Sunday, August 31, 2014

** 8月のまとめ **

8月までにウォールストリートジャーナルに掲載された日本に関する記事は、132件だった。月平均16.5件。8月は、16件だったので、ほぼ平均というところか。


テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が6件、社会関係が6件。様々な分野の記事が取り上げられた。

政治関係では、ベトナムへの中古船寄贈(領海での中国との対立)、北方領土、靖国神社、内閣改造と取り上げられるテーマは多岐にわたった。

経済関係では、消費増税が日本経済に与える影響を4回にわたり報道し、この問題へのWSJの感心の高さを伺わせた。その他には、日本と中国の貿易額が増加に転じたこと、女性の社会参加を促すために税制改革に扶養者控除の廃止が検討されていることが報道された。日中関係と女性の地位改善もWSJが継続的に取り上げているテーマだ。

社会関係では、広島土砂災害を2回取り上げた。こうした海外での大災害に対する同紙の迅速かつ真摯な報道姿勢には感心する。原発問題も2回とりあげた。検察審議会が東電元会長を起訴相当としたこと、強制非難させれられた女性に損害賠償を命じたことが取り上げられた。WSJは原発問題についても、継続的に丁寧に取り上げている。どちらかというと、原発推進派で、東電に対して同情的なトーンを感じる。その他では、理研の笹井氏の自殺、日本のカジノ解禁の可能性について報道している。

掲載箇所では、1面が1回、国際面が15回だった。
1面を飾ったのは、日本でのカジノ解禁を信じて10年前からカジノ学校を経営する男性のニュースが取り上げられた。同紙はこうした面白い記事を1面下部で連日取り上げている。

こうして、WSJが取り上げたニュースを並べて見ると、日本で起こったことの縮図になっており、バランスの取れた報道だと感じる。

Saturday, August 30, 2014

家計支出の下落により懸念が増大【A8面(国際面)】

7月の家計消費支出が5.9%下落したというニュースが国際面に掲載された。



「日本における家計消費は7月に5/9%下落した。安倍晋三首相の増税して約800億円の税金を
取るという決断は、予想よりも経済に悪い影響を与えるのではないかという懸念が出てきた。消費の落ち込みは経済のあらゆる分野に及んでおり、自動車メーカは販売出来ない車の増大と生産の低迷に取組まねばならなくなっている。」
「安倍首相は一年程前に消費税の5%から8%への増税を決断した。政府によれば、これにより、毎年約8兆円(約770億円)の増税になる。増税は4月1日に実施された。」

29日の発表を翌30日に速報しており、この問題に関するWSJの関心の高さを示している。

Thursday, August 28, 2014

原発のオペレータは自殺に47万ドル支払う【A7面(国際面)】

福島原発の近くの自宅からの強制非難は原因で自殺した女性の遺族に対し、福島地裁が4千7百万円支払う様に命じたというニュースが、国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「破壊された福島第一原発のオペレータは、原発の近くにある自宅を離れた後自殺した女性の遺族に対し、4千9百万円(約47万ドル)の支払いを命じられた。」
「福島地方裁判所は東京電力は、2011年に自宅に戻っ。た際に焼身自殺をした58歳の主婦、渡辺はま子さんの家族に求償せねばならないとの判決を下した。強制非難が自殺の原因だと結論づけた。」

暫く要約する。

遺族は9千百万円を請求していた。東京電力は、不利な判決に苦しんできた。7月30日には東電の元幹部は事故を回避する努力を行ったので起訴されるべきとする判断が、そして5月末には西日本の2つの原発の再起動を禁じる判断が下された。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「東京電力のスポークスマンは『判決を精査する。』と述べた。」
「東電は原発の代替となる高額の化石燃料と、事故による損害への支払いにより、過去3年間に大きな経済的損失を被った。」

WSJは、原発推進派であり、東電に同情的なトーンも感じられる。

Tuesday, August 26, 2014

"Betting on the Come." (将来に賭ける)は日本語でなんと言うのでしょう?【A1面】


日本でのカジノ解禁に賭けて、10年前にカジノ学校を開講した大岩根さんという方の物語が、一面に掲載された。WSJ日本語版に同様の記事が掲載されていたので、借用する。
大岩根さんという方、面白い方ですね。




大岩根成悦さん(45)は10年前、「カジノが日本にやってくる」ことに賭けた。
 それから10年、日本ではまだブラックジャックでダブルダウン(賭け金の倍増)することが違法とされている。ただ、大岩根さんは諦めていない。
 同氏は2004年に日本カジノスクールを開校。ミッションはカジノでゲームの進行役を務めるディーラーの手さばきやルーレットの回し方などを学生に伝授することだ。
 校長を務める大岩根さんは「2、3年のうちにカジノが合法化されると、なんの疑いも持っていなかった」と述べ、このため「まだ合法化されていなくても学校を開業することが悪いビジネスアイデアとは全く思わなかった」と話した。
 ついに大岩根さんに運が向いてきたようだ。安倍晋三首相は成長戦略の目玉としてカジノ解禁を目指しており、秋の臨時国会で関連法案の審議を継続することを約束した。
 春の通常国会では関係省庁の手続きの遅れで法案を採決まで持ち込めなかったが、政府関係者らは秋には成立機運が高まると話している。
 ラスベガス・サンズやウィン・リゾーツ、MGMリゾーツなど米国のカジノ大手はすでに、機会が訪れれば日本のカジノリゾートに大規模投資する準備を進めていると話した。また、カジノ業界の幹部は早くも候補地選びに乗り出しており、東京・築地の中央卸売市場の跡地や大阪此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」などに目を付けている。
 一方、大岩根さんと日本カジノスクールの学生は、まだ合法化されていないテーブルで準備を進めている。
 ある日の午後、新宿区にある大岩根さんのカジノスクールでは学生20人ほどがブラックジャックの練習をしていた。学生たちのプロ意識を鼓舞するかのように、壁にはクルーズ船や米国のテレビドラマ「ラスベガス」のポスターが貼られていた。また、「違法カジノには絶対に出入りしない」という非公式の校訓と思われる標語も貼ってあった。
 大岩根さんがカジノに取りつかれたのは学生時代で、カジノが疑似体験できる東京の遊技場で働いていたころだ。同氏はホテルでのイベントやクルーズ船でも働いたことがある。
 カードディーラーと結婚した大岩根さんは、「カジノディーラーは世界中で一番素晴らしい職業だと信じている」と述べ、「2歳になる息子にも、ぜひ将来はディーラーになってもらいたい」と話した。
 最も印象深い思い出はグアムの北に位置する太平洋の小島、テニアン島のカジノ場で大勝ちしたことだ。当時まだ学生だった大岩根さんは同じテーブルでバカラを72時間連続でプレーしたという。テニアン島には日本からもカジノ客が訪れる。
 ここで稼いだ700万円は学校の設立資金に使われた。
 日本カジノスクールの1年コースでは、カードの手さばきに加え、親しみやすくルールを教える方法といったカジノ場での客のもてなし方などが初心者に伝授される。003年の開校記者発表には100社以上の記者やカメラマン、テレビスタッフなどが集まり、大岩根さんはタキシード姿で会見に臨んだ。こうしたマーケティングを実施した背景には、3年以内に日本でカジノが合法化されるとの信念があった。
 当時、東京都知事だった石原慎太郎氏はカジノ構想に前向きだった。業界のアナリストらは、日本が近くマカオに次ぐ世界2位のカジノ市場になる可能性を指摘していた。マカオ政府の統計によると、同地域の昨年のカジノ収入は450億ドル(約4兆6700億円)だった。
 大岩根さんは友人や銀行などから借金をして学校を開き、すぐに想定した30人を大幅に上回る192人の生徒を集めた。
 「もうこれはいよいよだ。秒読み段階で待ったなしだ。勝ち側にいる」と大岩根さんは思ったという。
 日本でカジノが合法化されるとの思惑が、20代や30代を中心とした生徒を呼び集め続けている。学費は平均で60万円だ。
 法改正が期待される中、大岩根さんは今度こそカジノへの関心が急速に高まるとの手応えを感じている。
 同氏は学校に加え、「addict(アディクト)」など疑似的なカジノゲームが体験できる遊技施設を複数運営している。ただ、カジノ解禁が実現すれば現在の事業を見直すことになろう。
 ほの暗いaddict店内に並んだテーブルには黒いベストを着たディーラーが付いており、夜にはブラックジャックやテキサス・ホールデム、バカラ、ルーレットなどが楽しめる。日本には似たような娯楽施設が増えており、カジノを体験してみたいという人々の需要に応えている。模擬カジノではコインを現金や景品と交換することが禁じられている。このため、addictでは「中毒」という店の名前にもかかわらず、入場料は支払うものの全財産を失うことはない。
 大岩根さんは模擬カジノの人気が本物の需要に火を付けることを期待している。
 一方、ギャンブルに取りつかれた卒業生はそれほど楽観的でない。大岩根さんの学校ではこれまでに400人の卒業生を送り出してきたが、学校によるとカジノ関連の職に就けたのは70人程度にとどまる。
 2008年に在学した大谷雅俊さんは「校長の(予想した)3年以内にカジノができるというのは、全く信じていなかった」と話し、海外に活路を見いだそうとした。現在、大谷さんはシンガポールでディーラーをやっている。
 テニアン島やカンボジアのバベットなど、遠く離れたカジノ場でサイコロを振る卒業生もいる。バベットには隣国のベトナムからカジノ客が集まる。経験を得るためとは言え賃金は安く、業界関係者によると、現地ディーラーの給料は1日当たり数ドルにとどまるところもある。
 カジノ学校への入学者数は最近46人に増えたが、長く生徒不足に悩まされた時期もあった。最悪は2012年で、東日本大震災が発生した後には生徒が28人しか集まらなかった。大岩根さんはコストカットで苦境を乗り越えたという。
 20人いた学校スタッフを半分に減らし、残った従業員の給与も30%削減した。大岩根さんもゴルフやスポーツクラブを退会し、自身の給与も半分に減らした。また、ラスベガス訪問をやめてここ数年はカジノ断ちをしてきたという、厳しい制約も課してきた。
 こうした苦労を経て、大岩根さんは今、「ジャックポット(大当たり)」に近づいたと信じ、2020年に東京五輪が開催される頃までには日本でカジノ場が運営されていると期待している。だが、それほど早く事が進むと予想するロビー団体や国会議員は少ない。
 大岩根さんは予想が外れた場合のバックアップ計画も用意している。
 同氏は「今回の法案でダメだったら海外に小さいカジノでも買おうか」と考えているとし、「そして、そこにアンハッピー(不運)な卒業生を送り込む」と述べた。


Monday, August 25, 2014

広島の土砂崩れ後の救助活動の中、死者は増え続けている【A8面(国際面)】

広島の土砂災害のニュースの続報が国際面に掲載された。

「800名の自衛隊員を含む約3,500人の救助部隊が、日曜日に広島の土砂崩れの生存者の捜索を行った。豪雨によって近隣の斜面に水と土砂が押し寄せて、数日前からこうした作業が続いている。死者は50人にのぼり、依然数十名が行方不明のままだ。」

文章は短いが、写真は大きく掲載されている。



東京は主婦に厳しい選択を迫る【A8面(国際面)】

日本が税制改革、具体的には配偶者控除の廃止によって、女性の社会進出を促進しようとしているという記事が国際面に掲載された。


この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の税制は、長い間、理想的な妻の役割は家にいることだというメッセージを送ってきた。現在、政府が検討している税制改革は、より多くの女性に働いてもらうことを重視している。この改革は、働く女性と伝統的な税制の下で便益を得てきた主婦の間に楔を打ち込むことになるだろう。」
「安倍首相はアベノミクスとして知られる成長戦略を提示したが、この戦略は、全ての職業において、より大きな女性の役割を創出することについて、これまでなかった様な真剣な議論をまきおきすきっかけを作った。」

しばらく要約する。

国会は来月税制改革の議論を開始する。日本では、25才から44才の女性の70%が働いているが、管理職以上になると90%以上が男性によってしめられている。米国ではフォーチュン500企業の幹部のうち15%が女性だ。1960年以来日本の税制は暗に専業主婦のいる家庭を優遇してきた。主婦の収入が103万円を超えると、税金控除の権利を失うし、130万円以下であれば、主婦は年金基金に支払いをしなくても年金を受け取ることが出来る。こうした税制は、主婦がフルタイムの仕事につくことを阻害している。
安倍首相が検討している新税制は、この点の改革を目指している。詳細はこれから検討するが、103万円の壁と130万円の壁を撤廃し、年金基金に全くお金を納めていない主婦には約30ドルの支払いを求める。こうした改革は働く女性には好評だが、主婦には不評だ。自民党でも反対の意見がある。自民党は選挙公約で扶養控除の維持を掲げていたからだ。実に70%以上の日本のパートタイム労働者は、扶養控除を得るために所得を制限しているのだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「今日、日本は、高齢になって結婚したり、結婚しない女性が増えている。より多くの女性が高い教育を受けている。そして共働き夫婦が増えている。」
「女性たちの中には、税制改革そのものは、職場において女性が同等の役割を担うために、ドアをより大きく開くことにならないと考えている人もいる。多くの会社では、残業や夜に同僚と飲みにいくのが習慣になっており、こうした習慣が仕事と家庭のバランスをとるのを難しくしているからだ。」

女性の税制改革では効果が出ず、日本の労働慣行を変える必要があるとしている。日本では、飲み会の数が少し減ったようだが、相変わらず残業は慢性化している。ワーク・ライフバランスも著しく崩れてままで、こうした環境では女性の社会進出は難しい。何故、日本人は何年経ってもこの問題を解決出来ないのだろう?

Saturday, August 23, 2014

日本の安倍は内閣改造の意向を固めた【A7面(国際面)】

安倍首相が内閣改造の意向を固めたとする記事が、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しではじまる。
「日本の安倍晋三首相は、来週にも内閣改造を行う意思を固めた。経済についての懸念が増大する中で、権力基盤を強固にするのが狙いだ。」
「この内閣改造により、内閣の女性の数は現在2人だが、これも増える見通しだ。安倍首相は、政界、経済界の女性リーダーの数を、2020年までに30%まで引き上げることを目標としている。」

長い記事なので、暫く要約する。

安倍首相は主要閣僚を留任させる見通しなので、大きな政策の変化はないだろう。安倍内閣の18名は、2012年の安倍内閣発足以来変わっておらず、これは歴代最長だ。この内閣改造は、政策面より、大臣になれない議員からの不満を押さえるための政治的な目的の色が濃い。安倍首相は2015年9月の自民党総裁選に勝てば、2019年まで首相の椅子に座り続けることが可能だ。
安倍首相の在任期間は既に20ヶ月を越えており、最近の首相に比べると長期政権となっているが、集団的自衛権を許容したこともあって、支持率は最近50%を下回った。支持率回復の鍵を握るのが女性大臣の登用だ。但し、衆議院の女性比率は8%、参議院でも16%にずぎす、当選一回議員を除くとこの比率は更に下がる。安倍首相はこの小さな人材プールから大臣を選ばねばならず、リスクは大きい。
安倍首相は、また、防衛問題選任の大臣ポストを新設する。また、アベノミクス推進のためにもこの内閣改造が必要と考えている様だ。安倍内閣発足後、暫くは経済は好調だったが、消費税率引き上げ後、予想以上の低迷が続いている。安倍首相は、今後は地方の活性化が必要としている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「そうした政策は、日銀の緩和政策によって、経済に投入された、過去に例を見ない巨額のお金に比べれば、あまり目を引かないかもしれない。しかし、そうした政策は国家の長期にわたる経済成長にとっては重要だと野中氏は語る。」
「首相は今年末までに、2015年10月に消費税率を10%に引き上げるか否かの決断を下さねばならない。」

内閣改造のポイントは女性大臣の登用であり、それが安倍内閣のリスクになりうるという視点は面白い。