Tuesday, October 10, 2017

反権威主義者が日本のリーダーに挑戦状をつきつける【A8面(国際面)】

衆議院選挙公示日の1010日に、WSJは小池氏の政治スタンスを紹介する記事を掲載した。



小池氏は、2世議員や3世議員がはびこる癒着体質の自民党には任せられないとする一方で、外交政策や安全保障政策については安倍首相と考えが一致していると報じてする。最近の世論調査では、希望の党の支持率は13%伸び悩む一方で、安倍首相への支持率も下落傾向で、どちらも苦しい選挙を強いられているとしている。 

***** 以下本文 *****
日本の安倍首相を追い出そうという選挙運動を開始した女性は、微妙なバランスを保とうとしている。変化の顔となろうとする一方で、あまり多くの変化は約束しない。
昨年、初の女性都知事に選ばれた小池百合子氏は、先月安倍首相が解散初選挙を示唆すると、すぐに新党を立ち上げた。選挙戦は火曜日に公示され、投票は1022日に行われる。
希望の党が勝利すれば、日本の頑強な既得権益を打ち砕くことが出来ると小池氏は言う。日本では、多くの国会議員は、政治家の子供や孫だ。こうした状況が、特定の人達を優遇するような体質を生み出している。
「現状維持にこだわるのか、勇気を持って前に進みたいのか、そういうことが問われているでのす。」と月曜日のインタビューで彼女は語った。「企業グループに根差しているのか、国民に根差しているのか、違いはそこです。」
一方で、小池氏は、安倍氏の「北朝鮮に対する強硬政策」や「米国との緊密な連携政策」を維持することを、日本の選挙民に対して再確認しようとしている。数週間前に、北朝鮮は日本上空にテスト打上げ、安倍氏はトランプ大統領と強い連携を確認したばかりだ。
「外交政策と安全保障条約については、何の違いもありません。」と彼女は言う。
希望の党は、厳しい戦いを強いられている。日本経済はここ10程で、最も長い連続成長を続けている。株式市場は、ほぼ20年ぶりの最高値をつけている。
読売新聞が月曜日に行った世論調査によれば、有権者の32%が安倍首相の自民党を指示し、小池氏の党への指示は13%に止まっている。但し。多くの有権者が態度を決めていない。この調査の誤差がどの程度あるかは公表されていない。1ヶ月前によみうり新聞が行った同様の調査では、自民党が40%その時点での最大野党が5%だった。
3ヶ月前に、小池氏の勢力は、東京都議会選挙で、自民党に圧勝した。安倍首相は、政府が安倍首相の友人に便宜を図ったという疑い(安倍氏本人は、何も悪いことはしていないと主張しているが)に対する対応を誤ったことを認めた。
さらにもう一つ、安倍氏が弱くなったことを示す兆しがある。最近の読売新聞のでは、安倍首相への支持が46%、不支持が41%と僅差となった。前回の調査では、支持が50%で、不支持が39%だった。
小池氏の希望の党の紹介ビデオでは、彼女を馬鹿にする男性議員の前を、彼女がさっそうとハイヒールで通り抜けて行く。
彼女は、自身は衆議院選挙に出馬しないと言っている。従って、彼女は選挙に勝ったとしても。首相になることは出来ない。かようにが立候補するかどうかを決める最終期限だ。彼女は、首相として誰を指示するかについては、後で決定すると言っている。
こうした小池氏のスタンスを、安倍首相の側近である菅官房長官は厳しく批判している。「政党の責任は極めて重いということを考慮した時に、政党のリーダーが誰を首相に指名するのかについて発言しないというのは、理解しがたい。」

Tuesday, October 3, 2017

日本の選挙のドラマは、実際には安定をもたらす【A17面(国際面)】

WSJは、103日の国際面で、日本の衆議院選挙について「希望の党の出現など自民党に不利な展開になっている様に見えるが、実際には自民党の一党支配を更に強める結果となる。」とする逆説的な記事を掲載した。



要約すると以下の通り。:日本では、改革を主張する人は実はそれを隠れ蓑にして既存概念の強化を狙っている場合が多い。小池氏は、表向きは改革を主張しているが、実際に強化しようとしているのは、安倍首相が推し進める国家主義的な戦略だ。日本では、政党間の政策やイテオロギー論議が重要な意味も持ったことが無く、自民党内の派閥間の抗争の方がより重要な意味を持ってきた。小池氏の「希望の党」は、この意味で、西洋的な政党では無く、むしろ自民党の派閥がもう一つ出来たと理解すべきだ。従って、希望の党と自民党が幾ら争ったところで、誰が首相になったところで、最終的には自民党の一党支配強化につながる。そして、それは、日本の防衛体制が短期間で強化されることにつながり、地域社会にとっても世界にとっても良いことだ。

【以下本文】
日本は、世界の大国の中で最も過小評価されている国だが、常に最も穏やかな国でもある。自民党は1955年の結党以来、日本の政治を支配してきた。自民党は、連立相手である公明党と共に、衆参両院で2/3以上を支配している。
しかし、日本はいつも以上に、不安定に見える。安倍首相は、回復傾向の人気と野党の混乱に乗じて、先週、衆議院を解散し、1022日に総選挙を行うと発表した。それが、この不安定な状況の始まりだった。安倍首相の発表のすぐ後に、カリスマ性のある東京都知事である小池百合子氏によって、安倍氏の計画は大きく狂うこととなった。彼女は、「希望の党」を立ち上げ、全国的に候補者を擁立すると発表したのだ。小池氏率いる地域政党である「都民ファーストの会」とその連立政党は、どこからともなく突然現れ、東京都議会の127議席の内、2/3に近い議席をあっと言う間に確保してしまった
このドラマは、それだけに止まらなかった。国政レベルの最大野党である民進党が、驚くべき発表をしたのだ。衆議院の民進党は解党し、民進党の現衆議院議員は、次の選挙では希望の党からの公認で出馬することとしたのだ。これらの動きにより、突然、安倍首相の勝利は、もはや確実なものではなくなった。早期に選挙を行うという安倍首相の今回の決定を、イギリスのメイ首相のドタバタ劇に例えるコメンテーターも出てきた。
今の時点では、小池氏の影響が、どの程度まで彼女を押し上げるかは不明だ。自分自身が衆議院議員に立候補するためには、彼女は東京都知事を辞任しなくてはならない。国民の72%は、彼女は都知事の職を継続すべきだと言っている。いずれの道を選んだとしても、彼女は批判を浴びるだろう。枝野幸男氏は、小池氏が保守に偏り過ぎていると感じているリベラル派を取り込むため、新党を立ち上げる。この段階での世論調査は、引き続き安倍氏の勝利を予測している。しかし、また、自民党とその連立与党が、衆議院で2/3以上を維持するのは困難だとも予測している。
これは、大きな問題だ。それは、安倍首相の最大の目的を達成するためには、2/3以上が必要だからだ。安倍首相は、日本の参戦を禁じている1948年の憲法の改正を狙っているのだ。この憲法は、第二次世界大戦の際に米国が押し付けたものだが、それにより日本は、軍備を再構築することや、安倍首相の言う「普通の国」なることを、スピード感を持って行えなくなっている。

しかし、非常に保守的な日本においては、変化というのは、現状を守るための戦略に過ぎないことが多い。確かに、ある観点で言えば、小池氏は革新的な人物だ。前例の無い権力を掌握し、日本の女性に将来への希望を抱かせ、彼女が以前所属していた政党や、彼女の以前の庇護者に対する仕返しも果たした。しかし、外交政策について言えば、彼女は、安倍氏の国家主義的な考え方を共有している。安倍政権の初期段階において、彼女は防衛大臣の職につき、過激な発言や態度で評価を得た。彼女は、様々な議論のある靖国神社に定期的に訪問した。その神社は、第二次世界大戦の戦死者を祀っているが、そこにはA級戦犯も含まれている。彼女は、また、戦時中の日本の残虐行為に関する教科書の記述を修正する運動を支援している。
小池氏の突然の出現は、今までの政治を終わらせることとは程遠く、何十年も日本の政治を支配してきた基本的な政治モデルを強化することになるだろう。過去の60年間の殆どの期間において、日本は実質的に1党支配の国だった。自民党内の派閥間の抗争に比べれば、政党間の明らかな違いはあまり重要ではなかった。これらの派閥は、強大な力を持つ人物や政治的領袖と繋がっていた。派閥を隔てるものは、抽象的な政治の理想の違いでは無く、権益を求める産業界や政界のロビーストたちの違いだった。
小池氏の東京における「革命」は、実は多くの自民党の幹部に密かに指示されてきた。彼女の新党である「希望の党」は、西洋的な意味での野党ではなく、むしろ、伝統的な自民党内の派閥の1つの様に見える。小池氏が率いる候補者と安倍氏が率いる候補者は、選挙戦で戦うだろうが、どちらが勝っても、最終的には自民党を利することになるだろう。存在感のある最後の野党は、解体され、いまや自民党のもう一つの派閥とも言える政党のの1部になってしまったのだから。
確かに安倍氏は、この秋、彼が思っていたよりも厳しい選挙戦を戦うことになるだろう。しかし、彼の最も強力なライバルが、彼の考え方の多くを共有していると言う意味で、彼の成功をもたらずことにもなるだろう。日本は、中国からの激しい競争や、北朝鮮からの脅威に直面している。米国からの安全保障面での庇護も、以前程は確実なものではなくなって来ている。誰が首相になろうとも、世界は、日本の国家戦略や軍事姿勢が、早いスピードで進展していくことを望んでいる。

Saturday, September 30, 2017

*** 9月のまとめ ***

9月にWSJに掲載された日本関係の記事は4件。本年5月と同数で、2015年10月の3件に次いで2番目に少なかった。

7月の東京都議会議員選挙での自民党大敗に始まった日本政治の大混乱(民進党蓮舫代表辞任、稲田防衛大臣辞任等など)は、安倍首相が83日に満を持して行った内閣改造により、一段落したかに見え、9月に入った時点では、誰もが暫くは安倍政権が安定的に継続すると思っていた。
ところが、9月25日の安倍首相の衆議院解散表明に始まった今回の政治の混乱は、7月の混乱の比ではなかった。誰がこの様な事態を予測していただろうか?

そんな中、9月の掲載記事は、テーマ別では、政治関係が3件、経済関係が1件だった。
政治関係では、1日に日本に防衛費増強の動きがあることを、歓迎ムードで報道。26日には安倍首相の衆議院解散表明を速報。この時点では、安倍首相の楽勝を報じていた。そして、29日には、民進党が希望の党に合流することを驚きを持って報道。この時点では、希望の党が勝利し、小池百合子氏が首相になる可能性があると報じた。26日以降は、まさに激動の日々だった。
経済関係では、22日に、日銀がこれまでの金融緩和政策を維持する方針を決定したことを速報。他の経済大国が、緩和政策から脱却を模索する中、日本だけが違った道を歩んでいることに注目した。
掲載箇所では、国際面が4件だった。

Friday, September 29, 2017

日本の安倍首相のライバルたちが結束【A9面(国際面)】

928日民進党は希望の党への合流を発表したが、WSJはこのニュースを翌29日の国際面で速報した。


小池氏は政治的スタンスは安倍首相と同じだが、安倍政権にうんざりしている国民には新鮮に映るようで、小池氏の陣営が勝利する可能性もあるとしている。また、小池氏が総選挙に打って出て、首相になる可能性も示唆している。

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安倍首相は彼の強固な権力基盤への最大の危機に直面している。野党が人気のある小池百合子東京都知事のもとに結束し始めたのだ。
安倍首相のシナリオ通り、衆議院は木曜日に解散され、総選挙は1022日に決まった。
アナリストたちは、最初は、自民党と公明党の連立与党がほぼ間違いなく過半数を獲得するとみていた。それにより、201212月以来継続している安倍政権は安泰となるはずだった。
安倍首相は、今選挙を行えば、与党が分裂し、反安倍の有権者の票は分散されるだろうとみて、任期より1年以上早い1022日の選挙に打って出た。
しかし、木曜日に最大野党である民進党が解党し、小池氏率いる新党である希望の党の名の下で選挙戦を戦う様に自党の候補者に呼びかけたことにより、安倍首相にとって厳しい戦いが見込まれることとなった。
小池氏は、20062007年の安倍内閣の一員であり、親米、企業寄りという意味で、安倍首相とは政治スタンスが同じだ。
にもかかわらず、安倍政権に飽き飽きしている有権者には、新鮮に映るようだ。
彼女は、しがらみを終わらせるとして、獣医学部新設に当たって友人に便宜を図ったとされる安倍首相を暗に批判した。
安倍首相は、悪いことをしたという指摘を否定しているが、月曜日にはこうした批判があるため厳しい選挙になるだろうと述べた。小池氏が首相になるためには、都知事を辞任し、1022日の総選挙に立候補する必要がある。日本の制度では、首相は国会議員から選出されるからだ。小池氏は木曜日に、都知事の職務を継続する予定だと述べたが、衆議院選挙に出馬することを完全には否定しなかった。
小池氏の勢力が、安倍連立政権にとって、大きな敵となる可能性がある。7月の都知事選で小池氏率いる党は大勝利をおさめ、安倍首相率いる自民党は史上最少の議席しか確保できなかったのだ。
538人を対象にした毎日新聞の世論調査では、小池氏が希望の党を設立して以来、安倍首相への支持率は下がっている。毎日新聞によれば、新党の支持率は18%、自民党の支持率は29%で、多くの人が投票先を決めていない。同紙は統計の誤差の範囲を公表していない。
木曜日に安倍首相は、小池氏率いる新党は、1990年代にブームに乗って次々と設立されては消えて行った新党と同じだと、与党国会議員に向けて述べた。
「これらの新党は何をもたらしたか?混乱と不景気だ。我々は、選挙の度に、単に当選するためだけに顔を変える様な政党に、我々の子供や日本の安全保障を委ねてはならない。」と彼は述べた。

Tuesday, September 26, 2017

日本の安倍首相は総選挙に打って出る【A7面(国際面)】

安倍首相は9月25日に衆議院解散を表明したが、WSJは翌26日の国際面でこのニュースを速報した。


北朝鮮の脅威が高まったことが、安倍首相の支持率を押し上げているとして、この選挙は自民党の勝利と言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
日本の安倍首相は、有権者が北朝鮮との対立に際してトランプ大統領と歩調を取っている安倍首相を支持するだろうとの賭けに出て、総選挙に打って出た。
ここ数週間、北朝鮮との緊張が高まるにつれ、アジアにおける米国との同盟国のネットワークは強化されてきた。
安倍首相は、トランプ大統領と頻繁に電話で連絡を取り合ってきた。一方で、文在寅は北朝鮮との対話を公約にして大統領に就任したにもかかわらず、米国との連携を重視している。
日本と韓国の戦闘機は、米国の爆撃機と共に、北朝鮮を威嚇するために実施された訓練に参加した。
「我々は、この国の人々の富を守らねばなりません。」と総選挙を発表する記者会見で、安倍首相は語った。
金正恩政権は7月に2発の弾道ミサイルを発射し、ミサイルは日本と朝鮮半島の間に着水した。その後、北朝鮮は、北海道の上空を通過するミサイルを2発打ち上げ、6回目の核実験を行った。
北朝鮮の挑発が、安倍首相の支持率上昇を助けたと言うアナリストもいる。夏の政治的スキャンダルが安倍政権の信頼を崩していたが、最近の世論調査では、30%程度だった支持率が40~50%に上昇している。
安倍首相は、衆議院は9月28日に解散されると語った。日本のメディアは、総選挙は10月22日になる見通しだと報じた。
「この選挙で、私は、有権者に北朝鮮政策に対する信任を得たい。」と安倍首相は語った。

Friday, September 22, 2017

日銀は金融緩和策に固執【A8面(国際面)】

日本銀行は9月21日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を賛成多数で決定したが、WSJは翌22日の国際面でこのニュースを速報した。



他の主要国が金融緩和策を止めることを表明する中、日本だけがその政策にこだわっていることをコンパクトに報じている。

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連邦準備銀行やその他の主要な中央銀行が、近々、景気刺激策から撤退することを表明する中で、日銀は超金融緩和策に固執している。
日銀の黒田総裁は定期的に開催される政策会議後の記者会見で、米国では金利上昇がある様だが、日本でも金利上昇が必要ということではないと述べた。また、金利は、各国の経済と価格の状況によって決められるべきだとも述べた。
ここ10年以上の間で、最長の経済成長が続いているにもかかわらず、日本のインフレは弱く、スピードも遅い。7月のインフレ率は0.5%で、日銀の目標の2%には程遠い。
「現在の政策枠組みは、2%の目標を達成するのに十分だ。」と黒田総裁は述べた。
この会議で日銀は、日本の10年物国債の利率をゼロ近辺で維持し、短期の預金利子をマイナス0.1%で維持することを投票で決定した。

Friday, September 1, 2017

日本の防衛強化議論【A8面(国際面)】

829日の北朝鮮によるミサイル発射を受けて、日本で防衛力強化に向けての議論が高まっているという記事が、91日の国際面に掲載された。



小野寺防衛大臣は、追加防衛予算として16億ドルを要求したが、そもそも日本のミサイル防衛システムは、北朝鮮から複数のミサイルが同時に発射された場合に対応出来ないという意味で不十分。そのためにイージスを地上配備するという今回の要求は合理的としている。日本国民は、米国が押し付けた平和憲法を尊重して、防衛費増強には及び腰だが、日本の防衛費はGDP1%程度で、米国の3%に比べて低い。その上、米国は54,000人もの米国軍人を日本に常駐させられ、非常時には日本を防衛する義務まで負っており、不公平と言っている様にも読める。いずれにしても、2018年度防衛予算に含まれるF35戦闘機や、今回要求するイージスは、いずれも米国のロッキード・マーチン社の製品で、その意味でも、日本の防衛予算増強の議論は歓迎している様に読める。

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北朝鮮が日本の北部上空に向けてミサイルを発射してから2日が経過したが、日本の防衛省は、新しいミサイル防衛技術を取得するために、16億ドルの予算を要求した。この技術には、北朝鮮が潜水艦から発射したミサイルを迅速に発見可能なレーダーや、ミサイルを高い高度で撃ち落とせる兵器などが含まれている。
北朝鮮のここ数年の急速なミサイル開発と頻繁なミサイル発射テストにより、日本政府内では防衛力を強化しなければならないという議論が高まっている。北朝鮮によってこれまでに発射されたほぼ全てのミサイルが日本に向けられている。殆どは、日本と北朝鮮の間の海に落下したが、幾つかは日本の上空を通過した。
北朝鮮は、在日米軍基地は、ミサイルの潜在的なターゲットだと繰り返し述べてきた。
北朝鮮はミサイル開発の幾つかの技術的な壁を乗り越えたが、そのため、益々緊張が高まっている。20164月には、北朝鮮は初めて潜水艦からのミサイルの発射を成功させているが、この兵器は発射されるまでその位置が分からない。
同様に、北朝鮮は、地上を移動する車両から発射可能なミサイルも開発した。このミサイルは高角度で打ち上げられるため、飛行中に狙いを定めたり、破壊したりするのが困難だ。
防衛相によるミサイル防衛予算の要求は、20184月から始まる会計年度の予算要求の一部だ。この予算要求には、現状のレーダーシステムのアップグレードや、新しいタイプのミサイルやその軌道を追跡できるシステムの開発や、より強力な迎撃ミサイルの購入などが含まれる。
日本政府の心配の1つは、日本の現在のミサイル防衛システムが、北朝鮮が複数のミサイルを同時に発射した場合に対応出来ないということだ。今週、日本の防衛大臣は、現在の船に搭載されているイージスミサイル防衛システムや地上に配備されているパトリオット砲に加えて、地上配備のイージスに投資すると語った。
防衛相は、地上配備イージスは、韓国が導入したサードなどの他のシステムも含めて現在評価中なので、最新の予算要求には含まれていないと語った。イージスもサードも、ロッキードマーチンが開発した。
防衛相の予算要求概算は、2.5%増えて、476億ドルに達する。これは、6年連続の増加だ。しかし、予算増加要求は、通常は、12月に内閣が最終決定する前に、減額される。単独で最も大きな要求の1つは、ロッキードマーチンから購入する6機のF35ジェット戦闘機で、7,980億ドルだ。
防衛予算は、日本では、様々な議論を呼ぶ。多くの日本国民が、平和憲法から離れることを嫌うからだ。この平和憲法は、日本が第二次世界大戦に負けた後、米国により押し付けられたものだ。
「多分、現状の防衛体制は十分ではない。しかし、防衛はリスクヘッジに他ならず、もし完璧な防衛を求めれば、その費用は莫大なものになる。今回の予算は、可能な中で、最も効果的な抑止力を得られるという意味で、合理的だと思う。」と東京の政策大学院の防衛専門家であるミチシマナルシゲ氏は言う
経済規模に対する日本の防衛費は、同地域の主要国の、後塵をはいしている。日本の防衛費はGDP費で1%にすぎない。米国では3%だ。米国は、54,000人の軍人を日本に駐留させており、2ヶ国間の条約によって日本を防衛しなければならない。