日銀は9月21日に新政策を発表したが、 その発表の背後にあった日銀内部での紛争について22日の紙面で 紹介した。
新政策の核は「長期国債の金利ゼロ維持」と「80兆円の国債買入 継続」だが両者は矛盾する政策だとする。 矛盾した政策が両方とも残ったのは、 日銀内部で金利目標派と資産買入派の対立があり、 黒田総裁が組織運営上、両方の顔を立てたことによるとしている。 WSJらしい面白い記事だ。
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それは、二つの矛盾したことを発表する時に、 組織の中で2つの見方がぶつかり合ったことを示している。 それがまさに日銀で起きたことだ。日銀は水曜日に、 人気のない金融緩和を後退させるとし、 同時に後退は全く起こらないと発言した。
日銀の政策の核となるのは、10年物の長期国債の金利がゼロにな る様に、 出来るだけ多くのまたは出来るだけ少ない国債を買うという約束だ 。同時に、日銀は国債の保有額を毎年80兆円(7,860億ドル )増やすという現状の政策は継続し、 更に金融緩和を強化すると述べた。10年物国債は数兆ドル規模の 国債市場の指標となるものだ。 もし突然需要が無くなってしまったら、日本銀行は年80兆円以上 の10年物国債を、その金利をゼロで維持するために、 購入しなけらばならないかもしれない。 逆にリスクを回避しがちな日本人にる10年物国債への需要が強く なった場合には、日本銀行は全く10年物国債を購入する必要がな くなる。
黒田総裁はこの矛盾を80兆円ターゲットを否認することで説明し た。 実際の数値は減ったり増えたりすると彼は記者に対して説明して、 弁明の余地を作り出した。バナナ売りの例で言えば、 本当に実現したいのは1キロ当たり50円の価格であり、 後はそれほど重要ではないと位置付けた格好だ。
わざわざ年間80兆円の買い入れ目標に言及し続ける理由は何か? それは、日銀内の見解のぶつかり合いにある。1週間前、 日銀政策委員会に参加する9人のうち7人が総論として量的緩和に 賛成しているものの、方法に関する立場は分かれていた。 事情を知る複数の関係者によると、 今回の金融政策決定会合前の数週間前に一部の政策委員が、 資産買い入れではなく金利を政策の中心に据えることを提案したも のの、年間80兆円という目標からの後退を少しも示唆したくない 勢力からの反対に遭った。
勝ったのは金利目標派だ。負け組に対してはせいぜい、80兆円と いう数字を少なくとも書面に残し、インフレ目標を2%から「2% 超」というより積極的な内容に変える譲歩を見せたにすぎない。 新たな政策は賛成7票、反対2票で採択された。
黒田総裁は7人の取りまとめに今のところ成功している。 だが日銀がインフレ目標を達成できない状況が続けば、 ひび割れた組織の外見を取り繕うのは一段と難しくなるだろう。