ウォールストリートジャーナルは、米国に影響力をもつ多くのインテリ層に読まれていて、その世論形成に寄与しています。同誌に日本がどの様に取り上げられているかを観察することは、米国で日本についてのどの様な世論が形成されつつあるを知ることになるのではないでしょうか。このブログでは同誌に取り上げられた日本関係の記事を簡単に紹介しています。私は英語が専門ではないので、誤訳はご容赦。
Wednesday, May 20, 2015
史上最大のエアバッグのリコール【A1面】
タカタのリコールが全米で3,400万台に達する見込みだとするニュースが一面で報道された。
タカタのリコールについて、規制当局、タカタ、自動車メーカそれぞれの視点から、詳細かつ公平に報道している。いつ頃自分が保有する車がリコール対象だと分かるのか、いつ頃修理してもらえるのか、どの自動車メーカが修理に応じてくれるのか等、消費者目線の論点もカバーしていて、アメリカらしい。
***** 以下本文 *****
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の部品メーカーであるタカタが火曜日に規制当局からの圧力に屈した。これにより、米国における最大の自動車関係リコールが実施されることになり、自動車メーカーは3,400万台の欠陥エアバッグを修理することになるだろう。」
「この動きにより、リコール対象車は既に対象となっている台数の倍になる。このリコールは、エアバッグが膨れた際に、エアバッグが爆発し破片が車中に飛び散るという誤動作を修理するためのものだ。リコールは11の自動車メーカーにより実施される見通しで、あらゆる産業を通して過去最大のアクションの一つになる。1980年代にタイラノールが3,100のボトルをリコールした。」
長い記事なのでしばらく要約する。
このエアバッグは、米国を走る2億5千万台の14%にあたる車に搭載されており、あらゆるメーカーのあらゆる車種にわたる。タカタは火曜日に、米道路交通安全局(NHTSA)に対し、エアバッグに欠陥があったことを認め、今後の調査に協力することに同意した。この問題により6人が死亡し、100人以上がけがをした。
自動車のオーナーは、どの車種がリコール対象となるのかが分かるまでには数日待たねばならない見通し。更に実際に修理が行われるまでは、数ヶ月、場合によっては数年待たねばならないだろう。
タカタの高田重久会長は声明で、自動車の安全性を向上させるために当局および自動車メーカーと緊密に協力し続けるとした上で、今回の合意は「自動車メーカーと運転する大衆からの信頼の回復と安全性向上に向けた明らかな前進」だと述べた。
タカタの2104年度決算は、リコール関係の特別損失550億円を計上し、290億円の赤字となった。タカタに対しては、規制当局が既に100万ドル以上の罰金を課すとしており、オバマ政権も自動車メーカに課せられる罰金の上限を3,500万ドルから3億ドルに増やすことを求めている。タカタは更に、個人からの訴訟や法務省による更なる罰金のリスクにも晒されている。
規制当局とは別に、タカタと10社の自動車メーカーがエアバッグの爆発の原因について調べているが、原因究明には時間がかかりそうだ。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「(2002年のホンダアコードの事故について)検死によれば、エアバッグの膨張により、金属が運転手の首に突き刺さったことが死亡原因だ。」
「問題となっているこのエアバッグにより最も影響を受けた自動車メーカーは、ホンダだ。エアバッグの交換に対応しているその他のメーカーとしては、BMW, GM, FORD, TOYOTA, NISSAN, MAZDA, MITSUBISHI, DAIMLER TRUCKS, FUJI, SUBARU等があり、FCA USやFCA NVも対象となる見通しだ。」