Monday, July 11, 2016

日本の有権者は安倍首相に大きな勝利をもたらした【A6面(国際面)】

10日に投開票が行われた参議院選挙について、翌11日の国際面で速報した。安倍首相が今井絵理子と握手をして勝利を喜ぶ姿を、カラー写真で大きく掲載している。


安倍首相は参議院選の勝利により、憲法改正に必要な3分の2以上の議席を確保したが、憲法改正の議論は、日本国内の政治状況を混乱させるだけでなく、中韓両国との外交関係も悪化させ、膨大な時間を費やすことになる。日本は25年間も経済不振に苦しんでおり、これに終止符を打つことこそが安倍首相がすべきことであり、それこそが国民がこの選挙で自民党に期待したことではないかと言っている様に読める。

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日本の連立与党は日曜日に行われた参議院選挙で素晴らしい成果を示した。これにより、安倍首相は、軍隊に平和的な制限を課している現憲法の改正という長年の目標を達成するための議席数を確保した。
安倍首相率いる自民党とその連立相手である公明党は、242議席ある参議院において、改選議席121議席のうちの70議席を獲得した。
連立与党と憲法改正に賛成している一部の野党と無所属議員を合せると、上院の3分の2をわずかに上回る。憲法改正のためには、衆参両議院の3分の2以上の賛成が必要で、その後の国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。今回選挙の無かった衆議院では、既に3分の2以上の議席を確保しており、これにより安倍首相は憲法改正のプロセスを開始することが出来る様になった。
自民党は軍事力の行使を制限している憲法第9条を削除することを長年にわたって支持してきた。この憲法は、日本が第二次世界大戦に負けた後の1947年に制定された。その憲法を改正すれば、戦争時の侵略による中韓両国への影響について、日本は全て認めていないとする中韓両国を怒らせることになるだろう。
選挙後の記者会見での安倍首相のこの問題についての発言は慎重で、まずは憲法審査会がよく検討すべきで、安倍首相本人が何を改正したいかについて発言するには時期尚早だと述べた。「ただ単に憲法改正に賛成か反対かといったことが問題なのではない。憲法改正に対する国民の理解がなければ、いかなる改正も国民投票で承認されない。」と彼は言った。
安倍首相が憲法改正の動きをとれば、それは国民を2分する激しい議論になるだろうし、国会内の様々な勢力の間で、やっかいな議論が繰り広げられることになるだろう。昨年、安倍内閣は、自衛隊が同盟国と共に海外で戦える法律を成立させた。この時でさえ、何か月にもわたる抗議行動が起こり、幾つかの抗議行動では数万人規模の国民が集結した。
今回の選挙は、安倍氏が首相について3回目の選挙だった。彼は、その全ての選挙で明確な勝利を成し遂げた。2009年~2012年の民主党政権時代の混乱により、国民は民主党幻滅していたが、その幻滅をうまく利用した。選挙において、安倍首相は2012年以降実現している安定を強調した。
「我々が行わねばならないのは、この道を確実に前進していくことだ。」と選挙運動中に安倍首相は語った。
世論調査によれば、アベノミクスについて反対している国民が賛成している国民より大いにもかかわらず、国民は安倍首相と自民党にリーダーシップと能力があるとみている。
ハヤマエイイチロウ氏(60歳)も、安倍首相の成果に満足していないにもかかわらず自民党に票を投じた一人だ。「経済が良くなったとは思わないが、自民党は他の政党よりはましだ。」と彼は言う。
安倍首相は2018年までは首相の座にとどまることになるだろう。沢山の経済問題があるにも関わらず。日本の人口は減少している。経済成長は止まっている。そして、かつてない程多くの人々が低賃金の非正規雇用にとどまっている。
アベノミクスは、過激ともいえる金融緩和や社外取締役の採用等を含むビジネス慣行の変更等を行ってきたが、日本の成長軌道に戻すまでの衝撃を与えることはなかった。輝かしい成果はあまりないのだが、円安(最近は逆戻りして円高傾向だが)のおかげで、たまたま株式市場や企業収益は改善した。安倍首相はこうした数値を成果として強調した。
不幸なリーダーが何代も続いた後なので、国民の多くが、安倍首相の経済政策の凡庸な成果を、高く評価してしまう。国民が不満を感じている経済不振は日本では新しいことではないのだ。この国は25年前に経済大国であることを止め、1990年以降金利とインフレ率はゼロのままなのだ。