Thursday, March 7, 2019

ゴーン元日産会長、108日間の拘束の末に保釈へ【A1面】

6日にゴーン氏が保釈されたが、WSJはこのニュースを翌日71面トップに大きな写真を掲載して報じた。


 保釈時に変装していたことなど保釈時の様子を詳しく報じている。あわせて、1119日の突然の逮捕から保釈に至るまでの経緯と彼の容疑について改めて整理している。なお、A1面トップに写真が大きく掲載されたが、記事本文はB1-2面に掲載された。

***** 本文(記事全文の和訳)*****
 カルロスゴーン氏は、水曜日に保釈された。彼が「厳しい試練」と呼ぶ108日間の拘束期間の後に、水色の帽子をかぶった作業者に変装して東京拘置所を後にした。
日産の元会長であるゴーン氏は、900万ドル近い保釈金を払って保釈されたが、日本にいなくてはならない。裁判所が承認した東京の住居に住んで、今年の後半に予定されている裁判の準備をする予定だ。
日本時間の午後4時半頃、風邪をひいた日本人がよく着用するマスクと高速道路での作業者がよく着用するストライプの付いた作業着を着て、東京拘置所を後にした。彼は、小型のスズキのバンに乗り込み、刑務所の門を抜け、東京の道路へと出た。そこでは、マスコミのヘリコプターに追跡された。
ゴーン氏は、その後、東京都心にある弁護士の事務所に立ち寄った。彼は、違う車で出発しようとしたが、多くのメディア関係者が集まっており、少なくとも10分は動きがとれなかった。彼は、後部座席に座り、作業者の服は着ていなかった。少し疲れたようにも見えたが、全体的には健康そうだった。
ゴーン氏の妻であるキャロルさんは、彼が保釈される少し前に拘置所に到着したが、フランス大使館が所有する別の車で拘置所を後にした。
東京地裁は、過去2回にわたって、保釈申請を拒否したが、火曜日に承認した。ゴーン氏は豊富な経験を持つ優秀な弁護士のチームを新たに任命した。また、日本の容疑者の取り扱いについての国際的な批判が巻き起こった。こうした状況の中、この地裁の決定は行われた。
保釈の条件として、ゴーン氏は海外の人と電話やコンピュータを使って話しをすることは出来ない。
彼のプライベートジェットが東京に着いた直後の1119日の逮捕劇は世界中を驚かせたが、保釈によってこの逮捕から始まった事件の一つの幕が下りた。ゴーン氏は知らされていなかったが、日産の幹部と東京の検察は、財務的不正の疑いで、数ヶ月にわたって彼について調査していた。
ゴーン氏は日産、フランスのルノー、日本の三菱自動車から成るアライアンスのトップとして世界を飛び回る暮らしをしていたが、逮捕からの2週間は彼にとって大きな変化だった。東京拘置所の小さな独房に住み、ゴーン氏は、弁護士の同席無しで、毎日数時間の取調べを受けた。拘留期間に唯一許可が出て公の場に姿を現した、18日の公聴会で、彼はやせ細り、黒かった髪の毛にも白髪が混じっているように見えた。
ゴーン氏は、逮捕の3日後に日産での地位を失った。三菱自動車も彼の会長職を剥奪した。1月末に、彼の最後の企業幹部としての地位であるルノーの会長とCEO職を辞職した。彼は、日産の取締役に留まっているが、日産は4月にもその地位も剥奪することを計画している。
日本に閉じ込められ、既に自動車業界の企業幹部ではないゴーン氏は、これからの数ヶ月、裁判の準備をすることが出来るし、身の潔白を証明するために公の場にでることも出来る。
彼は、火曜日に声明を出し、そのためのキャンペーンを開始した。この声明に中で、彼は、このひどい災難の中、彼に寄り添ってくれた家族や友人に感謝すると述べた。そして、彼は、公正な裁判の中で、自分自身を精力的に弁護し、何のメリットもなく何の根拠もないこの容疑に対して戦っていくことをコミットするとも述べた。
検察は、ゴーン氏が2つの日本の法律を犯したとして起訴した。一つは、企業の財務情報の開示を統治するものであり、もう一つは、企業幹部がその地位を使って個人的私腹を肥やすことを禁じるものだ。
最初のカテゴリーでは、検察は、ゴーン氏は退職後にもらう8,000万ドル以上の報酬を20183月期までの8年間にわたって日産の有価証券報告書に記載していなかったと主張する。
このケースでは、このお金がゴーン氏に約束され8年間のそれぞれの年の金額が確定していたか、ただ単に仮の話として議論されただけなのかが焦点だ。検察は前者であることを証明しようとしているが、ゴーン氏は後者を主張している。
2つ目の争点は、個人的なデリヴァティブ契約に関するものだ。ゴーン氏によれば、この契約は、日本円の価値下落から自らを守るために2000年代中ごろに行ったものだ。彼は、日産から日本円で報酬を受け取っていたが、ドルで支払いをしていた。
2008年にグローバル金融危機の影響で日本円が高騰した時に、ゴーン氏は損失の可能性に直面した。ゴーン氏によれば、日産は契約をたてにとって、いかなる損失もゴーン氏が個人的に負担すべきだと主張した。検察は、一時的であったとしても、ゴーン氏個人が負うべきリスクを会社が負うようにアレンジした主張する。
ゴーン氏はその後、彼の個人的資産を守るために、サウジアラビアのビジネスマンの支援を受けて契約を締結した。このビジネスマンは、2009年から2012年にかけて1,470万ドルの支払いを日産から受けとっていた。検察は、ゴーン氏はかれの個人的な恩恵のために、日産のお金を使用したと主張する。一方、ゴーン氏は、サウジアラビアの友人の会社に支払われたお金は、日産のビジネス目的で使用されたもので合法だと主張する。
この事件とは関係のない弁護士によれば、ゴーン氏は弁護のための準備をするのがより容易になった。彼は、自由に弁護士と面会し、時には10年以上前に作成された取引のドキュメントをレビューすることが可能だからだ。
「もしゴーン氏が拘留されたままだとしたら、弁護士は書類を印刷し、拘置所を訪問し、ゴーン氏と話し合うためにその書類を提出することに承認を得なければならない。それはとても時間がかかることだ。」と元検察官で現在は弁護士業を営むオチアイ・ヨウジ氏は言う。