Thursday, June 30, 2016

** 6月のまとめ **

6月にWSJに掲載された日本関係の記事は7件。12月が5件、3月が9件、4月が13件、5月が19件だったので、平均よりも少ない。,

テーマ別では、政治関係が2件、経済関係が3件、社会関係が5件だった。
政治関係は、「桝添知事辞職(15日)の速報」と「第二次世界大戦中の日本の残虐行為を批判する読者投稿」の2件。
経済関係は、「消費増税延期(1日)の速報」「日銀の追加緩和策見送り決定(16日)の速報」「米国の金利低下は日本同様、高齢化による効率性低下によるものだとする分析記事」の3件。
社会関係は、「三菱マテリアルの中国人強制労働者との和解(1日)の速報」「検定好きの日本でついにホームパーティ検定なるものが設立されたというコラム記事」の2件。

掲載箇所では、読者投稿1件、国際面6件だった。

速報記事を除くと、3件。まず、「日本の第二次世界大戦での残虐行為をあげ、その蛮行に比べれば、原爆投下な同情の余地もないとする読者の投稿。」そして、「日本は、高齢化の進展と人口減少によって、社会の効率性が落ちるという構造的問題を抱えており、米国もそれを後追いしつつある。」という分析記事。さらに、「日本人はまじめなので、何でも勉強して資格を取ろうとするので、次々と資格試験が出来ているが、ついにホームパーティ検定なるものも出来てしまった。」というコラム記事。
この3件の記事から、米国人が描く日本像とはどんなものだろうか?戦前は残虐だった日本人。戦後は、長寿社会を作ったが、それが経済停滞につながり、行き詰っている日本。いずれも、真面目な国民が突っ走りすぎてしまった結果ということか。

Friday, June 17, 2016

アメリカは日本型の成長スランプのリスクに直面している【A2面(国内面)】

米国金利の低下傾向は、米国が「日本が経験した成長スランプ」に陥る危険を示しているとする記事が、617日の国内面に掲載された。



米国連邦準備銀行の政策の動向に関係なく、米国の金利が低下傾向にある。日本は、長期にわたって低金利政策を継続して、個人消費や企業投資を促しているが、高齢化による労働人口の縮小と効率性低下という構造的な問題を抱えているため、低金利政策が経済成長に結びつかず、それが更なる低金利政策の長期化を招いてきた。米国で起きていることは、過去20年間に日本で起きたこうした現象のはじまりではないかとしている。日本は、経済が十分に回復しないうちに、金利や税金の引上げを行うという過ちを犯して、低金利傾向を更に長引かせるという過ちを犯したが、米国は今のところそうした過ちは犯していない。但し、低金利政策から抜け出すためには、労働人口の縮小と効率性低下という構造的な問題の解決が必要で、これは非常に難しいとしている。先進国全体が金融政策の限界に直面していると言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
「今週は、金利の設定については、これまで中央銀行にスポットライトが当たってきたが、今週は、債権市場が中央銀行からスポットライトを奪った。」
米国連邦準備銀行と日本銀行は金融政策についてこれまでの政策を維持し、期待されていた政策変更を実施しない決定を下した。にもかかわらず、国債の利回りは下落し史上最低となった。ドイツではマイナス利回りとなり、日本ではより大きなマイナス利回りとなり、米国でもここ3年で最低となった。」
「この下落については多くの理由があるが、次の3つが主要なものだろう。第一に、中央銀行による、短期金利をゼロもしくはマイナスに設定し、国債を買い付けることにより、経済成長を促進しようとする動き。第二に、投資家が、来週のEU離脱についての国民投票の影響により、安全資産へ走っていること。第三に、世界規模で起きている経済成長の鈍化だ。」
「最初の2つは短期的な事象だ。しかし、3つ目は制御が難しく、従ってより悩ましい事象だ。そして、このことは、米国や他の多くの国々が日本に似てくることを意味している。日本の低迷する経済は、20年にわたる努力にもかかわらず回復してこない。」
「国債の利回りは、投資家の次の10年間における『予想短期金利』と、資金を長期的にロックすることに対する『タームプレミアム』によって決定される。タームプレミアムは歴史的にみると、平均して0.52%のレベルで推移してきた。しかし、投資アドバイザーであるCornerstone Macroによれば、現状のタームプレミアムは、米国でマイナス0.6%、ドイツマイナス1.6%、日本ではマイナス1.7%という。」
「この様な状況になる理由の一つは、中央銀行が国債を購入して供給量を押さえることにより、投資家に国債購入のためにより多く支出させ、結果として低利回りを受け入れさせようとしているからだ。(国債の価格と利回りは逆方向に動く。)この様な政策によって期待されるのは、低金利が投資を促進し、インフレ率を日銀の目標である2%に向かって押し上げることだ。
世界を取り巻く不安要素もタームプレミアムがマイナスになる要因だ。国債は、投資家にとって最も安全な投資資産だ。災害に見舞われた際などには、国債の価格は上昇し、株式や社債など資産は下落する。米国における2008年の金融危機、ユーロ圏におけるソブリン債危機、中国の経済スランプ、テロリストによる大規模攻撃、疫病の流行等の可能性、こうしたことが起こる度に、国債は安全であるという評価を勝ち得てきた。今起きているリスクは、英国のEU離脱の危機だ。もし、英国が投票の結果EUから離脱することにでもなれば、利回りゼロであっても、最悪なケースに対するリスクヘッジとしては十分である。」
「不安は永遠には続かない。そして、中央銀行の景気刺激策も永遠には続かない。しかし、現状では、利回りを低く抑え込んでいる要因がもう一つある。そして、この要因が、金利を押し下げるより大きな要因となっているのだ。水曜日の連邦準備銀行の将来の金利引上げを遅らせると言う決定は、この要因にスポットライトをあてることになった。」
「連邦準備銀行は長い間、物価安定・完全雇用達成時の利子率である自然利子率まで短期金利を引き上げることを想定してきた。しかし、その数値は落ち込んでいる様に見える。ある連邦銀行高官は、2013年には自然利子率を4%と考えていたが、現時点では3%と考えている。ジャネットイェレンも水曜日に2%だろうと述べた。」
「彼女は低い自然利子率を『向かい風』だとして非難するが、こうした向かい風は2008年の金融危機の後遺症がそうであった様に消えてしまうものだ。しかし、水曜日に彼女は、高齢化社会や生産性改善の世界レベルでの停滞など、『長期に渡って継続するもしくはなかなか消えない』要因を例に挙げた。
「労働人口の増加が緩慢になれば、それに伴って設備投資も緩慢になる。生産性の増加が緩慢になれば、賃金の伸びも緩慢になり、結果として多くの家庭が借入を躊躇し、(なぜなら、かれらは、借入の返済に充てるための将来の収入が減ると考えるからだ。)多くの企業も投資に臆病になる。」
「我々はこうした状況をどこかで見たことがある。そう、まさに日本が1990年以来、苦しんできたことそのものだ。1990年に遡ると、日本は当時、年率4%での成長が続くと考えていた。しかし、日本の労働人口は1995年にピークに達し、生産性の伸びはスローダウンした。1990年以降、経済成長率は平均で1%にも満たない。ゼロ金利やマイナス金利ですら企業投資を誘発するための効果を発揮していない。彼らは成長の機会を日本国外に求めている。」
「今日、多くの経済大国において、労働人口の増加や生産性の伸びがスローダウンしているという事実により、金利政策は十分にその効果を発揮出来なくなっている。多くの新興国は過剰なコモディティー商品への対処に苦しんでいる2009年にアメリカが経験した国内生産の空洞化の様に。」
「日本の政治家は、成長路線が再び軌道にのりつつあるという時期尚早な判断により、税率や金利を何回か引上げ、これが事態を更に悪化させた。結果としてインフレ率が期待した程の伸びず、低金利政策の更なる長期化を招いた。連邦準備銀行は、日本がおかしたこうした過ちを、彼らはおかさないと決断した様だ。」
「しかし、高齢化社会、生産性向上の鈍化、居座り続ける悲観論による企業投資意欲の鈍化などは、克服するのが難しい課題だ。そして、このところの国債市場の動きは、こうした課題がすぐには克服出来ないことを示しているのではないだろうか。」



Thursday, June 16, 2016

日銀は現状を維持し、英国の投票を待つ【A11面(国際面)】

日銀は15~16日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成多数で決めたが、WSJは16日の国際面で速報した。


日銀の政策が十分に効果を発揮していない状況の中、追加緩和に期待していたというニュアンスが行間に読み取れる。

***** 以下本文 ***** 
「円高が急速に進み、インフレ目標達成もおぼつかない状況にも関わらず、日銀は木曜日に、金融政策を変更しないことを決定した。グローバル市場を揺るがす可能性のある英国の国民投票の結果を待とうというものだ。」
「日本では、低成長が長期化し、デフレ傾向も続いている。そうした中、日銀の政策がこうした悪い状況の終結に効果があるのかという疑問が大きくなっている。今回の政策維持の決断はこうした状況の中でなされた。
「安倍首相の重要政策として知られるアベノミクスは、3年前に開始されたが、これまでのところ強く継続的な成長を生み出していない。日本の経済は過去数四半期の間、緩慢な成長と収縮を繰り返してきた。一方、日銀は価格の下落を抑え込むために戦ってきたが、勝利のタイミングは先へ先へとスリップしている。」

支出についての抗議の中、東京の知事が辞職【A8面(国際面)】

15日桝添知事が辞職を表明したが、WSJは翌日の国際面でこのニュースを速報した。



 不祥事が続く東京オリンピックに関連して、桝添知事の辞任は日本にとって更なる恥の上塗りだとしている。彼は違法行為をした訳ではなく、オリンピックへの影響を考えれば、辞任させないという選択肢もあったのではないかと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
桝添要一東京都知事が政治資金を個人的な目的で使用した責任をとって辞任した。2020年のオリンピック開催都市としてまた新たな混乱となっている。」
「桝添氏は、ここ数週間で高まる国民の怒りに直面し、都議会で不信任案が提出される数時間前に辞表を提出した。」
「『私は、ブラジルでのオリンピック大会が近付く中、その次のオリンピック開催都市が選挙を行っているのは適切ではないと考えました。』と桝添氏は都議会で語った。『しかし東京都政にこれ以上の遅れが出ることには耐えられない。』
「次の都知事が4年の任期を全うした場合、都知事選挙は2020年のオリンピック・パラリンピックの最中に行われることになる。
「桝添氏の支出レポートには、家族と宿泊したリゾートホテル代の3,300ドルなどが含まれていた。知事は、この宿泊の間に政治活動を行ったので、この支出は適切だとしている。彼は、今月、彼の支出は合法的だというレポートを発行していた。」


Monday, June 13, 2016

日本人はより良いパーティーのための授業を取る【A10面(国際面)】

日本でホームパーティ検定なるものが創設されたというニュースが13日の国際面に掲載された。


日本では何でも資格や検定にしてしまう。アロマセラピーや書道検定なんていうのもある。しかし、ついに、ホームパーティ検定なるものが出来てしまった!ということで、ちょと日本人を小ばかにしながら、面白おかしい記事に仕上がっている。

****** 以下本文 *****


「ナカムララアヤノさんはパーティーを正しく行う方法を勉強したかった。」
「彼女は、自尊心が強く完璧主義の日本人がそうする様に、授業を取って、試験を受けた。そして彼女は日本ホームパーティ協会からホームパーティ検定2級を取得した。」
「『ホームパーティでの最大の失敗はは、カーペットに赤ワインをこぼしてしまったことです。』と検定合格後、31歳のナカムラさんは語った。『もうそうした過ちを繰り返すことはありません。準備万端整えておくことが、ホームパーティに重要なことを学んだからです。』」
「日本は野球やクリスマスツリーなど、重要な西洋の習慣を取り入れてきた。しかし、ホームパーティはまだ取り入れられていない。」
「同僚や友人との親睦は、通常はレストランで行われる。多くの家は狭く、家に招いたとしても生活の匂いのする部屋でどうお客様をもてなせば良いか分からないからだ。」
「そこでホームパーティ協会が、パーティのコツを教えてくれる。協会代表の高橋ひでつう(43歳)は、20年前にシアトルでホームパーティに誘われた。『飲み物、バーベキュー、雰囲気、ケーキのフロスティングのけばけばしい色合い。全てが新鮮で楽しかったです。』と彼は言う。『ホームパーティーは人と知り合いになるための最適な方法であり、私には全く新しい方法でした。』」
「協会は2012年に設立され、ホームエンターテイメントに精通した40人のホームパーティアンバサダーからなる。その中には、食品の専門家や、ワインエキスパート、早く着いてしまったゲストのもてなし方に精通している人々などが含まれている。」
「こうした人々が、飲み物とオードブルの組合せから、招待カードの作り方まで、あらゆる質問に答えてくれる。ホームパーティ用品を作る会社にもコンサルティングなどのサービスを提供している。」
「今年、協会は新たに検定を開始した。こうしたテーマが資格検定になるのは日本では当然のことだ。日本では、英会話からアロマセラピーや書道に至るまで、あらゆる資格を検定にしてしまうのだ。日本野菜ソムリエ協会なんでいうのもあって、検定を受ければ、野菜エキスパートの認定を得られる。」
「そうした検定は人に自慢することが出来る。パーティープランナーを目指す人は、ホームパーティの様子を写真に撮って協会に送付しれば、3級資格を得ることが出来る。」
「2級を目指す場合には、ワインやデコレーションについての授業を受け、テストを受ければ良い。東京で受講して受験する場合の費用は約280ドルだ。」
「『ホームパーティにはどんな人を誘えば良いでしょうか?』と4月の授業で高橋は質問した。」
「6人の受講者は、質問に答えずに、高橋が回答を説明するのを静かに待った。」
「『ホームパーティを成功させるためにはですねえ、』と高橋は続けた。『貴方よりももっと面白い人を誘うことをお薦めしますよ。貴方がスマートだと思う人ですね。貴方よりもユーモアのセンスがある人でも良いでしょう。』」
「高橋は続ける。完璧なホームパーティの所要時間は4時間です。フットボールの様に、ハーフタイムでの特別企画を入れると良いでしょう。時間ピッタリに到着したゲストには(日本以外の国では、時間通りにホームパーティに行くのは不作法なことだが、時間に正確な日本では、時間通りに行ってしまう人もいるのだ。)、お手伝いをお願いしても良いでしょう。」
「『日本では部屋を明るくすることが適当だと思われていますね。』と京都精華大学でキャリアビルディングとコミュニケーションを教えている高橋氏は言う。『しかし、ホームパーティでは、部屋は少し暗くした方が良いですよ。』」
「生徒たちは、必死になって高橋の言うことをノートに取る。ホームパーティーで使われる模擬用具として、プラスティックのワイングラスやLEDのろうそく等が使われる。」
「協会のワインエキスパートであるコンドウヒロカズは、会話での話題になる様なワインを選択すると良いでしょうとアドバイスする。例えば、フランスの青いスパークリングワインの様な。『ワインのボトルを開ける時には、ラベルをゲストに向けておくことが重要ですよ。』」
「そして仕上げにテストがある。生徒たちは、ホームパーティーを成功させるために重要と思われることを3つ答えなければならない。」
「1人の生徒が回答した。『何かテーマを持つことがパーティを楽しくします。』もう1人の生徒が回答した。『ゲストに後片付けや料理を手伝ってもらうのは、パーティに一体感を持ち込んで良いことだと思います。』」
「そして彼らは短いエッセイを書かねばならない。質問、次回のパーティをより良くするために貴方は何をしますか?」
「協会によれば、正しい回答は1つだけではない。ある合格者は次のように書いた。『ホームパーティを成功させるための秘訣は、生活の匂いを排除し、特別な雰囲気を作り出すことです。次のパーティでは、日常生活を感じさせる家具が見えない様にします。』」
「ナカムラさんは、2級を受験したが、彼女のアパートに友達や家族を年に何回か招待し、寿司やピンチョスやカナッペを振る舞う。資格はホームパーティをより良くするのに役立つと彼女は言う。『授業では新しい視点を学びました。特に、風船等を使って部屋を飾ることは私にとって新鮮でした。』」
「もう一人の受験者であるヒサバヤシヒロコさん(33歳)は、次回のパーティではゲストが終電に乗り遅れない様に、開始時間や終了時間を事前に良く考えておくことを学んだと言う。彼女によれば、遅くまでいたい人には、後片付けを頼むというのも、授業で学んだ重要な戦術だ。」
「『ホームパーティの知識についての検定を受けるのは、ちょっと恥ずかしい感じがするかもしれません。』と彼女は言う。『でも、パーティを正しくやろうとする人にとっては、ちょっとしたヒントを簡単に学ぶことが出来る方法なのです。』

Friday, June 3, 2016

攻撃的で残虐な日本には涙を流さない【A10面(読者投稿欄)】

63日の読者投稿欄に、太平洋戦争における日本の行為には全く同情の余地がないとする読者の投稿が掲載された。



523日に勇気ある読者がWSJに意見を投稿したのを覚えていらっしゃるだろうか? この投稿者の主張を要約すれば、「歴史には常に両面がある。太平洋戦争についても、アメリカは自分たちの主張をするだけでなく、時には日本の立場に立って考えることも重要だ。アメリカの経済制裁が日本を経済的に困窮させ、結果として日本を戦争に駆り立てたという側面もあるのではないか。」というものだった。今回、この主張を真っ向から否定する主張が投稿された。経済制裁で疲弊していたはずの日本が、4年半の長きにわたってアジア各国で残虐行為を繰り返したことからみても、日本には十分に余力が残されており、アメリカの経済制裁が日本を困窮させたというのは当たらないというもの。そもそも、日本の残虐行為には全く同情の余地が無く、歴史を両面から見る必要は全くないと主張している様に読める。
(分かりにくい記事だったので、かなり文章を補足して、意訳しました。)

***** 以下本文 *****
523日に掲載されたEberhard Neutsさんの投稿『日本の戦争責任、原爆そして真珠湾』について意見を述べます。この投稿ではアメリカが真珠湾攻撃の前に日本を扇動して戦争へと駆り立てた(従って、歴史は両面から見なければならない。)としています。では、1931年の日本の満州への侵攻と占領はどうなのでしょうか?1937年の日本の東アジアへの侵攻と占領、そして、南京大虐殺はどうなのでしょうか?南京大虐殺では、日本によって、25万人もの人々が殺害され、数万人の中国人女性が強姦されたのです。東アジアのその他の国々への日本の侵攻と占領はどうでしょうか?日本が、ナチスのドイツとファシストのイタリアと枢軸同盟を組んだことはどうでしょうか?こうしたことにも歴史の両面があり、アメリカにも反省すべき点があるのでしょうか?こうした日本の扇動行為に対してアメリカが取れるもっとも被害の少ない対応が経済制裁だったのです。アメリカはそれ対し、真珠湾攻撃という形での代償を支払うことになりました。これは、日本が東アジアを永遠に占領し支配しようとする最後のあがきでした。そして、アメリカは敵国となったのです。」
「ところで、Eberhard Neustさんは、アメリカは経済制裁により、日本の経済がほぼ倒れるまでに日本を締め上げ、その結果日本の資源はほぼ枯渇したとおっしゃいますが、日本は真珠湾攻撃後4年間にの長きにわたって、残虐な侵攻と東アジアの占領を続けたのですよ。広島と長崎への原爆投下がようやく太平洋戦争を終結させるまでは。」
「私の妻はフィリピン人です。Eberhard Neustさんは、私の妻と、日本占領下でのフィリピン人の暮らしがどんなものだったか話をして、そこにも歴史の両面があるのか考えて欲しいと思います。きっと楽しいですよ。私は、2004年にフィリピンを訪問しました。私はスペイン植民地時代の歴史的な教会やその他の素晴らしい建築物を見るのを楽しみにしていました。ところが、日本の占領のおかげで、これらの建築物の殆どが破壊されていました。古いスペイン風の牢獄を除いては。」

Thursday, June 2, 2016

消費増税の再延期、アベノミクス失速浮彫に【A14面(国際面)】

61日に発表された消費増税の再延期について、翌2日の国際面で速報した。


消費増税の延期は、アベノミクスの失敗を意味しており、成功する時期も分からないことを浮き彫りにしたとしている。アベノミクスの失敗によって、現状において、安倍首相が取れる選択肢は限られている。その意味では消費増税再延期の決断はやむを得ないとしながらも、今後取るべき政策については、まだ検討の余地があると言っている様に読める。
(WSJ日本語版にほぼ同様の記事が掲載されていましたので、一部下記に引用させて頂きました。)

***** 以下本文 *****

安倍晋三首相は就任時、日本経済の健全性回復と長きにわたるデフレからの脱却を約束した
安倍首相が1日表明した消費増税の延期は、この約束がまだ果たせておらず、いつ実現するかも分からないことを浮き彫りにした。増税延期は日本が抱える巨額債務の軽減を難しくするが、景気の低迷によって選択の余地がほとんどなくなったと首相は考えたようだ。
首相は日本が8%から10への消費増税を受け入れる用意ができるのは201910月になるとの見方を示した。従来は1510月の増税を予定していたが、今回の再延期前に一旦174月まで先送りにされていた。
参議院選挙を来月に控える中、安倍首相は日本がデフレに逆戻りするリスクがあり、危機を回避する必要があったと説明した。中国をはじめとする新興国の景気減速も一因として挙げ、年内に追加の景気刺激策を成立させる考えを示した。
こうしたリスクを振り払うために「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす必要がある」と述べ、キャッチフレーズを用いて経済の活性化に向けた政策を表現した。
首相の発言はこのエンジンの失速を認めたようにも聞こえた。日本経済は今年1-3月期に拡大したが、過去3四半期のうち2半期で縮小している。政府が公表するコアインフレ率はマイナスに陥っており、日銀が異例のマイナス金利政策を導入したにもかかわらず、目標の2%にはほど遠い状態となっている。
民進党の岡田克也代表は、間違った政策のエンジンをふかしても真の経済成長は実現できないとし、アベノミクスを続ける限り同じことの繰り返しになるだけで、持続的な成長は達成できないと批判した。
安倍首相は金融緩和、財政支出による刺激、構造改革を組み合わせて経済成長を生み出そうとしている。
株価と企業利益は年初に一時落ち込んだものの、首相が就任した201212月の水準を依然として大幅に上回っている。だが大半の世帯はこの恩恵を受けておらず、個人消費は弱いままだ。消費税が144月に5%から8に引き上げられた影響が残っていることもその一因となっている。
安倍首相は1日の記者会見で雇用市場の改善と賃金上昇に触れ、アベノミクスが失敗したとの見方を否定した。だが首相は雇用市場の柔軟性促進や、人口と労働力の減少の緩和に向けた移民受け入れなど、さらに踏み込んだ経済改革は断行していない。
消費増税の再延期からは、日本経済がわずかな打撃にも耐えられないほど脆弱であることに加え、前回の増税による影響を踏まえて政治的反発を懸念する首相の姿が見て取れる。世論調査では消費増税の反対派が優勢となっていた。
増税は従来、20年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化、もしくは利払いを除く財政均衡を達成することを目的に導入が予定されていた。日本の債務残高は対国内総生産(GDP比で世界最大となっている。
格付け機関フィッチ・レーティングスは消費増税の再延期について、「財政再建に向けた政治的コミットメントの信頼性が損なわれるだろう」と指摘した。
大手格付け3社はいずれも、14年に消費増税が延期されてから1年の間に日本の格付けを引き下げている。一方、スタンダード・アンド・プアーズ(SP)は首相の判断により理解を示し、17年に増税を実施すれば経済成長に打撃となるため、どの選択肢も厳しいものだったと述べた。
だが、投資家は利回りの大半がマイナスでも国債を買い続けており、財政危機に陥る兆しは見られていない。メリルリンチ日本証券のチーフ金利ストラテジスト、大崎秀一氏は、日銀が年間80兆円の国債を買い入れているため「利回りの上昇トレンドを見込むのはほぼ不可能だ」と述べた。
本田悦朗内閣官房参与は、立案者の1人として同氏が関与したアベノミクスの「バージョンアップ」が必要な時期に来ているとの認識を示した。本田氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、日銀が6月半ばの金融政策決定会合で資産買い入れの年間目標を100兆円に引き上げることも可能だと指摘した。
言い換えれば、これまでと同じ段階的な措置の強化が実施される見込みで、おそらく日本が危機に陥るのを阻止するには十分だが、アベノミクスが打ち出された当初に一部の海外投資家が描いた成長モデルを生み出すには至らないということだ。

日本の会社が第二次世界大戦中の強制労働について和解【A14面(国際面)】

太平洋戦争中に日本国内の炭鉱などで過酷な労働を強いられたとして中国人の元労働者と遺族が損害賠償を求めていた裁判で、大手金属メーカーの「三菱マテリアル」は今月1日、
歴史的責任を認めて元労働者に謝罪したが、WSJはこのニュース2日の国際面で速報した。


多くの捕虜が日本で強制的に働かされたが、日本人によるひどい取扱いにより多くの生命が失われた。その中にはアメリカ人もいたそうだ。日本政府は既に戦時補償の問題は解決済とのスタンスを取る中、民間企業である三菱マテリアルがその行為について謝罪をし、強制労働をさせられた中国人に対して補償金を支払うことでようやく合意した。強制労働者をslave workers(奴隷労働者)、日本の戦時中の行為をatrocity(残虐行為)といった強い言葉で表現しており、出来るだけ公平に報道しようとしているものの、日本の過去の行為とその後の対応を非難している様に読める。三菱マテリアルの謝罪に一定の評価を示す一方で、同社が今回の謝罪にに至った理由は、中国ビジネスを有利に進めるためであって、本当に反省していた結果の謝罪ではないと言っている様にも読める

***** 以下本文 *****
三菱マテリアルは第二次世界大戦中に強制労働させられた中国人労働者(former Chinese slave workers)と和解した。これらの元労働者は、同社に、謝罪と和解金の支払いを求めていた。」
「三菱マテリアルのウェブサイトによれば、水曜日に締結された合意の下、三菱マテリアルは、『三菱側は歴史的責任を認め、深甚なる謝罪の意を表し』、被害者に対して一人当たり10万元(約$15,900)支払う。
「三菱マテリアルは、その前身にあたる三菱鉱山が、第二次世界大戦中に、3,765人の中国人捕虜を強制労働者として使用し、そのうち722人が死亡したことを認めた。」
「全体としては、約39,000人の中国人が日本人によって強制的に徴用され、過酷な状況の中、35社の日本企業のために強制労働させられた。日本政府の記録によれば、多くの強制労働者達がひどい取扱いを受け、死亡した。」
3人の元労働者(former slave workers)が、北京で三菱マテリアルと会い、合意書にサインをした。これにより、三菱マテリアルと犠牲者やその遺族の代表である複数の市民団体の間で取り交わされた昨年の仮合意が、正式なものになった。中国国営の新華社通信が、市民団体の一つの言として伝えるところによれば、1,000人以上の元労働者とその家族の所在を確認したが、そのうち95%が今回の和解に賛成していると言う。」
3人の元労働者は、三菱マテリアルの謝罪に誠意を感じたが、どれだけのお金をもらおうが、失われた命と踏み躙られた尊厳は戻ってこないと述べた。彼らはまた、日本政府からの補償を引き続き求めていくと述べた。
「この合意に至るまでに、元労働者(former Chinese slave workers)とその家族は、労働を強制した会社に対して、補償を請求する法的な努力を数十年にわたって続けてきた。日本での訴訟はうまくいかなかったが、2014年に中国で訴訟を起こした。こうした動きが、中国の巨大市場と生産基地に依存する三菱マテリアルを、和解へと突き動かした。」
「鹿島建設、西村建設、日本冶金工業などの日本企業も法定外での和解に至っている。」
「戦時中の残虐行為に対する日本の正式なスタンスは、中国や韓国との関係において、センシティブな問題となっている。水曜日の和解について質問を受けた中国外務省の報道官は、日本が戦時中に強制労働者(slave labor)を使ったことは、『重大な犯罪行為』であり、日本が『この問題に適切に対応すること』を強く求めると述べた。
「日本側は、日本は既にその過去の行為について何回も謝罪しているし、戦争に関する補償の問題は戦後の平和条約において解決済であるとしている。日本の裁判所は、日本の残虐行為による中国人や韓国人の犠牲者からの補償請求を、多くの場合、却下している。その代りに法的手段によらない和解が行われている。」
「中国は、日本の悔恨の表明を、常に疑いの目で見てきた。それは、安倍首相が平和憲法を改正し、軍備を強化しようとしていることとも関係している。」
「三菱マテリアルは、強制労働者(slave workers)やその家族の捜索をサポートするために基金を設立し、また補償金を支払う。また、鉱山の跡地に慰霊碑を設ける。
「三菱マテリアルは、昨年、第二次世界大戦中にアメリカ人捕虜を強制労働者(slave laborers)として使用したことについても謝罪している。