Saturday, April 22, 2017

日本におけるジャガイモによる混乱【A12面(社説)】

カルビーと湖池屋は410日、北海道産ジャガイモの不作を理由に一部のポテトチップス商品の販売を休止することを明らかにしたが、WSJ422日にこのニュースをなんと「社説」で取り上げ、「ジャガイモを含む米国産農産物の日本への輸出拡大」にトランプ政権が真剣に取り組むように訴えた。



今回のカルビーと湖池屋の措置について、「北海道産のジャガイモの不作が原因なら、何故米国からジャガイモを輸入しないのか?」、それは、「米国からの生ジャガイモ輸入が禁止されているからだ。」としている。日本政府は、その理由を、害虫やバクテリアが国内に入ることを防ぐためだとしているが、実際の理由は国内農家を守るためというのは明らかとも指摘している。(以前、日本は、米国産牛肉の輸入を禁止していたが、その理由を、「日本人の腸では米国産牛肉を消化出来ない。」としていたという、笑い話の様なエピソードも紹介している。) その上で、TPPではこの不当な植物検疫が撤廃されることになっており、米国農家にとっては日本進出への千載一遇のチャンスだったが、トランプ大統領のTPP離脱宣言により、このチャンスも失ってしまったとして、暗にトランプ大統領の政策を批判している。


***** 以下本文 *****
日本のポテトチップスファンは、今週、ポテトチップスの買い占めに走った。カルビーと他のポテトチップメーカが、北海道でのジャガイモの不作により工場の操業停止に追い込まれると発表したためだ。日本の店の棚からは、すでに梅味やフレンチサラダ味などの人気商品が姿を消し、オンラインでのオークションまでおこる事態だ。
米国農業省によれば、日本のジャガイモとジャガイモ製品の実に78%が、米国の生産者によって供給されている。そうだとすると、単純に米国からの輸入量を増やせば良いと思うが、なぜそうならないのか?
この答えは、日本の農業団体によるロビー活動にある。ロビー活動により、農業団体は、ポテトチップスを作るために必要な米国産の生ジャガイモを排除することに成功しているのだ。米国から日本へ輸出されるジャガイモの殆どが、マクドナルドで使われている様な、乾燥したものや冷凍したものだ。
日本は米国産の生ジャガイモの輸入を1950年に禁止した。表向きの理由は、ジャガイモがんしゅ病やジャガイモシスト線虫などへの懸念だ。それはみせかけの理由を隠れ蓑にした保護主義の流れの1つだ。日本政府は米国牛を締め出すことを正当化していたが、その理由は日本人の腸が米国牛を消化出来ないというものだった。
2006年のジャガイモ不作の後、日本は少し門戸を開いた。米国の幾つかの州からのジャガイモは、特別な取扱ルールが適用される2月~6月の期間に限って輸入可能だ。生ジャガイモにかかる関税は4.3%と極めて低いが、非関税障壁により日本における米国産ジャガイモの販売量は年間1,000万ドルにすぎない。
TPPは、アイダホのジャガイモ農家にとって、この貴重な市場に参入するきっかけを作ったかもしれない。全米ジャガイモ協議会は、TPPを支援していた。その理由のひとつは、病気を理由に輸入が規制されるなどの、植物検疫の問題が解決されるからだ。ジャガイモ農家が発行する雑誌は、TPPによって米国のジャガイモ農家の売上が、今後5年間毎年5,000万ドル成長すると推測していた。             
この涎の出る様な機会は、TPP交渉から離脱するというトランプ大統領の決断によって失われてしまった。生ジャガイモは太平洋地域の貿易全体からみれば小さな話かもしれないが、日本という魅力的な市場へのアクセスを容易にし、様々な農産物を売り込む絶好の機会だったのだ。