スプリントのT-Mobile買収が大筋合意されたという記事が1面トップで報道された。
この記事は下記の様な書き出しから始まる。
「スプリントとT-Mobileの取締役会は合併の大枠で合意した。T-Mobileの買収金額は320億ドルになる見込み。関係者によれば、最近の規制当局の決定により、両社の幹部は、この取引が承認されるチャンスがあると思う様になった。」
「この買収はこの夏にも実施の見通しで、スプリントが、T-Mobileの株を一株40ドルで買い取る。両社は、正式契約に向けて協議中だが、努力は実りそうだ。実現すれば、第3位と第4位の携帯通信会社が合併し、市場をリードするAT&Tとベライゾンに対応する巨大企業が誕生する。消費者にとっては、サービスの選択肢が減ることになるが。」
この取引は、FCC(連邦通信委員会)と司法省の承認が必要だが、スプリントは、承認が得られない場合には、T-Mobileに10億ドル払うという、大きな賭けに出た。借金と赤字に苦しむスプリントにとって、この賭けは大きなリスクだが、FCCが、最近、スプリントやT-Mobileの様な小さな携帯通信会社に不利な決定したことが、承認への突破口になる可能性がある。従って、両社とも今がチャンスで、迅速に動く必要があると感じている。
この合併を推進するのはスプリントの孫正義会長だ。彼は、強力な競合者になると誓っている。FCCは、現在、放送業界が保有している電波帯の入札を2015年に予定している。FCCは、当初、AT&Tとベライゾンはこの入札に参加出来ない様にするつもりだったが、両社の猛烈なロビー活動によって。参加を許した。これは、スプリントやT-Mobileに不利で、FCCは両社の合併を認めざるをえないことになるかもしれない。
また、FCCの民主党コミッショナーがこの合併の承認を示唆する発言をしたことも、両社がこの合併が承認される可能性が高いと思わせるに至ったもう一つの理由。残りの2人の共和党コミッショナーは合併に賛成、2人の民主党コミッショナーは合併に反対と推測される。
FCCは、現在、ComcastのWarner
Cable買収(450億ドル)、AT&TのDirect TV買収(490億ドル)を審議中だ。
当局は現在の携帯通信業界の4社体制が良いと思っている。最近、T-Mobileの業績が良いのもそのおかげだと思っている。スプリントはそれは幻想にすぎないと考えている、スプリントはこの合併によって、本当の競合者が2社から3社に増えるのであって、4社が3社に減るのではないと主張している。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「しかしながら、この合併は、米国携帯通信業界の中間層に空白地帯を作ることになるだろう。特に最近の合併は、安いプリペイドサービスを排除してきた。この分野では、現在スプリントとT-Mobileが主要な供給者だ。」
「大きな視点で言えば、この買収は50%が現金、残りの50%が株式で行われる。T-Mobileの最大の株主である、ドイツテレコムは新会社の15~20%の株式を保有する見通しだと関係者は言っている。」
この記事は、孫正義会長の大きな写真を掲載している。彼の存在感は大きい。