Tuesday, October 4, 2016

日本の生物学者が細胞リサイクルの研究でノーベル賞受賞【A10面(国際面)】

104日に大隅さんのノーベル賞受賞が発表されたが、WSJ同日の国際面でこのニュースを速報した。


大隅さんの研究内容を紹介し、その研究が多くの難病治療薬に結びつく可能性があるとして賞賛。また、大隅さんのインタビューから、彼のユニーク研究姿勢などについても紹介している。さらに、賞金が93万ドル(約1億円)もらえることを報じているのが米国のマスコミらしくて面白い。(日本では賞金額については、あまり報じられてませんね。)最後は、日本人のノーベル医学・生理学賞の授賞は2年連続で、2012以降3回目というコメントで締めくくられており、日本人として誇らしい。

***** 以下本文 *****

日本の生物学者である大隅良典氏が、体内の細胞が不要物をどの様に扱い、リサイクルするのかを明らかにしたという理由で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。この発見は、神経疾患やなどの病気の治療の研究に道を開くものだ。
大隅博士の授賞理由は、オートファジー(自分で自分を食べると言う意味)の理解と飢餓や感染の様な生物学的プロセスにおけるオートファジーの役割の解明につながる研究だ。
彼のオートファジーの仕組みについての研究は、細胞はどの様に分解されリサイクルされるかを明らかにしたとノーベル委員会のジュリーン・ジラス氏は述べた。
オートファジーにより、細胞は不要物をエネルギーを生み出す燃料と細胞を再生するためのブロックに変える。
「彼は、細胞は洗練された再生工場を内蔵していることを示した。それは美しく貴重なものだ。」と彼女は述べた。
この受賞は、月曜日にスウェーデンのノーベル委員会によって発表されたが、800万スウェーデンクロノール(93万ドル)を含む。
大隅博士はオートファジーに必要となる遺伝子を最初はイースト菌の中に発見した。そして、その発見がオートファジーが人間や他の動物の中ではどの様に機能するかを説明することに貢献した。この発見は、アルツハイマー病、パーキンソン病、癌などの治療法の開発に有益と思われる。
東京での記者会見で大隅博士は、体内細胞の「ごみ拾い」なら他の研究者との競争が少ないだろうと思い、意図的にこのテーマを一生の研究テーマに選んだと述べた。
彼はその様な研究がノーベル賞に結びつくとは想像すらしていなかった。「私は科学のエッセンスは、つまり科学を本当に面白くするのは、大勢の人は群がる様なことより、他の誰もやっていないことをやることだと思います。」と71歳の科学者は述べた。
彼は、細胞は「品質管理」を行わないと機能しないので、彼の研究分野は重要だと述べた。
生命はこの非常に重要なリサイクリングシステムがあることによってのみ存在可能だ。」と彼は言う。「我々は、たんぱく質を作り出し、それらを破壊する。そして再び作りだし破壊する。それにより生命は存在することが出来る。」
大隅博士は、世界にとって「役に立つ」研究がしたかった。そして、役に立つという言葉を広義に解釈した。「私は、役に立つと言う言葉が数年以内に商業化されるものと同義で扱われるとすると、それは問題だと思います。」と彼は言う。「それは10年後かもしれないし、20年後かもしれないし、100年後かもしれないのです。」
彼は変化した酵母を作り出すことに成功し、彼の顕微鏡の下に細胞が来た時に、オートファジーのプロセスを正しく起動させる方法を発見した。「彼は、細胞を研究するための、本当に巧妙な手段を作り出しました。」とジラス教授は言う。
「この受賞は、長い間殆ど忘れ去られていたプロセスに注意を向けさせた。」とオートファジー研究者で、ニューヨークのアルバートアインシュタイン医学大学の老化研究所共同理事であるアナ・マリア・クエルボ氏は言う。
オートファジーの減少は、通常加齢を伴うとクエルボ博士は言う。彼女の研究所はオートファジーのプロセスを開始させる薬の開発に従事している。「私たちは、オートファジーを修復し、若い人と同じ水準にまで戻したいのです。」と彼女は言う。

日本人の科学者の医学・生理学賞の授賞は2年連続で、2012以降3回目だ