Sunday, May 31, 2015

** 5月のまとめ **

5月にWSJに掲載された日本関係の記事は9件だった。2014年の平均15件より少ない。

テーマ別では、政治関係が1件、経済関係が5件、社会関係が3件だった。

政治関係では、「安倍首相の訪米の総括」の1件。この記事は、安倍首相の訪米の成果を総括すると共に、安倍首相のスピード感ある行動が、アジアで覇権を握ろうとする中国の動きを牽制する役割を果たしているとして、安倍首相を絶賛している様に読める。

経済関係では、「日銀の消費者物価指数見通し引下げ発表」「サントリーの世界戦略」「2015年第一四半期GDP速報値発表」「タカタのリコールが米国史上最大のリコールになる見通し」「安倍首相によるアジア向けインフラ投資増額発表」の5件。
日本の経済については、4月30日の日銀の発表を受け、インフレ目標の達成の遅れを指摘する一方で、5月20日政府発表を受けて、GDPの伸びはこの1年で最も早いペースになったことを報道。一進一退状態のアベノミクスを伝えている。

社会関係では「日本が韓国をWTOに提訴」「韓国が産業革命遺産の世界遺産登録に反対」「日本の歴史家団体が慰安婦問題で声明発表」の3件。いずれも韓国絡みだ。「東北地区の野菜は危険だ。」として輸入規制を続ける韓国、「産業革命遺産では韓国人が残虐な扱いを受けた。」として世界遺産登録に反対する韓国を取り上げ、日本との関係悪化を懸念している。また、慰安婦問題では日本の16の歴史家団体が、慰安婦問題での自由な議論の保証を求めた声明を発表したというニュースを取り上げた。(このニュースは日本では朝日新聞以外は取り上げなかったそうだ。)

掲載箇所では、1面が2回、国際面が7回だった。
1面を飾ったのは、「サントリーの世界戦略」「タカタのリコールが米国史上最大のリコールになる見通し」の2件。WSJの特定企業の戦略を深堀した記事は、独自取材に基づいており、面白く読みごたえがある。

ところで、今月は9件中5件が、中国や韓国との対立を描いた記事だった。米国との軍事同盟強化、AIIBへの対抗措置表明等により、中国との対抗姿勢を益々強める安倍首相。過去の歴史問題に関する取扱いで韓国との軋轢を生む安倍首相。WSJは、基本的には安倍首相を擁護する立場だが、歴史問題、特に慰安婦問題については、国際世論に支持を失いつつあることも併せて報道している。