日韓関係が一向に改善しないとする記事が、国際面に掲載された。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「パク・ウネは、まだ10代だった頃、彼の父を非難する何万人もの群衆が押し寄せてきたのを今でもよく覚えている。1965年に彼の父が、以前の植民地支配者であった日本と国交を樹立しようとしていた時だ。」
「それから50年が経過し、両国間の関係は一気に悪化している。いまや大統領となったパク氏は自らが父とは違うことを示そうとしている。そのために、1世紀以上に渡る傷について、東京に強い姿勢であたっている。」
暫く要約する。
米国にとって、中国に対抗するために、韓国と日本からの協力が必須だ。この2か国の関係が冷え切っていることを米国は懸念している。しかし、米国は、両国に会話を促すこと以上のことは出来ない。韓国の外交官によれば、ここ40年間で両国の関係がここまで冷え切ったことはない。
パク大統領は、日本により明確な謝罪を求める。特に慰安婦問題について。しかし、日本では十分に謝罪したという見方が強まっている。世論調査によれば、韓国では、安倍首相は、北朝鮮の独裁者であるキム・ジョンウンと同じ位嫌われている。日本の世論調査も韓国との関係が悪化していることを示している。あまりにもしつこい歴史へのフォーカスにいわゆる「韓国疲れ」も出てきている。
安倍氏は何回も会話を呼びかけてきた。しかし、パク氏は慰安婦に対する謝罪や補償なしには会談はしないという立場だ。韓国は、安倍氏が、慰安婦問題は誇張されているとか、1993年の政府談話には疑問があるなど発言したことが、両国関係を悪化されていると主張するが、安倍首相は政府談話を維持すると言っている。
パク・ウネ氏にとっては、こうした使命は個人的なものでもある。父であるパク・チョンヒ元大統領は、植民地時代に日本軍で活躍した。歴史家は、彼を、満州に常駐して、日本の中国進出に手を貸した情熱的な若者として描く。パク・ウネ氏は、父と同じ様に親日家だと非難される危険にさらされているのだ。
パク・チョンヒ氏は1961年に陸軍少将の時にクーデターで政権を掌握し、1965年に東京と日韓基本条約を締結した。この条約により、韓国は、日本からの数千億ドルの補償を受け取った。この保障は韓国の急激な経済成長をもたらす一助となった。また、この条約は、多額の補助と引き換えに、日本に対しそれ以上の補償は求めないとしている。安倍首相は、慰安婦問題についてもこの条約が適用されるとしている。
中国が東アジア地域での軍事強化する中、両国の関係修復は急務だが、事態はそう簡単ではない。パク氏は中国に歩み寄り、中国も東京とソウルの関係悪化をうまく利用している。習近平主席は、昨年7月に韓国を訪れた際に、日本の敗戦70周年の記念行事を共同で行うことを提案した。韓国の当局者は、中国との関係は、アメリカとの軍事同盟や、日本との北朝鮮を巡る協力関係に何ら影響を与えないとしているが、韓国は、中国が反対する、日米韓のミサイルネットワークについて態度をはっきりさせていない。
2014年3月にオバマ大統領の計らいにより、パク氏と安倍氏は、リーダーとして初めて会談した。しかし、その後の実務者レベルでの話し合いは殆ど進んでいない。パク氏は、慰安婦問題が、慰安婦生存中に解決されなければ、それは歴史上の重い課題になるだろうと言う。現在、54人の元慰安婦が生存しており、全員80才台後半だ。1月26日にも一人亡くなった。
この記事は、次のようなコメントで締めくくられている。
「ワシントンは、最近、韓日間の軍事情報共有の合意を進めるために、両国に関与した。ソウルには東京との直接の連絡への反対があり、それを回避するために仲介をかって出たのだ。」
「米国政府がショック療法を与えないと両国の諍いは終わらないという意見もある。『日本と韓国を一緒に働く様に様にさせる唯一の有効な手段は、誠意をもって両国を見捨てると脅す以外にないのではないか。』とケリー教授は述べる」
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一向に好転の兆しを見せない日韓関係に対する苛立ちが感じられる記事だ。WSJは、日本が謝罪することも重要だが、韓国が許すことももっと重要だとする記事を以前にも掲載しており、この記事でも、パク大統領の慰安婦問題に対する執拗なこだわりに、嫌悪感を示している様にも読めるがどうだろうか?