Thursday, August 31, 2017

*** 8月のまとめ ***

8月にWSJに掲載された日本関係の記事は8件だった。17月までの月平均掲載数が10.1件だったので、若干少な目。


7月は、72日の東京都議会議員選挙での自民党大敗、安倍首相の支持率低落、民進党蓮舫代表辞任、稲田防衛大臣辞任、と「日本の政治が大混乱した1ヶ月」だったが、83日の内閣改造により、こうした混乱も一段落した。
そして、8月は、まさに「北朝鮮に振り回された1ヶ月」だった。一方で、GDP6四半期連続で伸長。経済面では明るい兆しが見えた。
WSJは、こうした動きを受けて、83日に内閣改造、14日にGDP6四半期連続伸長のニュースを速報。その後は、北朝鮮に関する記事ばかり6件。まさに北朝鮮一色、特に後半はそうした傾向の強い1ヶ月だった。

テーマ別では、政治関係が7件、経済関係が1件だった。

政治関係では、内閣改造が1件、北朝鮮問題が6件。817日に、「安倍首相が北朝鮮問題でトランプ大統領と同一歩調を取っている。」という記事、「その背景には、拉致被害者問題という日本特有の問題があること。」を報じた。829日にミサイルが日本上空を通過するという異常事態が発生したが、WSJ29日の1面でこのニュースを大きく速報。翌30日にも、社説を含め、3件の記事を掲載した。

経済関係では、内閣府が発表した4-7月四半期のGDP一次速報を、14日に速報した。これで、GDP6四半期連続で伸長した。

ところで、毎年、広島・長崎に原爆が落とされた日や、終戦記念日の前後には、戦争や平和について考える記事を掲載してきたWSJだが、今年はそうした報道が全く無かった。ハト派のオバマ大統領から、タカ派のトランプ大統領に代わって、アメリカの世論も右寄りに傾いてしまったのか。


掲載箇所では、社説が1件、国際面が7件だった。



Wednesday, August 30, 2017

東京上空に核ミサイルが【A14面(社説)】

8月29日に北朝鮮が日本上空に向かってミサイルを発射したが、WSJは翌30日の社説でこの問題を取り上げた。



今回の北朝鮮のミサイル発射に対する米国の弱腰な対応を見た日本人は「日米安保条約により米国が日本を守ってくれるというのは幻想だ。」と知るだろう。そもそも、北朝鮮のミサイルが米国まで届くことが分かっているのに、米国が北朝鮮を攻撃することはあり得ない。日本国民も、北朝鮮の恐怖に気づいたとき、日本の核武装を認めるだろう。それは、更に韓国やアジアの核武装を招き、危険な世界がやってくる。米国は今すぐに、オバマ時代の弱腰外交を止め、北朝鮮に厳しく対峙せねばならないと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****

日本北部の住人は火曜日の朝、頭の上を通過する北朝鮮のロケットが通過するので対応する様に、というサイレンや携帯電話による警告で目がさめた。この中距離弾道ミサイルのテストは、北アジアの安全保障政策を更に揺るがせ、日本が核抑止力を保有することに向けた新たな要因となるだろう。
北朝鮮は、1998年と2009年に2本上空を通過する長距離ミサイルの実験を行った。この時彼らは人工衛星の打ち上げだと主張していた。最初のミサイル発射は日本にショックを与え、米国とのミサイル防衛での協調へと発展した。火曜日のミサイル発射は、より大きな脅威となっている。米国と同盟国の情報収集機関によれば、北朝鮮はいまやミサイルに搭載された小型核弾頭で日本を攻撃する能力を保有したと見られるからだ。
日本のかなりの地域は、日本自身のミサイル防衛システムと日本周辺で米軍によって運営されているシステムによって、守られている。日本はまた日本の西部にパトリオットPAC-3ミサイル防衛しシステムを配備した。しかし、このシステムは、火曜日にミサイルが上空を飛んだ北海道をカバーしていない。
日本の最終的な安全保障は、米国による防衛と米国の核の傘だ。日米間の条約により、もし日本が攻撃されれば、米国が対応することになっている。しかし、核抑止の論理は、敵国が理性的であることが前提になっている。北朝鮮は理性的ではない。北朝鮮は、最近、米国本土を攻撃可能なICBMを開発したが、このことも力関係に変化を生んでいる。もし、北朝鮮が東京を攻撃して、米国がそれに対応してピョンヤンを攻撃すれば、今度は米国の都市が危険にさらされることになる。
日本のリーダーは、長い間、核兵器をもつことに抵抗してきた。しかし、もし日本が米国は危機の際に信頼できないと結論づければ、こうした状況は変わるだろう。そうでなくても、日本人は、単純に、自分たちの生死を忠実な同盟国の判断に任せる訳にはいかないと結論づけるかもしれない。日本の政治家の中には、既に独自の核抑止力について語っている者もいる。世論は、今のところ核兵器に反対しているが、恐怖は彼らの心に変化を起こすかもしれない。日本は、原発によって作られたプルトニウムを蓄積しているが、その量は1,000の核弾頭を作るのに十分な量だ。しかも、日本は、それを数ヶ月で作ってしまう技術力を有している。
こうした観測により、中国は警戒感を高めるだろう。核武装をした隣国に突然対峙することになるからだ。米国もまた、日本の核武装回避に強い関心を持っている。日本が核兵器を持てば、韓国が追髄するだろうし、東アジアも追髄し、中東の様な核拡散の時代がやってきてしまう。このことこそが、北朝鮮が核ミサイルを持つことに対するリスクなのだ。
しかし、これこそが、オバマ政権の元安全保障アドバイザーであるスーザンライスや国家情報局元長官のジャームスクラッパーが進めていることだ。彼らは、米国が、北朝鮮の核ミサイルを受け入れ、数量制限を設け、それをコントロールすべきだと言っている。8年間の間、北朝鮮が核武装することは受け入れられないと言いながら、彼らは、トランプ大統領や安倍首相が北朝鮮の核保有に慣れるべきだと言っている。
しかし、どうやってコントロールするというのか?北朝鮮は、彼らの核開発の中止に関する交渉には一切応じないことを明確にしている。火曜日の日本上空でのミサイルテストは、北朝鮮が核の脅威を利用して、米国とその同盟国の間の関係を強制的に割こうとしていることを示している。北朝鮮の核武装を認めてしまえば、より一層危険な世界を認めてしまうことになるのだ。

北朝鮮のミサイル発射は防衛計画強化につながる【A6面(国際面)】

829日の北朝鮮のミサイル発射について、WSJは翌30日の国際面に続報を掲載した。



この記事によれば、今回は、日本は北朝鮮のミサイルを迎撃しなかった。日本は7基のパトリオットシステムを地上装備しているが、このシステムはミサイルが高度10キロ以下まで降下しないとミサイルを迎撃出来ない。従って今回は迎撃出来なかった。これまで、日本はより高度の高い位置にあるミサイルの迎撃を可能する、イージスアショアの導入を検討してきた。河野防衛大臣は、今回の北朝鮮によるミサイル発射を受けて、イージスアショア導入のための予算を申請すると述べたと報じている。イージスアショアは、一基800億円することにも触れている

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北朝鮮のミサイル発射により、外交交渉が開始出来るのではないかとの米国の望みは絶たれ、北朝鮮の核の脅威に対する国際的な対応は、軍事的手段によるものへと逆戻りしてしまった。
火曜日の日本上空へのミサイル発射により、日本と韓国は、ミサイル防衛強化への取組みをを更に増長することになる。しかし、そうした動きは、中国やロシアを怒らせ、北朝鮮の脅威を取り除くための国際的な協調関係を複雑なものにしてしまう。
トランプ大統領は再び「全ての選択肢がテーブルの上にある。」と強調した。トランプ大統領は、先週まではなだめる様なトーンで、北朝鮮は米国を尊敬し始めており、それは外交交渉による解決の可能性を示唆しているなどと述べていたが、再び厳しいトーンへと変更した。
北朝鮮の主席である金正恩は、水曜日に、火星12号とよばれるミサイルの発射は、いかなる隣国も脅かしてないと述べた。北朝鮮は、今月の初めに、米国領グアムを火の封筒で包み込むと述べていたが、朝鮮国営放送は、この発射はグアム制圧に対する意味のある予告編だと述べた。
金主席はまた、太平洋を将来のターゲットにした、弾道ロケット発射の訓練回数を増やす様に、軍部に対して命令した。これにより、北朝鮮はより多くのミサイルを日本上空に飛ばすことになるだろう
今回のミサイル発射は、グアムを含む太平洋地域の米軍基地攻撃を任務とする軍部によって実行された。北朝鮮によれば、これは、米韓年次合同軍事訓練に対抗するものだ。
火曜日の発射は、今年北朝鮮が発射した10以上のミサイルの1つにすぎない。しかし、ある意味で最初のものだ。北朝鮮は、これまで、海外の人口集中地域の上にミサイルを飛ばしたことはない。今回の発射は日本を激怒させ、日本はすぐに国連安保理事会に緊急会議を招集する様に要請した。中国政府関係者は、北朝鮮が日本の本土上空にミサイルを撃ち込めば、「二度と戻ることの出来ない一線を越える」ことになってしまうと発言した。
安保理事会は、火曜日に、北朝鮮の行き過ぎた行動を非難する声明を採択し、全ての武器のテストを止める様に要請した。但し、この声明は、国連要請を拒絶した場合に対応について明記していない。
火曜日に日本の小野寺防衛大臣は、火曜日に、防衛相はイージスアショアの導入に必要な予算を要請すると述べた。これは、日本の一部の軍艦に使用されている米国製ミサイル迎撃システムの地上版だ。日本政府は、ミサイルを全飛行工程で監視していたが、日本の国土を攻撃する軌道にはなかったため、追撃はしなかったと述べた。
火曜日のミサイル発射により、韓国政府は更に米国のミサイル防衛システムTHAADの展開を強化するだろう。韓国大統領はこの計画についてのコメントを拒否した。
文在寅大統領は5月に就任して以来、THAADの展開を保留していたが、既に展開を再開している。
中国政府は、THAADは中国北部も範囲にしており、安全保障を脅かすものだと述べた。ロシアもTHAAD展開には反対しており、日本におけるミサイル防衛強化の可能性について非難した。
韓国の攻撃能力を顕示するために、韓国の防衛当局は、火曜日に、500マイル飛行可能な新型ミサイルの映像を公開した。火曜日より前に、韓国はミサイルのサイズや飛行距離を制限する米国との協定の変更をアメリカに要請した。
米国による最も過激な対応は、韓国に戦略兵器を持ち込むことだろう。例えば、ステルス爆撃機、航空輸送機や核兵器などだ。
韓国大統領府の発言によれば、火曜日に米国国家安全保障アドバイザーのマクマスター氏が、韓国側のアドバイザーと電話で話した際に、米国側から戦略兵器持ち込みが案の1つとして提示された。
日本の河野外務大臣は、北朝鮮は、日本の南部上空を通過させてミサイルをグアム方向に飛ばすことにより、米国から報復を受けるリスクを避けるために、日本の北部上空に向けて発射させたのだろうと述べた。
日本は地上において、パトリオットミサイル防衛システムを既に運用している。このシステムは、降下の最終段階においてミサイルを追撃することが可能だ。ロッキードマーチン社によって開発されたイージスシステムは、もっと高い高度でミサイルを追撃することが出来る。日本はイージスを装備した4隻の駆逐艦を保有している。
イージスアショアは一体で800億円(約7.3億ドル)する。日本への販売に際しては。米国政府の承認が必要だ。日本の内閣がその予算を承認する必要もある。

日本は、7基のパトリオットPAC-3ミサイル防衛システムを、地上配備している。このシステムは、着弾寸前もしくは高度10ロ以下の弾道ミサイルを撃ち落とすことが出来る。

ミサイルは日本の新しい警告システムを試す【A6面(国際面)】

8月29日に北朝鮮が日本上空にミサイルを発射したが、WSJは翌30日に、このミサイル発射は日本のJアラートシステムのデビューの場でもあったとする記事を掲載した。


Jアラートの目的や、多くの自治体がこのシステムを使用するに至った経緯などが簡潔に説明されている。

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日本北部一帯に、午前6時すぎにアラームが鳴り響き、人々はベッドから飛び起きた。
火曜日のミサイルの発射は、政府が構築した警告システムであるJアラートが初めて試される場でもあった。このシステムは、自然災害や人工的な災害が発生する可能性がある時に、警告を発する様に設計されたものだ。大型スピーカーや携帯電話により、同じ警告が発せられた。「ミサイルが北朝鮮から発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。」
2011年3月の地震と津波の教訓から、ほぼ全ての自治体がこのシステムに接続している。


Tuesday, August 29, 2017

北朝鮮が日本を挑発【A1面】

829日に北朝鮮は日本上空に対してミサイルを発射したが、WSJはこのニュースを同日の1面で速報した。



北朝鮮がミサイルを発射した原因として、航空自衛隊による地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)の岩国基地、三沢基地での機動展開訓練をあげている。この訓練が北朝鮮を刺激したのではないか。また、グアムへのミサイル発射が予告された際には米国は激しく反応したが、それに比べて、今回のミサイル発射に対する米国の対応は手ぬるく、このままでは日本の信頼を失うのではないかとの懸念も表明している。

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北朝鮮は、火曜日に弾道ミサイルを日本上空に発射させた。北朝鮮は、一連の挑発行為により、地域の不安定化を招き、世界からの警告を受けているが、今回の発射もこうした挑発行為のひとつだ。
今回のミサイルは、北朝鮮が日本上空に打ち上げたものとしては2009年以来のものとなる。安倍首相は、即座に激しい対応を見せた。
「わが国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威で、地域の平和と安全を著しく損なうものであり、北朝鮮に対して断固たる抗議を行った。」と安倍首相は語った。
安倍首相は、国連安保理事会の緊急会議の招集を依頼した。また、トランプ大統領と電話で40分会見し、その中でトランプ大統領が日本の安全保障について強いコミットメントを示したと語った。
米国防総省のロブ・マニング(Rob Manning)報道官も、北朝鮮が日本上空を越えるミサイルを発射したと確認。ただ「我々は、まだこのミサイル発射について評価している途中だ。」とも説明した。
ミサイルは火曜日の早朝に打ち上げられたが、日本北部の島である北海道上空を通過し、発射から14分後に太平洋に着水した。菅官房長官によれば、ミサイルは北海道東部の襟裳岬から733マイルの地点に着水した
韓国当局者によれば、ミサイルは北朝鮮の首都であるピョンヤン郊外のスナンの近くから打ち上げられた。スナンには国際空港もある。ミサイルは、1,700マイル近く飛行し、最大高度342マイルに達した。
菅氏は、ミサイルによつ被害は報告されていないとした上で、日本はミサイルは破壊されて3つの部分に分かれたと推測しているが、未だに分析中だとも付け加えた。
ミサイルがまだ飛行している間に、日本の当局は、ミサイルが通過する可能性ある日本の北部地域に対してアラートを送信した。このアラートは、ミサイルが太平洋に着水した後、数分で解除された。
北朝鮮のミサイルが日本の領土の上空を通過するのはこれで五回目だ。日本の主要な島の上空を通過するものとしては、2009年以来だ。北朝鮮は、2012年と2016年に、琉球列島上空に向けて打上げた。琉球列島は日本の領土であり、本州の南部に位置し、沖縄を含んでいる。
北朝鮮は、今回の発射の3日前にも東部の海岸から3基のミサイルを発射しようとしたが、少なくともそのうち一つは失敗に終わっている。
米韓両国は、821日から共同年次軍事演習を行っているが、この期間中に北朝鮮はミサイルの発射を行わなかった。これを受けて、先週、ティラーソン国務長官は、北朝鮮が自制したことを称賛した。
この演習は、火曜日に終了する予定だが、長年にわたって北朝鮮をいらつかせている。北朝鮮はこの演習を、北朝鮮を攻撃するための予兆だとしている。
日本の航空自衛隊は、在日米軍基地の2つにおいて、パトリオットミサイル防衛システムを暫定配置したが、北朝鮮のミサイル発射はこのタイミングで行われた。米軍はこの暫定配置について、北朝鮮のミサイルの脅威に対して迅速に対応するために、自衛隊が演習を行い能力を高めるための努力だとした。
韓国の国家安全保障会議は、ミサイル発射の1時間後に開催された
今回のミサイルの軌道を分析した韓国当局によれば、北朝鮮は、1ヶ月前に打ち上げられたICBMに比べて、従来型の角度で打ち上げられた。ICBMは、宇宙空間に向けて高く打ち上げられるが、距離は出ない。
日本の小野寺防衛大臣は、初期分析によれば、ミサイルは514日に打ち上げられたのと同タイプの中距離弾道ミサイルだと述べた
火曜日に打上げらえたミサイルの高度は342マイルに達したが、728日に北朝鮮が行ったICBM2,300マイルに達したのに比べると短い。但し、距離はより長かった。
今月の頭に、北朝鮮は、米領のグアムに向けて複数のミサイルを発射させる準備をしていると、国営放送を通して明らかにした。その軌道は日本の上空を通る。その数日後、金正恩主席は、暫くの間発射を行わないこととしたが、最終決定をするまで米国の態度を監視すると警告していた。
火曜日にグアムの米空軍基地は、ミサイルの発射をリアルタイムで追跡していたが、グアムに対する脅威ではないと判断した。
「この挑発行為に対して、米国がどの様に対応するかを、日本と韓国は大きな関心を持って見守っており、同盟関係にとって重大なタイミングとなる。」とジョンホプキンス大学先端国際学部の米韓研究所副所長のジェニータウン氏は言う。
先のグアムへの脅威に対する米国当局の強い対応に比べて、今回のミサイル発射に対する米国の手ぬるい対応は、同盟国との関係を悪化させるだろう。」と彼女は述べる。
ミサイル発射の前に、韓国大統領の文在寅は、同国のミサイル配備を変更する様に命令した。北朝鮮が国境を越えて韓国の首都であるソウルへの攻撃を開始した場合に、すぐに攻撃が出来るするための対応だ。
火曜日の軍事訓練で、韓国は8発の爆弾を砲兵射撃場に落とした。これは、文大統領の武力を見せつけろとの命令に基づくものだ。これは、北朝鮮の脅威に対して韓国が軍事的な体制を強化するために、文大統領が取った最新の対応だ。一方で、文大統領は、継続して北朝鮮に対して和平交渉を申し出ている。
月曜日の国会の秘密会議に参加した議員によれば、韓国の情報収集機関は、北朝鮮は6発目のミサイル発射の準備を整えていると報告した。

Thursday, August 17, 2017

拉致被害者問題で安倍首相は強硬姿勢へ【A17面(国際面)】

815日に菅官房長官は、北朝鮮への強硬姿勢を再び協調したが、WSJ17日の国際面でその背景にある安倍首相の拉致問題への思い入れについて報じた。



安倍首相がこれまで拉致問題の解決にライフワークとして積極的に取り組んできたこと、北朝鮮が安倍首相に約束した拉致被害者の調査に北朝鮮が取り組まなかったことが安倍首相の態度を硬化させて原因だといった点をコンパクトに述べている。

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安倍首相は北朝鮮に対して強硬な姿勢を取っているが、その姿勢は日本政府が特別な関心をよせる問題によって更に強硬さを増している。1970年代の1980年代に数10人の日本人が北朝鮮によって拉致されたという問題だ。
2002年に内閣の一員として、安倍氏は金正恩の父である金正日との交渉後、5人の拉致被害者を日本へ帰国させることに貢献した。2014年には、安倍氏は、東京が制裁を解除する見返りに、北朝鮮が残る拉致被害者の調査を再開することに合意したとする、予想外の発表をして人々を驚かせた。しかし、調査は遅々として進まず、日本は再び制裁を強化した。
「会話のための会話をすることには全く意味がない。」と火曜日に菅官房長官は述べた。

朝鮮問題について安倍はトランプの忠実な相棒だ【A7面(国際面)】

815日に安倍首相はトランプ大統領の電話で会談し、北朝鮮問題に対する見方で一致したが、WSJ17日の国際面でトランプ大統領の北朝鮮に対する過激な発言を安倍首相が容認し続ける理由を分かりやすく解説する記事を掲載した。


北朝鮮問題に関するトランプ大統領の発言は過激さを増していて、海外のリーダーたちは一斉にその発言を非難しているが、日本の首相はその発言を容認し続けているとしている。日本は、有事には米国の軍事力に頼らざるを得ないので、トランプ大統領の発言が過激であろうと、安倍首相は表向きは米国に同調するしかない。しかし、トランプ大統領の発言がこのままエスカレーションし続ければ、日本の米軍基地が攻撃され、日本は戦争に巻き込まれてしまうことを安倍首相は知っている。しかし、戦争の脅威に本気で取り組むと反対派の批判を浴びてしまうので、安倍首相は、黙々と戦争への対応を進めていると言っている様に読める。


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北朝鮮問題については、様々な異なった見方が渦巻いているが、ひとつだけいつも信頼できることがある。日本の首相が、いつも、トランプ大統領と同じ見方をしているということだ。
安倍首相は計算され尽くした言葉で論点を繰り返すタイプのリーダーだ。一方で、トランプ大統領は予測のつかない攻撃的な言葉を発することで知られている。しかしながら、日本は紛争時に必要な軍事力を米国に依存しているし、安倍首相は北朝鮮にフラストレーションを感じているが、それはそのままトランプ大統領にも当てはまる。従って、大枠では二人の立場は一致している。
私はトランプ大統領の安全保障同盟へのコミットメントを高く評価している。」と火曜日に、大統領との30分の電話会議の後、安倍首相は述べた。トランプ大統領が就任して以来、2人のリーダーが電話で話のはこれで9回目だ。それに加えて、彼らは3回面談している。2月に、彼らがトランプ大統領のフロリダの別荘で会食中に、北朝鮮がミサイルを発射した際には、彼らは強い連携を強調した。
安倍首相は、彼とトランプ大統領の間の関係に日があたるのを避けているが、それは先週の「北朝鮮が火と恐怖に包まれる」といったトランプ大統領の発言に不快感を示す他のリーダーたちとは対照的だ。
ドイツのメルケル首相は、811日に「言葉による挑発は、間違った答えだ。」と述べた。韓国の文在寅大統領は、火曜日に、米国は朝鮮半島で軍事行動を起こす場合には、事前に韓国の合意が必要だと述べた。
連立与党を組む公明党の党首ですら、火曜日にトランプ大統領の発言に不満を表した。「世界中のいかなる国も発言は慎むべきだ。」と北朝鮮と米国について山口党首は述べた。
北朝鮮問題について、これまでのところ、安倍首相は言葉の戦争には取り組んできたが、弾を打ち合う本物の戦争には対応していない。本物の戦争は、日本人の生命を危険に追いやるし、日本が自国が招いていない戦争に巻き込まれることを恐れる反安倍の声は増強されるだろう。
「米国は、脅迫をどんどん強めなければいけない局面に自らを追い込んでいる。」と防衛庁の元役人である柳沢協二氏はは言う。「もし、それを止めることが出来なければ、日本にある米軍基地が狙われることになるだろう。」
安倍種首相の側近によれば、日本政府は、トランプ大統領が好戦的な言葉をすぐに実行に移す可能性は低いと考えているが、次第に大統領の言葉が重みを失ってしまうことを心配している。日本は米国の核の傘に守られている。そのためには、近隣諸国が米国は日本の安全を保障していると思わせることが重要だ。たとえそうだとしても、安倍首相は、米日関係を強化するためには、トランプ大統領の発言を変えようとするのではなく、日本自身が行動をとることが重要だと考えている。

Monday, August 14, 2017

日本の成長は予測を上回る【A18面(国際面)】

内閣府は814日に4-7月四半期のGDP一次速報を発表したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



6四半期連続の経済成長となり、2006年以来最長であること、成長の主要因がこれまでの輸出から個人支出に変化したことなどをコンパクトに報じている。

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4-7月四半期の日本経済は、予想よりも早いペースで成長した。消費者と企業による堅調な支出が、安倍首相のもとでの、6四半期連続の経済成長に貢献した。
これにより、世界第3位の経済大国である日本は2006年以来最長となる経済の成長を記録した。米国の同四半期の成長率は2.6%だったが、日本の成長率はそれを上回った。
日本の成長のペースは、20151-3月四半期以来最速だったが、ウォールストリートジャーナルが実施したエコノミストによる予測2.5%をも上回った。
最近の四半期の成長は、携帯電話部品や半導体機器の海外からの需要が強かったことが主要因だが、4-6月についてみると、堅調な個人支出が主要因だった。個人支出は年換算で3.7%も伸びた。
今月経済再生が最優先事項だと語ったばかりの安倍首相にとって、この改善の兆しは歓迎するところだ。彼が率いる政党は、7月の東京都議会議員選挙で敗退したばかりだ。
2012年後半に政権について以降、安倍首相はアベノミクスにより、何十年も続いた低調な成長とデフレを終結させるべく努力してきた。アベノミクスは、賃金上昇が価格上昇を招き、最終的には支出を増やすという良い循環を生み出すことを目的にしたものだ。
「私は、国内需要が経済成長をドライブし続けることを確実なものにしたい。」と茂木特命担当大臣は語った。彼はまた、持続可能性を強化するためには、日本は生産性も改善しなければならないとも語った。

Friday, August 4, 2017

日本の安倍首相は内閣に反対派を登用【A16面(国際面)】

83日に行われた内閣改造のニュースを、WSJは翌4日の国際面で速報した。



組閣の狙いを、自分に異を唱える人材も入閣させることによる党内融和にあるとして、例として河野外務大臣、小野寺防衛大臣、野田総務大臣の3をあげている。また、岸田氏の政調会長就任、稲田氏の辞任、菅氏、麻生氏の留任についても触れている。

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日本の安倍首相は、外務、防衛など数名の大臣を新たに任命した。これは、落ち込んだ支持率回復と、自派閥外からも経験のある議員を入閣させることにより党内の不満解消を狙ったものだ。
安倍首相自身が友人に便宜を図ったという追求(安倍首相自身は否定しているが)をはじめとするここ数ヶ月の政治スキャンダルによって、安倍首相の政権基盤は脅かされている。最近の世論調査では、安倍内閣の支持率は30%を下回り、これまでの最低を記録している。
木曜日に発表された内閣改造に関する記者会見で、安倍氏は不適切な対応に対する懸念が安倍内閣の信頼を傷つけたことを認識していると述べた。
「もう一度、私は国民に対して深い反省とお詫びを表明します。」と安倍氏は述べ、深々とお辞儀をした。日本ではお辞儀は悔恨を意味する。
世論調査では、国民は、安倍氏に対する不信感をあげ、それが支持率低下の主要な要因となっている。安倍氏に異をとなえる議員や批判的な勢力は、安倍氏とその側近の間に権力が集中し過ぎていると指摘している。
アナリストによれば、この内閣改造は、安倍首相が自民党内の様々な見方を取り込もうと努力したことを示す様に考えられている様だ。
「安倍氏と意見を異にするが、国民の信頼が厚い、より能力のある自民党議員を取り込もうと努力した様に見える。」と外交会議の日本政治専門家のシャイラ・スミス氏は言う。
首相な変化の1つに、河野太郎氏の外務大臣への登用がある。河野氏は、元外務大臣の息子で、過去には、移民や原発政策を批判してきた。河野氏は、岸田文雄氏を引き継いだが、岸田氏は自民党の政調会長に就いた。
新たに防衛大臣に任命された小野寺五典氏(57才)は、安倍首相の子飼いで、日本の平和維持活動に関する秘密文章の隠匿について野党議員から追求を受けた稲田朋美氏の後を受けて、再登板するものだ。稲田氏は隠匿を否定したが、事態を混乱させたことを認めて、先週辞任していた。
北朝鮮の脅威に対抗するために、ミサイル防衛を強化し、海外の基地を攻撃する能力を潜在的に保持するという自民党内の議論をリードしてきたのが、小野寺氏だ。
安倍氏はまた、56才の野田聖子氏を総務大臣に任命した。今回の内閣改造で女性閣僚は3名から2名に減少したが、野田氏はそのうちの一人だ。野田氏は、安倍氏の安全保障政策を批判してきた。
安倍氏は、彼自身を支えるトップ2人はそのまま留任させた。菅義偉官房長官と麻生太郎副大臣だ。