Tuesday, March 7, 2017

日本の喫煙への取組はうまくいっていない【A7面(国際面)】

WSJは、厚生労働省が、今国会に提出を予定している「禁煙法案」を巡るドタバタ劇について、7日の国際面で報道した。



日本の受動喫煙に対する対応が先進国の中で最も遅れていること、2020年のオリンピック開催決定を契機に日本政府がようやく重い腰をあげてこの問題に取り組もうとしていること、飲食業界などが禁煙スペースの設置費用負担が重いことを理由に反対していること、政府も日本たばこの株主であるため、またたばこ税が税収全体の1%を占めることから、本腰が入らないことなどを伝えている。

***** 以下本文 *****
日本政府は、日本初の全国を対象にして喫煙規制を導入しようとしているが、日本に深く根付く喫煙文化のせいで、この計画がトラブルに見舞われている。
日本では、食事をする際には、バーでもカフェでもレストランでも、自由に喫煙できる場合が殆どだ。与党自民党のロビーにすら喫煙ブースがある。なんと、健康を司る厚生労働省にすら、外に喫煙者のためのスペースを設けているのだ。
一方、民間企業や地方自治体では、最近、厳しい規制が導入されつつある。しかし、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定し、日本政府は初めて、レストランや病院や学校で、喫煙を禁止する法律の導入を真剣に考える様になった。
法案では、「病院」「ジム」「大学より下のレベルの学校」などについて、敷地内での喫煙を禁止している。
また、「劇場」「デパート」「大型レストラン」「コンサートも開催されるプロ野球スタジアム」等には、喫煙室を設けることを認めている。この規則を守らない喫煙者などには、罰金が科せられる。
カフェやレストランやバーのオーナーからこの法案に対する大きな反対の声が上がっている。彼らは、密封された喫煙室を作るお金など無いと言う。
「人々の生活がこれにかかっているのです。」と東京のゴールデン街で小さなバーを経営しているモリタヨシエさんは言う。
「多くの人が、日本では、受動喫煙を避ける方策が遅れていると考えていて、そのためにこの法案を作ることを決めました。」と与党健康部のトカシキナオミさんは言う。
「この調子では、この案を法律にすることは出来ません。」とトカシキさんは言う。「私はとても心配しています。」
禁煙法案を通すのが難しいのは、政府と日本たばこ株式会社との関係にもある。日本たばこは以前は国が100%保有する独占企業だったが、今でも財務省が1/3の株式を保有している。
日本政府は、今年度、たばこ税から9,230億円(81億ドル)の税収を見込んでいる。これは、国の税収の1%に当たる。
日本たばこは、喫煙規制は人々の選択の自由を尊重するべきだと主張し、厚生労働省の案は、バランスを欠いていて、不合理で行き過ぎだとしている。
厚生労働省は、サービス業や与党議員の批判をかわすために、先週水曜日に、法律ガイドラインの最新版を公表した。関係者によれば、320平方スクエアフィート以下のバーにはこの法律は適用されない方向だ。
日本は、世界の裕福な国々の中で、反喫煙の最後の戦場だ。アメリカでは、国の法律でも地方の法律でも、幾つかの州で例外はあるものの、一般的には公の場での喫煙が禁止されている。

政治家は、安倍首相にとって喫煙制限を実現させる時間は足りなくなってきているとする。310日が6月に会期末を迎える今国会で法案を成立させるための、提出期限だ。一部の厚生労働省の役人は、期限を無視してでも提出するとしている。