Thursday, July 7, 2016

若者の意識を高めるため日本はおしゃべりするコメを起用【A1面】

77日の1面で、参議院選挙に向けて、若者の心を掴もうと的外れな取組みを行う、各政党の様子を面白おかしく伝える記事が掲載された。



民進党は「ファッション誌のモデルと議員の討論会」を開催、公明党は「進め!コメ助」というキャラクターを作成。自民党は「女子高生をモデルにした漫画」を配布。(この漫画は、女性と若者を馬鹿にしたものだとして批判を浴びたそうだ。)東京都は「りゅうちぇるとペコを起用した『投票都』なるビデオ」を作成し(このビデオは好評だった様だ。)、「輪入道らのラッパーを起用した集会」を開催。いずれの取組みも若者の心には響かなかったようだ。
こうしたバカバカしい記事が1面に取り上げられるのが、WSJユニークなところだ。

***** 以下本文 *****
今週末の参議院選挙で、今回初めて選挙権が与えられた18歳、19歳の若者に投票所へ足を運んでもらうために、選挙関係者はあの手この手のマーケティングキャンペーンを始めた。そこでは、若者の中に芽生えたばかりの民主主義的な考え方に訴えることの出来るであろう多くの外交官的キャラクターが起用されている。
例えば、金髪の男性モデルとその恋人、恋愛漫画の主人公、そして話をする米などだ。
野党の民進党は、若者の投票率をあげるために、10代のモデルに議員との対話集会に参加してもらおうとを考えている。そこでは、最新のスマホアプリや議員同士の恋愛といったゴシップについて語られる。最近のイベントでは、政府が取り入れるべき政策として、アイスクリームの無償化や捨てられたペット用シェルターの増設等が提案された。
「対話集会に参加するこうしたモデルは、多くのファンを持っている。こうしたイベントは、ファンたちに政治は彼らの生活の一部であり、従って投票すべきだと考えるきっかけになるかもしれない。」と民進党の初鹿明博議員は言う。
日本は、地球上でもっとも年老いた人口の多い国なので、若い世代になんとしても政治に関与してもらいたい。2014年の衆議院選挙では、投票率は過去最低を記録、高齢者の殆どが投票所に足を運ぶ一方で、20代は3人に1人しか投票しなかった。
選挙年齢を引き下げる法案は昨年成立した。6月に朝日新聞が実施した調査によれば、18歳、19歳の3分の2近くが、2大政党のいずれも支持していない。
進めコメ助は、しゃべる米粒だ。このキャラクターは、自民党と連立与党を組む、公明党が生み出したもので、その名前は公明党と米をかけている。コメ助は、議員にインタビューしたり、政策ビデオに登場したりして、有権者を教育する。
最新のビデオでコメ助は「公明党は若い世代が社会に参加出来る様にあらゆる手段を取ります。」と発言している。
コメ助はインスタグラムのアカウントも持っており、「僕、コメ助。東京出身です。米が大好きです。みんなと友達になりたいな。」と言っている。コメ助は様々なバージョンがある。ある時はストリートに出ているし、ある時はアイスクリームのお皿に中にいるし、またある時は赤いワゴンに乗っている。
公明党の職員でコメ助のインスタグラム用の写真撮影を担当しているオカモトワカナ(25歳)によれば、その人気は上がっていて、ハンドメイドのコメ助を作ってポストする人が出てきたり、コメ助のパロディ版であるムギ助も出てきたりしている。
東京都は、公民としての責任を浸透させるために、モデルのりゅうちぇるとそのガールフレンドであるぺこを起用した
インターネット上のビデオで、二人はアニメーションのネオン輝く不思議の国「投票都」を飛び回る。その都市は、ダンサー、花々、相撲取り、そして目や口のついた投票箱などで溢れかえっている。
東京都選挙管理委員会のインタビューで「選挙は公式のものでとても固いものと思われがちですが、選挙がお祭りの様なものだったら、若者は参加しやすいし楽しいだろうと思います。」とりゅーちぇるは語った。
この件について、東京都はコメントを拒否。りゅーちぇるとぺこの事務所にもコメントを求めたが、返答が無かった。月曜日にぺこはツイッターで投票に行ったことを公表した。(選挙は710日だが期日前投票が認められている。)
自民党は漫画本を12万冊配布して物議を呼んだ。漫画の中では、女子高生が好きな人の気を引くために投票する。
その漫画は5月に配布されて以来、若者と女性を馬鹿にしたものだとして批判を浴びた。
漫画の中で、主人公の女子高生は、片思いの男性である朝倉が友人と政治、経済や選挙の話をしているのと見る。朝倉に近づくために、彼女は朝倉の友人に一緒に投票に行かないかと尋ねる。
朝倉は投票に行くために女子高生を迎えに行く。かれはからかい半分で、「誰に投票するか決めた?」と尋ねる。「貴方と関係無いことでしょ。」と彼女が答える。「そりゃあ、関係ないさ。でも、僕は政治家の信条と目標について勉強したよ。
「批判があることは確かです。でも、こうしたやり方が若い人に投票の意味を知ってもらうためのベストな方法だと思います。」と自民党の広報担当者は言う。彼によれば、若者にアピールする配布物を作ったことのなかったベテランの議員から、個々の有権者にこうした漫画を配る様に要請があったという。
日本人の若者は、こうした様々な取組についてどう感じているのだろうか?

「若者はこうした対応について知らないのではないでしょうか。」と大学生のコヤマアイナ(19歳)は言う。「私は18歳に対しては、コマーシャルや雑誌や大学掲示板で宣伝する方が良いと思います。
選挙に行ってもらうためのこうした諸々の取組の効果は、投票結果が出るまでは分からない。一方で、無関心との戦いは続く。
先月、暖かい日の午後、東京の最も大きな駅の駅前で行われた2間のイベントに、東京都はラッパーを起用した。ラッパーの輪入道(26歳)は、黒いジーンズとTシャツに身を包み、集まった聴衆に対して、参加型民主主義の重要性を訴えた。
「俺でさえ、過去の全ての選挙で、投票したわけじゃない。」と彼はラップで伝えた。「つらいよ。でも、君たちは18歳で投票権を得たんだ。投票所に行くことに価値があるとは思わないか?」