Friday, March 31, 2017

*** 3月のまとめ ***

3月にWSJに掲載された日本関係の記事は11件。2016年の1月当りの平均が9.6件だったので、少し多めだった

テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が4件、社会関係が3件だった。

政治関係では、3月6日の北朝鮮のミサイル発射について、WSJは4回も取り上げた。まず、7日に速報、更に9日には「ミサイル発射を受けて日本が敵基地先制攻撃能力の保有を検討し始めたこと」、17日には「15日に来日したティラーソン国務長官が岸田外務大臣との会談でこの問題を大きく取り上げたこと」、翌18日には「17日に男鹿市で北朝鮮のミサイル攻撃を想定した避難訓練が行われたこと」を取り上げた。ひとつのニュースがこれだけ多く取り上げられるのも珍しい。

経済関係では、3日に消費者物価指数が1年1ヶ月ぶりに上昇したことを、16日には非正規従業員の給与の方が正規従業員よりも上昇していることを伝えた。安倍首相の訪欧による日EU貿易協定締結への努力については、20日、22日と2回取り上げた。

社会関係では、7日に日本では様々な事情により、喫煙禁止法の成立が困難であることを、11日には3.11関連記事として、福島原発の廃炉に向けた道のりが気が遠くなるほど遠いことを、28日には、那須町のスキー場で登山訓練中の高校生ら8名が雪崩に巻き込まれて死亡したことを報道した。

掲載箇所では、1面が1件、国際面が10件だった

Tuesday, March 28, 2017

学校の実地訓練で雪崩により8人が死亡【A9面(国際面)】

3月27日に那須町のスキー場で発生した雪崩により、高校生7名を含む8名が死亡したが、WSJはこのニュースを翌日28日の国際面で取り上げた。


共同通信からの引用で、事実を簡潔に伝えている。

***** 以下本文 *****
雪崩によって、7人の日本人高校生と1人の教員が死亡した。当局によれば、彼らは、東京の北に位置するスキーリゾートで登山の実地訓練中だった。
日本の首都から120マイルほど離れた栃木県那須町で、50人近くの生徒たちと教員らが、月曜にに雪崩に巻き込まれた。
県によれば、警察は8人の死亡を月曜日の午後に確認した。
県の報告によれば、2人の重傷を含む、40人のけが人がでた。

Wednesday, March 22, 2017

EUと日本は貿易協定の加速を狙う【A8面(国際面)】

安倍首相は3月21日にベルギーでEU首脳と会談したが、WSJは22日の国際面でこのニュースを速報した。

安倍首相とEU首脳は、日本とEU間の貿易交渉の締結を急ぐことで一致し、世界に広がる保護主義の動きに釘を刺したとしている。また、先週G20蔵相会談で米国が保護主義の動きを鮮明に打ち出し、来週には英国がEU離脱交渉を開始するが、この訪問は保護主義を象徴するこうしたイベントの間に行われたということで、タイミング的にも意味があるとしている。

***** 以下本文 *****
EUと日本のリーダーたちは、今年中にも貿易協定が締結出来る様に、交渉を急ぐことを約束した。これにより、米国の保護主義に対抗し、弱々しい経済成長を貿易を増やすことによって強化することを狙う。
日本の安倍首相はEUのトゥスク大統領やユンケル委員長と火曜日にブリュッセルで会談した。この会談で、地球規模の問題の解決に向けて協力して取り組むために、経済、政治、安全保障面での関係を強化していくことで一致した。
首脳たちは、保護主義が蔓延しつつある中、彼らが推進する自由貿易協定は、グローバル貿易を推進するための旗手であるとしている。トランプ大統領を名指しすることはなかったが、彼の多国間協定への批判は、米国のパートナー国を不安にしている。
「我々はこの協定が必要だと考える。公正で自由なルールに基づいた貿易が重要だと信じるから。」とユンケル氏は語った。「我々は、孤立主義に戻るのではなく、世界に目を開き続けていきたい。」
安倍氏のEUの首都への訪問は、先週のG20の直後といタイミングで実施された。そこでは、トランプ大統領が、世界の大国に対し、反保護主義の考えを捨てる様に圧力をかけた。
日本の首脳の訪問は、英国のEU離脱に関する話合いが開始される1週間前というタイミングでもある。EUは28に及ぶ国々が貿易を通じて結びつくことを60年にわたった推進してきたものだ。
「保護主義強化の傾向が見られる中、日本と欧州が米国とも連携して、世界に向けて自由貿易の旗を掲げてモデルとなっていくことが重要だ。」と安倍首相は、トゥスク氏やユンケル氏との記者会見の場で述べた。
安倍首相は、EUとの貿易交渉を出来るだけ早く行いたいと述べたが、一方で、トランプ大統領は同様の譲歩を日本に求めて来るだろう。
安倍氏に同行している外務省の金子万里子報道官は、首脳会談の後、EUとの交渉が米国との交渉に影響を与えるとは考えていないと述べた。
「2国間協定は、両サイドのバランスの上になされる。」と金子氏は述べた。「日本とEUの経済関係と、日本と米国の経済関係は、同じではない。」
日本は経済だけでなく、益々攻撃的になる中国やならず者国家である北朝鮮への防衛面でも、米国に依存している。
日本の重要な安全保障面の問題に同意して、ユンケル氏はEUは北朝鮮への制裁を継続すると述べた。また。核兵器開発を追求していることを非常に懸念しているし、北朝鮮に更に圧力をかけるために更なる追加制裁も検討していると述べた。

Monday, March 20, 2017

貿易に関する意見の違いが、サミットを支配【A1面】

2月17~18日に開催されたG20蔵相会議について、WSJは20日の1面で取り上げたが、安倍首相とメルケル首相がハノーバーで会談した写真を大きく掲載し、日本が米国と他国の橋渡し役とになろうとしていることに触れた。


 日本は、G20関係諸国と貿易について対抗する意思はないし、米国についての他国の過熱した態度に賛成する意思もないとしている。WSJ自身が、トランプ氏の保護主義的な動きに批判的で、米国の新聞を読んでいる感じがしない。一方で、米国にかわって自由主義の盟主的な発言をする中国に対しては、実質が伴っていないと手厳しい。そんな中、日本には米国と他国の橋渡し役になって欲しいという気持ちが読み取れるがどうだろうか?

***** 以下本文 *****
米国のムニューチン財務長官は、関係国による協調した対応を拒否し、先進20ヶ国の蔵相を説得して、かれらが注意深く準備した合意文の中から、保護主義反対の文言を削除させた。
米国にとって、最終的に合意書に表記された文章は、米国が貿易相手国を懲らしめるために制裁などの政策を実施することを可能にしているし、トランプ政権は公正では無いとしている経済政策を無効にさせることも可能だ。
ムニューチン氏が直面するプレシャーにもかかわらず、米国は最後の拠り所となる世界の消費者として大きな力を維持していることを示した。
G20の参加者たちは、米国に対し、あまり攻撃的になりすぎると、報復を受けると警告したが、ムニューチン氏は、米国はいかなる貿易戦争も回避したいが、同時に好ましくない貿易関係は調整したいと述べた。
今年のG20開催国であるドイツのメルケル首相は、トランプ大統領と会談した2日後の日曜日に、貿易に関する世界的な緊張についてフラストレーションを表明した。トランプ氏は自由で公正な貿易を支持すると述べたが、米国と欧州の大西洋を越えた話合いは止まったままだ。
「多くの人々と自由貿易や開かれた国境、民主主義の価値などについて戦わねばならない時に、日本とドイツが戦わないのは良いサインだ。」とドイツのハノーバーでの日本の安倍首相との会談後に彼女は語った。
米国やトランプ氏の名指しは避けたが、彼女のコメントは明らかに彼らに向けられている。「我々は、自由でオープンな市場を望んでいる。いかなる壁も作り出したくない。」とメルケル氏は述べた。
トランプ氏は、貿易を彼の経済政策の中心に据えており、ドイツ、中国、メキシコなどの国々からより良い条件を引き出すことを公約している。
「米国は、多くの国々から何年にもわたって、とても不公正に扱われてきた。」と、トランプ氏はメルケル氏と会談する前の金曜日に述べた。「それは止めなければならない。」
しかし、トランプ大統領は、有利な貿易条件を引き出すために、どの程度真剣に戦うつもりなのか、どういった戦術を使うのかといった点について明らかにしていないので、米国の貿易相手国は、よく理解できないし、フラストレーションをすら感じている。
トランプ氏は、貿易における米国の地位を改善させるために、NAFTA条約を書換えることを公約し、米国への輸入品への関税や、海外にアウトソーシングする企業に対する罰金などの、これまでと違った方策を導入するといって脅している。
日曜日に出されたG20の宣言文からは、これまでの公約であった「あらゆる形の保護主義に対抗する。」という文言が削除された。昨年7月に各国蔵相が中国に集まった際に合意した文章には、この文言が含まれていたのにもかかわらず。
G20高官によれば、米国以外のG20出席者の殆どが、この文言を残すように会議でムニューチン氏に迫ったが失敗した。
「明らかに、今回の合意書は、これまでG20が作ってきた合意書の中で最善のものではない。」とEU蔵相のピエールモスコヴィッチ氏はインタビューに答えて述べた。
G20の公約は拘束力は無いが、メンバーの国々は外交を通じたグループの力にさらされることになる。例えば、過去の米国政権は、G20は中国に為替レートを尊重する様に仕向けるのに効果的だったし、EUにソヴェリン債へのリスクへのより良い金融的なファイヤーウォールを築かせる様に仕向けるのにも効果的だったと考えてきた。
土曜日の記者会見で、ムニューチン氏は、過去の保護主義についての文言について「私の見方では、必ずしも適切ではない。」と述べた。彼はまた、幾つかのグローバルな貿易協定は実行されていないし、新政権はそうすることに積極的だとも述べた。
国境を越えた貿易協定は、米国にも他に国々にとっても有益だと、トランプ政権の経済使節団代表は述べた。「我々は、米国の労働者、米国自身、そしてその相手国にとって有益になる様に、協定を締結していくつもりだ。」と彼は言った。
バーデンバーデンでの会議を主催したドイツのウルフギャングショーブル蔵相は、トランプ経済使節団代表が貿易政策についてのヴィジョンを語ってくれることを望んでいた。トランプ政権の貿易政策は、大統領とホワイトハウスによる最も攻撃的な脅しで、貿易相手国に対する一方的な関税や、罰則的な制裁を含んでいる。
しかし、G20の議長は障害に突き当たった。
ショーブル氏は記者会見で、ムニューチン氏は、貿易に関する新しい公約や創造的な公約を交渉しようという気持ちは無いようだと述べた。
「時には、こうした会議では、一国についてあまり聞きすぎない様に自制すべきだ。いずれにしても、あまり要求しないことだ。要求すれば、単純に合意しないだけなのだから。」とショーブル氏は述べた。
過去にG20が公約してきた保護主義への反対を再び宣言することへの文章での合意を米国から得ること失敗して、多くの国々はトランプ政権が最終的に貿易についてどこへ向かおうとしているのか良く分からないままに、会議会場から去っていった。
財務長官は、自由で公正な貿易を推進する彼のボスの見方を展開した。
元フランスの財務大臣であるモスコヴィッチ氏は、ムニューチンを「建設的な関与を望み」「人の話を聞く姿勢で」欧州にやってきた人と評した。彼は、会議は参加国同士がぶつかるものではなく、「新政権の見方を確認しようと努力すること」に時間が費やされたと述べた。
それでもモスコヴィッチ氏は、保護主義や天候変化と戦うというより鮮明な言明が無かったことを残念がった。そして、EUはオープンで機能する市場の価値を損なうようないかなる手段も押し返すつもりだと公約した。
会議において、ブラジルのエンリケメイレリス蔵相は、G20諸国に彼の国が保護主義によって経験したことを語った。ブラジルは、最近史上最悪のリセッションを経験したのだ。
「我々は、ここ数年、経済の一部のセクターで保護主義的な政策を導入しましたが、結果ははかばかしいものではありませんでした。」とメイレリス氏はインタビューに応えて述べた。「最終的に、物価は上昇し、ブラジルの競争力は低下しました。ブラジルでは今、よりオープンな貿易政策へと動き出しています。」
中国は、保護主義反対の文言を残すように最も強く働きかけた国の一つだった。中国では、産業や国境を超えるフロー、為替レートなどは、今でも共産党によって管理されているにもかかわらずだ。
「中国は自らを、自由でオープンな貿易の推進者と位置づけようとしている。」と米国の元財務関係外交官のトップだったナサンシーツ氏は言う。「しかし、中国を信用するためには、中国はその経済を開かれたものとし、自由化するために、本当の意味での一歩を踏み出さねばならない。」

米国の代表団は、日本が米国に同調するという貴重な態度を示してくれたことに感謝した。日本はミュニーチン氏の擁護に回り、米国の保護主義についての言動は加熱気味だと述べた。

Saturday, March 18, 2017

日本の北西海岸でミサイル攻撃を想定した避難訓練が実施された【A6面(国際面)】

日本政府は3月17日、北朝鮮の弾道ミサイルが日本に飛来する事態を想定した初の住民避難訓練を秋田県男鹿市で実施したが、WSJはこのニュースを翌18日の国際面で速報した。



男鹿市の住民の多くは、北朝鮮のミサイルは男鹿市に着弾することはないだろうと楽観的に考えている。一方、悲観的な住民は、ミサイル着弾の前に、国から警報が届くのか心配している。実際に、今月7発が同時発射された際にも、水産庁が日本周辺の漁船に伝えたのは、落下してから20分も経過してからだったとしている。これでは非難警告が出させる前に、ミサイルが着弾することになり、この避難訓練そのものが茶番だと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
地元民がコミュニティセンターに駆け込んでいく間にも、北朝鮮のミサイルが近づいていることをサイレンが知らせている。これは、北朝鮮の脅威が高まる中で行われた、日本で最初の非難訓練だ。
「ミサイルが発射された様です。」金曜日にスピーカーの声が警告した。
昨年北朝鮮が打ち上げた数発のミサイルが海に着水したが、日本の北西沿岸にある男鹿市は着水地点から最も近い市の1つだ。
こうした訓練は米国で行われた有名なダックアンドカバー訓練のレベルまでには達していない。ダックアンドカバー訓練は、何世代にもわたって米国の学生が、ソビエトからの核の脅威に対して自分たちを守るために行ってきたものだ。北朝鮮のミサイルプログラムや核プログラムは進化しているものの、男鹿市の人々は自分たちが狙われることはないと思っているし、日本は比較的強力なミサイル防衛力を持っている。
北朝鮮の脅威が高まるにつれ、政府はより積極的な対応を考えている。タカ派の政治家たちは、日本への攻撃が明らかな場合には、北朝鮮のミサイル基地を攻撃できる能力をもつことを要求し始めた
金曜日に、日本は、北朝鮮のミサイル基地への監視を強めるために、情報収集衛星を打ち上げた。日本は、今週、北朝鮮が7発のミサイルを打ち上げてからから20分経過するまで、漁船に対し、何の警告も発信されなかったことを発表した。
金曜日の訓練は小規模のものだった。29,000人の市民のうち110人だけが参加を要請され、警報が発せられた後、学校やコミュニティーセンターに集まった。市側は、非難センターに、強靭な建物を選んだ。この建物なら、実際の攻撃の蔡に、ミサイル着弾に伴う爆発や爆発物の落下から住民を守ることが出来る。
住民の中には、北朝鮮からの攻撃が本当にあるのか懐疑的な人もいる。しかし、北朝鮮からのミサイルが昨年8月に市から150キロの地点に落下し、その後9月に3発、今月に4発が同様の地点に落下したことによって、住民の懸念は高まったという人もいる。
最近のミサイル発射の後、北朝鮮は、日本にある米軍基地攻撃を想定した演習だったと発表した。米軍基地は男鹿市から北東に120マイル離れた地点にある。日本の軍事レーダーは、避難訓練が行われた地点にほど近い丘に設置されている。
「避難訓練は、心理的に準備を整えるために良いことだ。」と、自治会の会長であるタカノススムさん(77歳)は言う。「でも、ミサイル発射の知らせが、着弾の前に届くのか心配です。」
金曜日の避難訓練は、日本政府によって設定されたものだ。日本政府こそが、ミサイル発射の緊急情報を地元自治体に伝える役割を担っているのだ。

Friday, March 17, 2017

ティラーソン国務長官は、北朝鮮問題で、中国に圧力をかける【A9面(国際面)】

315日にティラーソン国務長官が来日したが、WSJ17の国際面で取り上げた。



岸田外務大臣との会談後の記者会見が、ティラーソンが国務長官に就任して初の記者会見だとし、同氏が記者会見の中で、これまでの米国の対北朝鮮政策は失敗だったこと、この問題について中国と話し合うことになることなどに言及したとしている。その上で、北朝鮮問題に対する米中間の対応には食い違いがあるとしている、

***** 以下本文 *****
ティラーソン国務長官は、北朝鮮への過去20年間にわたるアプローチを失敗だったと切り捨て、北朝鮮の核の脅威に対し、中国と共により強固なスタンスを取ることを示唆した。
日本の岸田外務大臣と会談した後、ティラーソン氏は2月に就任して以来初めての記者会見に臨んだが、トランプ政権の北朝鮮政策の検討状況については、多くを語らなかった。
その代り、ティラーソン氏は、北朝鮮にとって経済、政治面での最大の支援者である中国の影響について語った。彼は中国の近習平主席と土曜日に会う予定だ。
北朝鮮にこれまでと違った態度を取らせるために最適なアクションについて、中国と話し合うことになるだろう。」と彼は語った。
ティラーソン氏は、記者会見の後、安倍首相とも会った。日本の外務省によれば、二人は日米関係の重要性について確認し、併せて、北朝鮮の脅威に対応するためには韓国を含めた3ヶ国の連携が重要であることも確認した。
米国のこれまでの政権は、中国は北朝鮮の核開発を阻止する力があるとみており、中国に何とかして北朝鮮に対する制裁を強化させようとしてきた。北朝鮮の貿易の90%は中国との間のものだ。
中国は、北朝鮮との会話が重要だとしているが、一方で、ここ数年は国連による北朝鮮への制裁にも参加している。今月、中国は、北朝鮮の核兵器プログラムと米韓共同演習の中止を同時に提案し、非核化への対話を再開させるための下地を作ろうとした。米国はこの案を拒否した。中国外務省報道官の華春瑩は、木曜日に、中国の提案を擁護し、中国の提案は、緊張を緩和し、交渉再開のきっかけを作ると述べた。
華氏は定例記者会見で「我々の提案はこの問題の核心を捉えている。」と述べた。更に「現状では、これが唯一の実行可能な計画だと思っている。もし米国側がより良い提案をお持ちなら、是非提案頂きたい。」とも付け加えた。
孤立した北朝鮮は、今年に入って、米国本土を攻撃可能なミサイルテストの準備が整ったとしており、核とミサイルプログラムに対処する緊急性が高まっている。

Thursday, March 16, 2017

日本では、パートタイム労働者が報われる【A24面(国際面)】

日本では正規労働者よりも非正規労働者の賃金の伸びが大きいというニュースが、16日の紙面に掲載された。



日本の大企業では、春闘の回答金額が軒並み昨年よりも低いが、非正規従業員の時給の伸びは大きいとしている。これは、非正規従業員の賃金は一旦上げても、不況になると簡単に下げられるが、終身雇用制の日本では正規従業員の賃金は一旦上げると下げるのが困難だからだとしている。また、低賃金労働者の賃金上昇率が高いのは世界的な傾向だとしている。

***** 以下本文 *****
 労働力不足のおかげで、日本の非正規従業員やパートタイマーは、正規従業員よりも大きな昇給を得られそうだ。世界にで低賃金労働者への昇給の動きが広がっているが、この反転現象もその一つだ。
水曜日に、日本の大企業の中の数社が、正規従業員に対して、今年は緩やかな昇給しか出来ないと述べた。多くの場合、昨年よりも昇給額が少ない。トヨタ自動車は賃金交渉の先導役とされるが、家族手当は年功による昇給などを除き、月当たり1,300円(11ドル)の昇給を決めた。これは、昨年の1,500円の昇給を下回る。パナソニックやNECといった大手メーカーは、昨年の昇給額は1,500円だったが、今年は1,000円だ。
反対に、先週のデータによれば、パートタイマーの契約社員は、これより大きな昇給を得ている。1月にパートタイマーの時給は前年比で2.6%上昇した。これに対して正規従業員のベース賃金の上昇は0.4%だ。
パートタイムの仕事の紹介サイトであるBスタイルでは、平均的な時給は1,087円で、この2ヶ月で7%以上上昇した。
「出生率の低下により、労働力不足が広がっています。時給を上げなければ、人材を確保出来ません。」とBスタイルの調査部門ヘッドのカワカミケイタロウさんは言う。
企業にとっては、パートタイマーの賃金を上げる方が簡単だと考えている。経済が下降気味の時には、逆に賃金をすぐに下げることが出来るからだ。一方で、大企業において終身雇用制が根強く残っている日本においては、正規従業員の賃金をカットするのは難しい。
日本では、約20年という長い間にわたって、価格の上昇が遅いか、価格が下落する傾向が続いている。従って、経営者は、たまたま景気が一時的に良くても、パートタイマーを含む全ての労働者の賃金の上昇を抑えてきた。
しかし、今やこうした状況に変化が出てきている。パート、テンプ、契約社員の様な非正規従業員が経済に占める割合が増えるに従って、変化が大きくなっている。厚生労働省によれば、正規従業員の割合は10年前には33%だったが、2016年には37.5%に達している。社会学者によれば、非正規従業員の多くが結婚して家族を持つことをためらっており、これが人口が減少する日本において問題となっている。
最近は欧米でも同様の兆しが見られる。ここ数10年格差の広がりが懸念されていたが、賃金の低い労働者への賃金が上昇している。
「労働市場において、労働力不足なのは世界的な傾向だ。」とキャピタルエコノミクスのエコノミストであるマーセル・シーリアント氏は言う。「米国では、強い賃金上昇の兆しがはっきりと見られる。このことが、連邦準備銀行が利上げに非常に積極的な理由の一つになっている。
今月発表されたレポートによれば、ワシントンのシンクタンクである経済政策インスティトュートは2016年に米国の労働者の最低賃金層において、最も大きい賃金上昇を見出した。賃金が
最も低い20%の人々の賃金は6.4%上昇したが、賃金が最も高い5%の人々の賃金は1.7%しか上昇しなかった。
安倍首相は、日本の労働者が、失業の心配のない正規労働者と、低賃金と不安定な雇用に悩む非正規従業員の2つの層に分かれているのは良くないと指摘した。彼は、経済成長を加速させるために、大企業に正規、非正規両方の従業員の給与を上げる様に要求している。

Saturday, March 11, 2017

福島の真実が分からないことが原発産業に影を落とす【A8面(国際面)】

WSJは、311日に東日本大震災による福島第一原発事故について取り上げた。



原発事故から6年が経過したが、未だに、炉内の損傷状況すら分からない状況が続いている。炉内は放射線量が多すぎて人間は入れないので、ロボットに調査作業をさせようと試みているが、ロボットですら炉内では故障してしまう。このため、メルトダウンの原因すら未だに分からず、他の原子力発電所の再稼働に対して国民は大きな不安を抱いている
また、炉内の状況が分からないので、廃炉に向けてどういったアクションが必要かも分からない。従って、廃炉に向けたロードマップすら作成出来ない。一度、事故を起こしてしまうと廃炉すら出来ないという現実。そして、一旦汚染してしまった地区は、避難勧告が解除されても、住民が戻ってこないという現実。考えさせられる記事だ。

***** 以下本文 *****
日本の原発の惨事から6年が経過したが、かつて世界最大規模を誇った原発産業の再建は困難を極めている。原発事故について分からないことが多すぎて、原発再稼働に対する国民の反対が根強いからだ。
2011311日の地震と津波は、福島第一原発を機能不全に陥れ、それにより、何万にもの人々が避難生活を強いられ、汚染除去と補償費用は1,800億ドルにのぼる。しかし、政府は、311日の後、何が起きたのか正確に把握していない。
最近では、カメラ付きで、炉内をはい回ることが出来る「サソリ型の2足歩行ロボット」を使って、損傷状況を調査しようとしたが失敗に終わった。原子炉の中のどこに放射性の強い溶融燃料があるのかを示す写真を写すことができなかったのだ。その答え無しには、廃炉作業は開始出来ない。また、原子炉の損傷に地震が果たした役割や、メルトダウンが始まった原因などについても分かっていない。
「原発事故の真実はよく分からないままだ。」と、福島第一原発の建設に携わった技術者であるタナカミツヒコさんは、最近の記者会見の中で述べた。
原発事故の後、日本にある16の原子力発電所にある40基の原子炉は、全て停止していた。安全に対する懸念から、そのうち3つを除いた全ての原子炉が今でも停止したままだが、原発事故の後、何が起きなか正確に分からないため、こうした安全に対する懸念が増すばかりだ。原発反対を掲げて当選した新潟県知事は、福島で起きたことに関して更なる情報が提示されない限り、県内にある日本最大の原発の再稼働を目指したいかなる試みにも反対するとしている。
日本における脱原発の動きは、多くの国で起きている大きな潮流の一部だ。日米両国において、安価な天然ガスの供給により、原発の重要性は急速に弱まっている。
しかし、日本はエネルギーは輸入に依存しているため、原発を再開すべきか否かの議論は継続するだろう。従って、福島の問題をきちんと解決することが、原子力をエネルギー源として受け入れてもらうのには重要だ。
福島の事故は、4つの内3つの原子炉で核燃料棒のメルトダウンを起こし、燃料が漏れて原子炉の床で燃え尽きた。原子炉内部の放射能は、人間を数分で死亡させるのに十分な量だ。
東京電力は、今年の夏に、廃炉に向けての新しいロードマップを作成することを目指している。しかし、何を洗浄しなければならないかもはっきりしない。廃炉までのプロセスは、完了するまでに3040年かかると推測される。
東電のサソリ型のロボットは、放射性物質の上を登っているときに、転倒して動作不能となった。サソリ型のロボットが進む道を作るもう一台のロボットも、作業開始から2時間で戻って来なければならなかった。放射性物質の被ばく量が1,000シーベルトに達した際に、2のカメラが真っ暗になってしまったからだ。1,000シーベルトは、人間を死亡に至らしめる被ばく量の数十倍の量だ。
「我々が出来るのは、せいぜい内部を少し覗き見ることくらいだ。」と昨年の7月にマヒ状態の原発の所長となったウチダシュンジ氏は言う。廃棄物が見つかって除去された場合、その廃棄物を東電がどこに運んでいけば良いのかもはっきりしていない。福島の人々は、核廃棄物を発電所にそのまま残すことに強く反対している。他の地域に移動させることによって、地域についた汚名をはらそうとしている。近郊の都市で、放射能が下がったことにより、政府は非難区域を縮小している。しかし、地域を再建するのは難しいことが分かってきている。
原発から12マイルの所にある楢葉町では、20152月に避難命令が解除されたが、ふるさとに戻ってきた住民は10%にすぎない。発電所に続く道は、6,000人の従業員の通勤のため、朝晩は混雑する。しかし、多くのビルは空き家のままだ。
東電の従業員は、最近楢葉町を訪問して、今年4月に開校予定の楢葉小学校と楢葉中学校で、本や設備を整理するのを手伝った。この学校は、他の3つの学校を統合したものだが、115人しか生徒がいない。原発事故の前には、全部の学校をあわせて600人の生徒がいたにもかかわらず。
「ここで生活するのは大変です。多くの生徒が、完全に復旧するのを待っているので、帰ってきません。」と教頭のホリウチヒロシさんは言う。原発の近くにあるホリウチさんの家はいまだに立入禁止だ。

学校の野球場の隣では、大きな線量計が放射能レベルを計測している。そして、その数マイル先には、汚染した土を詰めた数百もの黒いバッグが横たわっているのだ。

Thursday, March 9, 2017

北朝鮮のミサイル計画により、日本が敵基地先制攻撃能力を保有すべきだとの主張は新しい段階へ【A8面(国際面)】

北朝鮮の度重なる軍事挑発に直面し、日本の有力政治家達は、核武装を進める迷惑な隣国に対する、先制攻撃能力の開発・保持を、強く推し進めようとしているという記事が、9日の国際面に掲載された。



自民党が議会で圧倒的多数を得ており、しかも野党の民主党も賛成、これまで反対に回ってきたアメリカも、トランプ政権になって賛成に回る可能性があるとしており、日本の敵基地攻撃を目的として先制攻撃能力保有の可能性が現実味を帯びてきたとしてる。但し、こうした動きに韓国・中国は反対しており、それが地域の不安定化につながるのではないかという懸念も示している。

***** 以下本文 ***** 
北朝鮮が核ミサイルプログラムを推進しているが、こうした北朝鮮の動きが、タカ派の日本の議員を勢いづけている。彼らは、日本が北朝鮮のミサイルによる喫緊の脅威に晒された場合、日本が、北朝鮮のミサイル発射場を先制攻撃出来る様にすべきだと主張している。
自民党の今津寛・安全保障調査会長は、ウォールストリートジャーナルのインタビューに答えて、海外の敵軍事基地を攻撃するためのガイドラインを含む提言を、今年夏前までに作成する計画だと述べた。
こうした考え方は、過去に何回も提案されては消えたが、北朝鮮は月曜日の複数のミサイル発射は、在日米軍基地への攻撃を想定した訓練だったと述べており、こうした北朝鮮の主張が日本に敵基地先制攻撃を目的とした軍事力を持つべきだという見方を強めている。
「我々は、現実に立ち向かわねばならない。もし何もしなければ、北朝鮮が我々を攻撃することを黙ってみていることになる。それではあまりに無責任だ。」と元防衛副大臣で、野党の民進党の議員である長島昭久氏は言う。
こうした動きは、北朝鮮の先端核兵器装備プログラムが北東アジアの安全保障環境に如何に暗い影を投げかけているかの1つの例だ。北朝鮮は、アメリカ本土を長距離核兵器で脅かす能力を保有しようとしており、多くの専門家が、既に近隣諸国に対して同様の攻撃が可能な能力を保有しているとしている。
火曜日に、韓国は、北朝鮮の攻撃に対する新しいミサイル防衛システムのバッテリー部分の最初の部品を受け取った。THAADと呼ばれるこの防衛システムの展開は、中国からの報復の可能性を孕んでいる。中国は、THAADは中国の安全保障上の権益を脅かすと主張している。
日本が、北朝鮮を攻撃する能力を保有すれば、同じように中国の怒りを買うことになるだろう。日本が中国の軍事施設の一部も攻撃可能になるからだ。
そうした日本の動きは、韓国が日本に対して持っている不信感を更に助長することになるだろう。韓国は、20世紀の初頭に日本に植民地化されたが、それ以来韓国には日本の再軍備化に対する恐怖が存在する。
アメリカは、これまでは、日本が敵基地先制攻撃能力を持つことによって、地域の安定が損なわれることに対して、懸念を表明してきた。しかし、トランプ政権が、日本のそうした動きに対して、どの様な考えを持っているのかは不明だ。
在日アメリカ大使館は、トランプ政権に問合せをした。マティス国防長官は、最近日本を訪問したが、その際に日本とアメリカは、防衛能力を強化する必要があると述べた。
安倍首相率いる自民党の上級幹部の数名は、ここ数年、北朝鮮のミサイルテストが実施されるたびに、日本が敵基地先制攻撃能力をもつべきだと提案してきた。

自民党は、議会で圧倒的な過半数を得ている。60%という高い支持率を得ている安倍首相は、2018年の終わりまで総選挙を行う必要が無い。民進党の幹部は注意深くはあるが敵基地に対する先制攻撃能力の保有について反対はしていない。

Tuesday, March 7, 2017

北朝鮮のミサイル実験が大陸間弾道ミサイルの脅威をかきたてる【A7面(国際面)】

北朝鮮は、36日、日本に向かって4基の弾道ミサイルを発射したが、WSJはこのニュースを翌7日の国際面で速報した。



このミサイル発射は、在日米軍への攻撃を念頭に置いていること、日本には主に沖縄を中心に54,000人の米兵が駐留していること、北朝鮮は日本もアメリカと共謀して北朝鮮への侵攻を目論んでいるとして非難していること、安倍首相とトランプ大統領が電話会議で両国が協力して対応することを確認したこと、稲田朋美防衛大臣がグアムでサードの視察をしたこと、日米韓が国際安保理に緊急会議の開催を求めたことなどを伝えている。緊迫した雰囲気が伝わってくる。

***** 以下本文 *****
北朝鮮による日本を狙った中距離ミサイルの発射は、北朝鮮がアメリカにとっての喫緊の脅威であることを示している。北朝鮮は、アメリカ西海岸を攻撃可能な大陸間弾道ミサイルを今年中に発射すると約束しているが、それを更に推し進める可能性があるからだ。
ミサイルの専門家は、月曜日に朝鮮半島の東の海洋上、北朝鮮北西部の発射地点から620マイルの地点に落下した4基の中距離ミサイルを確認していない。米軍の高官は、5つ目のミサイルの発射には失敗したと述べた。
北朝鮮の国営メディアは、火曜日に、ミサイルは日本の米軍基地を狙ったものだと伝えた。これは、北朝鮮の米軍への脅威は、アメリカ本国を攻撃可能な大陸間弾道ミサイルにのみ依存したものではないということを思い知らせるものだとも伝えた。
4基の弾道ミサイルの発射は金正恩主席の命令によるものだと、朝鮮中央テレビは伝えた。また、北朝鮮が、複数のミサイルを目標に向けて同時に発射する能力を持っていることも強調した。
また、発射は朝鮮人民軍の武器部隊によって行われたと、朝鮮中央テレビは伝えた。
アメリカは約54,000人の兵士を日本に駐留させている。85ヶ所の施設に分散しているが、その殆どは、南部の島である沖縄に集中している。韓国にも28,500人の米軍兵がいる。
北朝鮮は、米軍を駐留させているとして、韓国と日本を継続して非難してきた。北朝鮮がこの2国を非難するのはいるも春だ。この時期に、米軍と韓国軍が朝鮮半島で合同演習を行うからだ。
今回は、米韓合同演習の6日目にミサイルが発射された。北朝鮮は、演習は、北朝鮮への侵攻のリハーサルだとして非難してきた。アメリカは、演習は防衛が目的だとしている。
北朝鮮のミサイル実験の殆どは、日本方面の海洋を目標に行われている。1998年と2009年の実験では、ミサイルは本州を越えて太平洋に落下した。
北朝鮮は、韓国同様に、日本も、アメリカと共謀して、北朝鮮に侵攻して、攻撃により脅すつもりだとして非難する。
最新のミサイルのうち3基は、日本の北西岸から200マイルの地点に着水した。8月には、北朝鮮は同じ地域に着水するミサイルを発射、9月には更に3基のミサイルを発射した。稲田朋美防衛大臣は、グアムのアンダーソン空軍基地を訪れ、サード防衛システムを視察した。
韓国は、アメリカの支援のもと、サード防衛システムの展開を進めているが、火曜日にはオサンの米軍基地で最初の部品を受け取った。最初のサードの電池は、年内に実装される予定だ。北朝鮮と中国は、サードに強く反対している。
日本の安倍首相は、月曜日の夜にトランプ大統領と電話会談を行ったと語った。両首脳が、韓国と共に、この発射について、緊密に連携して対応していくことで一致したと安倍首相は述べた。
米国議会は、発射を強く非難し、議員はより強い制裁を検討している。国連のレポートが、北朝鮮は、企業や政府のネットワークの助けを借りて、国際制裁をすり抜けていると結論付けたが、ミサイルの発射はそれと時期をいつにして行われた。日本と韓国とアメリカは、月曜日に、このミサイル問題について、国連安保理事会が緊急会議を開催する様に要求した。

日本の喫煙への取組はうまくいっていない【A7面(国際面)】

WSJは、厚生労働省が、今国会に提出を予定している「禁煙法案」を巡るドタバタ劇について、7日の国際面で報道した。



日本の受動喫煙に対する対応が先進国の中で最も遅れていること、2020年のオリンピック開催決定を契機に日本政府がようやく重い腰をあげてこの問題に取り組もうとしていること、飲食業界などが禁煙スペースの設置費用負担が重いことを理由に反対していること、政府も日本たばこの株主であるため、またたばこ税が税収全体の1%を占めることから、本腰が入らないことなどを伝えている。

***** 以下本文 *****
日本政府は、日本初の全国を対象にして喫煙規制を導入しようとしているが、日本に深く根付く喫煙文化のせいで、この計画がトラブルに見舞われている。
日本では、食事をする際には、バーでもカフェでもレストランでも、自由に喫煙できる場合が殆どだ。与党自民党のロビーにすら喫煙ブースがある。なんと、健康を司る厚生労働省にすら、外に喫煙者のためのスペースを設けているのだ。
一方、民間企業や地方自治体では、最近、厳しい規制が導入されつつある。しかし、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定し、日本政府は初めて、レストランや病院や学校で、喫煙を禁止する法律の導入を真剣に考える様になった。
法案では、「病院」「ジム」「大学より下のレベルの学校」などについて、敷地内での喫煙を禁止している。
また、「劇場」「デパート」「大型レストラン」「コンサートも開催されるプロ野球スタジアム」等には、喫煙室を設けることを認めている。この規則を守らない喫煙者などには、罰金が科せられる。
カフェやレストランやバーのオーナーからこの法案に対する大きな反対の声が上がっている。彼らは、密封された喫煙室を作るお金など無いと言う。
「人々の生活がこれにかかっているのです。」と東京のゴールデン街で小さなバーを経営しているモリタヨシエさんは言う。
「多くの人が、日本では、受動喫煙を避ける方策が遅れていると考えていて、そのためにこの法案を作ることを決めました。」と与党健康部のトカシキナオミさんは言う。
「この調子では、この案を法律にすることは出来ません。」とトカシキさんは言う。「私はとても心配しています。」
禁煙法案を通すのが難しいのは、政府と日本たばこ株式会社との関係にもある。日本たばこは以前は国が100%保有する独占企業だったが、今でも財務省が1/3の株式を保有している。
日本政府は、今年度、たばこ税から9,230億円(81億ドル)の税収を見込んでいる。これは、国の税収の1%に当たる。
日本たばこは、喫煙規制は人々の選択の自由を尊重するべきだと主張し、厚生労働省の案は、バランスを欠いていて、不合理で行き過ぎだとしている。
厚生労働省は、サービス業や与党議員の批判をかわすために、先週水曜日に、法律ガイドラインの最新版を公表した。関係者によれば、320平方スクエアフィート以下のバーにはこの法律は適用されない方向だ。
日本は、世界の裕福な国々の中で、反喫煙の最後の戦場だ。アメリカでは、国の法律でも地方の法律でも、幾つかの州で例外はあるものの、一般的には公の場での喫煙が禁止されている。

政治家は、安倍首相にとって喫煙制限を実現させる時間は足りなくなってきているとする。310日が6月に会期末を迎える今国会で法案を成立させるための、提出期限だ。一部の厚生労働省の役人は、期限を無視してでも提出するとしている。

Friday, March 3, 2017

原油価格の高騰によりインフレが戻る【A8面(国際面)】

総務省が3日発表した1月の全国消費者物価指数は、コアCPIが前年比0.1%上昇したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。


価格上昇は201512月以来11ヶ月ぶりだが、上昇幅は小さく、日銀目標の2%に遠く及ばないとしている。

***** 以下本文 *****
日本の1月の消費者物価は、1年以上ぶりに上昇に転じた。世界的な原油価格の高騰が、安倍首相と日銀が進めるデフレ脱却の政策に助け舟を出した形だ。
金曜日に総務省が発表したデータによれば、コアCPIは、12に前年比で0.2%下落した後、1月には前年比で上昇に転じた。
価格上昇は、201512月以来だ。コアCPIは、生鮮食料品を除いているが、エネルギー製品を含んでいる。結果は、エコノミストの予測と合致している。
日本における価格上昇への回帰は、高い燃料と商品の高騰によって消費者物価が上昇し、世界的にインフレの兆しが見られることと一致する。こうした動きは、中央銀行にのしかかる価格上昇へのプレッシャーを緩和している。連邦中央銀行を含む幾つかの中央銀行は、既にインフレ目標が過剰に達成されない様に、金融引締政策を導入している。
しかし、1月に日本の価格が少し上昇したと言っても、日銀が目標とする2%の上昇からは程遠い。失業率は減少しているが、インフレを継続させるためには、国内消費がもっと強さを示す必要がある。