日銀は9月21日に新政策を発表したが、WSJはその前日の20 日にその内容を予測する記事を掲載した。
日銀内部の議論に詳しい筋からの情報として、新政策には「 長期金利を金融政策の目標とすること」や、「2%のインフレ目標 達成について明確な時期の言及を止めること」 などが織り込まれる見通しとしている。 この予測はズバリと当たっており、WSJの取材力を示している様 にみえる。
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水曜日に日銀が会合を開催するが、 投資家は既にマイナスになっている金利を更に引き下げるか否かに 最も興味を持つだろう。しかし、 中央銀行はそれ程派手ではないが、 市場を揺るがすような方法を検討している。
日銀の内部での検討について直接知る立場にある人からによれば、 日本国債の買い方の変更が検討対象に含まれている。 一部の人は国債市場での日銀の買入れは金融緩和策の負の側面とし て批判している。
日銀は、2月に市中銀行の預金の一部にマイナス0.1%の利子の 適用を開始した。この政策は、毎年80兆円(約7,820億ドル )相当の政府国債を買い入れるという政策を補うものだ。 この政策の結果として、 短期国債と長期国債の利率の差が縮まった。 全体としては長期国債の利率が低下した。
この結果は市中銀行にトラブルを招いた。市中銀行は、 短期の資金は預金から充当し、 資金を金利のより高い長期債券で運用して利益を得ている。 保険会社や年金ファンドも長期債券に投資しており、30年や40 年満期の国債の利率がほぼゼロになっているため苦しんでいる。
日銀の幹部は最初はそうした不満を無視してきた。しかし、 日銀内部の討議に詳しい情報筋によれば、現在は、 何人かの理事が満期が20年以上の債権の利子を上げられるかどう か検討している。一つの方法は、日銀の国債の買い入れについて、 長期国債の買い入れを減らし、 短期国債の買い入れを増やすことだ。
これにより少なくとも2つの問題が考えられる。 これは金融引き締めと解釈されかねない。 黒田総裁はこれまで金融引き締めは検討の対象にしないと言ってき た。また、エコノミストの一部は、 こうしたオペレーションを長期に続けられる程、 短期や中期の国債が出回っていないと指摘する。「 もし強制的に利子カーブを急勾配にしても、 宇宙の重力の法則に屈する様に、 後になって勾配が緩くなってしまうだろう。」 とみずほ証券のチーフマーケットエコノミストのウエノヤスナリ氏 は言う。
最近の数週間、長期国債の利子は、 市場が日銀のアクションを期待しているため、上昇した。「 日銀が、より急勾配の利子カーブを望んでいることは明らかだ。」 と野村証券の日本レートストラテジストのマツザワナカ氏は言う。
日銀幹部はまた日銀の2%インフレ目標についても、 新しい表現を必要としている。黒田氏は2013年4月におよそ2 年以内にその目標を達成すると約束した。しかし、 物価は最近も下落しつつあり、日銀は2%のインフレは2018年 3月までに達成されるだろうとしている。
日銀幹部は、特定の時期への言及を止めることを重視しており、2 %の目標を出来るだけ早く達成すると表現したがっている。 しかしながら、日銀での議論に詳しい情報筋によれば、 いずれも最終結論は出ていない。