Thursday, June 4, 2015

日本ではゲイの権利に向けた動きが活発化している【A8面(国際面)】

渋谷区で331日に制定された同性カップル条例が、国際面で取り上げられた。



 この条例は、欧米の様に「人権擁護」の観点から世論が盛り上がって制定されたのでは無く、ただ渋谷区がクールだというイメージを作り出すために制定されたという意味で非常にユニークだと言っている。日本の国会議員の多くは、同性カップルの問題を取り上げる意図が無く、同性婚が認められるまでにはかなりの時間がかかると悲観的に報じている。このままでは2020年の東京オリンピックが、ソチオリンピック(反同性愛者法制ゆえに一部の西側政治家がボイコット)の二の舞になりかねないと警告している様に読める。
長谷部健渋谷区長、安倍昭恵さん、古川俊治議員、南和行弁護士、馳浩議員など、立場の異なる様々な人の取材をベースにしていて読み応えがある。特に同性愛者結婚慎重派の安倍首相と、積極派の昭恵夫人の対比が面白い。

***** 以下本文 *****
この記事は次のような書き出しで始まる。
区議会に同性カップルに象徴的な承認与えるという行為をさせるために必要な理由は、ここでは市民権では無く、国内・海外における区の先端的なイメージだった。」
「『我々は文化の中心として、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコと同等になりたいのです。』と東京の渋谷区の区議会議員としてこの問題を3年間にわたって推進してきた長谷部健氏は言う。」

長い記事なので暫く要約する。

この春、彼の尽力で制定された条例は、西側諸国で起きている変化が、日本の様な保守的な国にも及んできたことを示している。婚姻を管理する国のレベルでみると、日本の議会や司法は、先月アイルランドで実施された様な国民投票を行う計画は無い。しかし区のレベルで制定されたこの条例により、同性カップルは渋谷区から証明書を受領することが出来る。この受領書によって、同性カップルは、例えば家族用の公団への入居がしやすくなる。多くの活動家は、この条例は、長い間無視されてきた同性愛者への差別問題を公に議論するきっかけになったという意味で画期的な一歩だとする。渋谷区以外の3つの市町村が同性カップルの承認を検討しており、保守的な新聞である産経新聞とフジテレビの世論調査によれば、国民の54%が同性カップルの結婚を支持している。

長谷部氏は、元広告代理店勤務だが、この問題を人権問題として取り上げることを避けるにより、区議会と対立することを避けてきた。「私は議会に対して、我々渋谷区だけが、こんな大胆なことが出来るのだと訴えました。」と43歳の長谷部氏はインタビューで語った。人口20万人の渋谷区はストリートファッションや若者文化で有名だが、同性愛者の地域だとは考えられていない。

保守的な安倍晋三首相の妻である昭恵さんも同性愛者のサポーターとして知られている。彼女は、ファーストレディーとしては初めて、昨年のレインボーウィークに出席した。彼女はインタビューで「人々はもっとこの問題についてオープンであるべきと思います。私の周りにも驚くほど沢山の同性愛者がいます。」と述べた。日本の政治環境は、また彼女の様な立場の人がこうした問題で指導的立場になることを許していない。今年の同性愛者パレードは安倍夫妻がアメリカに向けて旅立つ日に実施されたため、昭恵さんは欠席した。

条例が議会を通過した翌日の41日に安倍首相は野党議員に同性カップルの結婚は法制化されるべきかと尋ねられ「憲法は婚姻は両性の合意によってのみ成立すると述べている。この問題は慎重な議論が必要だ。」と述べた。家族の絆特命委員会の古川俊治会長は同性結婚の強い反対者だ。彼は、同性愛者のことを一種の精神異常者と呼び、法制的もしくは制度的に認めるべきものではないとする。

渋谷区の動きに刺激されて、30名の国会議員が超党派の議員連盟5月に立上げ、同性愛者差別の問題を調査したり、2020年のオリンピックでこの問題が国際的にどうみられるかを調査してりしている。ロシアの反同性愛者法制に反対して、数名の西側諸国のリーダーが昨年のソチオリンピックへの出席を見送った。

この記事は次のようなコメントで締めくくられている。
「同性愛者の権利を専門とする弁護士である南和行氏は、日本では伝統的な家族観への変化のスピードは遅かったと言う。彼によれば、女性の権利擁護グループが、結婚後に女性が旧姓を名乗ることを禁じた法律を変えるだけで30年もの長い間戦わねばならなかったのだ。」
「新しい議員連盟のリーダーであり、自民党国会議員である、馳浩氏は、法制化の計画は無いと述べた。」