Monday, September 21, 2015

日本は軍事費に照準を合わせる【A8面(国際面)】

安保法案を成立させた安倍首相は、次に武器コストの削減に挑戦するだろうという記事が、国際面に掲載された。


安倍首相は、日本の武器メーカーが海外ビジネスを推進することによるコストメリットで武器コストの削減を目指しているが、規制に守られた武器メーカーはなかなか海外に出て行こうとしない。WSJは、武器メーカーが海外に出ていくためには、合併による巨大企業化が必要だが、日本ではそうした議論までは起こっておらず、しばらくは安倍首相の目論み通りにはことは進まないだろうと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
「安倍晋三首相は、日本の自衛隊の役割を広げる法律への法的承認を確保したので、政府は武装するためのコストが高いことに狙いを定めた。」
「安倍連立内閣が週末に国会を通過させた新法は、第二次世界大戦以降初めて、限定的な範囲ではあるが、政府が海外にいる同盟国を助けるために軍事的な支援を行うことを可能にする。」

長い記事なので予約する。

この新法は一連の軍備拡張の一部であり、昨年は、日本の武器輸出の規制を緩和した。新しい政府の調達機関は、軍事産業に刺激を与え、コストを引き下げることを目的にしており、昨年の10月に活動を開始した。
しかし、武器メーカーは変化を嫌っている。軍事産業は、戦後の平和憲法の下で軍事費があまり増えない状況を反映している。安倍首相のもとでも、軍事費の増加は一桁台の前半にすぎない。日本の武器供給者にとって、武器ビジネスは全体のビジネスの10%程度を占めるにすぎず、サイドビジネスだ。昨年まで一部の例外を除き、武器の輸出が禁止されていたので、自衛隊が唯一の顧客だった。
日本の武器メーカーは、現状のやり方が好きだ。日本の軍事費予算は、米国の約10分の1の約1兆3千億円にすぎず、大きな儲けや成長は期待できないが、リスクは限定的だ。
一方、納税者は重荷を背負わされている。例えば、日本の90型戦車は約670百万ドルするが、米国では同等の戦車は4-5百万ドルにすぎない。
政府は、武器輸出による規模の拡大により、コストが下がることを期待している。一方、武器メーカーは海外ビジネスの開拓にリソースを割くことに消極的で、安倍首相の政策が抗議の的になっている中で、武器輸出者のレッテルを貼られることを嫌がっている。防衛相の購買担当の高官は、武器メーカーはこのバリアを突破しないとグローバル市場で成長出来ないと言う。
経団連によれば、武器メーカーはルールの不明確さを嫌がっている。政府は武器輸出を個別に審査し、国際紛争に関わっている地域への輸出や再輸出の危険がある輸出は認めない方針だ。武器メーカーは、政府は海外の国々からの要望に応えているだけで受動的だと主張する。また、政府に対し、現状の不公平なルール(コストカットの恩恵は得られず、コスト増加は吸収せねばならない。)の廃止を訴えている。
もし、輸出のルールが明確になったとしても、武器メーカーは、90年代の合併によって巨大化したロッキード・マーチン、ノースロープ・グラマン、ボーイング、エアバスといった巨大企業と競争せねばならないのだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「日本で同様の合併が起きる可能性は低い。その理由の一つは武器サプライヤーが通常、大きなコングロマリット企業の一部門にすぎないからだ。西側の防衛メーカーの幹部は、日本のメーカーの買収には興味が無いと言う。労働賃金が高く、規制により難しい対応を迫られるからだ。また、日本における巨大な武器供給者の出現は、近隣諸国を警戒させることにもなる。」
「防衛相の戦略白書は、大規模な合併を推奨するまでには至っていない。」