Wednesday, October 10, 2018

ソフトバンクはウィーワーク株の過半数取得に動く【A1面】

ソフトバンクグループは、オフィスシェア事業を手掛けるウィーワークの過半数株式取得に向けて協議しているとする記事が、10日の1面に掲載された。


 投資額は150-200億ドルで投資元はソフトバンクビジョンファンドになる見込みとしている。ウィーワークは、マンハッタンで大量のオフィスを長期リースし、それらを小さく区切って小規模な企業に短期間サブリースすると言うビジネスモデルで急成長してきた。ニューマン社長は、人々をつなぎ、コミュニティを作ると言う大きなビジョンを掲げている。こうした多くのスタートアップ企業が、ソフトバンクビジョンの様な、ベンチャーファンドに支えられている。

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ソフトバンクグループは、ウィーワークの株の過半数取得を目指して、交渉をしている。創業8年目の、共有オフィススペース企業への、大きな投資となる。交渉に詳しい人々からの情報だ。
何人かの人々によれば、投資額は、150億〜200億ドルと見られ、ソフトバンクビジョンファンドの資金が使われる模様だ。920億ドルに上るビジョンファンドは、ソフトバンクに加えて、サウジアラビアやアブダビからも投資されている。昨年、時価総額200億ドルのウィーワーク株式のうち、44億ドルを取得して、ほぼ20%の株式を保有している。
何人かによれば、交渉は流動的で、成立するかどうかについては何の保証もない。
ソフトバンクとウィーワークは、今年の夏に、ウィーワークの時価を400億円とする少額の投資について交渉していた。ウォールストリートジャーナルは6月に報道していた。
交渉が成立すれば、過去数十年のスタートアップブームの最大で最も重要な買収となる。ソフトバンクは、1月にベンチャーに支援されたスタートアップ企業に最大の投資を行った。77億ドルを支払って、ウーバーテクノロジーの株を15%取得したのだ。ベンチャーの支援を受けた160以上の企業が、10億ドル以上の価値を持っているが、2010年には数社に過ぎなかった。
この8年で、ニューヨークに本社を置くウィーワークは、ローアーマンハッタンの1つの事務所から、今年の半ばには、287のビルに265,000以上のデスクをレントするまでになった。不動産サービス企業であるCushman & Wakefieldによれば、ウィーワークは、他のどの企業よりもマンハッタンに事務所スペースを占有しており、そこで530万フィートをレントしている。
そうした成長は、60億ドル以上に上る投資によって可能となった。ソフトバンク以外にも、ベンチャーキャピタルのBenchmark、中国に本社があるHony CapitalJPMorgan Chaseの資産管理部門などが投資している。
ウィーワークのコアビジネスは、オフィスリースだ。内装などが施されていない事務所を長期でリースし、サイズをフレキシブルに変えられるスペースにモダンなデザインで内装を施し、1ヶ月といった短期間でサブリースする。
不動産にフォーカスしているが、いつも、どちらかというとテック企業の様なイメージで売り込んでいる。チーフエグエクティブのアダム・ニューマンは、人々をつなげ、コミュニティーを作るという、広いビジョンを掲げている。
ニューマン氏は最近、ウィーワークにとってのオフィスは、アマゾンにとっての本の様なものだと述べた。ウィーワークが目指すもののほんの一部に過ぎない。
彼の大きな野望は、一つのコミュニティを作ってしまうことだ。そこには、事務所だけではなく、ウィーワークが運営するマンションや、ジムや学校さえある。先月、小学校が開校した。また、サーチエンジン最適化の企業も進出した。波の出るプールのビジネスへの投資も考えている。
ウィーワークの評価額は、長い間、不動産所有者やサービス付き事務所のベテランたちを惑わせてきた。こうした人たちは、レンタルオフィスといった似た様な製品を供給してきた。それほど格好良くはないが。こうした企業で最大のIWGは、6月現在、ウィーワークの倍の数のデスクをレンタル用に確保している。しかし、評価額は、ウィーワークの1/5だ。
ウィーワークはまた急成長への投資の中で、損失を積み上げてきた。そして、最近そのロスは加速し始めた。債権者に明らかにされた数値によれば、今年の上半期に、76,300万ドルの損失を計上した。前年同期の1億5,400万ドルを大幅に上回る金額だ。同じ時期に、売上は倍以上に拡大し、76,300万ドルになった。
ウィーワークは、損失は成長への投資を反映しているとしてきた。彼らが保有している場所は、一旦オープンして完全にリースされれば、健全なマージンを生み出す。
成長を支えるのは、中堅から大型の企業で、部門や何人かの従業員のためのオフィスを1-3年借りるところだ。こうした企業の多くが、短期リースのフレキシビリティーを気に入っている。ウィーワークは10-15年もの長期レントの支払いのリスクを抱えている。
懐疑的な人たちは、ウィーワークに何十億ドルも投資した人は、そのビジネスのリスクを十分に理解していないと言う。その顧客は、長くは続かないかもしれないスタートアップが大半を占めているし、不況になると離れていってしまう大企業もいる。一方で、ウィーワークは長期リースにっ縛られている。
「彼らは、多くの他人のお金を急速に使っている。」とフランクコトルは言う。彼は、サービス付きオフィスのネットワークを運営しており、20年前に、IWGの前身であるRegasにサービス付きオフィスのたくさんのポートフォリオを販売してきた。「ウィーワークに投資してきた人たちは、そのストーリーを見ている。」と彼は言う。「彼らは、その利益を度外視しているのだ。」