Thursday, April 30, 2015

** 4月のまとめ **

4月にWSJに掲載された日本関係の記事は15件だった。2015年としては最多。2014年の平均とほぼ同じ。但し、4月13日以降の18日間で14件と、後半に偏っている。特に安倍首相が米国に入った4月26日の翌日からは連日日本の記事が取り上げられており、一国の首相が海外を訪問する重要性を改めて感じた。

テーマ別では、政治関係が7件、経済関係が7件、社会関係が1件だった。
政治関係では、「教科書検定」「統一地方選挙」「翁長知事・安倍首相会談」「日中首脳会談」「訪米を前にした安倍首相紹介」「日米新ガイドライン」「日米首脳会談」のの7件。安倍首相が、翁長知事、習近平主席、オバマ大統領らと精力的に首脳会談をこなしてる姿が描かれ、教科書検定や日米新ガイドラインなど、安倍首相の強いリーダーシップで実現しているものも多く報道されている。一国のリーダーが動けば、日本の報道も増える。WSJは、安倍首相の政策には前向きな評価が多いが、歴史問題に関する曖昧な態度は、せっかくの良い政策をだいなしにしていると忠告している。

経済関係では、「日本が米国債保有残高1位の地位を奪還」「TPP」が4件、「日本の月間貿易収支が3年ぶりに黒字」「ソニーの変革」の7件。安倍首相の訪米をきっかけに、TPPに関する報道が急増した。これまでWSJはTPPにはあまり関心が無かったが、AIIBで中国に主導権を奪われたことにより、TPPがうまくいかないと自由貿易の枠組みでも中国に主導権を握られかねないというあせりが滲み出る。

社会関係では、「高浜原発稼働再開禁止仮処分」いつもながら、WSJは原発問題に関心が高い。

掲載箇所では、1面が3回、国際面が12回だった。
1面を飾ったのは、「日本が米国債保有残高1位の地位を奪還」「訪米を前にした安倍首相紹介」「ソニーの変革」の3件。特に、後者2つは大きなスペースを割き、内容から見ても力作だ。安倍首相の訪米については、オバマ大統領との首脳会談、議会での演説共に、国際面での扱いで、残念ながら一面では取り上げられなかった。首脳会談の翌日の1面を飾ったのは、安倍首相では無く「ソニーの変革」で、今更ながらソニーのブランド力の凄さを思い知らされた。

日本のリーダーは貿易協定の進展を求めた【A8面(国際面)】

4月29日の安倍首相の米国議会でのスピーチについて、30日の紙面で速報した。



経済紙らしく、記事の殆どをTPPに割いた。安倍首相が日本の農業抜本的改革推進を表明し、更に、知的財産権、過酷な労働条件、環境への負荷等の問題に言及して、TPP反対論が強い民主党議員の説得を試みたが、効果は疑問としている。記事の最後には、米国でも関心が高い「慰安婦問題」に安倍首相から何ら言及が無いことにも触れた。但し、安倍首相が女性の人権保護の重要性について触れたことに言及しており、その対応に一定の評価を与えた様にも読める。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍晋三首相は29日、米議会上下両院合同会議で演説を行い、環太平洋経済連携協定(TPP)の締結を通じて日米関係を強化する考えを訴えた。 米国議会では、オバマ大統領のTPP推進を支持するかをめぐり意見が大きく分かれている。」
安倍首相は同演説で12ヶ国が参加するTPPの戦略的価値を強調したほか、自身の米国での経験を含め日米関係の幅広い発展にも焦点を当てた。演説は米議員の支持を得る狙いがある。」
「米上下両院の委員会は先週、TPPなどの交渉権限を政権に一任する大統領貿易促進権限(TPA)=ファストトラック法案を可決した。同法案が成立すれば年内のTPP締結に向け道が開かれることになるが、特に下院民主党議員の間では反対論が根強く、議会で可決されるかは不透明な状況だ。」

長い記事なので暫く要約する。

殆どの共和党議員は拍手を送ったが、民主党議員は拍手を控えた。共和党のある議員は「安倍は正しい。TPPは経済的恩恵以上のものがある。」と語った。しかし安倍首相の演説が懐疑派の説得に成功したかどうかは疑問だ。共和党のある議員は「それは大統領の仕事だ。」と語った。オバマ大統領は、農村地域の選挙区から選出された下院共和党議員などからTPPへの支持を取り付けるには、米政府はこの貿易協定によって農業利益が増加する見通しを明らかにする必要がある。
安倍首相は、日本の農業の抜本的改革を推進する決意を示した。安倍首相は「日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません」と指摘した。日本は農産物の関税で譲歩する見返りとして、米国の自動車や自動車部品輸入を阻む障壁を取り除くよう求めている。だが米自動車業界は日本が為替操作と不当な貿易慣行を行っていると非難しており、極めて慎重を要する問題だ。
米下院歳入委員会の民主党トップであるサンダー・レビン議員(ミシガン州)は、TPPについては日本側に農産物市場の開放と米国産自動車の巨大な日本市場へのアクセス拡大を約束するよう求めた。
首相はこのほか、TPPが労働条件・環境基準の低下や急成長するアジア諸国での知的財産の不正利用につながるとの民主党議員らの懸念にも言及した。「太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない」と訴えた
首相はアジア太平洋地域の領土問題について、平和的かつ国際法に基づいて解決されるべきだと主張した。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「安倍首相に対しては、議会演説で日本の第二次世界大戦中の行いについて謝罪するよう圧力が強まっていた。。演説前には慰安婦問題をめぐり韓国系米国人が『Never Again(二度と繰り返すな)』と書かれた横断幕を掲げて抗議活動を行っていた。」
「しかし、首相は、水曜日にもまた今週の彼の米国訪問期間中にも、新たな謝罪はしなかった。大方の予想通り、先の大戦に対する痛切な反省を表明し、アジア諸国民に苦しみを与えた事実を認めた。彼はこれまでの日本政府の謝罪を含む声明を支持したが、韓国系米国人のグループや元軍人らが求めていたが謝罪を行うことは避けた。」
「首相は『紛争下、常に傷ついたのは女性だった。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。』と訴えた。」

(一部、ウォールストリートジャーナル日本語版から引用させて頂きました。)

Wednesday, April 29, 2015

米国と日本は同盟の新しい時代を誓う【A9面(国際面)】

米国時間の28日に行われた日米首脳会談について、29日の紙面で速報した。



日米首脳会談では、主に安全保障面での連携強化とTPP交渉の進展について話し合われたとしている。更に、今後の展開として、TPPについて米国議会から承認を得ることの難しさ、安倍首相への慰安婦問題に対する謝罪の要求の高まり等をあげ、会談の結果にかかわず、今後の進展は楽観視できないとしている。

***** 以下本文 *****

「バラク・オバマ大統領と安倍晋三首相は、安全保障面での新たな連携と貿易協定の進展を売り込んだ。2人のリーダーは、海洋紛争からサーバ攻撃までの様々な問題を一緒に解決していくことを確認した。」
「火曜日に会談が行われたが、その後も安倍首相には厳しい日程が組まれている。水曜日には、上下両院の前でスピーチを行い、包括的な12か国間での貿易協定も進展させねばならない。キャピタルヒルで、安倍氏はTPPについて民主党の激しい抵抗に会うだろうし、日本の戦時中の残虐行為に対する償いを求められる。」

オバマ氏と安倍氏の声明で、今回のワシントン訪問では、TPPの画期的進展や、慰安婦問題に対する新たな謝罪が期待できないことが判明した。記者会見の中で、2人は、TPPについて、まず日米2国間で合意し、全12ヶ国間での合意への道筋をつけることを確認した。会談の中で、中国は主要な問題だったが、両首脳とも貿易や軍事面での関係強化は、中国を刺激するためのものではないことを強調した。
オバマ氏は、12ヶ国での貿易協定は、米国経済を活性化し、中国の地域支配を遠ざけるとした。オバマ氏は、仲間である民主党が、米国労働者に悪い影響があるとしてTPPに反対していることにフラストレーションを感じている。ファストトラック法案を通すために、共和党に頼らねばならない。
安倍首相も民主党から反対を受けるだろうし、共和党のポール・ライアンからも日本の農産物、自動車部品への関税を撤廃する様に要求された。また数人の議員からは、過去に行われた日本の戦争への謝罪を繰り返すことも要求されている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「火曜日に安倍氏は、日本帝国軍が第二次世界大戦中に女性を奴隷の様に扱った行為について、新たに謝罪することは否定した。」
「首相は、日本政府が慰安婦の苦しみに対して過去に行った謝罪について支持すると述べた。彼はレポーターに対し、戦時中の慰安婦の扱いについて深い痛みを感じると述べ、最近の女性も権利を推進する日本の努力を強調した。」



ソニーは以前の敵の助けをかりて復活を模索する【A1面】

ソニーの決算発表時期に合わせて、ソニーが復活のために最近行っている変革を、一面で紹介した。



この記事は1面と12面のほぼ全ページを使った力作だ。平井氏とCFOの吉田氏の下で進むソニーの改革を詳細に報じている。イメージセンサービジネスが主役に躍り出たり、ゲームビジネスは配信料売上に依存し始めたりと、これまでの家電のソニーとは違った会社になりつつある。しかし一方で平井氏は技術者が技術屋魂を燃やせるプロジェクトは昔通りやらせるとう懐の深さも見せており、そうしたバランスが今日のソニーの活気をもたらしていると言っている様に読める。読んでいてワクワクする記事だ。

***** 以下本文 *****

「ソニーはスマートフォン戦争で敗退したが、アップルのiPhone6や、サムソンのGalaxy S6が売れるたびに売上が計上される。」
「この日本の会社は、デジタルカメラのイメージセンサー世界最大のサプライヤーだ。ソニーは今年初めにイメージセンサー工場に9億ドル投資すると発表したが、需要の急増に対応するため、更に3億7,500万ドルの追加投資を計画している。」

非常に長い記事なので、暫く要約する。

いまやソニーは、トランジスターラジオやコンパクトディスクやウォークマンでブームを築いたソニーでは無い。時代の最先端をいく画期的な製品を生み出してきた同社は、54歳の平井氏とパワフルな参謀である吉田CFOによって変革され、iPhone6の様な他社のイノベーションから利益をあげようとしている。こうした変革により、木曜日に発表される2014度決算では営業利益が680億円となる見通しで、以前発表した200億円から上方修正した。
2月にソニーは、将来性や投資のプライオリティを考慮して、事業を3つのレイヤーに分けた。トップレイヤーは、イメージセンサー、ビデオゲーム、映画、音楽だ。カメラ、ビデオ、音響製品は中位レイヤー。下位レイヤーには携帯電話とテレビを置いた。
Playstation 4は3月に出荷台数が2,000万台を越えマイクロソフトのXbox Oneを大きく引き離しているが、小さなスマートフォンの部品であるイメージセンサーがそれと同じカテゴリーに入れられたのだ。ソニーは、既にパソコン事業を売却したが、平井氏は、スマートフォンかテレビ事業も売却したいと言う。吉田氏は2013年度に比べて、本社費用を30%も削減した。

使い古されたイメージ
ソニーは消費者向け家電メーカーという使い古されたイメージから決別せねばならない。その過程は多難だ。多くのエリート意識をもった技術者が会社を離れた。株価はピーク時から70%下落。売上はアップルの半分にすぎない。その上、ソニーエンターテイメントはハッカー事件に揺れた。
ハイエンドの音響製品や超高解像度の壁掛けプロジェクターの話になると目を輝かせる平井社長は、ニッチな家電製品から撤退する計画は持ち合わせていない。しかし、プレイステーションですら、将来伸びが期待できるのはコンテンツで、この部分は他社から供給を受けている。
ソニーの変革を実現するのはイメージセンサーだ。ソニーにはカムコーダーで培ったノウハウがある。2012年にソニーは2枚のチップを重ね合わせる画期的な技術を開発した。これにより、薄いスマートフォンの中に、高性能のイメージセンサーを搭載出来ることになった。この技術はソニーの企業秘密であり、サムソンでさえ、真似出来ない。ソニーはイメージセンサー市場で40%のシェアを持ち、市場の規模も2009年から80%も伸びて86.5億ドルに達した。ソニーはアップル依存のリスクを避けるために、イメージセンサーを中国企業にも販売を開始した。また将来の有望市場である無人運転市場でもイメージセンサーが使用される。
また、キャッシュカウであるビデオゲームビジネスでも新たな収入源を開拓している。今後の売上の伸びは主にソニーのエンターテインメントネットワークの月額使用料から生じる。このために、最近Spotify ABの音楽配信、Netflixの映画配信を加えた。アメリカの一部の地域では、PlayStation Vueというサービスによりテレビ番組が見られる。ソニーは、PlayStation専用の最初の番組として犯罪ドラマPowersをリリースした。これはソニーピクチャーズテレビが作成したものだ。

よりNetflixの様に
ソニーのPlayStation Networkの無料加入者は約6,400万人、年間50ドルの加入者が1,000万人いる。ソニーは近いうちに、パナソニックと比較されるのではなく、Netflixと比較される様になるだろう。
平井氏は2012年の社長就任時に'One Sony'という戦略を打ち出したが、どうやってソニーを一つにしていくかという考え方は提示していない。平井氏は技術者が、持っているアイデアを実現出来ないことにイライラしていることを知って、技術者にアイデアを上申する様に促している。ソニーの東京本社には'Creative Lounge'と呼ばれるエリアがあり、シリコンバレーの様な雰囲気の中で、新しいアイデアが実現している。こうした動きが功を奏したのか、平井氏は具体的戦略を打ち出していないが、家電関連部門は、ここ10年で初めて、スマートフォン部門を除いて黒字を計上する見通しだ。平井氏は147インチの超高精度壁掛けディスプレイの開発を許可し、日本で4万ドル以上で売り出した。高音質のウォークマンも開発し、12万円で販売している。
平井氏は、ソニーのテレビ部門と音響部門を子会社にすると言った時、取締役会は信用してくれなかった。ソニーの映画部門、音楽部門、モバイル部門は以前からずっとその様に経営されてきたのにだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「社長は昨年、東京の近くの温泉保養地である箱根で取締役と合宿を開いたが、その後も自分の言ったことを行っている。彼は、取締役会にソニーにおいて自ら遠心力と求心力のバランスを取ると言った。」
「彼は今はこう言う。『日本語で言った様に、糸の無い凧があちこちに飛んでいる状態は良くないと思う。しかし、同時に、私は、彼らが自分たちのビジネスを自分たちで経営し、説明責任を果たせる程度の風を確実に吹かせたいと思っている。』」

Tuesday, April 28, 2015

米国と日本は新しい防衛協定を明らかにする【A9面(国際面)】

日米新ガイドライン合意のニュースが国際面で速報された。



「自衛隊の役割が、これまでの日本だけの防衛から、アメリカや同盟国も防衛も含まれる様になること、自衛隊の活動範囲が、これまでの日本の領土だけから、全世界あらゆる地域となることが、最も重要な変更点だ。」とアメリカ関係者の発言を引用して明確にしている。これにより、日米ガイドラインは、地域フォーカスからグローバルフォーカスへと大きく変容するとも述べている。日本での報道よりも、安倍首相がやりたいことがストレートに記述されていて分かり易い。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まっている。
「アメリカと日本は、二国間の安全保障上の取り決めを見直しを目的にした、新協定を発表した。これにより、日本の自衛隊は災害復旧、平和維持活動、ミサイル防衛、その他の軍事的ミッションにより強固な形で参加することが出来るようになる。」
「安倍首相は、日本の戦後の平和憲法の下で、自衛隊に対して課されていた多くの制約を取り外そうと努力してきたが、その成果が表れた形だ。新しいガイドラインは月曜日に、安倍首相の今週の米国訪問の開始に合わせて発表された。この訪問の間に、安倍首相は議会で演説し、バラク・オバマ大統領と会談を行う。」

長い記事なので暫く要約する。

共同防衛ガイドラインというこの協定は、中国が東・南シナ海での領有権主張を強めている中で締結された。
ケリー国務長官は、この協定により、日本は自国の領土のみでなく、アメリカやその他の同盟国も防衛することが出来る様になり、地域の平和と安定に貢献すると述べた。アメリカの関係者によれば、最も重要なことは、日本の自衛隊の活動範囲にに制限が無くなり、国会の承認があれば、世界のどこにでも行ける点にある。これまでのガイドラインでは、活動範囲は日本の領土内とされてきた。これにより、日米ガイドラインは、地域フォーカスからグローバルフォーカスへと大きく変容する。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「アメリカと日本の関係者はこのガイドラインを実行に移すためには多くの詳細を決めねばならないと述べた。アメリカの関係者は、この協定により協力関係が構築出来る分野として、世界中での魚雷排除、ミサイル防衛、サイバー攻撃や偵察活動等をあげた。」
「日本の関係者は平和憲法の解釈変更を実施する法案作成に向けての国会での議論の中で、自衛隊が行うことの出来る追加行動の範囲が明らかになってくるだろうと述べた。」




Monday, April 27, 2015

米国と日本は通商条約へのハードルを引き受ける【A10面(国際面)】

安倍首相のワシントン訪問を前にしてのTPPの交渉状況について、国際面で報道した。



日米両国は、最大のハードルである市場アクセスについて、まず日米間で合意し、それを他の10ヶ国にも広げようとしているが、これがそれ程容易ではないとしている。更に米国議会の賛成を取ることが困難なこと、米国内でも自動車業界は批判的で農業生産者は肯定的であるなど業界によってスタンスが異なることなど、合意に向けて越えねばならない幾つものハードルを整理して伝えている。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「米国と日本は、経済的なライバル国の間の関係を変革し、太平洋の12か国の間の通商条約の締結に道を開くための条約の締結が近いとしているが、未だに差異にも直面しており、他の国々を引き入れることや、議会を見方につけることにも苦労している。」
「安倍晋三首相は、バラク・オバマ大統領との会談のために今週ワシントンを訪問するが、アメリカの関係者はここ数日今週何らかの決定が行われるという期待を鎮めるのに苦労してきた。両方の経済にとって大きな影響を与える問題についての大きな差異を埋めるという重要な仕事が残っているのだ。」

長い記事なので暫く要約する。
アメリカと日本は21ヶ月も交渉してきたが、日本の農産物とアメリカの自動車部品という難しい問題が残されている。日米はまず、市場アクセスについて合意し、他の10ヶ国にも同様にそれを合意させたいと考えている。TPPには市場アクセス以外にも道路、労働権、知的所有権、医薬品商標権等の難しい問題が含まれている。
2国間の合意が近くなるにつれ、どうやって他の10か国を引き入れるかについて関心が移りつつある。議会がもう一つの障害だ。議会は外交政策でオバマ氏と対立しているし、通商問題では強い権限を持っている。TPP加盟を表明している大国は、ファストトラック法案が可決されない限り大きな譲歩には応じないとしている。
TPPの正式交渉が開始される前に、両国の関係者は、日本が牛肉と保険の障壁を低め、米国が車に対する2.5%の関税を取り払うことに合意した。
日本の自動車メーカーは喜んだが、デトロイトの自動車メーカーは、批判的だ。確かに日本の車に関税が課されないことになるが、米国自動車部品への関税はより早い時期に撤廃される。オバマ大統領は自動車業界に不利な通商条約を通すはずがないとしている。しかし、アメリカから日本へ輸出される自動車部品は20億ドルだが、日本からアメリカへ輸出される自動車は500億ドルにものぼる。
一方、農産物はアメリカにとって有利だ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「日本の伝統的な農業は関税ともし低価格で売られたり、大量に販売されたりする場合には思い税金を課すという規則に守られてきた。」
「アメリカの豚肉生産者は国家間の合意の最も大きな受益者だ。そして、多くの農業団体が、TPPへの近道としてファストトラック法案の可決を支持している。」

強い日本を目指した安倍のビジョンは過去に悩まされる【A1面】

安倍首相の訪米を前にして、安倍首相の政策全般を網羅的に整理した記事が、一面に掲載された。



1面から始まり、10面のほぼ全ページを割いた力作だ。安倍首相の政策全般を好意的に描いているが、唯一彼の第二次世界大戦についての発言や態度が近隣諸国に誤解を与えていることを批判している。せっかく世界平和に貢献しようといて、集団的自衛権等の問題に取り組んでいるのに、そうした善意の政策が、彼の偏狭な戦争史観のせいで正しく伝わっていないとしている。
それにしても、福島瑞穂の「戦争法案」発言や、佐高信の「民主主義の敵は安倍晋三」等も登場していて、広範な取材力に驚く。安倍首相がUSC(南カリフォルニア大学)に通っていたので、ロサンゼルスに関する記述も多く楽しい。安倍首相は、今回ワシントンに加えて、ボストン、シリコンバレー、ロサンゼルスを訪問するが、この3ヶ所は偶然にも私が暮らしたことのある米国の3つの町で、こうした偶然も嬉しい。

***** 以下本文 *****

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍晋三首相は今週ワシントンを訪問し、沢山の華やかな行事をこなすが、非常に難しい問題のバランスを取るという問題に直面する。アメリカ人に彼の将来のビジョン、つまり新たな活発で強くより平等な日本のパートナーという考えを売り込み、同時に彼の過去に関する見方によって作り出された疑いを鎮めようと試みる。」
「重要なメッセージはこうだ。『1足す1が遂に2になる。』安倍氏は先週行われたウォールストリートジャーナルの独占取材においてこの様に述べた。これは、彼がバラク・オバマ大統領と共に発表しようとしている新たな軍事同盟についての重要性について述べたものだ。」

非常に長い記事なので、暫く要約する。

中国が地域に緊張をもたらす中で、米国は日本の協力に感謝しているし、安倍首相がここ数年で最も強い日本のリーダーであることを喜んでいる。アベノミクスにより株価は上昇しているし、軍事面では、日本版海兵隊を作り、武器輸出を許容し、太平洋地域の国々との安全保障上の連携を強め、軍事支出を増やしている。オバマ大統領は、安倍首相と二人で撮影した写真に「晋三、貴方の強いリーダーシップに感謝します。」というコメントを添えたが、その写真は安倍首相の執務室に飾られている。

あいまいな謝罪
しかし安倍首相の先の大戦での侵略に対するあいまいな態度が、米国をいらだたせている。例えば、戦争時の蛮行についての記述を和らげるように米国の教科書会社に要求したりしたのだ。
この問題は米国が警告すると暫くおさまるのだが、しばらくするとまた再燃して、周辺諸国や米国をいらだたせている。
安倍首相がワシントンを訪問する際には、彼は慰安婦問題について譲歩を迫る韓国系アメリカ人からの抗議に見舞われるだろう。カリフォルニア民主党で日系アメリカ人のホンダ氏は、87歳の元慰安婦を国会で紹介し『いまこそ、安倍首相は明確で、議論の余地が無く、反駁することが出来ない謝罪をすべきだ。』と述べた。
従って、安倍首相にとって最も重要なのは、政策そのものではなく、過去についてどの様に表現するかだ。安倍首相をの現実主義的なブレイン達は、アメリカ人に安倍首相は過去の歴史の修正主義者でもないし、タカ派でもないことを理解してもらいたいとしている。
ワシントンは安倍首相を歓待するための準備を進めている。火曜日には晩餐会が開催され、翌日には議会で演説が予定されている。安倍首相は、英語で演説を行う予定で、自宅で何時間も練習した。
60歳になる安倍首相は、ボストン、シリコンバレー、ロサンゼルスも訪問する。彼は、70年代に2年間、南カリフォルニア大学(University of South California)に在籍し、アメリカのダイナミックさに感動した。
63年に及ぶ日米の同盟関係は、過去25年の間少し厳しい状況にあったが、安倍首相の1週間に渡る訪米は双方にとって象徴的な変換点になる。1989年から17人もの首相が就任して政治的空白を招いた。特に鳩山首相が沖縄の米兵の数を減らし、北京との関係を強化し、日米中の等距離の三角形構想を提唱した時には、アメリカ人はすくみきったものだ。
米国にとって重要なパートナーであるイギリスが、米国を無視して、AIIB参加を決定した際にも、日本は踏みとどまって米国との連携を維持した。オバマ氏と安倍氏は米日軍事ガイドラインの1977年以来初めての改定案を発表する。また、TPP交渉の進展についても発表したいとしている。

日本での複雑な反応
安倍首相の強いリーダーシップに対して、日本国内では2極化した見方が出てきている。安倍内閣の支持率そのものは高いが、個別の政策に対する支持率は必ずしも高くないのだ。集団的自衛権に賛成する国民は23%にすぎないし、「民主主義の敵は安倍晋三」といった本も出ている。
安倍氏の、時に高圧的ともいえる対応は、政治家やマスコミとの軋轢を起こすこともある。先日も国会で、彼の安全保障法案を「戦争法案」と名づけた議員に対して激しくやり返した。
安倍首相は、彼は、日本で国家の安全保障問題に正面から取り組んだ最初の政治家で、最終的には米国によって記章された憲法を改正したいとする。世界的にみれば、彼が実施しようとしている安全保障上の変更は、ゆるやかなものだ。米国のある学者は、この変更は他の同盟国と比較した場合には10段階で3だが、日本の過去の歴史と比較すると10段階で8になってしまうと言う。
安倍氏はアメリカ好きでもある。40年前に南カリフォルニア大学に在籍していた時に、フォードマスタングを運転し、ロサンゼルスの食べ物の大きさに驚き、グリフィス天文台で天体観測を楽しんだことなどを、今でも友人と懐かしがる。サラリーマンになってからは、一年間ニューヨークに駐在しており、彼の妻も、ブロンクス動物園で、彼とデートしたことを覚えている。首相になっても、アメリカのポップ音楽が好きで、ローアンドオーダーやハウスオブカードに心酔している。
しかし安倍氏の第二次世界大戦観は、米国、アジアの近隣諸国、そして日本人をすら苛立たせている。こうした大戦観により、彼の軍事強化政策が、誤った形で伝わることを懸念している。特にアメリカのもう一つの同盟国である韓国との関係悪化は、米国の安全保障政策を複雑にする。
彼は自民党の国家主義者の支持を受けており、彼らは中国や韓国に対しては既に十分に謝罪したと主張している。多くの首相は、A級戦犯が祀られている靖国神社訪問を避けてきたが、安倍首相は2013年に訪問し、日米関係が一時悪化した。彼の祖父の岸晋介は戦犯として非難はされたが、有罪とはならなかった。

自虐史観
安倍首相はかねてから日本の自虐的な歴史教科書を批判してきた。新しい指導要領を擁護し、教科書検定で日本の侵略の表現を和らげさせた。「歴史には明暗がありそのバランスをとるべきだ。」と安倍氏は述べる。彼が歴史表現にこだわるのは、過去70年間の歴史教育が日本人のプライドを無くしてしまい、その結果、多くの改革に際して、日本人がすっかり受け身になってしまい主体的に考えることが出来なくなったと感じているからだ。しかし、安倍首相の側近でさえも、彼の歴史問題の扱い方が、彼の世界でより積極的な役割を果たそうとする意図に誤解を与えてしまうとする。ここ数ヶ月、安倍首相は態度を軟化させ、過去の謝罪を否定する意図は全くないとし、先週の靖国神社の春の大祭での参拝も見送った。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「多くのアメリカ人は、水曜日に予定されている議会演説で、戦争に対する新しい形での反省を織り込んで欲しいと望んでいる。彼を批判する人達や近隣諸国の人達に新しい平和の象徴を示して欲しいのだ。アメリカの退役軍人のグループは下院議長のジョン・ベイナー氏に抗議文を送った。そこには、演説は4月29日に行われるが、その日は裕仁天皇の誕生日で日本では祝日だし、その日はアメリカ人捕虜が日本帝国の収容所で最敬礼を無理強いされた日だと書かれている。」
「演説では、日本の戦争時の態度について何か発言されますかという問いに対し、安倍首相はむしろその後に起きたことに焦点を当てたいと示唆した。『「戦争について反省した後、アメリカと日本は戦後共に前進してきた。そしてこの同盟のおかげで我々は日本と近隣地域の安全と安定を維持してきたのだと言いたい。』」