日本における女性の社会進出に関する記事が国際面に掲載された。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「スズキユミさんは、男性優位の建設業界では例外だ。」
「彼女は、70年代に、100人の男性がいる建築のクラスで学んだ6人の女性の内の一人だ。嫉妬深い山の女神の迷信によって、日本の女性は建設中のトンネルに入ることは出来なかった。彼女の雇用主である大成建設は、彼女が1981年に働き始めた時には、女性社員を補助的な位置に付けていた。」
暫く、要約する。
4半世紀後、スズキさんは日本で最も大きな建設会社の一つで管理職の地位についた。大成建設には13,600人の従業員がいるが、2020年までに女性管理職を3倍にする方針だ。
人口減少による労働人口不足の対策として、日本の会社はスズキさんの様な女性を求めている。安倍首相もアベノミクスの目玉として、2020年までに日本の管理職の30%を女性にする計画を打ち上げている。統計によれば、管理職に占める女性の割合は、シンガポールでは31%、ドイツでは38%、米国では43%だが、日本では10%に過ぎず、変化が必要だ。安倍首相は内閣改造で女性大臣を5名に増やし、閣僚に占める女性の割合は26%に上がった。
だが、ビジネス界のリーダーや女性自身が、数値目標の有効性に疑問を持っている。数値目標は、ワーク・ライフバランス、労働生産性向上、女性従業員へのトレーニング実施、多様化した労働スタイル等、本当に実施しなければならない対策から目をそむけさせてしまう。日本の悪名高き長時間労働は、生産性を落とし、国際競争力を低下させ、女性に出産後フルタイム労働を諦めさせることによって女性の社会進出を阻害している。追求すべきは数値目標そのものでは無く、労働機会へのアクセスを容易にすることや、働き方の多様性を推し進めることだ。
この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「日本の強力なビジネス界の圧力団体である経団連は、当初は安倍首相の呼びかけに応じるのを嫌がっていた。経団連自体が、24名いる理事の中に、全く女性がいないのだ。しかし、7月になって、会員企業に男女均等に関する戦略を策定する様に呼びかけた。」
「スズキさんが管理職をつとめる大成建設は、そうした戦略を作成している50社のうちの1社だ。同社が設定した女性管理職の数を3倍にするという緩やかな目標は、急激な変化をもたらさないだろう。会社の構造を考えた時、安倍首相の30%の目標を短期間で達成することは不可能だと大成建設の人事多様化担当マネジャーであるシオイリテツヤ氏は言う。」
日本の企業は、人口減により労働者不足を補うために、女性の雇用を増やそうとしている。安倍首相の2020年までに管理職の30%を女性にするという目標がこれを後押ししている。
しかし、数値目標ばかりが前面に出ていて、ワークライフバランスなど、女性が社会に進出するために実施しなければならない対策の実施が進んでいない。
企業の慣例を改めない限り、安倍首相の目標の達成は難しいと言っているようだ。