Thursday, June 21, 2018

日本はゲスト労働者を必要としている。【A16面(社説)】


安倍首相は、5日の経済財政諮問会議で外国人労働者の受入れ拡大を表明したが、WSJはこのニュースを21日の社説で取り上げた。


 この記事によれば、日本では、毎日1,000人の人口が減少しているそうだ。GDP2.5倍もの巨額な国債発行残高を考えるとすぐにでも移民を受け入れないと日本は破産してしまうが、人口1億人を維持するためには、毎年20万人もの移民を受け入れねばならず、そう簡単ではない。
国家主義者の安倍首相は、表向きは、未だに移民政策に反対している。このため、今回受け入れることになった外国人労働者にも家族帯同を認めないなど、問題が多い。こうした安倍首相の中途半端な対応に加えて、日本特有の島国文化や低い英語レベルが原因で、日本には高度なスキルを持った労働者は来てくれない。高学歴者はアジア11ヶ国の中で、日本を最も魅力のない移住先とみている。いずれにしてもこの問題は待ったなしで。安倍首相の強いリーダーシップが期待されるとしている。

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移民はどこの国でもセンシティブな問題だが、特に日本ではその傾向が強い、日本では、多くの国民が、外国人は犯罪と無秩序をもたらすと恐れているからだ。そうであれば、何故、先週、中道右派の国家主義者的リーダーである安倍首相は2025年までに50万人のブルーカラー労働者を受け入れることを認めたのか?
一言で言ってしまえば、人口問題だ。日本は、慢性的に、低い出生率に悩まされている。昨年は1.43だった。このため、日本の労働者人口は、2000年から13$減少している。企業は、労働者の採用に血眼になっていて、一人の求人者に対して、1.59の仕事がある。失業率は4月現在で2.5%。これは、G7で最も低い数値だ。
この労働者不足が、安倍首相の経済改革プログラムが、アニマルスピリットを活性化させない一つの理由だ。第一四半期のGDPの伸びは、0.2%に留まっている。ホテル業界は人材不足に悩んでいるが、これが日本の観光ブームに暗い影を投げかけている。日本の農民の平均年齢67歳だ。労働者不足が、2020年の東京オリンピックの建設プロジェクトを遅らせている。
安倍首相の計画は、ホテル、建設、造船、農業、高齢者ケア分野の労働者にビザを与えるというものだ。日本の高齢化を考えると、高齢者ケアの必要性は急を要する。日本の65歳以上の人口比率は、5年前の24%から28%へと上昇している。政府によれば、2025年までに35万人の看護婦が不足する。
既に多くの企業が、外国人を学生ビザやトレーニービザで雇用している。東京を訪れた人々は、お店のレジで店員と中国語で会話が出来るし、ベトナム人が工場で働き、レストランではネパール人が迎えてくれる。短期ビザにより、日本の外国人労働者はこの5年間で倍増し、130万人となった。これは、労働者人口の2%に相当する。ちなみに、米国では労働者の17%が外国生まれだ。
新しいプログラムは、労働者に5年間日本に滞在することを許可し、安定性とより多くの権利を与える。しかし、日本に永住してしまうのではないかという国民の不安を緩和するため、外国人労働者は家族を連れて来ることが出来ない。
日本は、2012年に高学歴の労働者に対しては大きく門戸を開いた。専門職に従事する人が居住権をいることを比較的容易にしたのだ。しかし、数千人しかこの制度を利用していない。2016年のIMD世界競争力センターの調査によれば、高学歴の人々は、アジアの11ヶ国の中で、日本を最も魅力の無い国とみている。
その理由の一つが、日本の島国文化と、低い英語レベルだ。韓国は、日本同様の人口動態の変化の初期段階にあるが、既にブルーカラーの労働者を受け入れている。高度なスキルを持った移民を受け入れるという点でも、日本よりうまくやっている様に見える。
日本人がもっと子供を作らない限り、日本には、移民を受け入れる以外の選択肢はほぼ残されていない。政府の統計によれば、1億人の人口を維持するためには、毎年20万人の移民を受け入れなければならない。人口は、毎日1,000人以上減少している。これは、、政府の財政に対する大きな脅威だ。日本は、既にGDP2.5倍の負債を抱えている。
安倍首相が、日本の政策の第3の道を示すことには価値がある。しかし、法務省は2015年にはブルーカラー労働者の受入れを検討していたし、政府は今になってようやく勇気を出して法案を国会に提出しようとしている。国民世論もゆっくりではあるが変化してきている。移民を拒んでいると、外国労働者を受け入れた場合に比べて、かれらの生活により大きな脅威をもたらすことを理解したからだ。安倍首相は、この変化をリードするために、もっと出来ることがある。