Sunday, March 31, 2019

*** 3月のまとめ ***

 3月にWSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された日本関係の記事は5件だった。2018年の平均が7/月、1月が5件、2月が2件だったので、少し少なめ。

面白かったのは、掲載箇所だ。このブログを開始して初めて、国際面への掲載回数がゼロだった。
1面が4件、専門家投稿欄が1件。
1面にこれだけの記事が取り上げられるのも珍しい。

 テーマ別では、政治関係が1件、経済関係が2件、社会関係が2

政治関係では、米国はもっと日本を大切にすべきだという専門家の投稿が掲載された。日本はイスラエル同様に周りに敵ばかりの孤独な国で、唯一の友人である米国に頼るしかない。米国はそのことをよく理解して、日本とは仲良くして、東アジアでのパワーを維持すべきだという意見。日本とイスラエルを同じ立場として描いているのが新鮮だった。

経済関係では、ゴーン氏関係の記事が2件掲載された。7日にはゴーン氏の保釈のニュースを1面に取り上げた。また、29日には独自取材によりこの事件の核心に迫る渾身のレポートが、これもまた1面に掲載された。フランス政府とゴーン氏の裏取引や、日産と検察の司法取引などが生々しく描かれていて面白い。

社会関係は、ユーモラスな記事が、7日の1面下部のコラムに掲載された。こんまりこと近藤麻理恵さんのネットフリックスの番組が大ヒットした影響で、欧米で片付けブームが巻き起こり、中古品ショップが悲鳴をあげているとのこと。また、千鳥が淵の満開の桜の写真が30日の1面トップを飾った。

Saturday, March 30, 2019

日本で桜が開花し花見客が【A1面】

330-31日の週末、東京では桜が満開となったが、WSJ千鳥が淵でのお花見の様子を30日の1面トップで写真入りで大きく伝えた。


 【要約】桜が咲いて、日本中がお祭り気分(FESTIVALに包まれていると報じている。写真に少し短い注釈が付いただけの記事だ。

***** 以下本文(記事全文和訳)*****
お祭り気分の時。東京の皇居近くにある千鳥が淵のお堀には、ほぼ満開となった桜のお花見をするためにボートに乗る人たちが。この地域は、お花見のベストスポットの一つとされている。お花見の季節はとても短いが、日本中がお祭り気分に包まれる。

Friday, March 29, 2019

日産の反ゴーンの策略の背後にフランス支配への恐れが【A1面】

2018年初頭のフランス政府とゴーン氏の裏取引」、「20186月の検察と日産の司法取引」を軸に、ゴーン事件の核心に迫る記事が、329日の1面に掲載された。


【記事要約】
2018年初頭に、ゴーン氏がフランス政府と裏取引。ルノーの大株主であるフランス政府はゴーン氏にルノーCEOの地位を約束することの引き換えに、ゴーン氏にルノーと日産の完全合併を推進することを約束させた。日産は、フランス政府がルノー・日産の合併を推進していることを察知し、経産省や首相官邸に、フランス政府と交渉するように迫ったがあまりうまくいかなかった。また、これまで合併反対派だったゴーン氏が、地位に目がくらんで、賛成派に寝返ったことも把握。たまたま、ゴーン氏による不正容疑の情報を入手した日産幹部が、20186月この情報を使って司法取引。「日産が、役に立たない『政府』の代わりに『検察』を利用してゴーンを失脚させ、フランス政府に抵抗している。」というのがこの事件の本質だと言っている様に読める。

***** 【記事全文和訳】*****
カルロスゴーンが逮捕され、収監され、ルノーと日産での肩書きを剥奪された後、日産・ルノー連合の幹部2名がアムステルダムで面会した。雰囲気を一新するために。
通常の取締役会の後に開催された夕食会は、ルノーと日産のトップにとって、お互いを知る絶好の機会だった。それはとても友好的な会だった。しかしその後、ついでの話という感じで、日産の西川CEOが爆弾を落としたのだ
2人の会話に詳しい人によれば、日産の幹部数人がゴーン氏にとって不利になる証拠を集め、ある一つの目的のためにそれらの証拠を検察に提出したはずだと西川氏は発言した。日産の幹部たちは、日産とルノーの完全合併の可能性を排除したかった。彼らはゴーン氏が合併を推進しているのではないかと恐れていた。日産の反抗分子たちは、日本の会社である彼らの会社が、フランスの支配下になることを恐れていたのだ。
131日の夕食会の会話の中でのこの驚きの告白は、アライアンス構築のために世界中を飛び回る自動車業界の巨人であ65歳のゴーん氏に対して、何故日産が突然半旗を翻したのかを説明するものだ。
ドキュメントや捜査に詳しい人によれば、2人の日産の幹部は、更なる合併への動きを停止し、ゴーン氏についての調査を開始し、長い間噂されていた疑惑を追及し、問題となっている金融犯罪についての証拠を見つけて検察に渡したのだ。彼らの最大の目的は、日産を守ることだった。日産は、文字通り、日本の産業を意味するのだ。こうした見方は、まさに世界中の国々が自国の主要企業を守りたいと考えていることを映し出している。
ドキュメントによれば、彼らは調査を20184月に開始した。その同じ月にルノー株の15%を持つフランス政府は、何故合併を推進したいかという理由を説明した。
「もし外国の企業が来て、過半数の株式を取得すれば、それは衝撃だろう。」と業界のシンクタンクであるオートモーティブリサーチのCEOあり、日産の元幹部であるカーラバロ氏は言う。「日本は誇り高い国家だ。」
ゴーン氏は容疑を否認しているが、108日間にわたって拘留された後、36日に9百万ドル近い保釈金を支払って、保釈された。検察は、ゴーン氏が2つの日本の法律に違反しているとして起訴した。一つは、企業の財務情報開示に関する法律、もう一つは、企業幹部がその地位を利用して私腹を肥やすことを禁止した法律だ。彼は、日産とルノーでの幹部としての肩書きを失っている。2ともに、彼を取締役からも排除する計画だ。
ゴーン氏の失脚を計画した日産の幹部が望んだ通り、合併の話し合いは振り出しに戻った。
ゴーン氏の弁護士である広中淳一郎氏は、こうした動きをゴーン氏の弁護に使いたいと考えていると語った。日産の幹部は、ビジネス戦略を巡る確執が理由で行動をとったのであり、それが刑事事件をゆがめてしまっていると彼は指摘する。
日産の報道官であるニコラス・マックスフィールドは、内部告発者の動機は必ずしも適切ではないとしながらも、日産の調査によれば、明らかに非倫理的な行動についての多くの証拠が見つかったと言う。「この一連の事件の唯一の原因は、ゴーン氏の主導による犯罪行為だ。」
ゴーン氏は、世界最大の自動車業界のアライアンスの指揮を執っていた。ルノー、日産、と3つめのアライアンスメンバーである三菱自動車3社を合わせた、昨年の乗用車販売台数は1,076万台で、これはライバルの誰よりも多い。彼は日産をうまく経営して成果を出し、それによって彼は日本ではビジネス界のスーパースターとなった。
彼の逮捕以来、ルノーの株価は9%以上下落し、日産の株価は上下しているものの8%以上下落した。
「日産は日本のチャンピョンだ。日本人にとって、簡単に失えるものではないのだ。」と2008年から2012年まで駐日フランス大使を務めたフィリップ・フォール氏は言う。

紛争の種
日産はルノーより多くの車を売っているが、アライアンス内での力関係では弱い。1999年に日産が苦境に陥った際にルノーが救済したため、その後はルノーは日産の株式の43.4%を保有している。一方、日産はルノーの議決権無しの株式を15%保有しているだけだ。
日産株からの配当や部品購入や設計での規模の利益が無ければ、ルノーは自力では生き残ることが出来ない。この点については、両社の関係者も合意している。
ルノー株の15%を保有しているフランス政府は、国内の自動車工場はフランス製造業の要だと考えている。同時に、ルノーの株式を保有し、ルノーへの支配力を維持することによって、その意思決定に大きな影響力を持つことになるとも考えている。
ルノーと日産の独立は微妙なバランスの上に保証されてきたが、昨年、ゴーン氏のルノーでの会長とCEOの契約が更新されことによって、その微妙なバランスが揺らいだ。ゴーン氏は、何年にもわたって、アライアンスを永久に続くものにせよというフランス政府からの圧力をうまくかわしてきた。しかし、いまや、ゴーン氏は、自身のリーダーシップ継続に対するフランス政府からの支援を確実にすることを選んだのだ。
ルノーに詳しい筋によれば、ゴーン氏はルノーのCEO職から降りようと考えていた。それは、20年近くにわたって彼が維持してきたアライアンスへのコントロールをある程度失うことになる。
「彼は、アライアンスの次のステップを実現するために、CEOに留まることを決意した。」と当時ゴーン氏と話をした人物は言う。
2018215日のルノーのニュースリリースによれば、ゴーン氏は、若干の給与カットを受け入れ、アライアンスが逆戻りしない様に決然とした態度をとることをコミットした。
ある日産の幹部は、ゴーン氏の態度はその頃から変化したと言う。「彼は、色々なことを強く要求する様になりました。合併についても、どの程度のスピードでそれを実現すべきかについて考えを持っていた様でした。そしてそのスピードの通りに進まないと非常にイライラしていました。」
フランス政府は、ルノーの取締役会に送り込んでいるマーティン・ヴィアルを通して、より直接的に関与するようになった。マレーシア生まれの日産のベテランで、日産CEO室長のハリ・ナダは423日にヴィアル氏と面会し、ナダ氏が歓迎しない合併に関して実現への強い要求を受けた。このことは、ナダ氏がゴーン氏との打合せ用に作成したレポートに示されている
ヴィアル氏は合併のメリットについてのドキュメントを送ってきたが、日産の株主からのコメントや考え方については何も考慮していないとナダ氏はゴーン氏に報告した。
ゴーン氏を知る人によれば、彼は10年以上両社のCEOを務め、両社の独立性の擁護者として認識されてきた。
ナダ氏はヴィアル氏に日産の要求を伝えた。日産の保有株の減少、ルノーが日産の支配を求めないという約束、フランス政府の撤退だ。
ナダ氏がゴーン氏に宛てたレポートによれば、ヴィアル氏はこの要求をあまりに犠牲が大きいとして拒否した。
同レポートによれば、ここで、日産の対政府関係責任者のカワグチヒロシが参戦した。彼は、経済産業省の役人と頻繁に連絡を取って、日産のサポートに回る様に要求した。
同省は、ナダ氏の要求を明文化したフランス政府との間の合意書のドラフトを作成した。要約すれば、フランス政府は日産の独立性を尊重せねばならず、いかなるコミュニケーションも日本政府を通して行わなければならないというものだ。
それは、日産の幹部から見てもあまりに過激な要求だった。カワグチ氏はゴーン氏に「ドラフトを通すのは無理だろう。」と語った。日産のCEOの西川氏は、日産は首相官邸に通産省をより確実にコントロールするように要求すべきだと語った。カワグチ氏は、さすがにそれは日産が出来る領域を超えていると思った。
日産は難しい立場にいた。フランス政府の介入を回避ために日本政府の助けを求めていた。しかし、日本政府にとってフランス政府をコントロールするのは難しかった。ゴーン氏はそれまで日産の独立性維持のために発言してきたが、それを維持してくれるのかどうかは不確かとなっていた。フランス政府とゴーン氏からの圧力によって、ゴーン氏のかつての盟友は、彼を終わりにするための計画者になっていった。
日産の調査に詳しい人によれば、ナダ氏はゴーン氏に何年も仕え、オランダのZi-A Capitalという日産の関係会社に関する奇妙な金融取引をみてきた。同社の開設に詳しい人によれば、その会社はスタートアップ企業へ投資する会社のはずだった。
その代わりに、その会社はゴーン氏がコントロールするオフショアの会社を通して、ゴーン氏の家を購入していた。ゴーン氏のスポークスマンは、その家は会社が保有していて、購入は適切なチャネルを通して行われたと言っている。
日産の内部調査により、ゴーン氏が行ったとされる不適切な行為が幾つも発覚した。その中には、日産が資金負担したベイルート、リオデジャネイロ、パリの家を彼が使用していたことも含まれる。ゴーン氏の家族は、それは日産の他の人からも認められていた役員の特典だったと述べた。
6月にはナダ氏は日本の検察と司法取引をした。それによって犯罪捜査は加速された。
ゴーン氏はこうした動きには全く気づかず、2つの会社の統合をさらに進めるという彼の計画を推進していた。

失脚
フランス政府は、ゴーン氏に、政府の要望をどの様に満たしていくかのロードマップを、615日までに示すように求めた。ルノーの株主総会までに計画を発表したいという考えだった。しかし、日産が抵抗を続けたために、期限守れなかった。
夏の間、西川氏は、日産を分割する計画を密かに作成していた。西川氏がゴーン氏に送った書類によれば、その計画は、本社機能をアライアンスに移し、実働部隊を日本に残すというものだ。その中で、西川氏は、これ以上待つよりも、20203月までに新しい枠組みを作った方が良いと書いていた。ゴーン氏が尋ねると、西川氏は、両社にとって受入れ可能なシナリオを作っていると答えた。
関係者によれば、秋までにゴーン氏は枠組みについて決定した。日産、ルノーと小さなパートナーである三菱自動車の上に、持株会社を作るというものだ。この案によれば、持株会社のそれぞれのユニットは、独立して機能することを約束されるが、一つの株式として取引される。
内部調査に詳しい日産社員によれば、検察がゴーン氏を刑事告訴するための十分な証拠を掴んだということを、、西川氏は10月初旬に部下のナダ氏やカワグチ氏から知った。
その後数週間にわたって、ナダ氏は検察がゴーン氏の飛行機が東京に着陸したらすぐに中に踏み込むためのアレンジをした。
一方、西川氏は、アライアンスの将来について話し合うためのゴーン氏との個人的な会談をモロッコで行った。その会議の結果について報告を受けた人によれば、彼らは1時間半にわたって話し合ったが、西川氏は捜査については触れなかった。それが2人が会った最後だった。
ゴーン氏が1119日に東京に着陸すると、検察官が踏み込んできた。ゴーン氏は最初は動揺したが、日産の政府関係役員であるカワグチ氏に電話をした。ゴーン氏の長い間の部下であるカワグチ氏が事態を打開してくれると信じて。ところカワグチ氏が、事態を打開する代わりに、弁護士を送ってきた。
彼に対する多くの容疑について有罪となれば、15年以下の禁固刑となる。彼の裁判は早ければ秋には始まる。

Thursday, March 7, 2019

こんまり流の片付け、中古品店はときめかず【A1面】

「人生がときめく片づけの魔法」の著者、近藤麻理恵さんのネットフリックス(Netflix)オリジナル番組「Tidying Up With Marie Kondo」が原因で、欧米の中古品店に大量のがらくたが持ち込まれて大問題になっているというユーモラスな記事が7日の1面に掲載された。


 【要約】WSJ1面下の「各国の面白い文化を紹介するコラム」(毎日掲載)で取り上げられたこの記事、近藤さんの片付けメソッドに忠実な消費者が、家のがらくたを中古品店に持込み、中古品店が大混乱に陥っている様子を、ヒューストン、シドニー、ロンドンなどの事例を交えて、面白おかしくレポートしている、

***** 以下本文【記事全文の和訳】
どんより曇ったある日、アン・カーティスさんはステーションワゴンの後部座席にがらくたを積み込んだ。末娘の大学進学をきっかけに家を片づけたいカーティスさんは「コンドウに夢中」だと語る。「こんまり」として知られる片づけのカリスマ、近藤麻理恵氏のことだ。「ロフトや物置、ガレージを整理したくてたまらない」
何年も使っていないゲームやくたびれたハンドバッグ、靴、装飾品、寝具などを積み、ロンドン郊外のギルフォードのリサイクルショップに行くと、汗にまみれ、いらいらした様子の年配の男性が現れた。
「もらって頂きたいもの物をお持ちしました。」と彼女は微笑みならが言った。その男性は目をくるくるとさせながら、「みんなそう言って来るんだ。」と言った。
近藤麻理恵は中古品店にとってはときめく魔法ではないようだ。
1月にネットフリックスで「タイディングアップ・ウィズ・マリエ・コンドウ(邦題は『KonMari人生がときめく片づけの魔法~』)」が開始されて以来、中古品店は寄付で溢れ返っている。問題は、汚くて擦り切れた洋服、みにくいガラクタ、販売出来ない器具などが大量に持ち込まれることだ。
「寄付は我々のビジネスには無くてはならないもので、大歓迎です。」とヒューストンにあるグッドウィルの上級地域営業マネジャーのデーヴィッドブラッドンさんは言う。「しかし、そういった寄付品は良い状態であって欲しいし、ましてや家族新聞に書けない類のものでは困ります。」と彼は言う。
世界中の人々が「こんまり」メソッドを使って、片付けをしている。「こんまり」こと近藤麻理恵氏は「人生がときめく片づけの魔法」を出版した日本の片づけの専門家だ。出版社によれば、2014に出版されたこの本とその続編は、世界中で1千万部を売り上げた近藤氏はときめきを感じる物だけを持つことを人々に勧めている。
個人レベルでは、心をこめてガレージを片付けたり、Tシャツをたたんだりすれば、爽快感を感じることが出来るという。世界中で片付けがブームになる中、寄付センターは本当の意味で誰も欲しがらないもので埋め尽くされている。
とても使い物ならない廃品を寄付下さる方々がいらっしゃるんです。」とオーストラリアの慈善団体ヴィニーズのマネジャーであるジャッキドロプリックさんは言う。「我々のところは、人がゴミを捨てるための場所ではありません。」
シドニーの中心地にあるヴィニーズの倉庫で働くボランティアは、週に265,000ポンドもの古着を取り扱っている。ヴィニーズによれば、シドニーでの1月の寄付は前年の同月に比べ35%も増えた。こうした状況を作り出しだ原因は、近藤氏のネットフリックスでのデビューにある。
「家の中を全て一回で片付けなければならないと、みんなあせっている。」と郊外のグレイステインにある支部を管轄するレングペイングさんは言う。米国では通常冬の間は中古品の取引は減少する(春の片付けの時期に再び回復するが。)のだが、中古品店の中には、物が溢れかえってしまい、寄付の受付を取りやめているところもある。
米国とカナダで中古品店を運営するグッドウィルインダストリーズインターナショナルは、1月の寄付は、ワシントンで32%以上、ヒューストンで22%以上、ヴァージニア州ローノークで20%上、ミシガン州グランドラピッドで16%増えている。
最初は、この店は、政府閉鎖によって休暇を与えられた労働者が暇をもてあまして片付けをしているからだろうと考えていた。しかし、寄付は減っていかなかった。「これらの寄付の多くは、近藤麻理恵氏の影響だと考えている。」とブラッドンさんは言う。
「正直なところ、ちょっと多すぎます。」とヒューストンのグッドウィルストアのラダトリオンハーヴェイ氏は言う。彼はスタッフのモラルを維持するために、月間優秀従業員賞などを含め、特別表彰を行ったりしている。もうずいぶんと長い間、従業員に感謝し続けていると彼は言う。
ヒューストンの高級住宅街リバーオークスにある彼の支店では、以前ある男性がガールフレンドの靴を持ち込んだことがある。箱に入ったままのグッチたプラダで、1,000ドル近くの価値があるものだ。(そのボーイフレンドによれば、ガールフレンドは新しい靴の買い物に行くために待っているとのこと。)
全ての物が明らかに売れるものとは限らないが、やってみるまで分からないものだ。最近、男の人が近藤氏の片付けメソッドに魅せられてマネキンを持ち込んできた。スタッフが引き受けて良いものかどうか思案していると、別の人がやってきて19.99ドルで買って行った。
ヒューストンのグッドウィルの広報マネジャーのテリーパリスさんによれば、彼女の勤務初日に、刀、短剣、ライフルなどが入った55ガロンのドラム缶が持ち込まれた。彼女は、自分も何か持ち込めないかと考えた。「もう必要のない大弓なんかどうかしら。」
中古品店によれば、販売出来ない洋服は、ぼろ布としてリサイクルされることが多いようだ。その他のものは、埋め立てに使われたり、バイオハザードとして破壊されたりする。
「全てのごみが、それにキスをして、それまでのサービスに有難うを言えば、消え去るというものではない。」と政府機関であるサステイナビリティーヴィクトリアのCEO代行であるステファンジエルシュは言う。(近藤氏は、何かを捨てる時には、それに感謝をしてから捨てるべきだと説く。
彼女は、近藤氏の6つのルールに7番目のルールを付け加えることを提案している。それは「もったいない」(ものを無駄にすること申し訳なく思うことを表現する日本語)だ。
近藤麻理恵のフォロワーの中には、リサイクルについて賢くなった物もいる。ロンドン南部に住む33才のアリソンスパイサーは、8回から成る番組を2晩でまとめて見てしまった。「はまっちゃたんです。」

でも、中古品店に迷惑をかけないために、彼女は寄付を小分けにしている。洋服を5つの袋、ガラクタや子供の本屋おもちゃを2つの箱に分けて、2つのお店に別々の日に運び込むのだ。「反応はまずまずといったところですが、今までのところ、寄付を突っ返されたというところはありません。」と彼女はいう。

ゴーン元日産会長、108日間の拘束の末に保釈へ【A1面】

6日にゴーン氏が保釈されたが、WSJはこのニュースを翌日71面トップに大きな写真を掲載して報じた。


 保釈時に変装していたことなど保釈時の様子を詳しく報じている。あわせて、1119日の突然の逮捕から保釈に至るまでの経緯と彼の容疑について改めて整理している。なお、A1面トップに写真が大きく掲載されたが、記事本文はB1-2面に掲載された。

***** 本文(記事全文の和訳)*****
 カルロスゴーン氏は、水曜日に保釈された。彼が「厳しい試練」と呼ぶ108日間の拘束期間の後に、水色の帽子をかぶった作業者に変装して東京拘置所を後にした。
日産の元会長であるゴーン氏は、900万ドル近い保釈金を払って保釈されたが、日本にいなくてはならない。裁判所が承認した東京の住居に住んで、今年の後半に予定されている裁判の準備をする予定だ。
日本時間の午後4時半頃、風邪をひいた日本人がよく着用するマスクと高速道路での作業者がよく着用するストライプの付いた作業着を着て、東京拘置所を後にした。彼は、小型のスズキのバンに乗り込み、刑務所の門を抜け、東京の道路へと出た。そこでは、マスコミのヘリコプターに追跡された。
ゴーン氏は、その後、東京都心にある弁護士の事務所に立ち寄った。彼は、違う車で出発しようとしたが、多くのメディア関係者が集まっており、少なくとも10分は動きがとれなかった。彼は、後部座席に座り、作業者の服は着ていなかった。少し疲れたようにも見えたが、全体的には健康そうだった。
ゴーン氏の妻であるキャロルさんは、彼が保釈される少し前に拘置所に到着したが、フランス大使館が所有する別の車で拘置所を後にした。
東京地裁は、過去2回にわたって、保釈申請を拒否したが、火曜日に承認した。ゴーン氏は豊富な経験を持つ優秀な弁護士のチームを新たに任命した。また、日本の容疑者の取り扱いについての国際的な批判が巻き起こった。こうした状況の中、この地裁の決定は行われた。
保釈の条件として、ゴーン氏は海外の人と電話やコンピュータを使って話しをすることは出来ない。
彼のプライベートジェットが東京に着いた直後の1119日の逮捕劇は世界中を驚かせたが、保釈によってこの逮捕から始まった事件の一つの幕が下りた。ゴーン氏は知らされていなかったが、日産の幹部と東京の検察は、財務的不正の疑いで、数ヶ月にわたって彼について調査していた。
ゴーン氏は日産、フランスのルノー、日本の三菱自動車から成るアライアンスのトップとして世界を飛び回る暮らしをしていたが、逮捕からの2週間は彼にとって大きな変化だった。東京拘置所の小さな独房に住み、ゴーン氏は、弁護士の同席無しで、毎日数時間の取調べを受けた。拘留期間に唯一許可が出て公の場に姿を現した、18日の公聴会で、彼はやせ細り、黒かった髪の毛にも白髪が混じっているように見えた。
ゴーン氏は、逮捕の3日後に日産での地位を失った。三菱自動車も彼の会長職を剥奪した。1月末に、彼の最後の企業幹部としての地位であるルノーの会長とCEO職を辞職した。彼は、日産の取締役に留まっているが、日産は4月にもその地位も剥奪することを計画している。
日本に閉じ込められ、既に自動車業界の企業幹部ではないゴーン氏は、これからの数ヶ月、裁判の準備をすることが出来るし、身の潔白を証明するために公の場にでることも出来る。
彼は、火曜日に声明を出し、そのためのキャンペーンを開始した。この声明に中で、彼は、このひどい災難の中、彼に寄り添ってくれた家族や友人に感謝すると述べた。そして、彼は、公正な裁判の中で、自分自身を精力的に弁護し、何のメリットもなく何の根拠もないこの容疑に対して戦っていくことをコミットするとも述べた。
検察は、ゴーン氏が2つの日本の法律を犯したとして起訴した。一つは、企業の財務情報の開示を統治するものであり、もう一つは、企業幹部がその地位を使って個人的私腹を肥やすことを禁じるものだ。
最初のカテゴリーでは、検察は、ゴーン氏は退職後にもらう8,000万ドル以上の報酬を20183月期までの8年間にわたって日産の有価証券報告書に記載していなかったと主張する。
このケースでは、このお金がゴーン氏に約束され8年間のそれぞれの年の金額が確定していたか、ただ単に仮の話として議論されただけなのかが焦点だ。検察は前者であることを証明しようとしているが、ゴーン氏は後者を主張している。
2つ目の争点は、個人的なデリヴァティブ契約に関するものだ。ゴーン氏によれば、この契約は、日本円の価値下落から自らを守るために2000年代中ごろに行ったものだ。彼は、日産から日本円で報酬を受け取っていたが、ドルで支払いをしていた。
2008年にグローバル金融危機の影響で日本円が高騰した時に、ゴーン氏は損失の可能性に直面した。ゴーン氏によれば、日産は契約をたてにとって、いかなる損失もゴーン氏が個人的に負担すべきだと主張した。検察は、一時的であったとしても、ゴーン氏個人が負うべきリスクを会社が負うようにアレンジした主張する。
ゴーン氏はその後、彼の個人的資産を守るために、サウジアラビアのビジネスマンの支援を受けて契約を締結した。このビジネスマンは、2009年から2012年にかけて1,470万ドルの支払いを日産から受けとっていた。検察は、ゴーン氏はかれの個人的な恩恵のために、日産のお金を使用したと主張する。一方、ゴーン氏は、サウジアラビアの友人の会社に支払われたお金は、日産のビジネス目的で使用されたもので合法だと主張する。
この事件とは関係のない弁護士によれば、ゴーン氏は弁護のための準備をするのがより容易になった。彼は、自由に弁護士と面会し、時には10年以上前に作成された取引のドキュメントをレビューすることが可能だからだ。
「もしゴーン氏が拘留されたままだとしたら、弁護士は書類を印刷し、拘置所を訪問し、ゴーン氏と話し合うためにその書類を提出することに承認を得なければならない。それはとても時間がかかることだ。」と元検察官で現在は弁護士業を営むオチアイ・ヨウジ氏は言う。

Friday, March 1, 2019

日本で強まる米国への不安【A15面(専門家投稿欄)】

「日本は米国にとって極めて重要な国であるにもかかわらず、トランプ政権が日本を不安に落とし入れるような発言を繰り返している。」と批判する専門家の投稿が、1日のWSJに掲載された。



【要約】日本は、イスラエルと並んで、「孤独な国」だとしている。中東にイスラエルの友人がいないのと同じ様に、アジアに日本の友人はいない。アジアで孤立する日本は、米国との同盟に頼るしかない。米国はこうした日本の立場をうまく利用して、日米同盟を軸にしてアジアにおける米国の勢力を維持すべきである。トランプ政権は、アジアにおけるプレゼンスを低下させるとも取れる発言を繰り返しており、これを不安に感じる日本は軍事化に突き進んでいる。トランプ政権がこうしたスタンスを続けると日米同盟弱体化につながるとして、トランプ政権を批判している。そうした中、今回の北朝鮮との交渉決裂は、トランプ大統領が北朝鮮にハードスタンスを取り、米国の朝鮮半島における米国のプレゼンスの維持を示したという意味で、日本を安心させる効果があり、評価に値するとしている。

***** 以下本文【WSJ記事全文和訳】*****

米国と中国が長期にわたって対立しているが、これは今後数十年にわたる地政学を形成するかもしれない。こうした状況のなか、アジアの安定を確実なものにするためには、日米同盟が未だかつてない程重要になってきている。朝鮮半島における米国のプレゼンスを低下させるようないかなる行動も、日本そしてアジア全域に悪影響を与えることを、トランプ大統領は認識すべきだ。
日本は、アジアの他のいかなる同盟国よりも重要だ。韓国は、北朝鮮の恐怖の前で、中国に対して理不尽なかたちで譲歩してしまう。フィリピンは誤った方法で統治されていて、十分に組織化されていない半島だ。オーストラリアはアングロサクソン系の国だが、人口は2,500万人に過ぎず、軍事的にも経済的にも影響力に欠ける。ベトナムは民主的ではないし、日本のような米国との歴史的な絆に欠ける。
日本は12,700万人の人口をもつ世界第3位の経済大国だ。その軍隊は世界で最もハイテクな軍隊のひとつで、いつでも展開可能だ。海軍は英国の2倍の規模を誇り、アジアにおける力の均衡を保つためにきわめて重要だ。米国が日本に50,000人の兵力をもち、前方展開可能な空母艦隊を配備していることも忘れてはならない。
日本は、他のアジアの同盟国と比べても、良好な国だ。国内政治は安定している。イギリスやフランスはもはや安定しているとは言えないし、ドイツはロシアとのエネルギー交渉で譲歩してしまった。国家主義が再来してはいるが、欧州のように不快はポピュリストの形態はとっていない。
最も重要なことは、日本が極めて孤独な国だということだ。これは米国にとって有利に働く。もう一つの信頼出来る米国の同盟国であるイスラエルだけが、同様に地域で孤立している。日本は東アジアに本当の友人がいないのだ。第2次世界大戦での日本の侵略の傷はまだ完全には癒えていない。日本の非人道的な犯罪行為は、大量虐殺とは言えないが、大規模な残虐行為や殺人であり、ナチスドイツ並みにひどい。このため、日本は戦争犯罪を完全に清算することを避けてきてきた。完全に清算しない限り、日本はアジアの隣国から完全に許されることはないだろう。
中国は日本にとって益々脅威となっている。日本の近海にあり通商ルートにある日本の島の領有権を主張しているのだ。朝鮮半島も日本にとっての脅威だ。北朝鮮が崩壊しても、南北朝鮮が統一しても、日本の立場は大きく弱体化する。
日本は1910年から1945年に35年間にわたって朝鮮半島を統治したが、朝鮮の人たちは極めて辛かったことばかりを覚えている。北朝鮮も韓国も日本が嫌いという点では一致している。再統一された朝鮮国家は、反日の立場を鮮明にするだろう。日本は韓国に駐留している28,000人の米国兵が永久に駐留できないことを認識している。中国の脅威と、朝鮮半島の大きな政治変化は、日本の軍備最強化の主要な理由になっている。
日本と中国は将来の朝鮮半島への影響力について競っているが、中国の方が有利だ。中国は、北朝鮮とは国境を接しているし、韓国の最大の貿易相手でもある。日本は将来の戦略を考えるに際し、中国が朝鮮半島を支配すると考えるしかない。
 これまで、トランプ氏ほど日本を神経質にさせた人物はいない。トランプ氏は日本の自衛の必要性を尊大に話す一方で、ときに混とんとした北朝鮮との交渉プロセスに着手し、南北を接近させている。昨年10月に米国が下した米韓軍事演習中止の判断は、日本をさらに心配させているに違いない。たとえ日本自身が、リアンクール岩礁(訳注:日本名「竹島」、韓国名「独島」)の領有権や第2次大戦中に虐待された「慰安婦」をめぐり、韓国と衝突しているとしてもだ。米国がある同盟国との軍事関係を弱体化させれば、米国が他の同盟国に対してもそうする可能性があると日本は認識している。加えて、トランプ氏が突如、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱して以降、日本は米国のリーダーシップの未来を疑問視してもおかしくない状況にある。
 そして台湾の存在がある。日本の近くにある台湾は50年間(18951945年)にわたって日本の統治下にあり、日本にとって最初の海外植民地だったことから、日本は常に台湾の命運に強い関心を払ってきた。米国がもはや中国の攻撃から台湾を十分防衛できなくなる日が到来すれば(日本はその日が近づいていることを恐れている)、日本は一段と包囲され危ういと感じる一方だろう。
地域を良く見て欲しい。中国、朝鮮半島、台湾で進展していることを見れば、日本が米国以外に頼る人がいないといことが分かるだろう。米国が弱体化したり、不確実化したりするのではないかという恐怖感は、日本を追い詰めることになるだろう。そして日本を危険な存在にするだろう。日本が核兵器を開発するリスクは低いだろうが、最先端の科学知識を有し、原子力発電も行っているので、日本は、やる気になれば、いつでも簡単にかつ迅速に、核兵器を開発することが出来る。専門家たちは核武装された日本についてささやいているが、このことは、東アジアの状況が極めて深刻であることを意味している。
新孤立主義者たちは、日本は他の同盟国のように、自分自身の2の足で立つべきだと考えている。しかしながら、軍事的な不安定さが深刻になる中で、日本は既にその軍備を強化しつつある。欧州の国々とは異なり、日本にはレクチャーは要らない。日本のリーダーたちは、平和憲法の足かせから逃れ、幾つかの軍隊を統合して機能強化し、水陸両用車や給油機などを取得したいなどと考えている、
これはやっかいな話だ。米国との同盟への依存から切り離された日本は、日本自身にとっても地域にとっても危険だ。日本は、アジアにおける米国の勢力の連結点だ。米日関係の弱体化は、米国主導の世界の終わりを意味する。従って、金正恩へのいかなる妥協も大きなコストを伴うことになる。北朝鮮へのサミットの失敗は、不幸に見えて実はありがたいものなのだ。

筆者のロバート・カプラン氏はユーラシア・グループのグローバルマクロ担当マネジングディレクター。最新の著作は「The Return of Marco Polos World: War, Strategy, and American Interests in the Twenty-First Century