Friday, October 3, 2014

東京の競技場への反対が形成される【A14面(国際面)】

オリンピック競技場の建設について、反対意見が強まっていることを、国際面で報道している。



この記事は、次の様な書き出しで始まる。

「半世紀以上前にジンノコウヘイさんは、東京オリンピックの新スタジアム建設のために立ち退きをさせられた。今度は、東京が2020年のオリンピックを主催する準備のため、80才のジンノさんは再度新しい土地へ移り住む様に言われている。」
「ジンノさんの最初の立退きの際には、第二次対戦で荒廃した首都を再生する必要性について疑問をもつ人は殆どいなかった。今回は、17億ドルのプロジェクトは、自分たちはどうあるべきかという議論を巻き起こしており、東京の様な巨大都市がスポーツの巨大イベントを主催する際に直面するジレンマを示している。」
「『オリンピックの主催者がコストのかかりすぎに苦しんできたニュースを見ながら、何故、こんなに巨大で高額な建物を建てようとしているのか理解出来ません。』とジンノさんは言う。彼は、小さなタバコ店を営んでいるが、彼のアパートと古いスタジアムは、収容人員80,000人の新しい競技場のために、取り壊されてしまう。」

非常に長い記事なので、暫く要約する。

新しいスタジアムは、イラン生まれで、イギリス在住のザハ・ハディド氏の設計で、2012年のロンドンオリンピックのスタジアムの2倍、東京の古いスタジアムの4倍の大きさだ。地熱と太陽熱を利用。自転車のヘルメットの様な形をしており、東京の新しいシンボルになるだろう。安藤忠雄氏は「希望の象徴」と呼んでいる。2015年10月着工、2019年完成予定。

今回のオリンピックでは、36のオリンピック会場があるが、そのうち21が新たに建設され、11は恒久的な建物だ。規模は小さいものの、この計画は1964年の東京オリンピックを思い起こさせる。新幹線などのプロジェクトにより、東京そして国家の顔が変わった。今回も、賛成派は、オリンピックが古い建物を新しいものに置き換え、経済を活性化させる効果があると見ている。しかし、反対派は、賛成派はノスタルジアに取り付かれているだけで、既に東京には十分な名所があると主張する。

主催者側は、当初30億ドルの建設費を見込んでいたが、規模を縮小した。しかし、彼らは、古い競技場が新しい競技場にアップグレード可能だと考えるのは、馬鹿げていると主張する。「反対派の主張は、合理的なものから不合理的なものまで様々で、そのうちの幾つかは、全く的外れだ。」とプロジェクト担当者は言う。「古い競技場は過去の遺物で、1964年のオリンピックには良かったが、2020年には使えない。」

コストのかかる巨大建造物建築はどのオリンピックでも建てられる傾向にあり、国際オリンピック協会も主催者に無駄な建設は控える様に警告している。最近は、古いスタジアムを改築して再使用する傾向にあるが、それがうまくいくかどうかはまちまちだ。ソチでは、2014年のオリンピックに使用した建設費7.8億ドル、収容人員40,000人のスタジアムを改装して、2018年のワールドカップに使おうとしているが、それ以外に頻繁に使用する予定はない。ロンドンでは、2012年のオリンピックに使用した建設費7億ドル、収容人員80,000人のスタジアムは規模を縮小し、地元のサッカーチームのホームグランドになる予定だ。北京の、2008年オリンピックに使用した建設費5.7億ドル、収容人員91,000人のスタジアムは、大きなイベントを呼び込めずに苦しんでいる。

反対派は、東京の新スタジアムが将来無用の長物になることを恐れているが、賛成派は、東京の様な巨大都市ではその心配は無いとしている。日本スポーツ財団は、建設費を差し引いても、毎年330万ドルの売上が望めると主張する。東京都も、2019年のラグビーワールドカップや将来的にはサッカーのワールドカップにも使用することを計画している。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「たばこ店を営むジンノさんと彼と同じアパートに居住する160人の住人は、他の都営の建物への転居を提案されている。」
「ジンノさんは、そんなお金があれば、2011年の津波で被害を被った地域に使ってもらいたいと言う。『これは国家的なプロジェクトで、我々が協力すべきであることは理解している。しかし私はこの地を離れたくは無い。』」

このスタジアム建設のために立退きを求められている一般市民の視点と、賛成派と反対派の意見をバランスよく取り上げ、非常にわかりやすく好感も持てる記事だ。少し、反対派に同情的に読めるが、どうだろうか?