Tuesday, March 31, 2015

** 3月のまとめ **

3月にWSJに掲載された日本関係の記事は12件だった。平均より若干少ない。

テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が4件、社会関係が4件だった。

政治関係では、「選挙年齢引下げ」「AIIBに日本が参加の可能性」「翁長知事の米軍新基地建設中止命令」「軍学共同の広がり」の4つ。選挙年齢引下げの背後には、憲法改正アレルギーの少ない若者層を取り込んで憲法改正を進めようとする安倍首相の意図があるとか、軍学共同を主導しているのは安倍首相だとか、安倍首相のタカ派ぶりを強調し、それを歓迎している様にも読める。

経済関係では、「日本の失業率が低いのは非正規従業員が増えたから。」「日本の円安政策はうまくいっていない。」「3月27日発表の全国消費者物価指数」「3月30日発表の鉱工業生産指数」の4件。消費者物価指数は前年比ゼロ成長、鉱工業指数は3ヶ月ぶりのマイナスと、悲観的なデータが並ぶが、安倍首相と黒田総裁の政策は基本的に指示している様に読める。但し、安倍首相が第三の矢を十分に放っていないことはいつもながら厳しく批判。

社会関係では、「淡路島5人殺人事件」「風評被害に苦しむ飯館村の農家の実情」「ケネディ駐日大使脅迫電話」「米大使館脅迫電話の犯人逮捕」の4件。いつもながら、原発問題については詳しく報道しており、3月11日の前日に掲載された飯館村の農家のレポートも力作だ。

掲載箇所では、国際面が11回、社説が1回だった。
社説では、何故日本の円安政策がうまくいっていないかを丁寧に説明し、欧州が似た様な状況にあるとして、欧州に対する警告を発している。

今月の12件の記事だけ読むと、日本は、軍備増強に走り、景気は悪化し、原発問題を抱える悲しい国に見える。

Monday, March 30, 2015

日本は軍事研究への反対に揺さぶりをかける【A9面(国際面)】

日本で軍学共同の動きが広がっていることを国際面で取り上げている。



ここ数年軍学共同の動きが広がり、今国会では遂に防衛相から大学への直接の補助金が認められる見通し。安倍政権がこうした動きを主導していて、アメリカも後押ししていると述べている。軍学共同そのものには必ずしも反対していないが、研究結果がどの様に使われるかには注意が必要と言っている様に読める。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の軍隊は大学の研究において長い間閉ざされてきた扉をこじ開けようとしている。それは、日本の平和主義の制限を取り除こうとする安倍首相の米国に支援された努力を推進する。」
「安倍政権は、日本は防衛力強化のために最高の科学者を見出さねばならないと言う。アメリカの政府関係者も、ロボットや電機などの分野での日本の経験を利用するために、こうした動きを支援している。」

暫く要約する。

第二次世界大戦後、多くの大学は軍事力につながる研究を禁じてきた。しかし、今そうした研究を認める動きが広がっている。国会は、3億円と金額は少ないが、防衛相から大学への初めての補助金を認める見通しだ。
池内教授は、こうした軍学共同に反対する署名をオンライン上で求めているがこれまでに賛成した人は800名にすぎない。
政府は、異なった組織の協働を推進する。2013年12月に公開された指針では、軍隊と大学や研究機関とのより強固なパートナーシップを求めている。大学では、未だに軍事目的の教育への抵抗は強いが、幾つかの大学で柔軟に対応する動きが見られる。東京大学では、これまで軍事目的の研究を例外なく禁止してきたが、12月にその方針を改定した。横浜国大のウエノ教授はは、過去2年間にわたって、陸軍と協力して複数の車の動きを制御するコンピュータアルゴリズムの研究をしてきた。ウエノ氏の研究は、災害救助や環境監視なども含まれており、こうした協力への批判は極端だとウエノ氏は言う。


この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「『良く切れるナイフは、料理にも殺人にも使えます。』と彼は言う。」
「『誰もテクノロジーそのものが悪いとは言っていません。問題はそれがどのように使用されるかなのです。』」


2月の鉱工業生産指数は縮小【A7面(国際面)】

2月の鉱工業指数を国際面で速報した。



これまで示された2月の経済指標を示すデータでは、インフレがほぼゼロ、個人消費も弱いことが示されていた。今回更に、鉱工業指数も弱いことが示され、トリプルパンチだと報じている。経済産業相は強気の見方を崩していないことも併せて報じている。

***** 以下本文 *****

「2月の鉱工業生産指数は3ヶ月ぶりに減少した。これは、日本の経済が継続して苦しい状況にあることを示す最新のデータだ。」
「このデータは、消費が弱いこと、インフレがゼロになったことを示すデータに続く、2月のデータだ。」
「月曜日に政府が発表したデータによれば、鉱工業生産指数は3.4%減少した。減少幅は、エコノミストが予測していた1.8%に比べて大きい。」
「この減少は、企業が操業の拡大や設備投資に慎重になっていることを示している。一方で経済産業省は生産の基調判断は緩やかな持ち直しの動きがみられるで据え置いた。

Friday, March 27, 2015

日本の最新データはスランプを指示している【A7面(国際面)】

3月27日に総務省が発表した全国消費者物価指数について、国際面で速報した。



前年比で物価の上昇はゼロで、黒田日銀総裁の掲げる2%には程遠い。黒田総裁は果敢な緩和政策を実施したが、彼がコントロール出来ない2つの要因、消費増税と原油安によって、十分な効果が出ていないとする。黒田氏の政策を評価し、その効果が十分出ていないのは、彼のせいでは無いと言っている様に読める。

***** 以下記事本文 *****

この記事は次の様な書き出しから始まる。
「日本の消費者物価を示す重要指標が一年前の2月から物価にあまり変化がないことを示した。日銀が過激な経済再生策を実施してから2年が経過したが、日本がデフレに向かっているのではないかという懸念がより深まりつつある。」
「政府は金曜日に主要物価指数が0%になったと発表した。これは、2013年5月以来の低い水準であり、日銀がこの春までに達成すると誓った2%からはほど遠い。」

このデータは、安倍首相が取り組んでいるデフレ脱却の政策がいかに難しいかを物語っている。日銀の黒田総裁は、スケジュールが遅れてはいるものの、予定通りに進んでいると言う。しかし、彼はそのプログラムの開始時に比べて、より大きな問題を抱えている。原油価格が想定を越えて下落したことだ。黒田氏はこの4月にも追加の緩和策を実施するものとみられているが、企業幹部、エコノミスト、政治家等がこれ以上の緩和には慎重になっており、これが黒田氏にとっての障壁になっている。日銀は、確かにインフレ目標の達成には苦しんでいるが、そのの政策は、金利を下げ、円安を誘導し、株式価格を上げることに成功したと言っている。

トヨタの様な大企業は記録的な利益を計上し、労働者に大幅な賃上げを実施する。こうした動きは、黒田氏が望んでいた良いサイクルをもたらかもしれない。しかし。これまでのところ、実経済へのインパクトはあまり無い。黒田氏はバズーガを打ってから7四半期が経過したが、GDPは年率0.2%しか伸びていない。

「日銀の円安誘導の結果による輸入コストの高騰、消費税増税により苦しめられている消費者は消費することに躊躇している。企業調査によれば、ビジネス界の幹部、特に中小企業の幹部も、設備投資に消極的だ。」
「そのうちの幾つかは、日銀がコントロール出来る範囲外での進展の結果だ。日本政府の負債を減らすために導入された消費税増税は、日銀の政策による成果を打ち消した。原油価格の下落は、インフレを引き下げた。」

Tuesday, March 24, 2015

沖縄は米軍基地の建設停止を求めた。【A12面(国際面)】


沖縄県の翁長雄志知事が、名護市辺野古への米軍新基地建設工事中止指示を出したというニュースが24日の国際面で速報された。



辺野古への米軍基地移転は、まさに日本の世論を二分した議論になっている。残念ながら、米国ではこの問題が詳細に取り上げられることはない。この記事でも、「こんなに長い間議論してるんだから、いい加減に決めてよ。」という米国側の気持ちが見て取れる。

***** 以下記事本文 *****

「沖縄県知事は、計画中のアメリカ軍基地の移転に関する更なる工事作業を停止することを決定した。安倍晋三首相と対立する可能性がある。」
「翁長雄志知事は、月曜日に、日本の防衛相の出先である沖縄防衛局に新しい基地の建設を1週間以内に停止する様に要請した。翁長知事は、県による海底調査の結果、防衛相のドリル調査によってサンゴ礁破壊されたことが明らかになったと述べた。彼は、県が調査する間、建設を中止する様に求めた。」
「翁長氏は、同局が彼の命令に従わない場合、彼の前任者が与えた同地域における岩礁破砕許可を取り消すと述べた。この動きは、海兵隊の普天間基地を沖縄の人口密集地帯から郊外へ移転させるという長い間の努力の実現を難しくする。」

Saturday, March 21, 2015

オーストラリアは中国主導で設立される銀行への参加の準備は整った。日本は参加の可能性を排除していない。【A7面(国際面)】

AIIBに日本も参加の可能性を示唆したというニュースが国際面で取り上げられた。



米国は、AIIBに反対で、同盟国にも協力を依頼しているが、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアといった欧州の同盟国に加えて、オーストラリア、韓国、そして日本までが、AIIB参加の可能性を示唆して当惑している。
アジア開発銀行は日本主導として、中国主導のAIIBと比較して、持ち上げている。

***** 以下本文 ******

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本は中国が推進する開発銀行に加盟する可能性を示唆した。日中間に領土問題があるにもかかわらず。もう一つの米国の同盟国であるオーストラリアは、ワシントンが懸念を示している同銀行への参加を表明している。」
「オーストラリアは月曜日にも参加を決断する。イギリス、フランス、ドイツ、ドイツは、米国の懸念にもかかわらず、中国が提案しているAIIB (アジアインフラ投資銀行)への参加を決定している。」

暫く要約する。

アメリカはこの銀行が、世界銀行やアジア開発銀行と競合することを懸念して、G7加盟国にこの案に反対する様にロビー活動を行ってきた。オーストラリアは当初は設立メンバーの一員となる予定だったが、10月にオバマ大統領とアボット首相の会談が行われてから、透明性やガバナンスい懸念を表明する様になった。日本は、米国と同様の懸念を共有している。麻生財務大臣は、透明性やガバナンスが保障されない限り、同銀行には参加しないと述べた。韓国は、今月末までは決断しないと言っているが、参加に積極的だ。

中国はAIIBを10月に設立し、3月末までに参加を表明すれば、設立メンバーとなって同銀行のガバナンスに影響を与えることが出来るとして、参加国を募っている。AIIBは参加国からの500億ドルの初期投資で賄われる。1966年に設立され、日本が主導するアジア開発銀行1,600億ドルの資産を持つ。そこでは、米国と日本が主要な投資者で、中国の投資額は小さい.。AIIBへの日本の参加について尋ねられた中国外務省のスポークスマンはあらゆる国の参加を歓迎すると述べた。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「米国当局は、ガバナンスや標準について、十分な詳細が説明されていないと述べ、同銀行の構成やルールが明らかになる前に、西側諸国がこの銀行を認めてしまうことに懸念を示した。」
「『詳細な説明が欠けています。』と米国の高官は述べた。」

警察は大使館を脅した容疑者を逮捕した【A7面(国際面)】

在日米国大使館爆破予告の電話をした男が逮捕されたという記事が、国際面で速報された。



ケネディ大使殺害予告に続いて、アメリカ大使館爆破予告。アメリカから見ると日本は物騒な気にだ。

***** 以下本文 *****

「日本の警察は、沖縄の男性を、東京の米国大使館に爆破予告の電話をかけた疑いで逮捕した。」
「警察によれが、52歳の神谷三義は、沖縄の県庁所在地である那覇の公衆電話から米国大使館に電話をしたという容疑をかけられている。電話で、神谷は、『米国大使館を爆破する。』そして『キャンプシュワブを爆破する。』と言った。キャンプシュワブは、米国海兵隊の基地がある場所だ。彼は、3月5~14日の間に、こうした電話を3回かけた。」
「警察当局によれば、男は電話をかけたことを認め、東京に移送された。神谷が弁護士を付けているかどうかは不明で、彼の家族にコメントを求めようとしたが見つからなかった。」


Thursday, March 19, 2015

ケネディは東京で脅しの標的になっている【A11面(国際面)】


ケネディ米駐日大使に「殺す。」という脅迫電話があったというニュースが国際面に掲載された。


「ケネディ大使の安全確保のために日本政府と連携している。」との米国務省の発表を掲載している。また、在韓米大使が韓国で被害を受け入院にした事件について、韓国当局が「反米感情によるもの。」と発表したと述べており、日本でも反米感情が強まっているのか懸念している様に読める。

***** 以下本文 *****

「キャロライン・ケネディ大使に対する脅迫のニュースが流れた後、国務省はアメリカの外交官の安全を確保するために日本の当局と連携していると発表した。」
「日本の警察も東京の米国大使館への電話を調査中だと発表した。共同通信によれば、その電話で、電話の主は、ケネディ氏を殺害すると脅したと伝えれている。」
「『我々は、必要な安全上の対策が確実に取られるように、日本政府と連携している。』と国務省スポークスウーマンのマリー・ハーフ氏は述べた。」
「在韓国のアメリカ大使であるマーク・ルパート氏は、ナイフを持った暴行者に公の場で襲われ、今月数日間入院した。後に、当局は、この襲撃は、反米感情によるものだと発表した。」

Tuesday, March 17, 2015

日本の円安政策は欧州に対する警告だ【A12面(社説)】

日本の円安政策はうまくいっておらず、それは同様の政策を推し進めようとしる欧州にとっての警告だとする記事が社説に掲載された。



円安によって企業収益を増やし、その収益を投資に回して生産性を向上させ、結果として賃金上昇、内需拡大、経済成長を達成させるのが日本が今取っている経済政策の柱だが、実際には日本の実質賃金は減少しており、この政策はうまく行っていない。これは、安倍首相が、第三の矢を放っておらず、規制緩和が遅々として進まないからだとしている。
その上で、欧州も似た様な状況にあり、規制緩和を進めないと日本の二の舞になるとしている。
確かに我々は、円安による収益増加で安心してしまい、収益をどの様に投資して生産性を上げていくかという肝心の議論が欠けている様に感じる。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「欧州中央銀行が先週ソブリン債の購入を開始したことによる興奮の最中、欧州の人々は日本の実質賃金が1月に再び下落したという事実を見過ごしているのかもしれない。日本の家計所得は2008年の金融危機以前に比べると7.5%も下落しているのだ。そして、その下落幅の約半分は、東京が量的金融緩和政策を実施している間の下落だ。これは、欧州に対する警告である。」
「安倍晋三が首相に就任した2013年の日本と現在のユーロ圏とは驚くほど類似点が多い。日本はデフレの中にいた。欧州の状況もこれに近い。日本は、2012年に円が1ドル当たり77円まで高騰していて、円が実力よりも高くなっていることを危惧していた。欧州中央銀行のマリオ・ドラギ氏は、昨年ユーロが1.38ドルだった昨年の4月に、為替の高騰は、もし他の条件が同じであれば、財政の引き締め、インフレへの悪影響、潜在的には継続的な経済回復への脅威となると警告していた。」

暫く要約する。

日銀もECB(欧州中央銀行)も金融バスーガにより、通貨切り下げを誘導し、デフレの脅威を退治しようとした。弱い通貨は、輸出増をもたらし、利益をあげた輸出業者がその利益を投資に回し、ついには賃金上昇に結び付き、内需を押し上げ、経済成長をもたらすというシナリオだ。
しかし、日本では賃金が減少しており、このシナリオがうまくいっていないことを示している。
まず、輸出業者が円安を利用して、商品の価格を下げて、グローバルなマーケットシェアを拡大しようとしていないのだ。その代りに、海外での価格をそのまま維持して、日本円換算での利益を押し上げようとしている。為替調整後の輸出はあまり増えておらず、2008年以前から25%も減少している。
また、投資が増えていないので、労働者の生産性は上昇しておらず、賃金はインフレ調整後で下落している。円安は輸入製品の価格を押し上げ、家計は苦しくなるばかりだ。

欧州は、日本が経験した幾つかのネガティブな要因を回避可能だ。欧州では、原油価格の下落が、その他の輸入製品の価格高騰を補ってくれるが、2013年では日本はこの恩恵に浴せなかった。実際、ドイツを含む数か国では、安いエネルギー価格のおかげで、賃金が実質的に増加している。また、日本が行った馬鹿げた政策である、消費税増税も実施予定の国は無い。

しかし、よく観察してみると、日欧間には類似点がある。
日本企業が何故投資にお金を回さないかと言えば、安倍首相が「第三の矢」を放たなかったからだ。日本企業は、未だに、過度の規制、高い税金、保護主義、競争の欠如など、投資を阻害する要因に直面している。労働市場が改革されていないことは特に問題だ。規制により正規従業員を解雇することが困難なため、非正規従業員が増加している。これにより、労働市場が堅調であるにもかかわらず、賃金が上昇しなのだ。

欧州でも同様に規制緩和が進まない。フランスではマクロン氏が日曜日の店舗営業を年間12日まで認めようとしているし、スペイン、ポルトガル、アイルランドなどでも同様の規制緩和の動きが見られるが、イタリア等他の国々ではまったく規制緩和は進まない。そして、そうした国々の期待によりユーロは、昨年5月の$1.4から$1.0457まで切り下がり、企業の収益改善に貢献している。欧州は日本の様に単一国家ではなので、幾つかの国では、こうした収益改善が企業の投資を生み、生産性を改善し、賃金を上昇させるだろ。競争力が低い南欧諸国は、ドイツやオランダの様な欧州北部の様に生産性を向上させる必要がある。しかし、量的金融緩和政策がもたらす低金利が改革の必要性を低下させ、コストを下げることなく輸入製品価格の高騰だけが起こることになる。これは、まさに日本で起こっていることだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「日本の現状は、欧州の避けることに出来ない将来ではない。欧州は、日本ほど高齢化が進んでいないし、日本ほど規制が硬直化していない。輸出による利益が増えれば、多分、文化における何かがより競争力のあるビジネス行動を誘発することになるだろう。多分、欧州の比較的強い労働組合がより大きな賃上げを引き出すだろう。」
「しかし、ドラギ氏以外の政治家が、金融政策や通貨切下政策の限界やリスクを理解していない。ドラギ氏は過去一年間、欧州の政治家にサプライサイドの改革実施を迫ってきた。サプライサイドの改革が、彼の金融政策を欧州を日本に様にすることから守るからだ。」

Friday, March 13, 2015

日本には仕事があふれているが、その多くは非正規の仕事だ【A7面(国際面)】


日本の失業率は低いが、これは非正規従業員が増えていることによるという記事が、国際面に掲載された。



日本の失業率は3.6%とほぼ完全雇用に近いが、労働者派遣法改正を推進する安倍政権になってから非正規従業員が増えている。日本では、今年の春闘でも大幅な賃上げが予測されるが、非正規従業員にはその恩恵に及ばないとしている。
最後に、安倍首相のブレーンである本田悦郎氏の「労働市場が堅調になるにつれ、非正規従業員にも恩恵が及ぶ。」とする安倍首相の政策支持のコメントと、ブラック企業として話題になったオリエンタルランドが800名の契約社員を正社員に変更することを表明したいう話題を掲載している。
非正規従業員の厳しい状況に同情しながらも、安倍首相の政策を支持している様に読めるがどうだろうか?

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「キノシタヤスハルさんは、ここ数年、仕事を見つけるのがそれ程難しくなかった。実際、彼は幾つかの仕事に就いた。彼は、仕事を解雇されて数ヶ月が経過したが、月曜日に電機関連の企業で仕事を始める。」
「キノシタさんは、いわゆる非正規従業員と言われる、日本で大きくなりつつある軍団のメンバーだ。彼らは、短期的に雇用され、しかも多くはパートタイムの従業員で、正規従業員に比べると給料も安い。他のメンバーと同様、49歳のキノシタさんは何年も正規雇用の仕事を見つけることが出来なかった。正規従業員並みの時間働いているが、経済的には苦しい。彼の新しい新しい仕事は時給1,000円だ。今の仕事の前は、車の部品メーカーで働いていたが、その時の時給は1,400円だった。」

暫く要約する。
安倍首相は景気回復対策として、企業がこれまで正規従業員だけ与えていたポジションを非正規従業員にも与えられる様にした。安倍首相は、この政策により企業はより多くの従業員を雇う様になると主張する。
トヨタの様な大企業は昨年以上の賃上げを実施する見通しだが、キノシタさんの様な人には恩恵が行き渡らない。日本の失業率は3.6%で17年ぶりの最低水準だ。これはほぼ完全雇用に近い。しかし、安倍氏が首相になってからのこの2年間、正規雇用が減少し、非正規雇用が増加した。労働組合は、安倍氏の政策は、企業が正規従業員を解雇し、従業員の立場を弱めただけだと主張する。
日本の大企業は、安倍首相が推進した円安の恩恵を受け、大きな利益を計上する見通しだ。これらの企業は、来週、大幅な賃上げを発表する。しかし、70%を占める中小企業の従業員や38%を占める非正規従業員にはこの恩恵は行き渡らない。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「安倍首相の経済アドバイザーであるホンダエツロウ氏は、労働市場が堅調になるにつれ、非正規従業員の賃金上昇することに自信を表明している。彼はまた、企業が非正規従業員に中で優秀な人材を確保しようとするので、多くの非正規従業員が、正規従業員のポジションを得られるとする。」
「こうした動きは、まだ限定的ではあるが、幾つかの企業で始まっている。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、先月、800人の契約社員をを正社員とすることと発表した。しかし、未だに19,000人が契約社員でで、それは同社の従業員の90%に当たる。」

Tuesday, March 10, 2015

汚染された福島の土壌はいつまでも続く重荷【A14面 国際面】

震災から4年経過した飯館村の農家の実情を国際面で報道している。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「壊滅的な被害を及ぼした原発事故から4年が経過し、カンノムネオさんは福島第一原子炉から25マイル離れた畑で田植えをする準備をしている。昨年秋の試験によれば、カンノさんの作物の放射能レベルは、試験機で察知できない程に低かった。」
「しかし、カンノさんは彼が作ったコメを販売することはないだろう。飯館村の殆どの地域では商業目的の農業が未だに禁じられているからだ。そんな中、彼は、通常とは異なる手段を取った。彼の土地の一部を彼自身で汚染除去し、米の栽培を行い、作物を消費のために寄付しているのだ。福島県の他の地域では、原子炉から遠くても、汚染の風評により、農家の人々は作物を市場価格より安く売らねばならない。」

暫く要約する。

福島県の農作物の生産量は、震災以前のレベルには戻していないものの、増加の傾向にある。但し、人々は福島の農作物を避ける傾向にあり、価格は安いままだ。
しかし、福島の人々が問題としているのは貧困ではない。農業が出来ない地域には東京電力が補償金を支払っている。本当の問題は、地域住民が自らの力で立ち上がれるのか、それともいつまでも東京電力の補償金に頼っていくのかということだ。補助金は、政府が管理しており、国民の税金によって賄われている。東京電力は昨年12月に、2016年2月に震災で被害を受けたビジネスへの補償金支払いを打ち切ると発表したが、猛烈な反対に会い、延長を決めた。

カンノさんは回復が可能であることを示そうとしている。原発事故で、農地はセシウムに汚染されている。セシウムを除去するためには、土地の表面の土を除去し、作物がセシウムを吸収しない様に残りの土に化学薬品を加える必要がある。政府は、飯館村全域に対してそうした除去作業を行い2016年までに完了させるとしているが、2014年末現在で18%しか完了していない。
いつまでも待っていられないカンノさんは、東京大学の科学者と協力して、2012年に自力で自分の土地の一部の汚染除去を行った。昨年の秋、彼が栽培した作物から放射能は検出されなかった。収穫された950ポンドの米は、販売出来なので、ボランティアの集会や福島の農作物を拡販するためのイベント等に寄付した。「科学的なデータによって評判が回復することを願っています。人々の感情に訴えることによる評判回復は狙っていません。」とカンノさんは言う。

福島県はコネチカット州と同じ位の広さだが、その殆どの地域で、農作物の栽培・販売は禁止されていないし、その農作物からセシウムは検出されていない。それでも、福島の農産物の販売先を見つけるのは難しい。いまや、福島の食材の買手には、低価格を売り物にし、米の生産地を表示しない安売りレストランチェーンの様な、ちょっと胡散臭い買手もいる。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「原発反対派として知られる京都大学助教授のイマムラテツジ氏によれば、彼自身はキノコの様な野生農産物を除き、殆どの福島産農作物に安全上の問題は無いと考えている。しかし、彼は福島産の農産物を食べることを薦めてはいない。放射能が検出されないことが、放射能が全くないことの証拠とはならないし、人によってはより敏感だからだ。」
「カタログ販売会社のカタログハウスは、東京本社に福島の農産物展示フロアを設けている。『福島の人々をサポートするためにやっています。でも購入されるのはほんの数人です。』と会社役員のフクマトシヒコさんは言う。彼によれば、福島の農家や加工食品業者は、彼に、製品を販売するためにいつまでセシウムの計量をせねばならないのかと訪ねてくるそうだ。彼の答はこうだ。原子力発電所の廃炉に向けた作業が安全に完了するまで。それには何十年もかかるのだ。」

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原発事故によって汚染された農地の国による汚染除去作業が遅れる中、いつまでも東京電力からの補償金に頼って生活している訳にはいかないと考える農民が、自らの手で汚染除去作業をし、農作物が安全であることを数値で示して、福島の農産物の悪評を断ち切ろうと努力する姿が絵が描かれている。
それでも、福島では、土地が汚染していない地域の農産物ですら、通常の価格よりかなり安くしないと売れない状況が続く。福島の農産物を食べることを薦めないし、数十年後にもなる廃炉までは福島の農産物の安全は保証出来ないとする専門家の意見も紹介しており、福島の厳しい現状を生々しく報道している。

5人刺殺事件の容疑者が逮捕された【A14面(国際面)】

淡路島5人殺人事件が3月10日の国際面で速報された。



「兵庫県で発生した刺殺事件では5人が殺害されたが、その数時間後に40歳の男を逮捕したと月曜日に警察は発表した。」
「警察の報道官は逮捕された男は平野達彦で、発見された時には衣服に血が付着しており、犠牲者を刺したことを認めていた。警察は60歳代の女性、80歳台の女性、60歳代の男性が近くの家で死亡しているのを見つけた。また近くの家で警察は80歳台の男性と女性を見つけたが、後に2人の死亡が確認された。」
「平野容疑者が弁護士を付けていたのかは不明。彼や彼の家族のためのコンタクトは見つからなかった。」

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淡路島で起きた5人連続殺人事件の速報。日本では多くの殺人事件が発生しているが、何故、この事件が速報されたのだろうか。

Monday, March 2, 2015

日本の若者は声を強める【A8面(国際面)】

選挙年齢引下げのニュースが国際面に掲載された。


この記事は次の様な書き出しで始まる。
「マツバヤシリョウマは、未だに、選挙キャンペーンのチラシを配っていた政治家が彼にはチラシを渡してくれなかった過去の記憶に、胸が痛む。」
「『その政治家は、明らかに選挙権のない若い学生には興味を示さなかったのです。』と東京に住む17歳の高校生は言う。彼は、政治家の冷たい態度に促され、投票が出来る年齢を20歳から引き下げることを提唱するグループに加わった。」

長い記事なので、暫く要約する。

投票開始年齢を18歳まで引き下げる法案が国会で成立する見通しだ。それ自体は、現在いる1億400万人の有権者の2%に当たる240万人の有権者が増えるだけだが、若者が政治から置いて行かれることを防ぐための取り組みの第一歩でもある。
日本は1985年には65歳以上の人口は、全体の10%にすぎなかったが、今や25%に達する。このため、政治家は年金の充実など高齢者受けする政策を推進し、若者にとって重要な問題には熱心に取り組まない傾向にある。例えば、日本の教育関連支出はGDPの2.9%でOECD加盟の34ヶ国中で最低だ。
日本の投票年齢引き下げの取り組みは国際的にみると遅い。90%の国々が18歳以上に投票権を認めているし、ブラジルやオーストリアは16歳以上に認めている。アメリカでは1971年に21歳から18歳に引き下げられ、1,100万人の有権者が追加された。1972年の選挙ではこのうち530万人が投票に参加した。日本が、最後に選挙権を改定したのは、1945年で、その時には女性の選挙権が認められ、選挙年齢も25歳から20歳に引き下げられた。

では、何故、今、選挙年齢を引き下げるのか?
ひとつは、安倍首相が推進しる経済政策があまりうまくいっていないことによる。世論調査によれば、若年層は将来に不安を抱いており、高齢者に比べてアベノミクスヘの支持が大きく、若年層からの支持は安倍首相にとって重要だ。
もうひとつは、安倍首相が、推し進める憲法改正による軍備強化を推し進めるために若年層にかけているといこともある。自民党は、この問題が投票になった場合、僅差になるとみており、現憲法にあまり思い入れのない若年層を味方につけておきたい。

この記事は、次の様なコメントで締めくくれれている。
「安倍氏が首相になって以来、日本の中国や韓国との関係は悪化する一方だ。しかし、政府による10月の調査によれば、20代の国民は60歳以上の国民に比べて、北京やソウルに温かい感情を持っている。」
「コバヤシユイは、18歳の高校生だが、日本、中国、韓国は領土問題の平和的解決に向けて強力していなねばならないと言う。従って、安倍首相の軍備拡張政策には反対だという。『私は、将来、私の家族や友人が戦争にいかねばならなくなるかと思うと怖くなります。』とコバヤシは言う。彼女は、マツバヤシと同じTeen's Rights Movementで活動している。」

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選挙年齢引き下げの背景には、現憲法への思い入れの少ない若年層を味方に引き入れ、軍備拡張を一気に図りたいという安倍首相の思惑があるが、若者は平和的手段による中韓との関係改善を望んでおり、必ずしも安倍首相の思惑通りにはいかないと言っている様に読める。
この記事にで出来るTeen's Rights Movementなる政治団体は、10代の若者が組織する「選挙権を18歳に引き下げる運動」を展開する団体だ。日本のメディアに取り上げられることは少ないが、こうして、海外メディアに取り上げられたり、ソーシャルメディアで英語のメッセージを流したり、最初から世界を相手にしていることには関心させられる。是非、若い力で日本の閉塞感を打ち破って欲しい。
私の一番下の息子も今17歳だから、来年の参議院選挙では投票可能だ。自分が日本のために、世界のために何が出来るかをしっかりと考えて、投票所に向かってほしい。