし、同空港の山谷佳之社長は、木曜日になって、従業員を含めて8,000人が取り残されたと述べた。
彼によれば、空港のある人工島からの、船とバスによる乗客の救助は完了した。但し、数名は、フライトの運航再開を待つために空港に残った。
人工島と対岸を結ぶ橋は、台風により錨が緩んで漂流した船が衝突したため破壊され、火曜日の午後から水曜日の朝にかけて空港は寸断された。
ミズーリ大学の学生で日本で学んでいる22才のキャトリン・マデーナは、友人と共に休暇で韓国に向かう予定だった。台風が襲った時、彼らはターミナルの横のプラザで昼食をとっていた。
「天井と窓がガタガタしだして、プラザの真ん中に落ちてきた。」と彼女は語った。そして、台風による大波が人工島に押し寄せ、最終的に滑走路の1本が浸水した。
木曜日に安倍首相は、空港は、金曜日中には国内線の運行を再開できる見通しで、国際線も準備が整い次第再開すると述べた。
日本の旅行会社であるフリープラスの小西宏明社長は「関西国際空港の閉鎖は、大阪の観光に大きな悪影響をもたらすだろう。」と述べた。東京や名古屋の空港が代替にもなる。小西氏によれば、台風のイメージによって、運行再開後も関西国際空港を避けるだろう。



Saturday, September 8, 2018

大坂は決勝で憧れの人と対決【A14面(スポーツ面)】

8日にUSオープン決勝で大坂なおみがセレーナ・ウィリアムズと戦ったが、WSJは試合前のその日の朝刊で、この試合の予想ともとれる記事を掲載していた。


 大坂が凄い選手であることは認めながらも、「セレーナ・ウィリアムズとは、選手としての格が違うので、大坂が勝てる訳がない。」というニュアンスが、行間に読み取れると思うがどうだろう。サーシャ・ベイジンコーチの「いつの日か、大坂もセレーナの様な強い選手になれるかもしれない。」というニュアンスのコメントを引用したり、昨年大坂がセレーナに勝った試合について「あの時は授乳中だったから。」というセレーナのコメントを引用したりしていて、今回はセレーナの勝ちであると占っている様に読める。なお、大坂選手が日本代表だとする記述は一切無い。

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セレーナ・ウィリアムズがUSオープン女子の決勝へ戻ってきた。土曜日に、彼女にあこがれてテニスを続けてきた新星と対決する。
ウィリアムズ選手と大坂なおみ選手は、木曜日の夜、共に準決勝を戦い、完勝した。ウィリアムズ選手は最初の2ゲームを落とした後、6-3, 6-0とアナスタシジャ・セバストワ選手を打倒した。一方の大坂なおみ選手は、試合最初のラブ40から向けだし、その後リードすると、その勢いを保ったまま、6-2. 6-4でマディソン・キーズ選手に勝利した。
ESPNのトム・リナルディにコートでのインタビューで、どうして13のブレイクポイント全てをものに出来たのかと問われて、大坂選手は「どうしてもセレーナ選手と対戦したいと考えていたからだ。」と答えた。
ウィリアムズ選手と大坂選手を比較してみるととても面白い。今回は、ウィリアムズ選手にとっては、31回目のグランドスラム決勝となる。彼女は、そのうち、23回で勝利をおさめており、これはマーガレット・コート選手の持つ記録である24回に1回及ばないだけだ。ウィリアムズ選手は、これまでにプロ・トーナメントで72回の優勝経験がある。一方の大坂選手は、グランドスラムの決勝に出るのは初めてだし、優勝経験といえば、今年のカリフォルニア・インディアンウェルズの優勝が唯一だ。
しかし、大坂選手がウィリアムズ選手を若くした様な凄い選手だということが分かるのにそんなに時間はかからない。大坂選手は、ウィリアムズ選手より2インチ高い、5フィート11インチだし、サーブのスピードは時速120マイルにもなる。彼女は、高く上がるキックサーブを正確に打つことが出来るし、素早く走り回ることも出来る。ウィリアムズ選手に対しては自信をもっていないかもしれないが、彼女は試合では容赦ない。キーズ選手に対して、大阪選手は、まるでウィリアムズ選手の様に、感情もストロークもうまくコントロールした。
このことを誰よりも良く分かっているのは、サーシャ・ベイジンコーチだろう。彼は、ウィリアムズ選手のコーチを8年間務めたこともある。
「なおみは、いつの日か、ウィリアムズ選手の様に、コートを支配するかもしれない。」とベイジンコーチは言う。
大坂選手とウィリアムズ選手は、一度対戦している。今年の3月にマイアミで行われた試合では、大坂が6-3, 6-2で勝利した。しかし、その時は、ウィリアムズ選手は、昨年に最初の子供を出産して、テニス界に戻ってきたばかりだった。
「その時は授乳をしていて、今とは全く違った状況だった。」とウィリアムズ選手は言った。「そんな訳で、あの時はあの時。あんな試合はもう二度としたくないわ。」
今月37才になるウィリアムズ選手は、決勝戦の結果がどうであっても、今シーズンの成績に誇りをもっていると語った。
「挑戦し続けるだけです。」とウィリアムズ選手は言う。「今回がダメでも、次回のために挑戦し続けるだけです。」
大坂選手は、ウィリアムズ選手のことはとても尊敬しているけれど、勝ちたいと述べた。
「この試合の一瞬一瞬を楽しみたいけど、これは私にとって、ふだんと同じ試合です。」と大坂選手は言う。「私は、彼女を対戦相手とみなし、ただ戦うだけです。」

Thursday, September 6, 2018

日本で地震が土砂崩れを引き起こす【A9面】

6日早朝に北海道を襲った地震について、WSJは同日の国際面で速報した。


 この地震により、前日の関西空港に続いて、千歳空港が閉鎖されたとして、台風と地震を関連づけて報道した。東日本地震同様に日本北部を襲った地震だったが、泊原発に被害はなかったともしている。

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木曜日に日本北部の田園が広がる地帯を強い地震が襲った。この地震による土砂崩れで村の1部が埋め尽くされ、主要空港が閉鎖された。台風の影響で、今週、日本の西部のもう1つの空港が閉鎖されたが、この空港閉鎖はそれに続くものだ。
現地時間の午前38分に起きたこの地震の震源は、北海道の千歳市の近くだ。ここには、この地域の主要空港がある、
米国の地質調査によれば、地震はマグニチュード6.6だった。津波警報は発令されなかった。
空港は構造上の被害に耐えたが、木曜は終日閉鎖される見通しだ。空港の壁は崩れ落ち、水道管は破裂した。
菅官房長官によれば、この地震により2人の死亡が確認された。菅氏によれば、政府は25,000人の自衛隊員を送り、救助と復旧作業を支援する。公共放送であるNHKによれば、39人が行方不明になっている。厚真町では山崩れが起き、家の屋根に土砂が押し寄せた。
北海道のほぼ全域に当たる295万戸が停電したと菅氏は述べた。
地元の原子力発電所は、バックアップ用のディーゼル発電に切り替え、燃料棒を冷却している。
「我々は、地元自治体と密接に協力して、全力で、影響を受けた人々を救助し、地元の人々を避難させ、必要なサービスを再開する。」と安倍首相は、緊急閣議で述べた。
日本列島は、世界でも最も地震の影響を受けやすい地域だ。2011年に日本北部で起きたもう1つの地震は、津波を引き起こし、沿岸部の殆どを破壊した。この時は2万人近くの人々が死亡した。

Wednesday, September 5, 2018

台風被害が日本のメイン空港を分断【A7面(国際面)】

関西空港は、4日、台風21号の強風に煽られたタンカーが連絡橋に衝突した影響で、対岸との交通が遮断されたが、WSJはこのニュースを翌5日の国際面で速報した。


多くの人々が、4日の夜に空港に取り残されたこと、5日朝から船で空港の外に脱出を開始したことなどを伝えている。取り残された人の数を3,000人と報じているが、実際には8,000人だった。

***** 以下本文 *****
日本で最も大きな空港の1つである関西空港が、ここ25 年で日本に上陸した台風としては最も強力な台風による被害のために、無期限で閉鎖された。
会場に浮かぶこの空港島を対岸と結ぶ繋ぐ橋に、台風の影響で流されたタンカーがぶつかった。これにより橋の一部がそぎ落とされ、道路の一部が橋の残りの部分から分断された。空港のスポークスウーマンによれば、空港でも滑走路の1つが浸水し、ターミナルの地下が水浸しとなった。
大阪の近くにあるこの空港は、日本とアジアの国々を結ぶ日本のメインのゲートウェイの1つだ。日本航空によれば、火曜日の夜時点で、150人の乗客と600人の従業員が空港に取り残された。全日空では、65人の乗客と290人の乗客が取り残されたと言っている。空港のスポークスウーマンによれば、3,000人の乗客と空港従業員が火曜日に空港に取り残された。
スポークスウーマンによれば、水曜日の朝には、空港は乗客を1時間半離れた神戸空港へ、乗客を船で避難させ始めた。彼女は、これまでのところ、約300人の避難が完了し、15分おきに乗客をピックアップしているとした。
LCCのターミナルは大きな被害を免れたが、滑走路は閉鎖されたままだ。スポークスウーマンによれば、いつ空港が再開するかは不明だ。
日本は、何日も前から台風ジェビの上陸に備えた。この台風の最大風速は時速130マイルで、日本の多くの地域に大雨をもたらした。
タンカーが衝突した時には、橋には電車や車はいなかった。NHKによれば、船に乗っていた11人の乗組員は無事に避難した。少なくとも7人が死亡し、300人が怪我をした。
日本航空の全日空は、数百のフライトを運休した。


Saturday, September 1, 2018

日本がミサイル防衛を強化【A8面(国際面)】

防衛省は831日にイージスアショア導入費を含む2019年度予算の概算要求を行ったが、WSJはこのニュースを翌91日の国際面で速報した。


 防衛予算要求額が過去最大の52986億円(18年度当初予算2.1%増)になること、要求増は7年連続であること、米国の有償軍事援助(FMS)は6,917億円に膨らんだことなどを詳細に報じている。既に、日本の自衛隊は、米国、中国、ロシアに続いて4番目に強い軍隊になっていることを伝えると共に、イージス・アショアの設置が予定されている秋田県の住民の間から、攻撃の標的になるなとの理由で反対が起こっているなど、日本の防衛力強化について様々な視点から論じている。


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日本は21億ドルで米国のミサイル防衛システムを購入することを決めた。トランプ大統領から日本への米国の軍事機器購圧力が強まる中、軍備調達としては最大規模だ。
日本は既に米国の軍機機器の最大の購入先のひとつだ。F35ステルス戦闘機やグローバルホーク無人探査機などを購入し、購入額では中東の国々と肩を並べる。
にもかかわらず、昨年、トランプ大統領は、対米貿易黒字と防衛の米国依存を減らすことを目的に、「大量」の軍事機器の購入を要求した。
トランプ大統領は、安倍首相というこの要求への対応にやる気をみせる安倍首相というパートナーを得た。彼は、日本の戦後の厳格な平和主義を変えたいと考えている。今後数ヶ月の間に、日本の憲法を改正し、日本が軍隊を持つことを明確に記載するために、国民投票を行いたいと考えている。
日本の軍隊は、自衛隊と呼ばれているが、世界で最も進んだ軍備を備えている。2015年にクレジットスイスが発表した調査結果によれば、日本の軍隊は、米国、ロシア、中国に続いて4番目に強力だ。
日本が輸入している防衛機器の多くは、有償軍事援助(FMSプログラムを通して購入されている。このプログラムは、米国政府が管理しているもので、毎年、400億ドルの機器を販売している。
日本がこのプログラムを使って購入する金額は、ここ数年膨張している。金曜日に、防衛省は、来年度のFMSプログラムによる武器予算として62億ドルの予算を要求した。5年前にはこの金額は10億ドルにすぎなかった。
同省は、4月から始まる会計年度に、総額477億ドルの防衛費予算を要求している。この金額の中には、在日米軍を支援する費用は含まれていない。この要求は、今年度の支出から2.1%の増加で、7年連続での増加となる。
計画している支出の中で大きいのは、ロッキードマーチン社のイージスアショア弾道ミサイル防衛システムだ。この新システムにより、日本列島全体が、北朝鮮からのミサイルシステムから守られることになる。
今週は発行された防衛白書は、11月以来北朝鮮のミサイル攻撃が中止していたり、米朝間で断続的に外交交渉が行われたりしているものの、北朝鮮からの脅威に変わりはないとしている。昨年、北朝鮮は12発以上のミサイルを発射し、そのうち2発は日本北部の上空を通過した。
北朝鮮は、今年になっても、国営メディアで日本を脅すことを続けている。安倍首相が、北朝鮮の金正恩主席との会談に意欲を示しているにもかかわらすだ。両国からの代表が、今年の夏に短時間の会談を持ったが、外交交渉が進展している様には見えない。
一方で、人工衛星からの映像では、北朝鮮は、主要なミサイル製造工場を拡張している様に見える。
日本のイージスアショアシステムは、2025年頃までは運用出来ないだろう。船上のイージスと地上に装備されたPAC-日本のイージスアショアシステムは、2025年頃までは運用出来ないだろう。しかし、このシステムは、船上のイージスシステムと地上に装備されたPAC-3システムに続く、3番目の弾道ミサイル防衛システムとなる。
東京のネクシアルリサーチの防衛コンサルタント部門トップのランス・ゲイトリング氏によれば、イージズアショアは、日本の防衛力を著しく高めるだろう。このシステムは、既にルーマニアに配備されていて、NATOのミサイル防衛ネットワークの一部としてポーランドにも配備される予定だ。
このシステムの1つは、日本北部の秋田県に装備される予定だが、多くの住民が反対の意向を示している。イージスアショアに使われる強力なレーダーから発せられる電磁波に不安を持ち、軍事ターゲットになることを恐れてのことだ。
「もしこの場所がミサイル基地になったら、攻撃目標になるでしょう。私たちはとても恐れています。」とハセベ・ハジメさんは言う。彼は70才の退職者で、イージスアショアが配備されると言われている土地から数百メートルのところに住んでいる。
防衛省は、住民と会合を持って、設置計画について説明した。同省によれば、レーダーからのこの地域へのリスクはないということだ。