Monday, October 31, 2016

*** 10月のまとめ ***

10月にWSJに掲載された日本関係の記事は6件。前月(9月)と同数だった。1月~9月までの1月当りの平均が9.5件だったので、平均を下回った。

テーマ別では、政治関係が2件、経済関係が1件、社会関係が3だった。

政治関係では、「10月16日の新潟県知事選で原発反対派の米山氏が当選したこと」と、「10月25日にフィリピンのドゥテルテ大統領が来日したこと」の2つを取り上げた。WSJは原発問題への関心が高く、今回の様な主要な動きがあると必ず取り上げている。ドゥテルテ大統領は、アメリカとの決別を主張しており、WSJとしてもその動向から目が離せない。

経済関係では、「10月11日に第2次補正予算が参議院を通過したこと」を取り上げている。日銀による金融政策が行き詰まりを見せる中、安倍首相は財政政策へ舵をきったが、その財源は日銀がどんどん印刷する紙幣であるとして、日本の行き過ぎた規律なき財政政策に警鐘をならしている様に読める。

社会関係では、「大隅さんのノーベル賞受賞」「九州大学などの科学者チームによる人口卵子生成の成功」そして「電通の過労死問題」の3件を取り上げた。前者2つは日本の生命科学分野の水準の高さを示すニュースで誇らしいが、3つ目の過労死のニュースは日本社会の闇の部分であり何としても解決せねばならない問題だと思う。

掲載箇所では、6件すべてが国際面への掲載だった。

Wednesday, October 26, 2016

リーダーの日本訪問はフィリピンと日本の関係を試す【A13面(国際面)】

1025日にフィリピンのドゥテルテ大統領が来日したが、WSJ26日の国際面で速報した。


ドゥテルテ大統領が、アメリカと決別したいと述べたことに触れる一方、安倍首相が同大統領との会談の中で「アメリカが地域平和のために重要パートナーである。」ことを強調する見通しであることを伝えており、フィリピン・アメリカの良好な関係維持のために日本に期待している様に読める

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フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、最近の中国との親善関係回復やアメリカとの関係悪化が地域の安全保障に与える影響についての懸念が高まる中、火曜日に日本に到着した。
日本の高官によれば、安倍首相は水曜日にドゥテルテ氏との会談を予定しているが、中国が軍事面でも経済面でも攻撃的になる中、アメリカは地域の平和と安定のために欠かすことに出来ないパートナーであることを強調する予定だ。
先週、北京でドゥテルテ氏は、240億ドルに上る中国との協力・投資協定にサインする際に、アメリカとは決別したいと述べた。後になって、彼はアメリカとの関係を断ち切りたい訳ではないが、より独自の外交関係を確立していきたいことを明らかにした。
ドゥテルテ氏は彼の4日間にわたる日本訪問は、フィリピンと日本のパートナーシップにとって重要なものになるだろうと述べた。

Friday, October 21, 2016

長時間労働による自殺が働き過ぎの日本を揺り動かしている【A7面(国際面)】

電通の新入社員だった高橋まつりさんの過労自殺問題に関連し、2013年に当時30歳で病死した同社本社の男性社員についても、三田労働基準監督署が長時間労働が原因の過労死と認め、労災認定していたことが1020日に判明したが、WSJはこのニュースを翌21日の国際面で速報した。



この事件により、電通が刑事告訴される可能性があること、電通が対策(残業時間の上限を70時間/月から65時間/月に変更)を講じたことを伝えた上で、日本には「過労死」という特別な言葉があり、過労死は、年功序列を背景にした(時には基本的人権を無視した)日本の特殊な職場環境(残業しなければならないという無言の圧力)に原因があるとしている。また、安倍首相がこうした環境を変えることを、優先政策課題にしていることにも触れている。

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日本最大規模の会社での長時間労働による2つの死が、日本が長時間労働文化から抜け出そうとする戦いについての懸念を再燃させいる。
木曜日に、政府関係者は、2013年に起きた広告会社である電通30歳の従業員の死は、長時間労働によるものであると認定した。この発表は、労働捜査官が2015年の24歳の女性従業員の自殺に関係する証拠を求めて電通の事務所を捜索した数日後に行われた。
労基署の関係者は、両方のケースとも過労死(働き過ぎによる死を意味する日本特有の言葉)であり、もし違法な労働慣行が広く行われているのであれば、検察を通して電通を刑事責任で告訴することが出来ると述べた。最も極端なケースでは、検察がその後、訴訟にするかどうか決定する。
「働き過ぎによって命を落とすということは、起きてはならないことだ。」と日本の厚生労働省の塩崎泰久大臣は今週述べた。彼は電通の労働慣行について全国レベルでの調査を行う様に求めた
日本最大の広告会社である電通は、死亡は認めたが、それ以上のコメントは拒否した。スポークスマンは、会社は、残業管理が不十分であったことは認識しており、労働条件の改善に動き出すと述べた。電通は、残業時間の上限を月70時間から月65時間へ減らすと述べた。
電通の社長である石井直氏は今週、従業員に対し、刑事訴追の可能性を認め、「恥ずかしいばかりだ。」と述べた。
日本は何十年にもわたって会社の事務所に蔓延する極端な労働倫理と戦ってきた。
今月の政府の過労死についての白書によれば、日本企業の23%くが月に80時間以上残業している従業員がいると報告した。また、同白書によれば、昨年日本では24,000件の自殺があったが、そのうち2,159件は職場問題に関係する自殺だった。
過労死で愛する人を失った家族の弁護をしてきた弁護士のタマキカズナリさんによれば、日本の企業は多くの場合年功序列の上下関係のもとで運営されており、会社への忠誠を重視する。こうした企業文化が、従業員は長時間働かねばならないという強いプレッシャーを感じる環境を作り出している。
「労働環境と労働時間について、日本は人権についての基本的な認識に欠けている。」と彼は言う。
24歳の高橋まつりさんは、非常に権威のある大学である東京大学を卒業し、20154月に電通に入社した。彼女は昨年のクリスマスの日に会社の寮から飛び降り自殺を図った。自殺する前の数ヶ月、彼女は、労働時間や上司による嫌がらせについての悲痛な訴えを、ソーシャルメディアに掲載していた。
高橋さんの母の弁護士によれば、自殺の直前の1ヶ月の彼女の残業時間は100時間を超えていた。
30歳の電通職員については、詳細は分かっていない。
安倍首相は、長時間労働を含む労働システム改革は、優先課題だと述べた。彼の目標の1つは、子供のいる女性や、長時間労働ができない家庭の事情を抱える男女の労働者にとって、働きやすい環境を作ることだと述べた。

Tuesday, October 18, 2016

日本の科学者がマウスの卵子生成に成功【A12面(国際面)】

マウスの幹細胞から大量の卵子を実験室の培養だけで作り、この卵子を受精させてマウスを誕生させることに成功した、と九州大学や京都大学などの研究グループが17日付の英科学誌ネイチャーに発表したが、WSJは翌18日の国際面でこのニュースを速報した。


既に、幹細胞から精子を作る技術は確立しているが、今回は卵子の生成に成功。その人工卵子を使ってマウスを生成する過程を詳細に説明した上で、哺乳類への適用には数年、人間への適用には10年程度かかるとしている。この記事を読む限り、精子と卵子を両方とも人工的に生成し、それを使った人間を生成することが10年ほど後には可能になりそうだ。理論上は人間の大量生産などというのが可能になるのだろうか。こうした分野の研究で日本が先頭を走っていることを誇りに思うと同時に、倫理面での議論を活発化させる必要性も感じる。

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日本の科学者が幹細胞からマウスの卵子を生成する過程をすべて実験室で行うことに成功した。人間の不妊問題の基礎研究に新たな道を開く業績だ。
「卵子が生成される全過程をマスターすることは、生殖生物学と再生医学にとって重要な成果だ。」と月曜日にオンラインで公開されたネーチャーの研究の中に科学者は記述した。彼らによれば、技術的には卵母細胞と呼ばれる研究所で生成された卵子は、健康な子孫を生成した。
「我々はこのことに大変に興奮している。」と日本の福岡にある九州大学の幹細胞生物学者であり、この研究のリーダーである林克彦は述べた。「我々は卵子をいくつでも培養できるようになった。そしてより簡単に出来る様になった。」
この発見は、再生に関する基礎生物学の更なる発展を反映している。これまでは、幹細胞を卵子に変換させるための唯一の方法は、発育の初期段階の幹細胞を母親の子宮に移植することだった。子宮では、自然物質が発育のプロセスを引き継ぎ、完了させる。
理論的には、この新しいテクニックは、いつの日か、これまで体外受精に成功しなかった女性や、子供の時に癌にかかり卵子を生成する能力を失った女性にとって、最後の拠り所をなるかもしれない。現在は、マウスで機能するだけだが。
また、最近行われた他の実験では、科学者たちはマウスの幹細胞を機能する精子に変換できるかを研究している。2011年には京都大学のサイトウ・ミノリをリーダとする分子生物学者たちが、幹細胞を利用して発育初期段階の精子を生成したと発表した。今年初めに、中国広州市の科学者たちは、CELL STEM CELL誌に、皿の上で、発達の初期段階にある精子を生成する方法を発見したと述べた。
しかし、研究者たちによれば、こうしたテクニックを人の細胞で機能させるのは難しく、異常なものが生成されるリスクは極めて高い。
新しい卵子の研究では、林博士と彼の同僚は、2つの異なった幹細胞から始めた。ひとつは、胎芽から取られたもので、あらゆる種類のマウスの組織になる能力を持っている。もうひとつは人工多能性幹細胞と呼ばれるもので、より柔軟性のある胎児の様な状態に変換出来る様に、大人の細胞を再プログラム化したものだ。
科学者たちによれば、かれらはタンパク質と成長因子を混ぜたものを使って、両方の幹細胞に刺激を与え、卵子の前身である始原生殖細胞を生成した。そして、科学者たちは、研究所の皿の上の卵巣細胞をサポートするベッドの上でこれらの細胞を育成した。様々なホルモンや化学物質を使用し、約3週間後に、これらの細胞は卵子となった。
これらの卵子を自然のマウスの精子と受精し、研究所の卵子は胎児となり、養母に移植され妊娠し、オスとメスの子供が誕生したと科学者は発表した。しかしながら、成功率は通常の卵子によるものに比べればごくわずかにすぎない。
この業績が哺乳類に適用されるまでにはまだ何年もかかるだろう。そして、研究室内だけで、幹細胞から人間の卵子を作れるようになるまでには、10年もしくはそれ以上かかるだろう。

Monday, October 17, 2016

反原発派が日本での選挙に勝利【A8面(国際面)】

10月16日に投開票が行われた新潟県知事選について、翌17日の国際面で速報した。




新潟県は、柏崎刈羽原子力発電所のホームタウンであり、同発電所は世界最大規模だとしている。そしてその再稼働に反対する米山氏が知事選に勝利したことを伝え、当初は与党の支援を受けた森氏の楽勝が伝えられていただけに、選挙民に反原発の訴えが支持されたとしている。

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日曜日に行われた世界最大の原子力発電所がある日本の県の知事選挙で、原子力発電への懐疑的な見方が勝利した。安倍首相のエネルギー政策への大きな逆風だ。
医師で公務経験のない米山隆一氏(49歳)は野党の支援を受け、安倍首相の連立政権の支援を受けた元建設官僚を破り、新潟県知事となった。
東京から電車で2時間半の距離にあるこの県は農業地域として知られているが、日本海に面した柏崎市と刈羽村に跨る原子力発電所の所在地でもある。
この原発は東京電力によって運営されている。東京電力は全ての発電所が運転していれば世界最大の発電量を誇るが、2012年以降全ての原子力発電所は閉鎖されてきた。地震と津波によって東京電力の福島第一原発でメルトダウンが起きたが、2012年はその一年後だった。
米山氏は東京電力が2011年のメルトダウンの理由をきちんと説明できるまでは、新潟の発電所の運転を止めるべきだと訴えてきた。
「このことをはっきりとさせて下さい。私がお約束した通り、現状では再稼働を認める訳にないきません。なぜなら、もし原子力発電所が再稼働したら、皆さんの命や生活水準を保証することが出来ないからです。」と米山氏は選挙で勝利した後に述べた。
最初は、新潟の選挙は連立与党の支持を得た森民夫氏にとっては楽勝だとみられていた。しかし、選挙日が近づくにつれて、そして対抗する候補者の主張が選挙民の胸に響くにつれて、接戦であることが分かってきた。

Wednesday, October 12, 2016

追加予算承認後も、安倍首相はより多くの支出の圧力にさらされている【A8面(国際面)】

1011日、2016年度第2次補正予算が参院本会議で可決、成立したが、WSJはこのニュースを翌12日の国際面で速報した



3.3兆円規模の補正予算が成立したが、本田悦郎氏ら安倍首相のブレインは、日銀にお金をどんどん刷らせてもっと大規模な財政支出をすべきだと安倍首相にプレッシャーをかけているという内容。こうした財政支出拡大論を紹介した後、財政規律を維持すべきだとする3人のエコノミストの発言や、プライマリービジネスを達成したいという安倍首相自身の発言も併せて掲載している。全体としては、突出した財政支出はリスクがあることを強調している様に読める。

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日本の国会は火曜日に安倍首相の経済再生計画を軌道に乗せるための追加財政支出策を可決した。しかし、日本のリーダーは既により多くの対応を求める声に直面している。
安倍首相の筆頭アドバイザーや何人かのエコノミストは、日銀は政府に対して無利子で無制限の資金投入をすべきで、安倍首相はその機会を逃すべきではないと述べた。そうした貸出額が増えていくことに反対する人々は、経済刺激策の実施のために更に国債を発行することは、日本は財政規律を失ったというメッセージを送ることになると言う
追加予算は3.3兆円(320億ドル)の追加支出を含んでいる。この結果、20173月に終了する今年度の予算は100兆円に達し、昨年度から2%近くの増加となる。

新規の支出は、低所得者への現金給付、イギリスのEU離脱の経済へのインパクトを和らげる対策、リニア新幹線建設費の一部負担等に使われる。
さらなる対策を求める声があがっているのは、日銀が9月21日に、国債の買い入れ額を目標とするのではなく、新たに10年物国債の利子をゼロにすることを目標にすることを決定したことによる。
理論的には、この日銀の政策により、政府は全く利子を払わずに好きなだけ10年国債を発行できることになる。なぜなら、日銀の政策は、日銀に金利ゼロを維持するために必要となる国債を購入することを強いるからだ。
技術的には、日銀は国債を、直接政府から購入するのではなく市場から購入しなければならないのだが、実際の状況は、政府がその支払いを、日銀が新たに発行したキャッシュで行うという、マネタイゼーションに似ている。
「国債発行額を増加させるのは良いことだ。」と日本のスイス大使で、経済政策について安倍首相にアドバイスを行っている本田悦郎氏は言う。「もし、日銀がそのすべてを買い取れば、それは実質的にマネタイゼーションとなり、非常に強力だ。」
こうした議論は、金融政策の限界への対応として、経済刺激策として財政政策を使おうというグローバルレベルでの議論の一環だ。日銀による3年半にわたる積極的な金融緩和策にもかかわらず、日本の経済は低成長から抜け出すことが出来ず、消費者物価が下落し続けている。ユーロ地域でも同じ様な状況だ。
1990年以降日本が継続的に財政支出を行った結果、経済成長が実現出来なかったにもかかわらず、発行残高はGDP250%に達している。この率は世界中で最も悪い。
最も大きな障害は企業が賃金をあげることを嫌がってきたことだと農林中金調査機関のチーフエコノミストであるミナミタケシ氏は言う。安倍首相は、企業に対し、労働者をもっと気前よく報いるように強力に要求した方がよいと彼は言う。
大和証券の上級エコノミストのノグチマイコ氏は、あまり財政支出を増やし過ぎると、国民の日本経済の将来についての不安が増し、逆効果になると言う。
「財政支出の一つの大きな特徴は、一旦増加の軌道に乗せると、ブレーキを踏むことが非常に難しいことだ。」とノグチ氏は言う。
安倍首相のアドバイザーである本田氏は金融緩和の信奉者として知られている。木曜日のインタビューで彼は、自信を取り戻すためには財政支出と構造改革が必要だ強調した。彼は、教育、子育て、貧困撲滅、テクノロジー、職業訓練へのより多くの支出を求めた。
安倍首相は、日本の予算のプライマリーバランス、つまり国債に頼らない状況を実現したいと述べた。本田氏はそうした公約へのプライオリティーは低くすべきだとした上で、「それは達成しなくても構わない。」と述べた。

Tuesday, October 4, 2016

日本の生物学者が細胞リサイクルの研究でノーベル賞受賞【A10面(国際面)】

104日に大隅さんのノーベル賞受賞が発表されたが、WSJ同日の国際面でこのニュースを速報した。


大隅さんの研究内容を紹介し、その研究が多くの難病治療薬に結びつく可能性があるとして賞賛。また、大隅さんのインタビューから、彼のユニーク研究姿勢などについても紹介している。さらに、賞金が93万ドル(約1億円)もらえることを報じているのが米国のマスコミらしくて面白い。(日本では賞金額については、あまり報じられてませんね。)最後は、日本人のノーベル医学・生理学賞の授賞は2年連続で、2012以降3回目というコメントで締めくくられており、日本人として誇らしい。

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日本の生物学者である大隅良典氏が、体内の細胞が不要物をどの様に扱い、リサイクルするのかを明らかにしたという理由で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。この発見は、神経疾患やなどの病気の治療の研究に道を開くものだ。
大隅博士の授賞理由は、オートファジー(自分で自分を食べると言う意味)の理解と飢餓や感染の様な生物学的プロセスにおけるオートファジーの役割の解明につながる研究だ。
彼のオートファジーの仕組みについての研究は、細胞はどの様に分解されリサイクルされるかを明らかにしたとノーベル委員会のジュリーン・ジラス氏は述べた。
オートファジーにより、細胞は不要物をエネルギーを生み出す燃料と細胞を再生するためのブロックに変える。
「彼は、細胞は洗練された再生工場を内蔵していることを示した。それは美しく貴重なものだ。」と彼女は述べた。
この受賞は、月曜日にスウェーデンのノーベル委員会によって発表されたが、800万スウェーデンクロノール(93万ドル)を含む。
大隅博士はオートファジーに必要となる遺伝子を最初はイースト菌の中に発見した。そして、その発見がオートファジーが人間や他の動物の中ではどの様に機能するかを説明することに貢献した。この発見は、アルツハイマー病、パーキンソン病、癌などの治療法の開発に有益と思われる。
東京での記者会見で大隅博士は、体内細胞の「ごみ拾い」なら他の研究者との競争が少ないだろうと思い、意図的にこのテーマを一生の研究テーマに選んだと述べた。
彼はその様な研究がノーベル賞に結びつくとは想像すらしていなかった。「私は科学のエッセンスは、つまり科学を本当に面白くするのは、大勢の人は群がる様なことより、他の誰もやっていないことをやることだと思います。」と71歳の科学者は述べた。
彼は、細胞は「品質管理」を行わないと機能しないので、彼の研究分野は重要だと述べた。
生命はこの非常に重要なリサイクリングシステムがあることによってのみ存在可能だ。」と彼は言う。「我々は、たんぱく質を作り出し、それらを破壊する。そして再び作りだし破壊する。それにより生命は存在することが出来る。」
大隅博士は、世界にとって「役に立つ」研究がしたかった。そして、役に立つという言葉を広義に解釈した。「私は、役に立つと言う言葉が数年以内に商業化されるものと同義で扱われるとすると、それは問題だと思います。」と彼は言う。「それは10年後かもしれないし、20年後かもしれないし、100年後かもしれないのです。」
彼は変化した酵母を作り出すことに成功し、彼の顕微鏡の下に細胞が来た時に、オートファジーのプロセスを正しく起動させる方法を発見した。「彼は、細胞を研究するための、本当に巧妙な手段を作り出しました。」とジラス教授は言う。
「この受賞は、長い間殆ど忘れ去られていたプロセスに注意を向けさせた。」とオートファジー研究者で、ニューヨークのアルバートアインシュタイン医学大学の老化研究所共同理事であるアナ・マリア・クエルボ氏は言う。
オートファジーの減少は、通常加齢を伴うとクエルボ博士は言う。彼女の研究所はオートファジーのプロセスを開始させる薬の開発に従事している。「私たちは、オートファジーを修復し、若い人と同じ水準にまで戻したいのです。」と彼女は言う。

日本人の科学者の医学・生理学賞の授賞は2年連続で、2012以降3回目だ