安倍首相は3月21日にベルギーでEU首脳と会談したが、WSJは22日の国際面でこのニュースを速報した。
安倍首相とEU首脳は、日本とEU間の貿易交渉の締結を急ぐことで一致し、世界に広がる保護主義の動きに釘を刺したとしている。また、先週G20蔵相会談で米国が保護主義の動きを鮮明に打ち出し、来週には英国がEU離脱交渉を開始するが、この訪問は保護主義を象徴するこうしたイベントの間に行われたということで、タイミング的にも意味があるとしている。
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EUと日本のリーダーたちは、今年中にも貿易協定が締結出来る様に、交渉を急ぐことを約束した。これにより、米国の保護主義に対抗し、弱々しい経済成長を貿易を増やすことによって強化することを狙う。
日本の安倍首相はEUのトゥスク大統領やユンケル委員長と火曜日にブリュッセルで会談した。この会談で、地球規模の問題の解決に向けて協力して取り組むために、経済、政治、安全保障面での関係を強化していくことで一致した。
首脳たちは、保護主義が蔓延しつつある中、彼らが推進する自由貿易協定は、グローバル貿易を推進するための旗手であるとしている。トランプ大統領を名指しすることはなかったが、彼の多国間協定への批判は、米国のパートナー国を不安にしている。
「我々はこの協定が必要だと考える。公正で自由なルールに基づいた貿易が重要だと信じるから。」とユンケル氏は語った。「我々は、孤立主義に戻るのではなく、世界に目を開き続けていきたい。」
安倍氏のEUの首都への訪問は、先週のG20の直後といタイミングで実施された。そこでは、トランプ大統領が、世界の大国に対し、反保護主義の考えを捨てる様に圧力をかけた。
日本の首脳の訪問は、英国のEU離脱に関する話合いが開始される1週間前というタイミングでもある。EUは28に及ぶ国々が貿易を通じて結びつくことを60年にわたった推進してきたものだ。
「保護主義強化の傾向が見られる中、日本と欧州が米国とも連携して、世界に向けて自由貿易の旗を掲げてモデルとなっていくことが重要だ。」と安倍首相は、トゥスク氏やユンケル氏との記者会見の場で述べた。
安倍首相は、EUとの貿易交渉を出来るだけ早く行いたいと述べたが、一方で、トランプ大統領は同様の譲歩を日本に求めて来るだろう。
安倍氏に同行している外務省の金子万里子報道官は、首脳会談の後、EUとの交渉が米国との交渉に影響を与えるとは考えていないと述べた。
「2国間協定は、両サイドのバランスの上になされる。」と金子氏は述べた。「日本とEUの経済関係と、日本と米国の経済関係は、同じではない。」
日本は経済だけでなく、益々攻撃的になる中国やならず者国家である北朝鮮への防衛面でも、米国に依存している。
日本の重要な安全保障面の問題に同意して、ユンケル氏はEUは北朝鮮への制裁を継続すると述べた。また。核兵器開発を追求していることを非常に懸念しているし、北朝鮮に更に圧力をかけるために更なる追加制裁も検討していると述べた。