8月29日に北朝鮮が日本上空に向かってミサイルを発射したが、WSJは翌30日の社説でこの問題を取り上げた。
今回の北朝鮮のミサイル発射に対する米国の弱腰な対応を見た日本人は「日米安保条約により米国が日本を守ってくれるというのは幻想だ。」と知るだろう。そもそも、北朝鮮のミサイルが米国まで届くことが分かっているのに、米国が北朝鮮を攻撃することはあり得ない。日本国民も、北朝鮮の恐怖に気づいたとき、日本の核武装を認めるだろう。それは、更に韓国やアジアの核武装を招き、危険な世界がやってくる。米国は今すぐに、オバマ時代の弱腰外交を止め、北朝鮮に厳しく対峙せねばならないと言っている様に読める。
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日本北部の住人は火曜日の朝、 頭の上を通過する北朝鮮のロケットが通過するので対応する様に、 というサイレンや携帯電話による警告で目がさめた。 この中距離弾道ミサイルのテストは、 北アジアの安全保障政策を更に揺るがせ、 日本が核抑止力を保有することに向けた新たな要因となるだろう。
北朝鮮は、1998年と2009年に2本上空を通過する長距離ミ サイルの実験を行った。 この時彼らは人工衛星の打ち上げだと主張していた。 最初のミサイル発射は日本にショックを与え、 米国とのミサイル防衛での協調へと発展した。 火曜日のミサイル発射は、より大きな脅威となっている。 米国と同盟国の情報収集機関によれば、 北朝鮮はいまやミサイルに搭載された小型核弾頭で日本を攻撃する 能力を保有したと見られるからだ。
日本のかなりの地域は、 日本自身のミサイル防衛システムと日本周辺で米軍によって運営さ れているシステムによって、守られている。 日本はまた日本の西部にパトリオットPAC-3ミサイル防衛しシ ステムを配備した。しかし、このシステムは、 火曜日にミサイルが上空を飛んだ北海道をカバーしていない。
日本の最終的な安全保障は、米国による防衛と米国の核の傘だ。 日米間の条約により、もし日本が攻撃されれば、 米国が対応することになっている。しかし、核抑止の論理は、 敵国が理性的であることが前提になっている。 北朝鮮は理性的ではない。北朝鮮は、最近、米国本土を攻撃可能な ICBMを開発したが、このことも力関係に変化を生んでいる。 もし、北朝鮮が東京を攻撃して、 米国がそれに対応してピョンヤンを攻撃すれば、 今度は米国の都市が危険にさらされることになる。
日本のリーダーは、長い間、核兵器をもつことに抵抗してきた。しかし、もし日本が米国は危機の際に信頼できないと結論づければ、こうした状況は変わるだろう。そうでなくても、日本人は、単純に、自分たちの生死を忠実な同盟国の判断に任せる訳にはいかないと結論づけるかもしれない。日本の政治家の中には、既に独自の核抑止力について語っている者もいる。世論は、今のところ核兵器に反対しているが、恐怖は彼らの心に変化を起こすかもしれない。日本は、原発によって作られたプルトニウムを蓄積しているが、その量は1,000の核弾頭を作るのに十分な量だ。しかも、日本は、それを数ヶ月で作ってしまう技術力を有している。
こうした観測により、中国は警戒感を高めるだろう。核武装をした隣国に突然対峙することになるからだ。米国もまた、日本の核武装回避に強い関心を持っている。日本が核兵器を持てば、韓国が追髄するだろうし、東アジアも追髄し、中東の様な核拡散の時代がやってきてしまう。このことこそが、北朝鮮が核ミサイルを持つことに対するリスクなのだ。
しかし、これこそが、オバマ政権の元安全保障アドバイザーであるスーザンライスや国家情報局元長官のジャームスクラッパーが進めていることだ。彼らは、米国が、北朝鮮の核ミサイルを受け入れ、数量制限を設け、それをコントロールすべきだと言っている。8年間の間、北朝鮮が核武装することは受け入れられないと言いながら、彼らは、トランプ大統領や安倍首相が北朝鮮の核保有に慣れるべきだと言っている。
しかし、どうやってコントロールするというのか?北朝鮮は、彼らの核開発の中止に関する交渉には一切応じないことを明確にしている。火曜日の日本上空でのミサイルテストは、北朝鮮が核の脅威を利用して、米国とその同盟国の間の関係を強制的に割こうとしていることを示している。北朝鮮の核武装を認めてしまえば、より一層危険な世界を認めてしまうことになるのだ。