Sunday, December 21, 2014

オバマは映画を公開しないというソニーの決断を非難する。【A1面】

オバマ大統領が、「インタビュー」の上映中止を決定したソニーを非難したという記事が1面トップに掲載された。



この記事は次のような書き出しで始まる。
「オバマ大統領はソニーエンターテインメントピクチャーを激しく非難した。同社は北朝鮮が実施したとされるハッキング攻撃に対応して、映画の公開を中止した。オバマ大統領は、それは間違いでだとし、全てのエンターテイメント産業に対し、屈服して自己検閲に走らない様に訴えた。」
「大統領が米国に本社をもつ一流企業について非難するのは極めて稀だ。この批判は、今年最後のオバマ大統領の記者会見の中で明らかにされた。」

長い記事なので暫く要約する。

金曜日にFBIは、オンライン攻撃によってソニー映画が作成した金正恩のパロディ映画「インタビュー」のデータを削除し、暴力による脅しを表明したのは北朝鮮だと非難した。この脅しにより多くの映画館が同映画の上映を中止し、ソニー自身も上映を諦めた。オバマ大統領はソニーの決断に同情を示しながらも、それは間違いだと断言し、少なくともその決断の前に彼に相談して欲しかったと述べた。ソニーの幹部は脅しに屈したわけでは無いとし、他の方法での公開を模索していることを明らかにした。
オバマ大統領は北朝鮮への制裁を課すことを明らかにし、政府高官は北朝鮮をテロ国家に再指定する考えを明らかにした。しかし、こうした制裁も象徴的な意味しかもたない。両国間の2014年の両国間の貿易額はわずか22百万ドルで、この額は「インタビュー」が公開第一週に稼ぐであろう金額よりも小さい。
ソニーピクチャーズは日本のソニーの子会社だ。ソニーの幹部と大統領や民主党幹部は仲が良いだけに、今回のオバマ大統領の発言は目立つ。ソニーピクチャーズ社長のリントン氏とその妻は、オバマ大統領への寄付$13,000を含む$300,000を民主党関係者へ寄付した。ソニーピクチャーズ共同会長のパスカル氏とその夫は$200,000を民主党関係者へ寄付した。
オバマ大統領は、ソニーピクチャーズだけでなくハリウッと全体にテロに屈しない様に呼びかけたが、フォックスは既に映画「ピョンヤン」の制作を諦め、現在制作中で北朝鮮が少し登場する映画「The Defection」の内容変更を検討している。オバマ大統領はそうした自主規制は、昨年爆弾がしかけられたことを理由にボストンマラソンを中止する様なものだと述べた。
FBIは今回仕掛けられた悪質なソフトウェアが北朝鮮が過去に使用したソフトウェアと似ていることや、今回の攻撃が依然北朝鮮が韓国の銀行にしかけた攻撃に似ていることなどを、詳細な証拠と共に説明した。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「ジョン・ケリー国務長官は北朝鮮についての厳しい書簡を発表した。そこで、彼は、オンライン攻撃と暴力による脅しは北朝鮮によるものだと断言している。『この様な非合法行為による脅しは、北朝鮮による国際秩序への目に余る軽視行為を如実に示している。』と彼は述べた。」
「この発言に反応し『我々はいかなるテロ行為も許さないし、利己的な独裁者がどんな製品がアメリカで作られ販売されるべきか決めることも許さない。』と下院法律委員会の共和党トップであるバージニア州選出のボブ・グッドラテ氏と民主党トップであるミシガン州選出のジョン・コンベイ氏は述べた。」

ソニーはサイバー攻撃に屈した企業として、米国でのイメージ低下が免れないらしい。日本では平井社長の映画の内容への関与が、言論の自由を踏みにじるものとして話題になっている様だ。
WSJは、ソニーピクチャーズのリントン社長やパスカル共同会長が民主党に多額の寄付をしていたことなどをあげ、ソニーに少し同情的に読める。
アメリカではテロに屈することは許されず、今回のソニーの判断も許されないことなのだろうが、一方で映画の内容はかなり低俗らしい。アカデミー賞候補映画のUNBROKENでも日本軍の残虐さを全く事実と異なる内容で描いているシーンがあるとのこと。
言論の自由は守られるべきだが、アメリカが大統領まで関与させて守ろうとしている言論の質についても、もっと自由に議論して欲しい。

Saturday, December 20, 2014

ソニーの事件から学んだこと:ハッキングされるな【A15面(専門家意見欄)】

ソニーがジ・エンターテインメントの公開を中止したというニュースに関して、専門家投稿欄に投稿があった。



「ソニーピクチャーズの共同会長は彼の映画の好みを題材に冗談を言っていたかもしれない。しかし、オバマ大統領はソニーの願いをきいてあげた。水曜日に、政府は、明らかな確信の欠如はあるものの、北朝鮮がエンターテインメント業界の巨人を苦しめたハッキングの背後に北朝鮮がいるという認識を明らかにした。金曜日にFBIは声明を発表し、今回のハッキングと過去の北朝鮮のハッキングとの間には類似点があるという民間部門の見方を繰り返した。」
「疑いなく、このタイミングはソニーにとって有益だった。劇場は北朝鮮を題材にした議論の渦中にあるコメディーの公開を諦め、ソニーはその公開中止を決めた。会社のリーダーシップが当面そのまま継続すること以外のもう一つの当惑は、15才の子供たちが遊戯室からハッキングする前に、それは失敗していたということだ。」
「半分懐疑的になろう。無慈悲にトンキン湾事件が思い出される。もし、北朝鮮が、以前そうしていた様に、ソニーのネットワークに干渉したのなら、そうしたのは北朝鮮だけでは無い。ハッカー達のソニーに対する嫌悪は2005年に遡る。音楽CDのコピーを防ぐために顧客のコンピュータソフトウェアを秘密にしたのだ。それは、過去2回の夏にリフレッシュされた。その夏に、2011年の破壊的なソニーのプレイステーションネットワークのハッキングの罪で、警察は20歳をテネシーからロンドンまで探し求めていた。」
「我々が知りたいこと。FBIは見つけ出せないだろう。北朝鮮の役割は正確にいうとどの様なものか、そして、他の人々をどの様に北朝鮮のために働かせることが出来たのか?北朝鮮のハッカー達は巨人たちの肩の上に乗っている。ロシアのコンテンツ泥棒、中国の企業秘密スパイ、そしてソニーをここ10年程攻撃してきた政治的な意図をもったハッカー達である。参加者はしばしば互いの本名も国籍も知らない。もしハッカーネットワークが様々な政府機関のために働く米国のエージェント達で溢れていたとしても驚かないで欲しい。重要な参加者がFBIの諜報員でなければ、プレイステーションの件では逮捕はされなかっただろう。」
「こうした歴史からみて、どうしてソニーのデータ機密が3流だったのかは、将来のビジネススクールのケーススタディの謎であろう。いまや世界は米国の文化的スーパーパワーを取り扱わねばならない。それは、歴史上初めてのサイバーテロリストによる恐喝の成功事例の犠牲になったのだ。劇場のオーナーを責めるのは止めなさい。彼らもまた弁護士の忠告に気を付けるしかなかったのだ。9.11の様な攻撃をしかけるという電子メールでの脅しは、大企業がそのコンピュータネットワークとデータ機密のコントロールを失うという1ヶ月にわたる見世物がなければ、そんなに深刻に扱われることはなかったであろう。」
「ソニーはかつてはエンターテインメント業界をかく乱していた。最初のホームビデオレコーダーを生産し、ハリウッドを激怒させた。ハリウッドは、その作品をいつどこでコンシューマに見せるかについてのコントロールを失ったからだ。そして、盛田昭夫氏は垂直統合に恋をした。音楽、映画、テレビ番組制作を、これらのコンテンツを消費するデバイスを作るビジネスに加えて、そのビジネスとした。この会社はそれからこの間違った判断の代償を払い続けている。特に、プレイステーションネットワークをセットアップした後、海賊版やハッキングによるお互いに関係のある苦難の主要なサンドバッグに自らを位置づけてしまったのだ。そして、ハッカーの集団が一旦同社の弱点についての知識を集積させてしまうと、北朝鮮の様なテロリスト国家でもそれを利用することが簡単なのだ。」
「NSAのスパイは我々のデータの心配の中では最小のものだ。それはこのコラムが長い間指摘してきたことだ。そしてソニーは何故かを示す。しかし、サイバーの自暴自棄は行われ過ぎた。よりよい暗号化は多くの問題を解決し、CEOレベルの電子メールが漏洩されることでコストベネフィットのハードルを満たすのはより簡単になってきた。」
「暗号化が解決出来ない一つの問題は、従業員の不注意と無能さだ。これがソニーのハッキングの最大の要因だ。」
「ここにジ・インタビューが持ち出されてくる。冷戦後残されてきた地政学的な謎に脅威が消されるのなら、ソニーはほんの少しの尊厳と共に現れたかもしれない。ハリウッドの仲間以上に、我々はソニーピクチャーズのエイミーパスカルやプロデューサーのスコットルーディンに、オバマについての電子メールについて聞いてみたくなるのだ。冗談がこれほど面白くない時に、その重要性が無視される様に努力が払われる。ハリウッドの人達はみかけよりも頭が良い。彼らは大体において彼らの技能がステレオタイプにおける取引であることを知っている。冗談はオバマ大統領はブラック映画が好きだに留まらない。次のうちのどれか?見る価値はあるが見るに堪えない12 YEARS A SLAVE、復讐のファンタジーDJANGO、お決まりのラブコメディのTHINK LIKE A MAN。」
「もう一つのハリウッドの伝説において、ベストムービーの幾つかは映画についての映画だ。ジ・インタビューの扱いはコメディについてのコメディというアプローチが最も良いだろう。SPINAL TAPの配役を再集結させよ。しかし、ヘビーメタルバンドの代わりに映画の重役をあてよ。フラン・ドレッシャーは素晴らしいエイミーパスカルとなるだろう。」
「これは我々を最後の皮肉へと連れてくる。ソニーは、今、ジ・インタビューを公開する予定は無いと言っている。待ってほしい。もしソニーが特殊能力を持っているものがあるとすれば、それは予定していない公開なのだ。」

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「ソニーの盛田氏が作り出した垂直統合というモデルにより、ソニーがハッカーの狙い目とされた。それにもかかわらず、ソニーの従業員がデータセキュリティに対する真剣な対応を怠ってきたために、歴史上初めてのサイバーテロリストによる恐喝事件を成功させることになった。」と言っている。ソニーが長年いにわたってハッカーの攻撃を受けながら、データセキュリティーが3流であったことは、将来のビジネススクールにおけるケーススタディになるだろうと皮肉っている。
これまでも米国ではコンピュータセキュリティに対する意識は高かったが、今回の事件をきっかけに、セキュリティーに対する議論が高まっている様に感じる。今回の事件により、日本でそう言った議論が高まっているとは言えず、両国のコンピュータセキュリティに対する意識の差を感じる事件だった。

Tuesday, December 16, 2014

日本の安倍は賃上げを推し進める【A11面(国際面)】

16日の政労使会議で、安倍首相が経済界に対し、賃上げ要求をしたことが、同日の国際面で速報された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍首相は月曜日に企業に来年、賃金を上げるように要求すると語った。選挙の決定的な勝利を利用し、中間層が利益を得ていないという批判に対応する。」
「連立与党が衆議院で3分の2の議席を確保した翌日、安倍首相は、記者会見で、安倍政権下での株価上昇や企業収益増加は、労働者の利益にまでなっていないことを認めた。」

長い記事なので暫く要約する。

日本の賃金が上昇したのは、安倍首相が政権についてから四か月だけだった。円安により輸入品の物価が上がり、更に消費税が8%へ引き上げられ、実質賃金が下がった。賃金の上昇が物価の上昇に追いつかないと、経済は危機に直面する。

一方で、日本の企業は多くの内部留保を抱えている。保険と金融関係を除く全ての企業の内部留保の合計は313兆円にも上る。トヨタの今年度利益は2兆円に上る。同社は、安倍首相の呼びかけに理解を示すものの、賃上げにコミットはしていない。安倍首相は昨年も企業に対して同様の要請をした。大企業はまずますの賃上げに応じたが、中小企業は応じなかった。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「安倍首相にとって今回有利なのは、労働市場が20年振りに、需要過多の状況になっていることだ。SMBC日興証券のエコノミストであるマキノジュンイチ氏は強気の見方をする。首相の政策にかかわらず、労働者への需要は賃金を押し上げるだろう。『成長戦略を実施しようがしまいが、企業税をカットしようがしまいが関係無いのです。』とマキノ氏は言う。成長戦略と法人税引下げは安倍首相の公約だ。」
「それに加えて、原油価格の下落が、日本の燃料の輸入価格を9.6兆円押し下げ、これが消費者の懐をさらに温かくするだろうとマキノ氏は予測する。」

本来、賃上げは組合を通して、中間層たる労働者自らが企業に要求することだろう。こんなことですら、政府にやってもらわねばならない様では、日本において中間層が裕福になることは無いと思うがどうだろか。

Monday, December 15, 2014

日本の安倍が選挙で大勝利を記録【A1面】


衆議院選挙の結果が15日(月)の一面で速報された。


この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「日本の安倍首相は、選挙で決定的な勝利をおさめた。これにより、世界第三位の経済を再生させ、平和国家の軍隊を強化することを目的にした政策を実施するための権力の確保を確実なものにした。」
「この勝利により、安倍氏率いる連立与党は、殆ど全ての法案を通過させることの出来る権力と十分な議席数を手に入れることが出来た。首相は、今後4年間その地位に留まることが出来、最近では最も安定した力をもった政治家の地位を確固たるものにした。」

長い記事なので、暫く要約する。

安倍首相にとって、最大の懸案は、経済の再生だ。彼は、企業に賃上げを要求し、経済回復の恩恵を感じていない国民にその恩恵を行き渡らせると言った。この選挙は、安倍首相にとって大きな賭けだったが、その賭けにでた効果はあった。自民党は、衆議院の475議席のうち、290議席を獲得し、連立与党を組む公明党と併せると衆議院の3分の2以上の議席を確保した。
安倍政権下で、株価は倍増し、大企業は記録的な利益を出した。これは、安倍首相が選んだ黒田日銀総裁が実施した金融緩和による円安の効果だ。しかし、円安は、輸入品価格の値上がりにより中小企業や一般の庶民を苦しめ、国家の負債は膨張し続けている。
安倍首相にフラストレーションを感じる国民は、投票しないという行動を選択し、投票率は過去最低の52%だった。投票に足を運んだ多くの人も、自民党以外に投票する党がいないと述べた。野党第一党の民主党の議席は73議席で、自民党に対する不満票は21議席を確保した共産党へと向かった。
多くの投資家が安倍首相が構造改革を実施するか見守っている。安倍首相は原発再稼働の様な不人気な政策にも取り組むことを確約している。また、軍事強化を実施するチャンスも得た。しかし、沖縄での選挙結果は、安倍首相に沖縄に米軍の新基地を作ることを難しくした。沖縄に4つある全ての選挙区で自民党推薦候補が落選したのだ。外交も中国や韓国の関係など困難が待ち受けている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「『私の優先課題は経済です。しかし、同時に私は戦略的外交にも重点をおきます。日本の地位を改善させ、国益を守ります。』と安倍首相はNHKとのインタビューで述べた。」
 「安倍首相の強化された権力は先進国の中でも印象的だ。唯一の例外はドイツのメルケル首相か。アメリカでは、オバマ大統領の反対党が11月に議会の完全な支配権を得た。フランスのホランド大統領の支持率は12%まで落ち込んだ。対照的に、安倍首相は最近の日本の歴史の中では最も長期政権を維持する首相とになる。日本では過去四半世紀の間に17人に首相が入れ替わったのだ。」

WSJは、安倍首相が、その安定した地位を利用して、強力に政策を推し進めることを願っている様だ。

Saturday, December 13, 2014

嫌々ながら、日本の選挙民は安倍を優位に立たせる【A6面(国際面)】

衆議院選挙では、安倍首相が圧勝するだろうが、それは他に選択肢が無いからだという記事が、13日の国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「トヨタ自動車の地元では、着物はトヨタカローラの中古車と同じ位の値段がするが、そこにある着物店では、安倍首相が2012年にその地位について以来、売上は10%伸びた。」
「つい数年前、豊田市は非常に深刻なスランプにあったので、デトロイトと比較する人がいた位だ。今や、40万人の人口を擁するトヨタの城下町は、安倍首相の経済政策の最大の受益者の一つであるトヨタの記録的な利益のおかげで、蘇るつつある。」

暫く要約する。
しかしアベノミクスの効果は全体に行き渡っている訳ではない。例えば、豊田市の部品メーカーは円安によるエネルギー価格の高騰に苦しんでいる。その他の地方でも同様で、とても景気が浮揚している訳では無い。また、安倍政権や自民党の支持率は低迷している。この様な状況でも、各種世論調査によれば、自民党の圧勝が予測されている。今回の選挙は、アベノミクスへの国民投票と言わているのにである。これは、多くの国民が、政権が安定しないと、経済が安定しないと考えているからだろう。これまで日本の首相は毎年の様に変わって来たが、選挙結果が世論調査の通りだとすると、安倍政権は長期政権となる。
名古屋地区はもともと民主党が強い地域だ。2009年に民主党が政権を取り、その後自民党が取り返した。現在、名古屋市や豊田市を擁する愛知県の失業率は2009年の5.1%から2.4%へと半減している。国際的な企業はアベノミクスの恩恵を受けている。トヨタは2009年に4,370億円の損失を計上したが、昨年は1.8兆円の利益を計上するまでに回復した。
しかし、中小企業はあまり恩恵を受けていない。同様の格差が、都会と地方、高齢者と若年層でも起きている。豊田市でも、新たに生み出された雇用の内、フルタイムの仕事は半分にも満たない。民主党は、安倍首相の政策は価格を上昇させ、賃金の良い仕事を増やすことに失敗しており、庶民を苦しめていると訴えている。
確かに、トヨタの下請け部品業者は、売上は増えているが、エネルギー輸入価格の高騰で、利益は縮小している。それでも、多くの部品業者は、トヨタの業績好調が継続すれば、長い目でみれば、必ず自分たちも恩恵を受けられると信じている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「豊田市のホテル豊田城では、ある月は、80%以上のビジネスが海外顧客によって占められたと、同ホテル社長のアライトシカズ氏は言う。同ホテルの稼働率はほぼ100%だ。」
「観光ブームも起きてはいるが、彼は安倍首相を信用はしている訳ではない。安倍氏は選挙には勝つだろうが、それは彼の政策に対する熱狂からくるものでは無い。『アベノミクスは問題だらけだ。しかし、野党である民主党も対抗案を明らかにしていない。』とアライ氏は言う。」

自民党を好きで無い国民は多いが、かといって、民主党は何をしたいのか分からずこうした国民の受け皿になっていない言っている。その通りだろう。
アベノミクスは分かりやすくパワフルな政策だが、第3の矢である成長戦略で何をしたいのかさっぱり分からない。せっかく東京オリンピックを誘致したのに、何か国民的な盛り上がりに欠けている。このあたりに民主党が具体的な政策を立て、国民に夢を与えて欲しい。
確かに中間層に富が十分に配分されていないかもしれないが、かといって中間層は、民主党が言っている様なばら撒きによる施しを期待している訳ではない。中間層が、将来に希望を持てる様な社会、中間層が一生懸命に働いて自らの手で豊かさを勝ち取れる様な社会を具体的に描いて、自民党との違いを鮮明に打ち出してもらいたい。

Wednesday, December 10, 2014

ソニー対北朝鮮【A17面(専門家投書欄)】

北朝鮮によるとされるソニーピクチャーズへのサイバー攻撃の記事が専門家投書欄に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「北朝鮮は、ソニーのハッキング以上の意味で、文明国にとって脅威だ。ハッキングが北朝鮮の仕業という前提だが。しかし、それでも質問には答えられなければならない。」
「セス・ローゲンのコメディー『ジ・インタビュー』はどこの映画会社が選択してもおかしくなかった。この映画は、二人の喜劇的なテレビジャーナリストが、北朝鮮のキム・ジョンウン暗殺のために雇われるというストーリーだ。しかし、ソニーは日本の会社だ。そして、日本は北朝鮮のテロリズム、誘拐、ミサイルの脅威に数十年もの間晒されている国だ。」
「ソニーは、何度もハッキングの脅威に晒されたプレイステーションというデジタルネットワークを持っている唯一のスタジオだ。」

長い記事なので、暫く要約する。
ソニー程、ハッキングを避けるのに腐心した会社は無いのに、今回5つの映画が共有サイトに漏れてしまった。とりわけ、過去50年の間に、ソニーほどハッカーにつきまとわれた会社は無い。被害者を非難するつもりはないが、来るべきサイバー戦争の時代には、ファイアーウォールやウィルス阻止ソフトウェアはよりも、サイバー攻撃に強いビジネスモデルが重要だ。
北朝鮮がハッカー攻撃をしかけたのかどうかはまだ明確ではないが、北朝鮮は国連に抗議し、対抗措置を取ると主張してきた。ハッカー集団の狙いは情報を盗むことでなく、ソニーを地球上から抹殺することにある。もし、北朝鮮の仕業だとすると、ハッカー集団の夢想を通り越して、サイバー戦争に真剣に対応すべき時が来たというべきだ。ソニーはそんな時代において、2度も重要な役割を演じたのだ。
2011年にソニーはアノニマスと名乗るハッカー集団の攻撃を受けたが、後にFBIの情報屋であることが判明するサブはブログで「多くのメール、パスワード、文章、クレジットカードが悪質な業者の手に渡るのと、誰かがその前にパスワード変更をした方が良いですよと貴方に通知するのとどちらが良いか?」と述べた。これを折りに多くのテクノロジー企業は悪質ではないハッカー達と手を結ぶ様になった。しかし、ハリウッドのコンテンツ企業を配下に持ち、ハッキングが致命傷になりかねないソニーは、こうした妥協をしなかった。ハッカーに異常なまでに注意を払ったストリンガー前社長は、プレイステーションのネットワークを独自のもの(Proprietary)にすることで対抗した。一方で、アップル等は、デジタルデータへ非常に安くアクセス出来る様にし、ハッキングそのものが意味を持たない様にした。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「この多様化されたエコシステムはコピーライトの脅威を和らげるばかりでなく、ソニーの厳重にコントロールされたプレイステーションのネットワークより、商業的にハッキングに晒される危険が低いビジネスモデルを提供している。プレイステーションネットワークはハッキングお宅を引き寄せることが証明されている。月曜日、ソニーが北朝鮮のハッカーと伝えられる集団と戦っていた時でさえ、関係の無い別の集団がサービス拒否攻撃によりプレイプレイステーションストアを爆破していた。マイクロソフトのX-BOX LIVEネットワークもサービス拒否攻撃の標的にされていた。この歴史の結論は、どんな北朝鮮の攻撃者も辿るべき沢山の足跡を簡単に見つけ出してしまうだろうと言うことだ。」
「北朝鮮の冷淡な独裁者を嘲笑する映画は、西側諸国の文化資産への大変に面白く意味のある貢献だということは言える。だが、そうした映画は、北朝鮮の不賛成を嘲笑しても大丈夫な様にデザインされたビジネスモデルをもつスタジオにより許可されるべきだった。」

「今回の北朝鮮によるサイバー攻撃は、ソニーでは無く、もし他の映画スタジオが同じ映画を作成していたら、起こらなかった。」言い換えれば、「ソニーがこの映画を作成したから、アメリカがサイバー攻撃に晒された。」と言っている様に読める。
その理由として「ソニーが北朝鮮と敵対する日本の会社であること」「プレーステーションネットワークが何回もサイバー攻撃にあっていて脆弱であることが証明されていること」「ソニーピクチャーズのビジネスモデルがコンテンツそのものの価値で稼ぐ古いビジネスモデルであるため、コンテンツを狙った攻撃に晒されやすいこと」の3つを挙げていると読める。
最後には、「ジ・インタビュー」という映画は西側諸国にとって貴重な文化資産とまで言っている様に読める。なんとなく腑に落ちない記事だ。

Tuesday, December 2, 2014

日本の信用格付けが引き下げられる【A13面(国際面)】

ムーディーズ社が日本の国債の格付けを引き下げたというニュースが国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。

「ムーディーズ社の投資サービス部門が月曜日に日本の信用格付けを引き下げた。安倍晋三首相は、経済再生に取組んでいるが、この格下げは彼が直面している課題を如実に反映している。日本経済は2四半期連続で縮小しており。こうした状況は通常不況とみなされるのだ。」
「安倍首相は先月、来年に予定されていた消費税引き上げの実施時期を延期することを決定した。ムーディーズ社は格付け引き下げの説明会において、安倍首相のこの決定により、日本の財政再建の可能性がより一層不透明になったと述べた。安倍首相は延期の決定の直後に、総選挙の実施を決めた。日本国民はアベノミクスに審判を与える機会を与えられた。アベノミクスとは、金融緩和、財政出動、規制緩和による経済政策だ。」

暫く要約する。

ムーディーズは、格下げの理由として、日本政府が取組まねばならない「経済成長と財政規律を両立」という仕事がが極めて困難なものであることを挙げている。また、消費税引き下げ時期延期は、それにより経済が成長し税収が増えるのなら有効的だが、現在の安倍政権の成長戦略が成功するのかが疑問である点も格下げの理由としてあげた。日本の格付けはAa3となったが、これはイスラエルやチェコ共和国と同じだ。
安倍首相は、7~9月期のGDPが大きく縮小したとの暫定発表を受けて、消費税引き上げ時期の延期を決めたが、月曜日に発表された法人企業統計では、同期のGDP縮小幅は暫定発表程、悪くなかった。

この記事は下記の様なコメントで締めくくられている。
「日本のGDPの14%を占める企業投資は、以前の推定では0.2%の減だったが、実際には3.1%上昇していたことを財務省の統計は示している。」
「この統計が発表された後、Berclays社と J.P.Morgan社は、日本政府は7~9月期のGDPはその前の期からほぼ横ばいだったと発表するだろうと語った。」

韓国では、日本の国債の格付けが、韓国よりも低くなったことが話題になっているらしい。日本は経済成長と財政規律の両立という難しい課題に取組まねばならない。今回の衆議院選挙は日本の将来を決める重要な選挙であり、どの政党がこの課題に真剣に取組もうとしているのか、よく見極める必要がある。