WSJは17 日の国際面で、かわぐちかいじ氏の漫画「空母いぶき」について取り上げた。
この漫画は、日本が南シナ海の島々を中国の侵略から守るために、空母いぶきを出動させて軍事行動をとると言うもの。安倍政権は、空母の建造を計画しており、最近の南シナ海情勢と合わせて、現実の世界とダブってしまう。
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嵐の夜、3人の怪しげな人物が、東シナ海の無人島に上陸した。その場面から、中国が日本のいくつかの島を侵略するまで緊張はどんどん高まっていく。そして、陸海空での激しい戦闘で、第二次世界大戦以降、初めて日本によって軍備が使用された。
これは全て、空母いぶきという連載漫画に描かれたフィクションだ。日本の軍隊の将来についてのありうる話を描いて、日本で300万部以上販売されている。次は、映画版が予定されている。さらに、実際の日本の防衛計画も。この計画は、5ヶ年計画の最初の1年に行われるもので、今まで漫画の中でだけ見られた軍備のいくつかを使用可能にするものだ。
「いぶき」でも提起された疑問は、日本の防衛問題の核心でもある。「日本の軍隊は他国を攻撃できるのか?」
日本は第二次世界大戦中に他国を侵略した。そのため、日本が攻撃型の軍隊を持つことに、日本国内でも近隣諸国でもセンシティブだ。戦後日本の軍隊は、自衛隊として再組織されるまで、解体されていた。しかし、自衛隊の役割は限定され、多くの国民が災害救助が主要任務だと思っている。
安倍首相は、自衛隊に課された法的な制約の幾つかを緩和した。しかし、自衛隊の戦闘参加については、未だに多くの制約が課されている。
日本のベテラン政治家は、同盟国である米国の賛同を得て、北朝鮮や中国からの脅威が高まる中、日本は、新しい軍備に投資して自衛隊の戦闘能力を高める必要があると言う。
日本の将来の軍事支出の詳細は、年末の来年度予算までには、明らかにされる予定だ。ここには、今後5年間の新しい防衛強化計画も含まれる。
昨年、日本はいわゆる攻撃能力について一歩を踏み出し、巡航ミサイルの購入計画を発表した。政府によれば、日本の領土を侵略から守るためだが、海外の基地も攻撃目標とすることができる。
今年、与党自民党の防衛部会は、日本にとって第二次世界大戦以降最初となる空母開発のための巨額予算を申請した。その空母には、F-35Bステルス戦闘機もしくは同等の戦闘機が配備される。
同部会によれば、空母配備とそれによる空軍力増強により日本の軍備は増強され、東シナ海の南部の諸島を中国の侵略から守ることができる。
野党の政治家は、空母は他国を攻撃するために用いられるもので、日本の防衛大綱に反するとして反対している、
第二次世界大戦中、日本は世界最大の空母を保有していた。そのうち6隻が1941年の真珠湾攻撃で使用された。
中国は3隻目の空母を建造しているが、日本の軍備増強について、過去の歴史を反省する様に警告した。しかし、空母については直接的なコメントはしていない。
日本の南部の島の軍事最前線における空母の役割が、空母いぶきの話の中心だ。この漫画は2004年に開始され、年代順に出版されている。最新のものは、7月に販売開始となった。
この架空の空母は、F-35B戦闘機を配備しているが、この戦闘機は中国の戦闘機と衝突する。日本は水陸両用輸送艦を実際に開発したが、これを反映する水陸両用輸送艦も、日本の軍備全体が使用される中で登場する。
作者であるかわぐちかいじは、日本では海軍を扱った漫画で有名だが、いぶきの構想は2013年に作られた。その頃、日本は空母を建造するかもしれないと噂されていた。彼によれば、そうした空母が軍事衝突で、どの様に防衛任務を果たすか、紛争を避けるための抑止力のメッセージを送れるかをを示したかった。
「「私は、中国に対し、中国が日本を攻撃すれば、自衛隊はじっとしていないと言うことを伝えたい。」と70歳のかわぐちは言う。